セクハラしてたらメイドハーレムが出来ていた 作:上り坂は下り坂
オフロサウルスを倒し、解体し、眠り、メイドとラブラブエッチをした俺は、まずは服を着る事にした……のだが。
「って、きゃああーー!! ヴィル君のシャツが血まみれえええ!」
「ぅわぁ……犬臭い。それに真っ黒。固まってる? 時間経ってる」
眠りにつく前、俺の魔力もすっからかんになっていたので、身を清め服を綺麗にクリーンする事も出来なかった。
せめて匂いはさせない様にと鞄に突っ込んだのだが、俺が着替えると言った事で変えの服を取り出そうとしたハルラが取り出したのが血塗れの俺の服だった。
「すまん、今綺麗にする」
「もしかして……そんなにやばい敵だった? ジニアさまレベル?」
「ふっ……そうだな。数時間も魔法を使い続けたのは久しぶりだった。解体にだけど」
「むっ……いじわるされた」
「どちらにせよ一旦家に帰って報告した方が良いんじゃ……?」
「帰るのも考えたんだが、この街とヘクトル領領都は往復で半日……悩みどころでな」
解体にエンハンスシャープを使いっぱなしにしたせいで魔力無くなっちゃったんだよね。まじ解体大変。サウルス規模の解体は一人でやる事じゃないと思った。ハルラの持っている俺の赤黒く染まった服の返り血だって解体中のものだし。
しばらく眠って魔力も戻ったので、服の繊維にまでクリーンを行き渡らせ、さっぱりおろしたてのシャツの様に綺麗にし、羽織って袖を通していると、手際良くボタンが閉じられて行く。
「ああ、助かる」
「いえ、大した事ではございません」
「でな、問題点はキングの素材なんだよ。肉も毛皮も鮮度が重要だ。出来るだけ早く父上にお見せして王家に献上するなり、ヘクトル領の優秀な騎士にでもくれてやりたい。それを思うと即日で帰りたくもあるんだが……期限がなあ」
「問題御座いません。不肖ジニア、運び屋の役目をお引き受け致しましょう」
「おお、たすか……は? …………はぁ?」
なんか気付いたら目の前にジニアが居た。俺のシャツのボタンを閉めた後、俺の襟を正し、袖のボタンまで閉めてくれた後、精液まみれの愚息を口に含んで精液を舌で舐め取り、丁寧に吸い出した後ごっくんしたジニアが居た。
あまりにも自然に溶け込んでいるものだから、十秒くらい違和感を持てなかった。
「うぅ……気付かなかった。ジニアさまこわい」
「しかも先にお掃除もされちゃった!」
「ごちそうさまです」
「…………おはよう?」
「おはようございます、ヴィクトル様。キングの素材は私が屋敷までお届け致します。この街の惨状と現在の状況もお伝えしましょう。貴方は貴方の為に、どうぞ動かれて下さい」
平然と口元をメイド服のエプロンで拭いて、腰に下げていたポーチを見せてくるジニア。
「それは内部空間が拡張されているのか?」
「私が持つポーチは時間の流れも遅くなっております。トリアーナ様が購入された鞄は時間にまで干渉していない様ですので、早速移していっても構いませんか?」
「……分かった、許す。ただ肉だけはこの街の者達に食わせたい。骨の取り外しも出来ていないから少し手伝ってくれ」
「畏まりました」
この後、俺たちは四人で肉の解体を行った。
骨を肉から取り外し、オフロの毛皮、牙、爪、骨、少しの肉をジニアのポーチに突っ込み、残りの肉をこちらの鞄に収めた。
解体作業は俺よりもハルラとウィノの方が上手く、そしてジニアはもっと上手かった。手際の違いに悔しさを覚えるも、経験が物を言うのだと言い聞かせ、上手い人の手元を真似する事で自らの効率化に勤むので精一杯だったな。
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「にしても、流石でございますヴィクトル様。これほど傷の少ないキング種の毛皮は非常に貴重な素材となるでしょう。これ一つでも十分な実績となり得ます」
「それはついでだ。俺の今の目的はヘクトル領内の魔物の間引き。存外我らが領内が不安定な事も知れた。一度町や村を見て回っておきたくもある。悪いが、まだ帰るつもりは無いぞ」
ジニアからのそこはかとない帰りますかと言う問いに、俺は断固として拒否を選ぶ。
気持ちとしては帰ってメイド達ときゃっきゃうふふしたいが、その環境が許されているのは領主として領を治めている父上の実績と信頼によるものだ。
であれば、俺は俺の功績や実績で、普段の酒池肉林を許される立場を築かねばならない。
「ふふ……畏まりました。では、最後に。お仕置きしてください」
俺の顔を撫で、首筋に触れた後、胸元を小さく摘んでこちらを見上げたジニアが目を閉じ唇を突き出す。
俺はジニアの口の端に垂れていた髪を頬に手を添える事で払い、少しの間キスを求めるジニアの顔を堪能する。
「……、これも、お仕置きの一環でしょうか?」
「そうだな。だからもう少し待ってくれ」
ハルラとウィノは後ろで驚きを隠せない様だが、二人きりの時はジニアもなんだかんだで甘えてくる。ギャップが大きいだけで、ちゃんと女の子なんだよな、ジニアは。
だから、こうしてキス顔を見られるのもちゃんと恥ずかしがる。頬に朱が差し、薄らと開いた目蓋から物欲しそうな視線が覗く。
辛抱たまらず唇を重ね、腰を抱き寄せる。
唇を深く絡ませ合うと、赤い瞳が幸せそうに細められる。それがもっと可愛くて舌を差し込むと向こうからも舌を出して、お互いの舌が触れ合い微笑み合う。
ジニアの舌を唇で掴んで吸ってやれば、今度は俺の舌が味わわれる。
唇を甘噛みしてみると、もっともっとと強く唇が押し当てられた。
俺が欲しがれば提供し、自分の欲しい物も求めてくるジニアとの行為はとても満たされるものだ。お互いが満足するまで辞めないから満たされるのだとは思うがな。
「んはぁ……永遠に、こうしていたくなってしまいます」
「永遠にこうして居られる様に、今から励むよ」
「……はい。お慕いしております、ヴィクトル様。……ハルラ、ウィノ、貴方達も無事で帰って来る事。よろしいですね?」
「はっはい!」
「んー……イチャイチャずるい」
「私が去った後に好きなだけすればよろしい。それでヴィクトル様のお時間を奪う様なことがあればどうなるかは考えて置いて欲しいですが」
「……うぐぅ。我慢します……」
「よろしい」
ハルラとウィノを手短かに躾けたジニアはメイド服の皺を伸ばし、最後に俺を抱き締めると首筋に痛いくらい吸い付いてから満足そうに離れて行く。
「それでは、ヴィクトル様によるキング種討伐の報せと、街への支援要請を持って、ジニアは領都へと戻ります。失礼致します」
女の顔からキリリと表情をメイドの物に変え美しく一礼を取った後、昨晩の俺の様に窓から出て行ってしまった。
サイキックも使わずにこの高さから一体どこに着地するのか気になるが、ジニアなら空気を蹴って空を飛んでも驚かない自信があるな。
「行っちゃったぁ……相変わらず凄いなぁ」
「ジニアさまは規格外。人間の身体ってあんなに動けるんだって驚いた」
「勘違いするなよ、ウィノ。ジニアの身体が動くだけだ。ほぼ全ての人間はあんな風には動けん。勿論俺もだ」
……首筋に残されたキスマーク。シャツを着た後に付けられてしまったので隠しようが無い。私を忘れるなと言う大胆な宣言だと思って大事に取っておくとするかな。
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ジニアが去った後、部屋に『クリーン』をかけた後に部屋を出た俺達は、宿を経営している夫妻にオフロのひと抱えもある肉を渡しておいた。
無償で泊めてくれたお礼だと言ったら、これではお礼合戦になってしまうと笑われながらも「また来て下さい」と送り出された。
その後も昨日街の広場で炊き出しに協力してくれた飲食店を伺ってひたすら肉を渡して周り、その全てを街の住人と分け合う様に過剰な信頼をぶつけて脅しておいた。
俺達が成した事をよく分からなかった人も居るだろうが、俺達は俺達の成すべきを成しただけ。ただ「でっけーウルフ狩ったよー」とは言っておいたがな。
なので、過剰な感謝を貰う事もなく、俺達は街を出て後は皆んなで頑張ってくれとだけ言って次の街へと向かった。
次の街へは馬車で一日程の距離。
こちらの魔物馬車の速度が大体時速十km程で、しかも十二時間走り続ける事が可能な魔物なのもあって、御者や荷物との兼ね合いもあるが一日に移動可能な距離はおよそ百五十km前後。
それを思えばこの国の面積の広さが恐ろしく広い事、そしてヘクトル伯爵領の大きさがよく分かる。いや逆に大き過ぎてよく分からないが。
ともあれ、その馬車一日分の距離を俺は一時間もあれば踏破出来ると言う事から、最低でも時速百キロをサイキックで出していると言うことになる。
一応馬車は道に沿っているのと、俺は空を行く為に直線距離という違いはあるので、百キロ未満と言ったところか。
何にせよしっかりとシートベルトを装着せねば怖過ぎる速度だ。
肉体強度や身体強化もあるのでそう簡単に大怪我を負う事は無いと思うが……まあ用心するに越した事は無いよな。
「ヴィル君って輸送業でひと財産稼げそうだよね」
「商人向き?」
「可能性は多いにある。海産物の輸送で市場を荒らせそうだ。……ふむ、悪くは無いな。最終手段にでも残しておくか」
話しながらゆったりし、暇になれば敢えて前方のサイキックを解除してジェットコースターの様にしながら楽しんで、俺達は移動し続けた。
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そうして移動して、移動した先の町や村で交流を図りながら周辺の魔物を討伐して行くのを繰り返す。
最初の街が異常だっただけで、それ以降の場所では弱々しい魔物が群発しているか、一体のそこそこ強い魔物が偶発的に発生している程度。
『阿修羅』を使わずとも倒せる魔物達で、俺の間引き行脚は順調に進んでいる。
間引きポイント四十の内、その行程の半分を終えた頃。
「ヴィル君のサイキックってほんとにどうなってるの? 二十箇所回って魔物をかなり間引いてきたけど、お屋敷出てからまだ十日だよ?」
「同感。ジンジャーとリンシャのとはパワーも違う」
「ああ、あの二人は同時に扱える個数を増やしていたからな。俺は六つ七つで頭が痛くなるからサイキックの筋トレにシフトしたんだよ」
「「魔法の筋トレ?」」
サイキックの同時操作個数の増やし方は、並列思考の数だ。と思われがちだが、そんな難しい物ではない。
偏に慣れだ。人が無意識下で数多ある筋肉を動かして歩いている様に、ひたすらサイキックを使い続けてそれに慣れて行けば良いだけなんだ。
だが戦闘を前提にすると途端に限界が狭まる。意識すべきものが多過ぎて頭痛がしてくるのと、単純に気が散って仕方が無い。
手数を増やして物量でジニアを倒しに掛かった時は避け続けられただけで俺の頭に限界が来たものだ。
そこで俺は個数を減らして少数のパワーとテクニックにサイキック技術を特化させる事にした。それによるサイキックの操作速度上昇や、投擲時のバカみたいな速度を出すに至っている。
訓練方法自体は超簡単脳筋方法。サイキックの腕で持てる限界重量を常に持ち上げてコツを掴んで行くだけ。魔法と言うの結局どれだけその魔法を使ってきたかが重要だ。
つまり、俺の一番得意な魔法は『クリーン』と言う事だな。
「という訳でな」
「サイキックって魔法にも干渉出来たよね?」
「一時的に防壁にも出来るな」
「……最低九方向からの攻撃じゃ無いと不意をつけない?」
「死角は死角だよ。俺の目は背中には無い。少しは気配を感じ取れるが、無防備な箇所が無い訳じゃ無いぞ?」
話している間も移動は止まらず、遠目に二十一箇所目のポイントが見えて来た。
「よし、それじゃあ、このままちゃっちゃと間引き終わらせて家でのんびりするぞー!」
「おー!」
「うぉー」
俺の間引き強行軍は、どうやら余裕を持って終えられそうだ。