セクハラしてたらメイドハーレムが出来ていた 作:上り坂は下り坂
翌日。
家族に、間者を抱えたよ。これから色々調べるよ。でも心配は御無用。と言い放ち、ハルラとウィノにはグリナと共に姉上に付く様に言っておく。
しかし俺の専属二人は見るからに不機嫌と言いますか、寂しそうで、悲しそうで、捨てられた子犬の様な顔をしていた。
自覚はあっても抑えきれない想いと言うのがあるのだろう。ごめんなさいと言いつつも、その瞳は俺を求めているのが手に取るように分かる。
そんな二人を連れ出して俺の部屋へと招き入れる。
俺を待ち構えていた側付き三人を少し外に出し、二人の唇をたっぷり味わう事にする。
「あの、ヴィル君……さっきの三人が……あむっ!?
んっ……んんっ♡ だめ、だよ……聞こえちゃう」
「じゃあキスやめるか?」
「……やだぁ」
桃色の髪を優しく手櫛で梳かし、ハルラの華奢だが女性らしく柔らかい身体を抱き寄せる。
「もっと舌出せ、ハルラ」
「はいっ、んぇ〜〜。はぶっ、んちゅっ……ちゅるぅ、れぇろれぇろ♡」
良い感じに解れてハルラの舌の動きがいやらしくなり始めた所で、一旦口を離す。
その際の物欲しそうなエロ可愛い顔に微笑むと、恥ずかしそうに頬を染めながらも、やはり瞳で「もっとほしい」と催促してくる。
「ハルラ、悪いが当分抱けそうに無い。こうしてキスくらいならしてやれるが、それ以上は俺に余裕が無さそうなんだ。悪いな」
正直、俺だってやりたい。いつもみたいに喉奥でしゃぶって欲しい。いつもみたいに子宮で俺を受け入れて欲しい。でも今だけはダメだ。間者と成人パーティと陛下との謁見とで余裕が無い。
さしものハルラもこれには色を引っ込める……かと思いきや。
「じゃあ、今だけ……今の内に、もっとしよ?」
首に回された手。窄められた血色良くぷるりとした唇。ハルラの大きめな乳房が俺の体で潰れ、俺の足にハルラの片足が絡み付いてくる。
側でぶーぶー言っているウィノが可哀想になるくらいの濃厚濃密なキス。
触れ合う舌はやがて重なり、とめどなく溢れる唾液を交換して飲み合う。
ただそれだけの行為で、俺達は愛し合えた気がした。
「良い加減交代。時間は有限だよ。ヴィクトルさま、ウィノともしないと駄目。ほらぁ、ちゅぅ〜……」
ハルラを押しのけて俺の腕の中へと入り込んできたウィノ。
彼女の顎を持ち上げて、唇をゆっくりと重ねる。
「っ♡ ……んみゃぁ。胸きゅんきゅん。だいすきっ!」
「俺もウィノがだいすきだ」
「ぁうぅ……幸せ、溢れちゃう。……栓、してぇ」
口を開けて舌を出し、もっともっとと言う誘いに躊躇う事なく乗る。
覆い被さるようにウィノを抱き締め、隙間など微塵も無いくらいに唇を密着させる。
舌を絡め、食み、甘噛む。激しいキスの後は、徐々に控えめなバードキスへと移行し、キスの余韻をウィノに与えていく。
「んみゅっ……ぇあぅ、れろぉ……はむっ、ちゅっ、ちうぅぅ……ちゅっちゅ、ちゅっ♡ 幸せ、すご。腕上げた?」
「俺達が今までより求めあった結果だ。愛してることの証明と思って良い」
「愛してる……良い言葉。ウィノもヴィクトルさまのこと、あいしてるっ!」
心底幸せそうな顔。同時にすっかり女の顔する様になっちゃってさあ……。ああもう、俺の方が愛してるわ、こんちくしょう。絶対幸せにしてやるからな、くそう。
それでも俺は貴族。その末席に座るもの。この溢れんばかりの愛情も、胸を裂くような切なさも、今だけは全て押し込めて——。
「ハルラ! ウィノ!」
「っ、はい。お呼びでしょうか」
「っ、如何致しましたか? ヴィクトルさま」
俺の切り替えた声から全てを察してメイドに戻る二人。
「改めて、暫く姉上を頼む。グリナから色々と学んでみるのも一興だ。二人の成長を楽しみにしているぞ」
「「畏まりました」」
ハルラに持たせていた拡張鞄に詰めていた俺の私物を少しだけ取り出し、今の部屋に収納していく。
あと一番大事な小遣い袋。今日はこれから入り用になるので、懐に入れておこう。
最後に二人と軽くハグをした後、新たな側付き間者メイド三人と顔合わせ。
ハルラ達の視線に険は無い。逆にユーラ達の方が気まずさから視線を逸らす始末。俺にバレた上で生かされている現状に一気に気が抜けたか。
ともあれ、普段の俺の世話などの仕方を軽く情報共有した後、ハルラとウィノは俺に向けて信頼の眼差しを向けてから去っていった。
「あれが俺の専属メイドだ。逞しいだろう?」
三人へと掛けた言葉に、ぎこちなく返ってくる頷き。
一晩経ってもまだ困惑したままのユーラとレインはまだ良いとして、シャオの生気の無い顔はまずいな。
ヴィクトル君、ちょっと一肌脱ぎますか!
===
さてさて、改めて俺の予定の再確認。
成人のパーティが五日後にあって、その二日前に陛下との謁見と俺達の功績についての話し合い。それ以外は予定無し。
両親は顔見せに色々と回るようだが、そっちに関わる事も無いので大丈夫。
姉上も暇な時間はこちらの書庫で本を読み漁るみたいなので大丈夫。
つまり、俺は今日と明日、明後日は完全に暇。
なので、ただいまより三人のメンタルケアと、施されている契約魔法『コントラクト』の調査を開始したいと思いまーす。
一先ず間者メイド達に俺の前に来るよう命令しましてっと。
「よしお前達、一旦服を脱げ!」
ユーラとレインからの好感度が下がった音がした。シャオは躊躇う事なく動いているが、思考を放棄していると言った方が正しそうだ。
一先ず言い訳しておこう。
「やらしいことはしないぞ? しても良いけど。取り敢えず脱いでくれ、必要なんだ。肌着や下着までは脱がなくて良い」
俺の意図は見えずとも、今更逆らう意味合いも気概も無い。だから三人は言う事を聞いてくれる。
キャミソールを残して全員が肌の露出面積を増やした。
実に素敵な光景だが、状況や関係性からして唆らない。悲しい。
「ん、結構。じゃあそのまま体内の魔力で全身を満たせ」
「……? あの、ヴィクトル様、これは一体?」
「ユーラ、気になるなら隣のシャオを見ろ。その首筋をな」
「っ! こんな紋様……さっきまでは無かった筈!」
シャオの今の状態は、今だけは都合が良い。
俺の命令通り体内の魔力を操り全身に行き渡らせたのだろう。それによって首に浮かび上がった鎖が絡みついたような紋章。魔法刻印。これこそが——
「——これが契約魔法の証だ。シャオ、魔力を元に戻せ」
「紋様が消えました……。これは……」
レインが驚くのも無理は無い。
本来契約魔法は契約している事を示す為に、目に見える形で身に刻まれるもの。それこそが約定を保証し、信頼を形にしたものだからだ。
しかし、今回メイドとして潜入するにあたり、こう言った特殊な契約魔法が施されたようだ。
「まあそう難しい事では無い。本来の契約魔法は互いの魔力によって刻印し、契約を違えた者に刻印した魔力で指定した魔法を発動させ罰を与えるもの。今シャオに施されているのは、シャオ自身の魔力で刻印されたもの。自信の魔力で施したが故に馴染んで見えなくなっているだけなんだ」
完全独立型の契約魔法。
それを違えた瞬間、自らの魔力を吸い上げて発動し、首を絞めるか頭を飛ばすか。文字通り使い捨ての駒だ。
だが、だからこそ抜け道もある。
「まともな契約魔法なら契約を結んだ相手に魔法の発動を伝える所なんだがな。独立しているお陰で何をしても向こうにはバレない。実に好都合だ」
契約魔法の刻印とは、端的に言えば魔道具の原理と一緒だ。
魔力がこう通れば魔法が発動しますよと言う回路を構築するもの。
しかし魔力で満たされて勝手に発動しないように、弁を作ってある。
その弁を切り替えるのは言ってはいけない事を言ったと言う思考。
自罰的な思考や、罪悪感などの、“魔法が発動してしまう”と言う思考こそがその弁を切り替えて魔法を発動させる。よく出来た魔法だよ。
「ようし。んじゃあ、この刻印そのものを消し去るか」
「「へっ?」」
「そんなこと、出来るの? 私なんかのためにそこまでするの……? ヴィクトル様、どうして?」
「おいおい、シャオさんや。お前さん、昨日自分で言ったろ? 一晩空けて忘れたか?」
「メイド……」
「そっ。俺はメイドが好きだから。お前の紅茶を気兼ねなく飲みたいから。ついでにお前達を助けて絶対の忠誠を獲得してあれやこれやする! ……ただそれだけだ」
シャオは静かに目を閉じた。そして首の紋様が見えるように魔力を巡らせ、触り易いようにか顎を上げる。
その様はまるでキスを強請るよう。だが今は我慢。
思考を切り替えて、この刻印だ。
これは魔力で作られている。魔力を意図的に固めたものと言う認識で良いかな。要は凝りだ。解してやればそれで良い。
だがそれが難しい。何せ内側から解さなくちゃならない。
他者の魔力と言うのは異物だ。異物を受け入れるには、それ相応の覚悟などが必要。
そう言うのを宗教観や共通認識で取っ払って、受け入れるものと言う固定観念を構築されている回復魔法が今回は最適かな。
「シャオ……俺の全てを受け入れろ」
「……はい」
シャオの首に手を添えて、俺の体内で練り上げた魔力をシャオに当てていく。
回復魔法とは、魔力を生命力へと変換する魔法。もちろん変換効率は悪い。
だからか最近の回復魔法使いは、自然治癒能力の活性化やブーストを回復魔法と勘違いしている奴が多い。
そんなんだから半端な回復しか出来ない。変換効率は悪くとも、それを突き詰めていけば欠損だって治せると言うのに。
閑話休題。ともかく、癒す魔法でシャオに俺を受け入れる下地を敷いて、そこに魔法では無く俺の魔力を注いでいく。
魔力の凝りは、魔力で解す。
『サイキック』の応用で魔力を操り、凝りをゆっくり丁寧に何度も何度も揉み込んでいく。
「んあぁっ……はぁっ、これぇ、気持ちっ……良いですっ」
「良いぞ、もっと身を委ねろ。シャオは俺の物だ。繰り返せ」
「シャオ、はぁ……ヴィクトル様の……ものぉ♡ あっふあぁっ……ヴィクトル様のモノぉ♡」
シャオの肌が上気して、汗ばんできた。
魔力の凝りと一緒に筋肉まで解れたか?
ともあれ良い調子だ。もっと解れろ。もっともっとだ。
「シャオ……物……ヴィクトル様ぁ……♡」
「そうだ、俺にお前の全てを寄越せ」
「はぃ……はいっ……! 貰ってぇ! 貰って下さい! こんな、なんの役にも立たない……無能なシャオをっ、ひぐっ、うぅっ……貰ってくださいっ」
言葉通り俺に身を預けたシャオを受け止めながらも、作業を続行。
よし! 解れた! 目に魔力を集めて強化。魔力を可視化。
魔法の回路は何処にも無い。首筋以外にも無さそうだな。
「ふぃ〜。終わった終わったぁ。シャオ、首元に魔力を流してみろ」
「……ひぅっ、へぐっ……はい」
目ん玉強化して見るが、特に変化無し。綺麗な魔力の流れだ。
肉眼でも浮き出る回路無し。鎖のような紋様も消えている。流石俺、バッチリだ。
「ところでシャオ」
「はぃ?」
「お前が無能な訳あるか!!」
「っ!?」
俺の強い言葉にシャオの肩が跳ね上がる。
「お前が無能ならなあ!! お前に十点って言われた俺は一体なんだ!?」
「あぁえっとえっとあの言葉の綾でええ!!」
絶対綾じゃないだろ!? 全てにおいて本音と本心だったろうが! ラヴィの電撃無かったもん! 俺知ってるもん!!
「卑下するな!! 誇れ!! 俺を超える技術を持ってるんだから!!」
「はいッ!!」
「よろしい」
シャオの瞳に光が戻っている。
やらかした過去は消えないが、それ以上の働きで返してくれればそれで良い。シャオを縛る鎖は解けた。後は自由に羽ばたいて欲しいものだ。
「じゃあ、次はユーラ。その次はレインな?」
二人は微妙に頬を染めると、片腕を摩りながらも俺の前に跪き、自らに施された魔法を浮き彫りにして見せた。
「シャオを見ていたろ? あれを参考に俺を受け入れろ」
「はっ、はい……ユーラは、ヴィクトル様の……物です」
「どうぞ……お好きなように……」
「……なんかちょっと違うが……。今だけで良い、俺に全てを差し出し、俺の全てを受け入れるつもりになれ。悪い様にはしない」
「「はいっ……」」
この後、二人の艶かしい声が部屋に響いた。
なんなんだろうな、こいつらチンポに悪いわ。
魔力が見えるなら服を脱がせた意味はなんなのか気になったかい?
暗器に注意したのと、服越しだと精度が悪いんだよ。他意は無いんだよ。