セクハラしてたらメイドハーレムが出来ていた 作:上り坂は下り坂
リーフを伴って部屋へと入ると、ソファに浅く腰掛けてニコニコとしながら待っていたベルメルが、こちらへと顔を向けるや否や怪訝な顔をして誰何する。
「ああ、彼女は——「自分で、名乗ります」……そうか。ま、女性相手だ、問題は無いか」
リーフは被っていたフードを取り払い、薄緑色の髪と端正なつくりの顔立ちを晒す。
「私、蔵書室の管理を旦那様より仰せつかっております、リーフと申します。どうぞお見知り置き下さい」
流石は伯爵家に仕えるメイドだ。手をへその下で重ね、背筋を伸ばし、最後には小さくカーテシー。そしてその所作が一つ一つが丁寧。指先までコントロールしているのか、隙なく美しい。
つい先程まで「メス穴」とか「ハメ放題」とか「使って」とか「食べて」とか淫語を連発していた上に、オナっていた人と同一人物とは思えないな。
「っえぇ〜!? あっ、あなたがヘクトル家の妖精とも称されるリーフ様なのですかぁ!? でも、えっ? どうして蔵書室の外にぃ……??」
「私はヴィクトル様に心惹かれた、ただの一人の女なのです。彼の側に居たい……その一心で飛び出してしまいました」
ベルメルはまだ出会った事が無かったらしく、良いリアクションを見せる。
とは言ってもメイドとしての立場を弁えているのか口元に手を当てながら目を見開く程度だったが。
そしてリーフのド直球の返球よ。嬉し過ぎて心拍速いのに、更に俺の腕を取って胸を押し当てるのはやめて頂きたい。寿命が縮む。後ようやく鎮まった息子がウォーミングアップ始めちゃうからね。
「あっえっとぉ、私は主に給仕や厨房の補助、現在はパティシエとしても働いております、ベルメルですぅ。……その、ヴィクトル様とは恋仲、なのですかぁ?」
「気持ちを受け止めては貰いましたが、おそらくハーレムは必至。なので、恋敵を排除しようなどとは思いませんよ? ねぇ、ヴィクトル様? 現在、何人のメイドを抱かれましたか?」
「うぇ? あー……っと、そう、だなぁ……六人……ほど、だろうか……すまない」
「謝らないで下さい。同意は得ておられるのでしょう?」
「うむ……しっかり避妊魔法込みで抱かせてもらった」
「であれば、問題など御座いません。ねぇ、ベルメルさん?」
リーフの力強い言葉に流される様に正直に述べると、彼女はそれら全てを容認してくれた。それどころか、全て当たり前の事だと思っている様な……俺を過大評価し過ぎている節はあれど、嬉しい事に変わりは無い。
そして唐突に話を振られたベルメルはと言えば、顔を真っ赤にしながらも何度も首肯を返している。
存外初心だったようだ。あれだけのないすぼでーの持ち主なのだから、兄上に迫られて抱かれていてもおかしく無いと思うのだが……?
「とっ取り敢えず! ベルメルのお菓子を頂かないか? こうして味を見てくれる人も増えたのだし、折角だ、ちょっとしたティーパーティにしよう。紅茶も俺が淹れようか!」
「「だめですっ!」」
「あっハイ……」
何にせよ、まずはベルメルの新作を味わう為にも流れを作らねばと思って提案したのだが……まさか即却下されるとは。ヴィクトルちょっと傷ついた……。
「「紅茶は私が! むぅ……」」
と思ったら、茶会の拒否では無く紅茶を淹れるのを許してくれなかった様だ。
結局、新作のお菓子について知っているのはベルメルだけと言う事で、ベルメルに紅茶を淹れて貰う事に。
その間、リーフは机の上のセッティングをし、俺は待って居てと言われて手持ち無沙汰。
性欲も治ってまともな思考が戻ってきた今、ハルラを除け者にするのも可哀想なので彼女を起こしてしまおうか。
俺のベッドでぐっすりと眠りこけるハルラの肩を揺すり、名前を呼ぶ。……起きない。
頬をペチペチと軽く叩いてみる。……起きない。
最終奥義、鼻を摘んでみる。
「……んふがっ!? ひゅえっ?? あえ、ゔぃるくん?」
「こんにちはハルラ。今からお菓子を頂くんだが一緒にどうだ?」
「ゔぃるくんといっしょなら、たべますー」
「ではまずはベッドから降りようか」
目を擦るハルラの手を引いて、とりあえずベッドから降ろ……す!?
立ち上がったハルラのスカートの中からぼたぼたと白い液体が床に垂れ落ちる。
「あー。ゔぃるくんのおせーしもれちゃった……」
「おまっ……拭き取りもせずに寝たのか!? 避妊魔法を使っているとはいえ、流石に取り除いておきなさいよ……」
「やーだぁ」
「はぁ……」
歩く度に精子をこぼされても堪らないので、今回は強引に綺麗にしてしまおう。
慣れた魔法なら無詠唱でも行使出来る。ここ数日、俺が浄化の魔法を使った回数は飛び抜けている。流石に慣れてしまったよ。
ハルラのノーパンマンコに手を当てて浄化の光を放つ。
「あぁ! 意地悪! なんで消しちゃうの!」
「なんで下着すら身に付けて無いんだよ。このままじゃカーペットも汚れるんだよ」
「うぅっ……申し訳ありませんでした。……また、出してくれる?」
物欲しそうな上目遣いやめろ。今すぐヤりたくなるだろ。
「嫌というほど出してやる。だから許せ」
また中出しをすると約束して和解した俺とハルラはソファへと向かう。
すると、既に机の上にはテーブルランナーが敷かれており、その上には甘い香りを放つお菓子と香り豊かな湯気を立てる紅茶が揃っており、ミルクや砂糖も完備されている。
なんとも手際の良い……流石うちのメイド。誇らしいな!
「急な茶会にも関わらず、随分形になったな。流石だ」
「お褒め頂き光栄です。ですが……ハルラちゃん? いつまで手を繋いでいるのですか?
「ふあっ!? あっえっと、しっ失礼しました!」
「良い良い、気にするな。堅苦しいのは俺も得意じゃ無いしな? だから、皆んないつも通りで居てくれ」
俺がそう声を掛ければ、リーフも肩の力を抜き、ハルラは大きく安堵の息を吐く。ベルメルだけは少し緊張が見えるな。
一先ず俺が先に腰掛けるが、隣に座りたいのかハルラとリーフから飛んでくる視線が力強い。
……そんな反応をされたら虐めたくなるのも男心と言う奴だよな?
「ベルメル、隣へ。今回のお菓子の説明も込みで食べたいのでな」
「はっ、はい! ただいまぁ! ……えっでも、よろしいのですかぁ?」
「ベルメルが嫌じゃなければ是非」
「それじゃぁ……失礼しますぅ」
大人しく俺の隣に腰掛けたベルメル。横から見ると突き出た巨乳がよく分かる。お菓子の匂いか彼女の体臭か分からないが甘い匂いが鼻腔をくすぐり、少し思考が持っていかれる。
いつもは対面に腰掛けての試食会だったから分からなかったが、やはりベルメルはちゃんと魅力的な女性だな。
そして選ばれなかったハルラとリーフはと言えば……
「っ…………でっでは、向かいの席に腰掛けさせていただきまっ!? ハルラちゃん!? なんで既にヴィクトル様の向かいに座ってるんですか!?」
「早い者勝ちなのかなーって思ったので!! ヴィル君に裏切られたので!!」
「それはそうですけど! でもせめて何か……一言あっても良いのでは??」
「ヴィル君のハーレムにどうこう言うつもりは無いですけど、それとこれとは別です。相手がたとえ妖精と呼ばれるリーフさんであっても引きません!」
ぐぬぬと火花を散らす二人はなんだかんだで仲が良い。
昔から俺と共に蔵書室に遊びに行って居たからだろう、リーフとハルラはかなり打ち解けている。それ故の言い合いだ。喧嘩出来るほどに仲が良いのは良い事だ。
俺とベルメルは二人を待たずに紅茶に口を付け、お菓子を頂くことにした。
「今回の菓子はシュークリームか。中に入っているのはホイップか?」
「流石はヴィクトル様ですよぉ。このシュークリームはカスタードの物とホイップの物を一つずつご用意しましたぁ! 二つセットを四つ持ってきて置いてよかったですぅ」
「ふむふむ。ではまずはホイップから頂くか」
試食用だからだろう、小振りなシュークリームの半分程を一口で食べる。
サクッふわっとした食感のシュー生地と、砂糖多めに立てた甘いホイップが口の中で溶け合っていく。
これを口一杯に頬張れたらさぞ幸福だろう。
瞳を閉じて味覚に集中して味わい、口に残った甘さを紅茶で流す。
その際に鼻から抜ける紅茶の華やかで甘い香りが合わさって空気すらも美味しい。
「あっ、ふふ。ヴィクトル様、動かないで下さいねぇ」
ベルメルに言われたままにじっとしていると、彼女がこちらに向かって手を突いてにじり寄ってくるでは無いか。
何事かと思いながらもじっとしていると、さらに寄ってきたベルメルの巨乳が腕に押し当てられ、腕だけが幸せに包まれる。
腕よ、そこを俺と変われ。
だが当の本人は気付いて居ないのか、指を俺の顔に近付けて何かを掬い取った。
「ホイップ、付いていましたよぉ。あむっ。んー! 甘くて美味しいですぅ!」
……これは、思ったよりもずっと恥ずかしいな。
貴族としてもあってはならない醜態と言うか、あまり人様に見せて良い姿では無い。メイド達の前で良かったと思おう。
「すまん、美味しくて味覚と嗅覚に集中していたらそれ以外が疎かになっていた様だ」
「〜〜っ! パティシエ冥利に尽きますぅ!」
「いや何、俺も役得だった」
「ん? 役得ぅ、ですかぁ?」
小首を傾げて純粋に疑問を抱いている様子のベルメル。
なるほど、敢えて指摘しない事でこの幸せを味わえるなら口に出すのは野暮と言うものか……。
「ああ、こんなにも美味しいお菓子を優先的に味わえるとなったらそれは役得だろう? ベルメルにお菓子作りを薦めたのは正解だったな」
「……はいっ。今の私はヴィクトル様のお陰でこうして笑えています……だから、なんでも、……そのっ、お申し付け下さいっ! 私に出来る事なら、なんでも致しますっ……のでぇぇ……」
涙目になって、こちらに向かって深く深く頭を下げるベルメル。“なんでも”と言ったからにはなんでもやらせたい所だが、今回だけは聞かなかった事にしておこう。
そんな事より万有引力だ。
なんだこの光景は。どうしてクラシカルなメイド服とエプロンを付けているのにこんなエロい光景が広がるんだよ。
引力に引かれてボインと落ちる巨乳が服を押し下げ、あらゆる布越しにその長乳をアピールしている。
あの長さ……俺のチンポをまっすぐ入れても全て包めてしまいそうだ……。
っと、いかん!! 脳がチンポに乗っ取られかけた。どうにか思考は戻せたが、視線はチンポに奪われた。まあこの程度なら致命傷で済むだろう……。危なかった。
「あまり気負うなベルメル。俺が求めるのは、これからも美味しいお菓子を作って食べさせてほしいと言う事だけだ。だから、頭を上げろ」
手をベルメルの顎の下に持っていき、優しく顎クイしながら顔を上げさせる。同時に手で胸を隠してチンポの支配から目を奪い返す。
ベルメルが頭を上げ切るギリギリの所で彼女と目を合わせる事に成功。
苦し紛れに微笑んでなんとかこの場を乗り切る。
「ふぁ……ヴィク、トル……様ぁ……」
……おや? ベルメルの様子が……?
何だか瞳が蕩けて熱い視線を向けてきている様な……。こんな目をここ数日なん度も見てきた気がするのは気のせいか? 気のせいか。
「さて! さてさて! カスタードの方も頂かねばな! ははっ、はははっ……」
向かいに座るハルラとリーフから向けられる呆れた様な視線は一旦置いておくとして、だ。
美味しいお菓子は美味しい内に頂こうじゃない。ねえ?
そう思って手を伸ばすと、俺のシュークリームを横から伸びてきた手が奪い去って行ったでは無いか。
下手人はベルメル。堂々と俺の目の前での犯行とは……やりますねぇ。
「不肖、ベルメル……失礼致します。ヴィクトル様ぁ、あ〜ん……」
む? ムムム? はて、これはどう言ったイベントか? 何処でフラグを踏んだ……どこでルート分岐した?
いやそれよりも! ここはすぐに応えてやらねば、繊細なベルメルが傷付いてしまいかねない!
「あっ…………あ〜ん。むぐっ、もぐっ」
状況に理解が及ばず思考が乱れるが、そんな中でも色褪せない甘さと濃厚なカスタード……そして飲み込んだ後にも舌に絡んで残るとろける様な甘さが至福!
「んん〜……美味い……美味しすぎる」
今世で初めて頂いたシュークリームは決して前世の店売りのものと大きな差は無く、寧ろこの世界で取れる素材の中でも上等な物を多く使っているからか、味わいの深みではこちらが勝っているまであるな。
思わず目を閉じて浸る様に味わってしまう。
「ふあぁぁ……とってもぉ、嬉しいですぅっ! それじゃあ次は紅茶を……あっでも、やけどしちゃう……そうだ……!」
幸せな溜め息を一つ吐きながら目を開ける。
これ程上品で上質なお菓子は滅多に口に出来ないからついつい味わってしまう。
と言うのも、砂糖なんてあるだけ使った方が偉い、甘けりゃ甘い程貴族らしい、なんて価値観が昨今の貴族社会に広まっているのか甘さ控えめなデザートは珍しいのだ。
まあ、我が家に限ってそんな無駄遣いはあり得ないのだが、茶会やダンスパーティ、懇親会などの席ではそう言った物が振る舞われがちで食傷気味だったのだ。
そんな折に出会った傷心ベルメルを無意識に菓子作りの世界へと放り込んだ訳だが、最近バイブルを読んでいてそれが正解だった事が分かったのだ。
なんと、前世の牛よろしく、この世界の牛獣人は味覚を感じ取る為の味蕾が人間の五倍備わっていると言うのだ。
つまり非常に味覚に敏感なので、繊細な味付けが多種族よりもずっと上手い。まさに天職。
彼女のお陰で豊かな食を楽しめるのだから、ベルメル様様だ。
純粋に感動を覚えていると、これまた隣から腕が伸びて俺の顔を掴んで横へと向けられる。
その際首からコキッと音がしたが痛くは無いので大丈夫だろう。
と言うか目の前に在る美少女牛娘のキス顔ドアップに思考が真っ白どころか真っピンクに真っしぐらなのだが??
「んっ、じゅるっ……ちゅるるっ……んえぇぇ……。どっどうですかぁ? お紅茶、美味しいです、かぁ?」
「…………ゴクン。……美味しいです。すごく。ハイ」
あれ? どこでフラグ踏んでルート分岐したの? いつの間に二つもスチル集めたんだ俺? ログの確認は出来ないのか??
「それじゃぁ……はい、シュークリームの残り……どうぞぉ」
「あむっ」
どうやらループに入ったらしい。もう一度咀嚼して飲み込むと、やはりベルメルのキス顔ドアップがやってきて紅茶を口移しされる。
んー甘い。でろんでろんに甘い。美味い。
そしてこの流れはシュークリームを食べ切るまでのループだったらしく、たったの三回で終わってしまった。
夢の様なひと時と言うのはいつもあっという間だな……。
それはまるで、朝、起きるべき時間の少し前に微睡むあの瞬間の様だ。
だが幸せな時間はここまで。……そろそろ事の真相を本人に問うとしようか。
何故かって? 向かいから飛んでくる視線は非常に居心地が悪いからだなっ!
期間あいちゃって申し訳ねぇです。なんでもするので許して下さい。(なんでもするとは言ってない)
最近になってようやく執筆欲とリビドーが復活して来たのでまたちょこちょこ書き始めて行きますよっと。
それと前話のタイトルの『お給仕メイド』を『パティシエメイド』に直しました。