白石恵があなたのパーティへと合流し。3人の連絡先が交換されてから数日。先ずは装備を整え直すところから始める事に。
白石恵の防具は防御力に目が行きがちで、彼女の体格。筋力を考慮すると不釣り合いだ。体力は無く、力も無いが足の速さは其処まで悪くはない。なのにこの重さでは折角の良い点まで消されてしまう。
「恵先生の体力の無さも、この防具に一因があります。シンプルに合ってません。この防具」
「私打たれ弱いから、防御力が出来るだけ高い防具が良いかなって」
「防御も大事だけど、先生も回復の時は速く動きたいですよね?」
「治療時は速く動きたいです」
白石恵の今までは。臨時パーティで一期一会の相手。指示により、上振れと下振れが激しい彼女が、万が一の為に防御力を優先したのは仕方ない事だ。下振れれば軽い防具でも被弾の可能性は出て来る。ヒーラーとは真っ先に落ちては行けない役割。彼女自身の信念としても、それは変わらないだろう。
だから、今も迷いが見える白石に。あなたは自分と神崎を信じて。動きやすい防具を選んで欲しいと真っ直ぐにお願いした。
「……分かりました。神崎さん、どれがおすすめでしょうか?」
「防御は最悪、致命的な部分を防ぐもので。先生の筋力からして軽めのものをなるべく選びます」
「かわいいのってありますかね?」
「それなら──」
さて。こうなるとあなたに出来る事はもう無くなる。アドバイザーとしては、男性のあなたよりも女性である神崎翠の方が適任だ。試着、後は専用の下着の話にも移るかもしれない。この時ばかりは男一人の肩身の狭さをあなたは知る羽目になる。
「この中から見た判断になるホが、あの衛生兵はとにかく走らせるホ。他の訓練は徒労になる可能性が高いホ」
これが良い、いや此方も悪くないと最早あなたを忘れて2人で盛り上がる光景を離れた場所から見守りつつ。COMPから伸びたイヤホンを装着する。聞こえてくるのは勿論教官の声。
とにかく体力と足の速さに重点をおき。それ以外は基本諦める事にしたようだ。教官から見ても、教えても無駄と評されるとは根っからの回復気質。アイテムを投げる訓練。投擲訓練は入れても良いが、後はお前の能力で上手く動かせ。
少し丸投げされた気もするが、あなたはリーダーなのだ。ならばその責任と義務はあなたにある。
「どうでしょうか? 何方が似合いますかね?」
それからは、偶に呼び出されては試着した防具のデザインを評価する係に任命された。何方でも良い。何でも良いは禁句と聞く。此処はダサかったとしても、自分の意見を出すべきか……?
『無難なものを選ぶ』
『考えてから良さそうなものを選ぶ』←クリック
「ふむ、こっちですか……」
あなたが選んだ方を凝視してから、白石は片方に持っていた装備のカタログとを見比べ始める。反応的にもう片方だったか。変な緊張感があるな。
「ありがとうございます!参考にしますね」
白石は他の防具を見ていた神崎の元へと戻り。あなたはその場に置き去りにされる。
『え……結局何方だったの?』というあなたの疑問には、最後まで答えを出される事は無かったのだ。恐るべし、ガールズショッピング。
「これなら動きやすいです」
「値段的にも悪くないかな?」
数時間の吟味から、軽量で機能性の高いタクティカルベストを選択したようだ。ポケットが多く付いており、アイテムの使用が多くなる白石には合っているだろう。
急所の部分や肘、膝の部分を守る出来るだけ、最低限のプロテクター付き。デザイン性もレディース用だから、其処まで無骨なデザインでも無し。
長かった防具の新調はこうして幕を閉じた。あなたもこの経験から、かなり根気と寛容さが上がったような気がする時間だった。
【あなたの根気、寛容さがガッチリと高まった!※フレーバーなので、ステータスに関係はありません】
【白石恵の投擲!……ミス!】
「あ! すいま──」
『次! 3番に赤!』
「は、はい!」
白石の防具を変えてから次の日。今回はダンジョンには潜っているが、大目標は練習の確認と白石の投擲訓練になる。
なので神崎にはモンスターが居ない場所を探してもらい、開けた場所で的相手に訓練中だ。
道中で拾った石に色を着け、簡単に属性ストーンを判別させる。赤ならアギストーン。青ならばブフストーンと言った具合に。いきなり実戦は危なすぎる。訓練で出来ない事は実戦で出来ないが、何もしなければ言わずもがな。
前には神崎。その少し後ろにあなた。あなたの左側に白石が陣取り。基本陣形はこの形となる。
あなたとの連携時のように、撹乱役として神崎には大っぴらに動いて貰い、その隙間からあなたが銃での攻擊を行う。
『神崎! 回避補助!』
「はい! 回避補助掛けます!」
【白石恵のスクカジャ!……神崎翠の命中・回避が上がった!】
戦闘時はあなたも名前を呼び捨てにする。一文字でも減らした方が指示は短く、速い。神崎も白石も、そんな事でわざわざ怒りはしない。ただ、普段のあなたと指示を出す時のあなたは別人故に、少々最初は戸惑ったりもしたが。それも今では慣れてきている。
【白石恵の投擲!……ヒット!】
「神崎さんへの回復行います!」
『回復終われば撤退準備! 神崎は此方が担ぐ!』
「了解しました!」
神崎が負傷、倒れた時を想定してあなたと白石が攻擊後。直ぐに白石が神崎の下へ向かい、あなたは敵の注意を引くか。周囲の警戒を想定。白石では神崎を担いでの撤退は不可能。予めこういう状態ではこう動く、そのシミュレーションを行っていた。
「はぁ、はぁ……」
「命中精度は半々くらい。偶に当たりそうなのもあったから、気を付けて下さい」
「ご、ごめんなさい……はぁ……はぁ……」
「謝らなくて大丈夫。訓練で覚えてください」
一通りの想定訓練を終えると。休憩を挟みつつ反省会。防具の新調のお陰で、前よりは動きにぎこちなさが無くなった。とは言えまだまだだが。それでも充分な一歩。
それよりも気になるのは、白石恵の謝罪が多い事。多分だが臨時パーティでは怒られる事の方が多かったのだろう。回復は出来ても前の装備での行動を見るとな、宜なるかな。
謝り癖が体に染み付いてしまったのだろう。しかしいちいち謝られてはテンポが悪くなる。
敢えて謝罪を無視して、次の指示を出していたが…癖をどう消すか。
「えっ……」
「まあ、そのくらいなら大丈夫」
悩んだ末に考えついたのは、謝る回数に応じてペナルティを与える事だった。あなたが変な癖を付けたら、デモニホ教官は治るまで体罰と訓練増加を辞めないだろう。
しかし女性に、しかも仲間にそれをやるのは論外だ。スパルタと言っても限度がある。
という訳で、白石恵が謝ったのを確認した瞬間。仲間全員で1kmランニングを罰として行う。はっきり言ってあなたと神崎には其処まで罰にならないが。
運動が苦手な白石に取ってはかなりの罰となるだろう。それにあなたと神崎を巻き込んでのランニングは精神的にもクる筈だ。
「き、気を付けます!!」
あなたの目を見て、この人本気だ…と悟った白石は。より一層自信へ気合を入れて、再びの訓練をあなた達と開始したのだ。しかし…
「──す、すいません! ……あっ」
「はいアウト。白石先生、走ろうか」
「ああああ……!! 私の馬鹿……!」
癖とは気を付けて、はいそうですかと治れば苦労しないのだ。これで3回目。3キロ目に到達するだろうランニング周回を、あなた、神崎、間にしょんぼりとした白石を挟み。皆仲良く1kmを走るのだった。
「先生?」
「」
「……息はしてる。生きてるなら大丈夫か」
それからもふとしたタイミングで癖は口から出てしまう。指揮官、リーダーとしてのあなたに甘えは無い。キッチリ1km走らせると。少しは休憩を与えてから訓練を再開する。
しかしランニングペナルティで殆どの体力が削られたのか、目を閉じたまま白石は動かない。胸は上下してるし、息も近くで感じる。
あなたにセーフサインを出した後、神崎は寝ている白石を揺すって起こした。
「──ハッ!」
「先生、今日は一緒に銭湯行こう。マッサージしないと明日がキツイよ?」
「銭湯……ああ、銭湯……良いですねー……」
目を覚ましたが。少し心が現世に戻って来ていない。此処まで酷使した筋肉は、明日悲鳴を上げるのは確実。出来る事は少しでもその悲鳴を和らげる事だけだ。
というか、このまま一人で風呂に入らせると溺れるのではないか?神崎翠が1番に懸念した点は其処だった。帰る前にお風呂とついでに食事の面倒を見ておこう。でなければ自宅に着いた時点で倒れて眠りそうだ、この人と。
「君も一緒に来る?」
再び目を閉じた白石を背負う神崎。せめて荷物はあなたが持ち、そのままダンジョンから出ようとした手前。神崎から同じ銭湯に行かないかと提案される。
『良いんですか?』←クリック。
『処刑されそう。辞めとかない?』
「同じ風呂に入る訳でも無いし良いよ。それに終わったら食事にも行くから、リーダーもどうかなって」
親睦を深めたい。後は単純に仲間外れも可哀想と言った所か。寝る前の訓練後は軽くシャワーを浴びれば良い。それに銭湯は久し振りだ。偶には悪くない。
「多分あると思う。最悪は買えば良いし」
銭湯に行く事は決めたが。着替えはあるのかと純粋な疑問が湧く。あなたは無い。なので一旦家に戻り、着替えを調達せねばだ。逆に神崎はもしもの時用に、一着分は持ち歩いて来てるとの事。ダンジョン内では邪魔だから、コインロッカーに日用系の物は一旦入れてあるらしい。
となると白石さんだが、今日は汗だくになるだろうから。着替え持って来た方が良いと連絡は行っていた様子。ならばある確率は高いな。
「あ、そうなの? うーん、じゃあお言葉に甘えて」
あなたも仲間も着けている武器や防具。これを銭湯に持って行くのは色々な意味で危ない。高価な物もあるし、子供に触れられでもしたら大騒ぎ。家からこのダンジョンまで其処まで遠くない事から、一時保管庫としてあなたの家を使うかと神崎に提案した。
少し迷いはしたが、あなたを信用して神崎はその提案へと肯定の返答を返した。家に一旦帰るにしろ、何処かに預けるにしろ。お金か時間、何方かが掛かるのだから。
「少し脱がすから、外出て貰っていい?」
寝ている白石を起こせば、着替えはしてくれるだろうが。折角だからと、銭湯までは寝かせておく事を選んだようだ。
1人住用のあなたの部屋に、神崎と白石を置いて。あなたは玄関ドアから外に出る。
「着替えあったあった。これなら後は銭湯だけだね」
私服に着替えた。着替えさせられた神崎と白石と共に。あなた達一行は銭湯へと歩を進めた。それにしても、一向に起きないな白石さん。
「起きると銭湯だからびっくりしました。起こしてくれて良かったんですが……」
「何回かは起こしましたよ? 直ぐに寝ましたけど」
「……記憶に無いですね」
頭にタオルを乗せ。髪は湯に浸からないように上へ。壁際に座り、背中を付けて2人は疲れを湯に溶かしていた。
銭湯前で漸く叩き起こされた白石は、少しの混乱の後。神崎と共に脱衣所へと連れられる。
時間は夕刻前。白石の様子からも早めに切り上げたお陰か、湯船にも脱衣所にも人は疎らだった。これなら男湯でのあなたもゆっくりと浸かれる筈だ。
「やっぱり肩って凝りやすいんですか?」
「凝りやすいです。動く時もかなり邪魔で……」
「触ってもいいですか?」
「どうぞどうぞ」
体を洗っている時も、今湯船に浸かっている時も。神崎は興味をその胸部へと惹かれていた。全くない自分の胸とは違い、手からも溢れるくらいには大きなそれが気になっていた。
「あ、凄く柔らかい。初めての感覚」
「触ると大きくなる、みたいな話は聞きますが。特に触った記憶は無いんですよねぇ」
「私の役割じゃ、絶対邪魔になる。凄いですよ、これ……」
恐る恐る掴んだ後は。内の興味に惹かれるままに感触を確かめていく神崎。他人のものを触ったのは初めてだ。残念ながら自身のは触るほどに無い。少し感動しながらそれからも白石の胸を触り続ける。
「視線も結構集めますし、せめて半分くらいになって欲しかったです」
「胸は、あまり見られないかな。私は」
白石は勿論その胸部に視線が集まりやすい。神崎は防具を着てる時は全体的に。私服の時は臀部辺りに視線を感じやすいと話す。
「そういえば彼って、あんまり見ませんよね? 枯れてるんでしょうか?」
「いや、そういう訳でも無いみたいです」
「彼ぐらいの年頃だと、女性の体に興味があるのが自然なんですが」
最後にはあなたの話へと移り。2人はあーだこーだと、あなたに対する話題を上げていった。さて、そうなって来ると…
「………」
「先生、沈まないでください……」
簡単に言えば長く話すぎた。疲れがある時の長湯には気を付けよう。
「毎日……これですか……」
「時間になったら連絡入れますから」
さて。逆上せた2人が近くのおばちゃん達に助けられ、何とか湯船から復活を遂げた。風呂上がりの牛乳を1本づつ飲み干すと。近くのレストランで早めの夕食へと有り付いた。
先に風呂から出ていたあなたは、出来上がった白石訓練メニューをCOMPに打ち込んでおき。出来上がると白石のCOMPへとそのデータを送る。
「出なかったら家まで行きますので」
「や、やりますよ? 勿論……!」
どうやら神崎と白石の家は行けなくはない距離間らしい。
朝にはランニングがあるという事で、早めに寝る習慣を付けてくれれば助かる。アイコンタクトで神崎へと、あなたは宜しく頼むとお願いし。神崎も任せてという合図をあなたに送り返した。
白石恵の体力強化協定が、此処に結ばれた瞬間であった。
次は最後の仲間の話になるけど。明日は多分投稿出来ません。
毎週土曜はちょっときつめかな?投稿するの。なので少々お待ちを。風呂シーンならこういうスキンシップは入れないとね。風呂上がりの牛乳はシンプルな牛乳派です。では。