セクハラしてたらメイドハーレムが出来ていた 作:上り坂は下り坂
スユの媚薬は午後になる前には抜け切った。
沢山水を飲ませて小用をさせ、運動と言う名目でセックスをしたお陰だろう。
「……避妊、出来ました。えっち、いっぱいしてくれて……うれしかったです……!」
「それは俺のセリフだ。スユと交われるとは思わなかったよ」
「……だから。だから媚薬使いました。……スユ、あんまり感情出すの上手く無いので……気持ち伝えるのは怖かったので……襲ってもらいたくて……」
なんとも不器用な子だ。言葉に抑揚も少なく、表情もあまり変わらない。口数も多い方では無く、なまじ小屋を貰ったが故に他のメイドとの物理的な距離まであるか。難儀だな。
「どうしてそこまで思い詰めた。何かきっかけがあったのか?」
「……ヴィクトル様が精通したらしい、とメイドの間でもっぱら噂されています。最近のハルラさんは幸せオーラが全開なので、確実に抱かれたとも。次いで、口調の厳しかったヴィーナさんが敬語を使う様になり、ヴィクトル様の姿を見かけるだけで尻尾を振り出すなどなど……」
ふむ。……なるほどな。…………わっかりやす。
しかもあれか、そのせいで俺にやたらアタックしてくるメイドが居たのか。
「それで……早くしないと、ヴィクトル様……人気ですので。玉の輿を狙う人も、単純に好意を寄せている人も、興味本位な人も居て……いっぱい狙われてます」
「そうか……スユが媚薬を使ってくれて良かった。安全に、良い経験が出来た。さらに、こんなにも可愛らしい人から慕われているときた」
「……ぇ? あ、え?」
「だからありがとうな、スユ」
本当に良い経験が出来た。前世含め、食事に薬物を混入させられたのは今回が初めて。だが異世界ではメイドが手に出来る程度には珍しくない様子。
それを安全に、且つこんなにも気持ち良く体験出来たのはスユのお陰と言えるだろう。
他のメイドには悪いが、貰った物を大切に食べたいと言う事で自室で食べる様にしようと思う。
なんなら、『クリーン』の効果対象を人体に害ある物としてしまえば安全に食す事も可能だ。その分、魔力は持っていかれるが安全と引き換えなら安いものだ。
それらの感謝を以て、ベッドに横になったままのスユの頭を撫でる。
「……うぇ、えぐっ……ひぅ……うぅぅ……なんでお礼、言うんですかぁ……うえぇぇぇん」
「お礼を言いたかったからに決まっている。何度でも言うぞ。ありがとうな、スユ」
「うぁぁぁぁあああん」
貴族に薬を盛ったと言う事実だけを見ればこれは非常に重い罪となる。だがこの事を俺以外は知らない。ならば話は簡単だ。黙っていれば良い。バレたとしても、同意の上だったと言って仕舞えば良い。
「スユ、俺はお前だけを愛せはしないが、お前も含めて幸せにするべく一層励むと誓うよ」
スユの純粋な気持ちはこの短時間で溢れるくらい伝わったからな。
繋がっている時の足や腕の絡め方、キスしている時の幸せそうな表情、冷静になってから自分のした事を悔いた涙。
とにかく、俺の事が好き好き大好き〜って言うのが伝わりきった。
今だって、目尻から溢れた涙がベッドを小さく濡らしている。
「今度、庭いじりを教えてくれ。良ければ一緒にやろう」
「……はいっ!」
スユの眩しい笑顔を受け取った俺は、スユを親愛でもって抱きしめてから小屋を出る。
小屋の戸の両サイドにはハルラとジニアが俺を挟む様に立っており、俺は今回の事を包み隠せず話す事になってしまった。目論見が一歩で終わった悲しさは顔にはでていないと思いたい。
話を聞いた二人も黙っていてくれるそうだし一件落着と言う事で。
その後、安全確認の為と言う事でハルラとジニアを伴って自室へと戻れば、服を脱がされ逆セクハラをされる始末。
「なるほど、ヴィクトル様が勃起をしていないと言う異常が見られますね」
「本当ですかジニア様! これはもっとちゃんと調べないと!」
「白々しいぞお前達……」
ジニアにキスされ、ハルラにしゃぶられ、しっかり勃起したらやる事は一つ。二人に一度ずつ中出しをしてうちの息子は鎮静化した。
「……ハルラさん、これは異常です」
「はい、これは異常過ぎます。ヴィル君が出し切って萎えるなんてあり得ません」
「……スユにいっぱい出したからです。俺は限界があると分かって逆に安心しているくらいなんだが?」
それよりも大事な事がある。……眠たい。
限界まで出し切ったからか非常に強い眠気に襲われて、俺は裸の美少女二人に挟まれながら息子と共に眠りに落ちてしまった。
*****
愛しいお方が夢の世界へと行ってしまわれた。
いつもなら溢れる程に注いでお腹も心も幸福で満たしてくださるのに。
そのいつもに慣れてしまったせいか、抱かれても満たされないお腹が寂しくて仕方がありません。
「寝ちゃいましたね」
ええ、ええ。こんなにも純粋な寝顔を晒して。悪いお方。
普段の勇ましい所など影も形も無い無垢な表情。強い理性を宿す瞳が隠れ、整った顔を引き締めている筋肉が緩めば、年相応の可愛らしい顔を晒してしまう。
何故でしょう。寂しさとは別の、何か湧き上がる気持ちがあります。とても愛おしくて、眺めていたくなる……そんな気持ちが。
「……寝顔は可愛らしいのですね。ずるいお方です」
「そーなんですっ! ヴィル君の寝顔は可愛いんですっ。……起きてる時は貴族らしくしようって頑張ってるから……私たちの為にも頑張っているから、支えたいんです」
寝顔を見れるのは専属メイドの特権ですものね。
ハルラさんは特にヴィクトル様に惚れ込んでおられるので、彼に関する事には強い関心を示すのは分かっていました。ですが、彼女の口から放たれた言葉は予想外のもの。
それはメイドとしての矜持でしょうか。いいえ、きっと愛した殿方を支えたいと言うだけのもの。メイドや貴族と言った立場を取り払った場所で、ハルラさんはヴィクトル様を支えたいと思っている。
これも偏にヴィクトル様の普段の接し方による影響でしょう。
メイドとしての忠義以上の感情……信頼に足る人物。貴族ならば一人は欲しい存在。
果たして、ヴィクトル様の周りには現時点で何人居るのか。
最低でも今此処に二人、そしてウィノさん含め三人……頼れる人物が多いと言うのは大きなメリットです。
ヴィクトル様が貴族としての道を行くのか、市井に降るのか、或いは第三の道を行くのか、なんにしても信を置ける者に力があって良いのは確実。
「…………ハルラさんも、強くなられますか?」
「えっ」
「ヴィクトル様を支えるならば、強さを持っていても良いかもしれません」
「……私に出来る事があるなら。頑張りたいです」
とても心地の良い眼差し。ハルラさんの瞳に宿る熱は想像以上。ヴィクトル様に匹敵するのは難しくとも、きっとある程度にはなるでしょう。
「では、服を着ましょう。体力はメイド業務でそこそこあるでしょうし、魔法に主軸を置くのも良いかもしれません」
「えっ、でもヴィル君起こさないと……」
「問題ありません。設定した時間に音を鳴らす道具が御座いますので、それを耳元に置いておきましょう。きっと飛び跳ねて起きる筈です」
「……耳大丈夫なのかな」
「さあ、行きましょうハルラさん」
「え、あえ!? もう服着てる!? 待って、待ってくださーい!」
鍛える事の楽しさ、教え子が成長していく感動、それらを最近実感したのでね、私もより丁寧にしっかりと教えましょう。
ハルラさんがついて来れる様に、厳しく、丁寧に。……ふふ。楽しくなってきましたね。