※この作品はR-18です。

現代×ダンジョン×メガテン   作:ニンカタ

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この呼ばれ方は個人的な趣味です。


第20話

 

「今日は宜しくお願いします! あたし柊真緒って言います! 身を守る事が得意です!」

 

 お母さん。後からだが父親からも良いんじゃないかとお墨付きを貰い。ほぼ加入は確定だが、試運転と顔合わせを兼ねて今回はダンジョンへと潜る。

 白石、あなたは面識があるが。神崎には白石経由で話は行っているかもしれないが、顔合わせは今回が始めてである。

 

「ふーん、()()()知らなかった真緒さんだね」

「……師匠、何か不機嫌そうですけどあたしのせいでしょうか?」

 

 気になる点は2つだろう。1つづつ解説をする。

 1つ目。白石とあなたはほぼ協力しながら真緒の一件に関わっていた。連絡役だが、白石はそのお蔭で大体の事情は理解出来る。対して神崎は、この件には全く関係無かった。

 情報は殆ど無く。気が付いたら新たな仲間候補が現れた感じになる。あなたにも白石にも、そのようなつもりは一切無かったが。1人だけ蚊帳の外で少し寂しかったのだ、神崎は。

 そう知ると余り変わらない表情にも、今日は拗ねたような印象を覚える。あなたと白石のフォローにより、少し後に何とか何時もの様子へと戻るのだ。意外と寂しがりな面があるのが発覚した一件だ。

 

「師匠ってなに?」

「それは私も気になりました。どうしてリーダーをそう呼ぶんですか?」

「母以外の尊敬出来る人だからです!!」

 

 二つ目。いつの間にかあなたの呼ばれ方が師匠になった事。

 『師匠』と『先生』。呼ばれるとしたら何方が嬉しいかと、COMPにメッセージが届いていたが。先生は白石が思い浮かんだので、何方かなら師匠とあなたが返事すると。次のメッセージからは師匠と呼ばれるようになっていた。

 敬愛しているのが母にして呪術の先生の葉月。そんな母ですら難しい事をしてのけた、とある家系の血を引くあなた。

 勿論葉月さんは嘘だなと見抜いてはいるが。騙されるのも偶には経験だと真実を娘には伝えなかったのだ。何より。

 

「傍から見てたら面白そうだし」

 

 あなたが純粋に嘘を信用され。その話題が出る度に苦い顔をするのが面白いようだ。十中八九後者が理由だろうと、ニヤニヤとした笑みを見ると悟れる。

 それに自分で吐いた嘘なら、あなたが訂正するべきだと言われれば何も言い返せない。今の所は真緒の勘違いで、あなたの御守りについては深掘りされないのだから。結局嘘は吐いたままで。

 御守りはあなたの不思議パワーで効果がある。なまじ手作りと言った手前。真緒からはそう信じられているのだ。

 なので、

 

「これからは師匠を見て沢山学びます!!」

 

 仲間にする為とは言え、自分を助けてくれた。それに自己評価が低い真緒からしたら、仲間にしたいと思われているだけで。更に+だ。自分の価値を信じてくれる人に、方向性は違えど。似たような家系で真緒よりも、果てには尊敬する母よりも一部分では優れた存在。

 好意と尊敬の念が絡み合って相互作用を生み出して行き。今では新たな師として、認識されるようになってしまったのだ。

 

「お願いします! そう呼ばせてください!」

 

 気恥ずかしいと、あなたがやんわりと辞めてくれるように促しても。必死に頭を下げて頼まれると、どうにも強制は出来ない。結局挨拶の段階でも、この呼ばれ方は変わらないままだった。

 

「何で師匠なの?」

 「思い付いた敬称がそれだったからです!」

「真緒さん、その後怪我はしてないですか?」

「はい! あんまりしてません! その節はありがとうございました!」

 

 女3人集まれば。先程は神崎がハブられたと拗ねていたが。今度は和気藹々と話し合う女性3人組に、あなたが疎外感を感じる番だった。何となく男女比の偏りでこうはなるかなと思っていたが。その実感はあまりにも早かったのだ。

 

『女が集まりやすいのは、お前らしいホ』

 

 寂しかったのでイヤホンを片耳に装着すると。教官の声が聞こえた。珍しく、何かを懐かしむような声色。女性悪魔に遭遇しやすいのを言っているのか。

 

「それで、どうやってあの現象を抑えたんです?」

「それは──って危ない!? 白石さんにもそれは言えません! 秘密なので!」

「ふむ……」

 

 話の流れに合わせて、時折白石さんは真緒へと質問をする。自然に話を振るから、何度も真緒は話しそうになるが、何とか寸でで止まっている。身内とは言え、バラしてしまった事を気にしているのか。ギリギリだが中々のガード率。

 その度に白石恵は残念そうな顔をするのだ。

 

「話した事があるなら、仕方ないですよ」

「すいません、どうしても知りたかったもので……」

 

 あなたがどうにかして真緒の症状を緩和させたのは知られている。しかしあなたも真緒も、その方法については語らない。あなたが秘密にしようとするなら、真緒はその秘密を守る為に行動するのだ。あなたに聞いても答えないならと、真緒へと方向転換したが、前述の通りガードは硬い。

 

「うん。そろそろ行こうか」

「頑張ります!」

「うーん……前回に比べると圧倒的に少ない。どうやって……? うーん……」

 

 ガールズトークを中断させて、陣形を軽く説明してからダンジョン内へと向かう事を伝える。

 神崎は真緒との立ち回りを試したいのか直ぐに頷き。やる気満々の真緒も神崎に続くように、元気よくあなたの方を向く。白石だけが思考の海から帰って来ないが、神崎に軽く頭をチョップされると。慌てて状況を把握したようだ。

 

「何時も通りだけど、真緒が居る前提だね?了解」

「神崎さんか白石さんを守る……了解しました!」

「真緒さんへの補助や回復。はい、指示に従います」

 

 4人。フルメンバーの立ち回りを把握し終えると。探知役として神崎が先行し、白石を真ん中にして左右にはあなたと真緒が控える陣形で探索を始めた。レベル帯は白石と真緒の実力へと合わせている。

 

「……接敵する?」

 

 片手を上げたから悪魔か。指の本数から3体の敵。数の上では有利な相手。試運転とは言え、下にし過ぎても良い結果には繋がらないだろう。

 戦闘の合図をあなたが出すと、全員が精神を戦闘へと切り替えた。先ずは切り込み役、神崎からだ。

 

【白石恵のラクカジャ!……柊真緒の防御力が一段階上昇!】

「ありがとうございます!」

 

 神崎が攻撃を仕掛け、悪魔からの注意を引いてる間に真緒が走って合流を目指す。その間に白石には防御補助を指示。直ぐ様、強化補助を掛ける。連携訓練の成果もあり、迷いなく素早い補助掛けだ。

 真緒も呪いが緩和しているからか、一度も躓かずに神崎が居る戦場へと躍り出る。

 

【柊真緒の挑発(呪)!……柊真緒はターゲット集中状態だ!】

【柊真緒へと攻撃が集中する……】

 

 悪魔三体は神崎に逸らされていた意識を、今度は真緒へと集中させられる。真緒が呪いを垂れ流すと、悪魔はその呪いに惹かれるのか。その目は正気では無くなる。

 何かに集中している時に、それ以外は非常に無防備で隙だらけだ。それをあなたも神崎も見逃す筈無く。

 

【神崎翠の霞切り!……ヒット! 目眩状態付与!】

【あなたの急所撃ち!……ヒット! クリティカル! 弱点により2倍!】

【イッポンダタラに中ダメージ! 目眩によりフラフラしている……】

【龍王 ノズチをたおした!】

 

 片方は状態異常で動けない。もう片方は充分装填の時間があったので、属性弾にて処理。急所(クリティカル)と弱点が合わされば、レベル差もあり一撃で沈む。片方だけならば少し残るが。

 残るは2体。だが実質は1体だろう。片方はそのまま神崎が片付ける。ならば1対1で真緒が防御に後れを取りはしない。

 更には、

 

【白石恵の病魔予防!……味方全体に状態異常無効のシールドが張られた!】

 

 指示しておいた状態異常への対策もあれば、もう真緒が沈む事は無い。残念だがまだ、白石の投擲技術はそこそこ止まり。もう少し精度を上げてから実戦では使いたい。空いた1体にも属性石での攻撃が出来れば良かったが。今回は安定性として、状態異常をケアしたのだから此方も悪くないだろう。

 

【妖鬼 イッポンダタラをたおした!】

【妖魔 アプサラスをたおした!】

「……あれ、もう終わりですか?」

 

 此処まで来ると後は消化試合。片方は神崎が次撃で葬り、もう片方には実質3人で対処出来る。呪いが緩和された中では、大きな不運も立て続けには起きない。終わってみれば完勝であった。

 

「す、凄いですね、皆さん!」

「いや、真緒が居たからやりやすかっただけ」

「私も安心して補助を掛けられました。真緒さんのお陰です」

 「そ、そうですか? えへへ……良かったです!」

 

 実際、真緒が居るととてもやりやすい。敵の集中が一箇所に集まり、攻撃役が増えるとこんなに早く殲滅出来るとは思わなかった。

 敵を引き付ける役、偶に攻撃をしていた神崎も動きやすかったように見える。白石も神崎がミスをすれば直ぐに敵が此方へと、常に気を張ら無くても良くなり。余裕を持って指示を聞いていた気がする。防御役が居るだけで、こうも変わるのか。

 

「どうでしたか師匠……?」

 

 少し不安そうに、けれど何処か期待した目であなたへと顔を向ける真緒へ。あなたは真緒が望む褒め言葉を沢山掛けてやるのだ。

 頬を赤らめつつも、真緒はくねくねとしながらあなたの賞賛を噛み締めた様子。

 

「──次も頑張ります! あたし!」

(分かりやすい子だな)

(私も偶には褒めてもらいましょうか……いや、幾らリーダーでも年下ですし……寧ろ逆なのでは?)

 

 一度戦闘をこなし、少しだけ縮まったような気がする距離感。緊張していた真緒の肩も軽くなった事だ。この調子で悪魔相手の連携を試して行こう。

 

 

 

 

 

「短時間でこんなに倒せるんですね……」

「人数が増えた分、新記録だね」

「あんまり動いてないので、まだ行けますよ〜」

 

 1時間程悪魔を見つけては戦闘。数は下手をすれば倍の数でも対処出来そうだが。無理をする必要も無い。同じ数か其処から1体多い数を相手取る。接敵から少し経てば、1、2体は直ぐに狩れるので、苦戦せず安定した戦いが多い。

 回復、補助範囲内なら白石も走り回る必要は無い為、息も上がらずまだ余裕がありそうだ。

 

「……ねぇ、そろそろ本格的に中級を目指さない?」

 

『まだ早いよ』

『中級試験って具体的にどんなのだっけ?』←クリック。

 

「──! 中級試験はね、実績、審査、試験で構成されてるの。実績はこれから積んで、審査はこの四人なら大丈夫。試験もこれから勉強すれば間に合う。絶対」

 

 あなたが試験へと前向きな姿勢を見せると、此処ぞとばかりに神崎が早口で説明を始める。神崎自身も、此処まで順調に試験の前提条件が達成されるとは思わなかったのか。何時もより興奮状態だ。

 

「初級試験とはどう違うんですか?」

「違いはパーティ四人で受ける事。後はトラブルの調査とかもされる。問題児を上に上げる訳には行かないから」

「え、あたし、結構他の方に迷惑掛けちゃったんですけど……アウト、ですか?」

「故意じゃ無ければセーフ。それに今は原因も大丈夫なんでしょ?」

 

 中規模ダンジョンからはシンプルに敵が多く、強くなる傾向にある。此処まで来るとソロは居ない。どれ程強くてもリスクの方が上回るからだ。

 中級からは【ブラッド・リリー】のように、4人でダンジョンに挑むのが主体だ。中規模ダンジョンからは国の管理下に置かれるので。しっかりと手順を踏まなければ、中規模ダンジョンへは入れないのだ。

 

「パーティ申請をしてからの記録が主に参照されるから。故意じゃないし、これからしっかりとした実績を積めば大丈夫」

「よ、良かったぁ」

 

 パーティ申請。しても良いし、しなくても良い。初級では、そう認識されているシステム。臨時パーティの比率も多いのが初級。中級を目指すでも無ければ、特に申請してもメリットは無い故、今まであなたにも縁は無かった代物。

 所属メンバーとパーティ名を試験を受けた公的施設等に書類で提出。一応所属しておけば、パーティ関連の問題にてしっかりと裁いてくれるとか何とか。曖昧な臨時パーティではなく、登録されたパーティならば国も関与がしやすいのだとか。

 まあその代わり、登録料金とか諸々が掛かるのだが。

 

 その後も、何故かダンジョン攻略ではなく。神崎先生に寄る中級試験講義へと流れが変わって行く。疑問に思った事を真緒が質問してしまうせいか、後から出た情報に興味を持った白石が乗っかり。今ではあなたも含めた3人が講義を受けている。

 

 聞いた話によるが、要は試験は3つの項目を測られる訳だ。実績は探索者としての能力。パーティである事を求められるから、パーティの能力もか。調査は中級探索者として素行に問題無いかを調べられたり、顔を合わせて判断されると。

 そして最後は知識。中級探索者から追加されるルールや、中規模ダンジョンについての理解がちゃんとあるかを測られると。初級試験の時も、今は懐かしい学校の時も、どうして公的な試験の説明とはこんなにも眠くなるのか…。

 

「早めに動いても悪くないと思うんだ」

 

 説明が終わり。あなたは思考する。殆ど加入したものとして考えるが。パーティが完成してからまだ1日も経ってない。神崎が理由があって上を目指しているのは知っているが、こうも早くて良いのだろうか。

 

「試験と言っても直ぐにではありませんし。心構え程度ですし構わないのでは?」

「あたしは師匠に合わせます!」

 

 パーティの実績積み。実力の底上げ。その他諸々やる事はまだまだあるが。準備として、もう動き始めながらでも有りか。

 

「……うん。改めてこれからも宜しくね、リーダー」

 

 考えた末、あなたは中級を目指して行動する事を本格的に意識する。先ずはパーティの申請から行い。その後は実力を上げながら、試験対策もせねば。

 実績用のダンジョンは、最低でも20台後半のレベルから。しかしもう、遠くはない実力帯に。あなたは此処までの道程を、意外と早かったなと思い返すのだった。

 

 白石恵は試験用の問題を集めなければと。真緒は一緒に頑張ろうと元気良く意気込みを見せ。神崎は嬉しそうに、そんな2人を見た後、あなたへと手を差し伸ばした。

 神崎翠からの信頼が、合わせた掌から伝わってきたような気がした。

 




何か特別な呼び方をする仲間欲しいよなと考えたのが真緒ちゃんです。先生だと被るし、ペルソナ4の着ぐるみを思い出すからボツ。師匠で良いかと思ってからはこうなりました。

それとこれからはこの作品1本じゃ無くなります。ちょっと気分転換に他のやつを書きたいので。20話でこれから中級目指すので区切り的にも良いし、お願いします。
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