セクハラしてたらメイドハーレムが出来ていた 作:上り坂は下り坂
盗賊の討伐と言う名の人殺しのショックを和らげる時間を全て女体に注いでしまった俺は、なんだかんだで立ち直っていた。
肉と骨を断つ感触はすっかり消え去り、尻と乳の柔らかさしか残っていない。
血に汚れた手には愛液と潮をこれでもかと浴びた。
悪人の死相など思い浮かびもしない。出て来るのはメイド達と姉上のアヘ顔だけだ。
過程は違えど結果が伴ってしまった稀有な例。俺は結果だけを受け止め、両親に感謝を伝えた後、皆を乗せて王都へと旅立つ。
追いついてきていた騎士達は仕事顔で俺達を送り出すと、その直ぐ後に雄叫びを上げて蜘蛛の子を散らす様に宿場町にある色街へと駆け出していた。
……色街か。行ってみたいな。
「ヴィル君?」
「今えっちなこと考えたー」
「ヴィル? 場所をわきまえなさい?」
「あのぅ……凄い、ですね……? 欲が……」
俺は一言たりとも声を発していない。にも関わらず、比較的関わりの浅いグリナにすらばれた。どないせーっちゅーねん。
兎角、馬車想定で三日後に着く筈の三つ先の街を目指してサイキックを進める。
この道中には何事も無く……いや、何事かはあったのだが、辻斬りならぬ辻救助で通行人に襲いかかっている魔物を上から仕留めてそのまま通り過ぎたのみ。
俺が活躍する度にメイド達がヨイショしてくれるのはとても心地が良かったとだけ言っておこう。
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そうして時刻は昼過ぎ。
中天からは少しばかり太陽が降りてきた頃。俺達の視界に目的の街が映った。
この分だともう一つ先の街へとお邪魔出来そうだが、この街は宿場町では無く代官が治める都市だ。
王城へと向かう道すがら必ず通るこの街に領主が顔を見せない訳には行かないと言うもの。
俺は父上からの指示を受けて、敢えて外壁の直ぐ手前まで『サイキック』を進め、門兵に姿と能力を晒す様にして降り立つ。
門兵達はしっかりと仕事を熟して槍の穂先を此方へと向けていたが、その先に領主の顔とその紋章を背負ったマントを靡かせる俺達を見て即座に礼を取る。
よく出来た者達だ。
「ヴァン・ヘクトル様とお見受け致します!! 今し方の無礼はお許し頂きたく存じます!! それと……その、馬車の方は……?」
即座に出て来た門番長らしき男は、膝を突き傅きながら問うて来る。当然の疑問だよな……。
「真っ当な対応だな。不問に処す。馬車は遅れてやって来るだろう、三日ほど後にな? 今し方の力は私の末の息子の御技よ」
父上の言葉に合わせて軽く会釈をする。
「おおっ! ヴィクトル様、ですね。領内を飛び回っては様々な場所にて魔物を退治なされたとのお噂はかねがね」
「うむ。さて、すまんが代官の所まで新たに馬車を頼みたい」
「……かっ畏まりました!! 直ちに!!」
その後、父上との少しの会話の後、手隙の部下へと指示を出す。門番長は門兵の詰所……その応接間へと俺達を通して接待をしてくれた。
動きに迷いが無く、決断力と行動力に優れた御仁だな。長の立場へと上り詰めた事にも得心が行くというものだ。
応接間にて紅茶を出され、門番長から求められた武勇伝……と言うのも烏滸がましい間引きの旅を少し語っていると、程なくして馬車の到着を告げる知らせが届いた。
名残惜しそうに俺達を案内した門番長は、この後も馬車の先導を買って出るなど献身的な対応を見せ、気持ち良く俺達領主一行を案内してくれた。
なんとも気分の良い男だと思った。
そうして代官の屋敷へと足を運べば、家礼が花道を作り、その先にて穏やかそうに見える代官が苦笑いで出迎える。
おそらく父上は俺達が旅立つ前から早馬を出していたのだな。その日の晩餐会はしっかりと用意された豪勢なものだった。
しかし対外的な場にて俺の息は詰まりっぱなし。
用意された客間ではハルラ達と少しだけ息を抜けたが、ナニを抜く訳にはいかない。
密室で身内以外誰も居なければ抱いてもらえると思ってるのか知らないが、擦り寄って来るハルラとウィノへとお預けを喰らわせ、その日は穏やかに…………少しだけ悶々としながら眠った。
…………夜。
戦闘メイドとして鍛えられた隠密能力と獣人の身体能力を活かして俺の客間へと忍び込んできたラヴィ。
仮にもジニアに鍛えられた俺が気付かぬ筈も無く、マウントを取って来た青兎の兎耳を引っ掴む。
「やぁんっ!」
「……何をやってる、ラヴィ」
「夜這いです! 運命の人!」
「……その、なに? 運命の人ってのはなんなんだ?」
「フェロモンがバッチリ合う相手の事です。ヴィクトル様の雄の臭い……お腹にバッチリ響きました!」
……エルフのティアが魔力が合うと言っていたアレの獣人バージョンだな。
ラヴィの青い瞳は月明かりを受けて爛々と輝いており、少しの鼻息の荒さと鼻を突く女の臭いがしている。
俺の腰の上で僅かに腰がグラインドを始めているのも含めて発情一歩手前と言ったところか。
ともあれ、今この場で致す訳には行かない。
「ラヴィ? 俺は今日はしない。他所の屋敷で喘ぎ声を響かせるのは失礼なんてもんじゃ無い。自重しろ」
「では添い寝を!」
「……まあ、それくらいなら……良いのか??」
溌剌とした語気、しかし無声音で話すためにラヴィのボリュームに問題は無く。
寝る気なんて微塵もなさそうなままに俺にピッタリと寄り添う様に布団に包まったラヴィ。
俺の左手を取ると指の一本ずつを愛で始め、足はすでに絡みつくようにして素足を擦りつけて来る。そのまま俺の横顔をうっとりと眺めるラヴィの少し荒い息が首筋に当たって、眠気が吹き飛ばされそうになる。
「ヴィクトル様……こんな近くに……うふふ。はぁ……かっこいい……」
……流石に無視出来ず、左に寝返りを打って顔を突き合わせる。
「逆に生殺しになる気がするんだが……ん」
ずっと睦言を一方的に囁かれては眠れるものも眠れまいて。
ラヴィの背に腕を回して胸の内へと抱き寄せる。
ラヴィの大きな胸が俺の胸板でひしゃげるが、気にせず抱き締め彼女の耳に俺の鼓動の音を届ける。
「心音にはリラックス効果があるらしい。その自慢の兎耳で俺の鼓動を聞いて落ち着け。ばかラヴィ。……帰ったらご褒美をやるから。我慢しろ」
「…………あっ、ぁっ……はぃ……」
急に大人しくなったラヴィだが、いつ動き出すか分からん。決して抜け出せない様にと俺から足を絡め、彼女の背と後頭部に腕を回して抱き寄せ続ける。
「……っ、ぁ……ぁぅ……」
二日は風呂に入っていないのに、ラヴィから嫌な臭いはしなかった。むしろ彼女の体臭だろうか、甘い香りに目が眩みかけた。
「ゔぃくとる……さま……?」
打って変わって恐る恐ると言った風に声を掛けてきたラヴィに、目を合わせ続きを促す。
「……こっ……これ、ご褒美……ですか?」
違うと首を振れば、ラヴィは俺の服を掴むと自ら抱き付くと共に少し赤らめた顔を此方に向けてはにかんで見せた。
「こんなの、ご褒美でしか無いですよぅ。えへへっ」
……勢いで押せ押せだった癖に、急に可愛いのはずるいだろう。こいつめ。
頭に回していた腕を緩めて手のひらでラヴィのさらりとした髪を撫でる。
「お前が勝手にそう思う分には……自由だ」
「運命……です。これはきっと……ちゃんと運命。ヴィクトル様、ありがとうございます……」
そう言い残してラヴィは穏やかな呼吸の後に寝息を立て始めた。
発情期はどこへ行ったのやら、しかも俺より先に寝だすその豪胆さはむしろ褒めるべきだろうか。
随分と穏やかな寝顔と、目尻に浮かんだ涙。大きな兎耳が動く度に顔を叩いて来るが、ご愛嬌か。
……戦闘メイド、ラヴィ。
戦闘メイドにおける序列で言うなら、ジニア、ティルに続いて三位。
ジニアとは同年代で現在二十歳。
種族は兎獣人……その中でも珍しいとされる
生来から雷魔法に高い親和性と適性を見せる種族なのだが、雷魔法は攻撃魔法でも強化魔法でも極めて強力。
それ故に奴隷化しようとする者や、危険視して排除の対象にされた過去すらある種族。
更にはそう言った経緯含めて貴重であるとして、やはり奴隷としての価値が高いなどと言った話も聞く。
そのせいで雷兎の一族は非常に警戒心が強く、住処を転々とすることすらあるとか。また、様々な要因で種族の母数が少ないので、子作りを重要視しているとも。
そんな中、外へと興味を示したラヴィは一族の元を去り、どんな経緯があったかは知らないが、十年ほど前にジニアと共に我が家のメイドとなったらしい。
こいつの言う“運命の人”は、おそらくフェロモン的な相性を指すのだろうが……さっきの言葉はそういうニュアンスとは違った気がする。
異性としてこれ以上ないくらい理想的な……と言う意味だったら良いなぁ。男として自信付くのになぁ。
まあ、理由はどうでも良い。ラヴィが俺を好いてくれたならば、俺はそれに応えて見せようじゃないか。
だってこんなにも可愛いメイドが俺の事を運命の人と言うんだぞ?
俺はラヴィの大きなおっぱいの感触を楽しみながら、彼女の匂いと温もりに包まれて、やはり悶々としながら夜を過ごした。
===
翌朝、唇に何かが触れた気がして目を開けるが、目の前には誰も居らず、ラヴィの姿もまた無かった。
ハルラとウィノが来る前に一人で着替えて、瞑想。
人の気配や魔力を辿ってこの屋敷内を探る。
両親が案内された部屋の使用人用の部屋に二つの気配。ティルとラヴィの存在を感じた。
「ジニアと山で隠れん坊した甲斐があったな」
しかし、にしても、おいおい……俺もまだまだだな。
俺が探った事に気付いた二人が、階下の俺へと向けて手を振っている。
試しに天井へと向けて投げキッスをしてみると、兎耳がティルへと抱き付いて飛び跳ねた。
「本格的な訓練を始めてから俺はまだたったの二年。年季が違うわな」
今はラヴィの所在が分かって良かったとしておこう。
ほっと一息ついていると、ドアがノックされる。気配からハルラとウィノ。許可を出して招き入れ、手招きしてさらに近寄らせる。
二人が近寄って来る間、俺は頭の上に両手を立てて兎耳を模して動かす。ラヴィが俺を今尚認識して喜んで真似をしているのを確認したら、ハルラとウィノとキスをする。それもディープなやつね。
嫌がる事無く受け入れて、逆に求めてくれる二人を抱き締め撫でる程度に可愛がれば……真上でティルが顔を手で覆い隠し、ラヴィがズンズンと部屋を飛び出したのが分かった。
急に消えて俺に心配を掛けさせた罰だ。ばかラヴィ。
当然の如くやってきたラヴィには何のこっちゃと揶揄ってはぐらかし、むくれる兎のほっぺを突いて遊んでやった。
その後、贅沢な朝食を頂いた後、俺達は一路王都へと再度旅立つのだった。
戦闘メイドは訓練に身をやつすので男っ気ゼロ。
二十歳で生娘は正直異世界的には遅れてる。でも良いんだ。ヴィクトル君が貰ってくれるから!