セクハラしてたらメイドハーレムが出来ていた 作:上り坂は下り坂
新たな屋敷の建設はすぐに始まった。
建築テーマはメイドにとって働き甲斐のある屋敷というもの。
貴族が住む本館とメイドが住む別館、戦闘メイド育成を掲げたので鍛錬場や身を清める為の場所を多く設置。
そう言った要望を出した数日後には、山の北側に我が家御用達の職人達が集まって作業を開始していた。
木材や石材、そのほか食事などの用意は我が家が受け持ったのだが、メイド達に拡張鞄を持たせて届けさせる事で、工期は大幅に短縮される見込みとなった。
それでも数ヶ月単位で時間は掛かる。
俺はその間、何をしていようか。悩みながら屋敷をぶらついていると、耳のすぐ側で声と息を感じた。
「訓練致しましょう、ヴィクトル様」
「うおぉう……! ジニアか。いつにも増して気配が薄いな」
真横に居たのはジニアだった。
澄まし顔だがなんだか少し不機嫌そう。何かを言いたいが、言い難い。そんな感じが漂っている。俺、ジニアの事をなかなか理解してきたな。
「そうだな。訓練するか。ジニア、付き合ってくれるか?」
「仰せのままに」
少し機嫌が和らいだか。澄まし顔が二割り増しで澄ましている。
そんな少し分かりやすい彼女の頬に手を添える。ジニアは俺の手を受け入れ、それどころか甘える様に頬を擦り付けてきた。
ああ……これは。
「お前は本当に可愛いな」
「っ! ……何が、でしょうか」
何処か恐る恐ると言った様子で伺ってくるジニア。そんなところもまた良いな。
「全部だよ。全部可愛らしい」
寂しかった。構って欲しい。これはそう言うアピールなのではないかと思う。
ほんの少し上がった口角を俺は見逃さない。物足りないと細められた瞳にも気付いているぞ。
「お仕置きしても、よろしいですか……?」
「ちゃんと待てが出来たご褒美をあげても良いか?」
塗り替えるような俺の言葉に、ジニアの瞳が輝いた。頬が僅かに紅潮し、重心が前に傾く。
こんなに分かりやすいジニアは初めてかもしれないな。
彼女の頬に添えた手を肩に動かし、こちらに引き寄せる。大人しく近寄ってくるジニアを抱き締めると、気付けばジニアの背丈を越していた事に気付いた。
「ヴィクトル様……お帰りなさいませ。貴方の御帰りを心待ちにしておりました……!」
色々な策謀が渦巻く王都、殺されかけたと言う事実。ジニアからすれば気が気でなかったのかもしれない。
俺の腕の中で小さく震える彼女の顔を上向けさせると、赤い瞳には涙が滲んでいた。その事実が嬉しくて、そんなジニアが可愛くて、俺は衝動的にキスをする。
「んっ……!? ちゅぅ……んはぁ」
「これ、お仕置きな」
「……なに対しての、でしょうか」
「可愛過ぎるジニアへのお仕置き」
「では、格好良すぎるヴィクトル様へのお仕置きもお許しください……♡」
仕置きのためのキスは徐々に長く深くなっていく。
触れ合えなかった時間を埋めるように、求め合うようなキス。
「ちゅ、ちゅぅ、ちゅっ……♡ はむ、ちぅぅぅっぱ♡ んふふ♡ もっと、もっとお仕置き……しましょう?」
「訓練は良いのか?」
「むっ……そうでした。あっ、んんっ♡ れぇろれろぉ♡ 訓練、も、致しませんと……ちゅっ♡」
互いに興奮している。今すぐにでも抱きたいと思っていた。それでも肉欲を抑えて俺達は屋敷の裏手にある訓練場へと歩き出した。
欲求への耐性、これもまた訓練だな。
場所を移して訓練場。
ジニアとかなりの距離を取って向かい合い、互いに木剣を持つ。
彼女の手には二本の短剣。
俺の『腕』には六本の長剣。さらに手に一本の長剣。
「負けたら命令権一回ですよ」
「ああ! 限度はあるがな」
「結構です。……では、本気で参ります」
騎士や見習い戦闘メイドが見守る中、俺達の訓練が始まった。
大きな土煙と共にジニアの姿が掻き消える。
十数メートルはあった距離が一歩で消し飛び、ジニアは俺の懐に入り込んでいた。
対して俺は軽く後ろに飛び退いた。さらに腕を二本、対処に動かす。
ジニアに向けてブレの無い大上段の振り下ろしが左右から迫る。タイミングはバッチリ。だがこれが当たらないのがジニアだ。
ジニアは急停止すると左脚を思い切り後に下げて地べたに這う様に姿勢を低くする。
剣とは引き切るもの。故に、振り下ろした剣は真下には届かない。
二つの鋒がジニアのメイド服にギリギリ触れずに通り過ぎた直後、クラウチングスタートの様に飛び出してきたジニアと切り結ぶ。
「腕は落ちていないようですねッ」
「ジニアこそ! 無駄の無い動きが相変わらず美しいな!」
「っ……褒めないで下さい。疼きます」
お腹の奥がね。知ってる。後で目一杯そっちも相手するから許してくれよな。
腕を一本呼び寄せて二本の短剣による高速連撃を捌き切る。
短剣を振り切った瞬間を狙って前蹴りを放つと、それを読んでいたジニアの横蹴りと衝突——いや、足裏を合わせて俺の力も利用し、ジニアが大きく後ろに飛び退いた。
「見切られたと言うよりも、今のは連続する動きの一環だったな」
「得物を振り切った後は隙が多いです。ですが、攻撃の選択肢を狭める事は愚策です。隙を埋める手立てを立てていれば、何も問題は有りません」
「言うは易しと言う奴だ」
俺が蹴りを放っていなければ俺がジニアの蹴りに対処を迫られていた。そうして後手に回り続ければいずれ反応に限界が来る。ジニアに自由な攻撃を許してはならない。
今度は俺から突撃する。六本の剣を先行して向かわせ、包囲網を築きながらの連続攻撃。
しかし幾ら腕があろうとも、剣を同時に振る事は出来ない。仮に同時に振るとしても、同じ軌道で位置をずらすなど、どうしても単調になる。
それ故に剣は一本ずつ前後左右の順で振り下ろし、振り上げ、突くしかなかった。それでも、コンマ一秒の差で振り下ろせば剣が干渉し合う事は無い。
予測可能、回避不可能。本来はこの一瞬の猛攻を繰り返すだけで敵を倒せる筈なのだが……。ジニアは避けてしまうんだ、これを。
一本の長剣を短剣の柄尻で叩いて軌道をずらして他の剣を妨害。妨害された事で生まれた空隙に身を滑り込ませ、包囲を抜けながらサイキックの腕を切り付け俺の魔力を消耗させてくる。
舐めプしてくる時のジニアは敢えて包囲の中で攻撃を躱し続けていた事を思えば、今回は相当気合が入っている。
だが忘れてもらっちゃ困るぞ、俺と言う本体を!
「そいっ『穴ぼこ』」
追撃を仕掛けた俺の腕から逃れ続ける為に跳躍したジニア。その着地地点に、小さな穴を作り出すだけの土の魔法を使用。
これで着地を狩って、生まれた隙でゲームセット! 俺がジニアへの命令権を貰い受けるぜ!
ジニアが穴に脚を突っ込む———その瞬間だった。
「ふふっ……『サイキック』」
「は!?」
ジニアの足元に半透明の足場が生まれ、穴に落ちる前に着地。そして再度大きく跳躍して罠すら回避して見せたのだ。
「おまっ……やってくれるッ……!」
「これは尊敬と敬愛です。同時に恋慕でもあります。貴方と同じ魔法を使いたいと言う、仄かな想い。お許し下さい」
「怒ってない!! 嬉しい!! もっと想え! 高め合おう! 俺もジニアが大好きだ!!」
「ふふ。貴方と言う人は、本当に。……お慕い申し上げます、ヴィクトル様」
俺達の戦闘訓練と言う名の模擬戦は結局、千日手となって勝負がつかなかった。互いに汗だくになり、肩で息をしながら見つめ合って、同時に剣を下ろした事で決着。
命令権は霧散し、俺達は何故か贈られた拍手を背に受けながらその場を後にした。
向かった場所は屋外の風呂場。俺の有り余る魔力で掃除して湯を入れ、俺達は並んで疲れを癒した。
当然、命令とは別にご奉仕もされる。ジニアを味わい、ジニアに味わわれ、何度もジニアと共に果てた。
彼女のなめらかな肌は撫でるだけでも心地よく、豊満な胸は掴んだ手から溢れそう。そうして俺が彼女を愛でる間、彼女は俺を愛でてくれる。
キメこやかな指が撫で回し、彼女の口に飲み込まれ、俺が出したものをジニアは当然の様に飲み干していく。
愛されている事を実感するとともに、もっと愛したいと言う欲求が湧き出でる。
屋外訓練の後はジニアを部屋に連れ込んでの訓練。世継ぎを作る訓練をジニアとしこたまヤった。
避妊魔法はもう暫く使用するように言い含め、契約が切れない程度の回復魔法を内側から掛けてやる。すると復活したジニアに襲われると言う無限ループ。
淫靡に笑うジニアもまた、綺麗だ。声に出して褒めたらまた襲われた。それでも俺はジニアを褒める事をやめる事はないだろう。
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翌日。あのドスケベ戦闘メイドは、味を占めたのかまた訓練をしようと誘ってきた。
あからさまだったのでジニアの大きな乳房を正面から揉みながらどっちの訓練かと問えば、あっさりと戦闘訓練だと言ってのけた。
「お? 子作りじゃなくてか?」
「勿論其方も喜んでお付き合いっ、んっぅ……致しますが。ち、乳首はお控えくださいっ、我慢が……」
「駄目だ。続けろ」
「んくぅ……。き、昨日の模擬戦を見て、ラヴィ、ティルの二名がヴィクトル様の相手をしたいと言っております、んぅっ」
乳首を引っ張られながら話すジニアによると、どうやら自分達に匹敵する新たな相手に好奇心が湧いたようだ。俺もまた二人の実力を感じてみたく思い、応じることにした。
乳首を虐められて息を荒くし始めたジニアに連れられ歩く。向かった先は物置き部屋。
振り向いたジニアがメイド服をたくし上げて誘ってきたので一発お付き合いさせていただいた。
前戯無しで即挿入しても全く問題が無い事に感動してどぴゅどぴゅしてしまった。
しばらく睦あった俺達はようやく訓練場に向かうと、騎士達を相手に無双するメイドが二人。
片や青い稲妻が騎士を攻める。炎カラダ灼き尽くすゲッチューって感じ。
片や縦の糸は騎士、横の糸も騎士。織りなす糸がいつか誰かの首を絞めそうな感じ。
結構な距離から俺に気付いた二人がムッとした顔で横のジニアを見つめていた。正確には今し方地面に垂れた白い液体を見ていた。
「失礼致しました。膣圧を緩めてしまいました」
「お外で膣とか言うのやめてね?」
「おま」
「やめてね!?」
相変わらず自由奔放だな。
「にしても、だいぶ待たせてしまいましたね。騎士がおもちゃ……失礼、相手をしてくれていた様ですが、あの二人の相手は荷が重かったようです」
「取り敢えず回復させておくか。破壊された筋繊維は勿体無いが、経験を得たと言う事にしてもらおう」
魔力……回復魔法へ変換。
範囲指定……確定。癒しを示す淡い緑の光が訓練場を下から照らす。
回復対象……指定。緑の光が倒れ伏す二十人の騎士の身体を包み込む。
魔法実行……。
「『治癒の清光』……発動」
倒れ伏した騎士達が手を握ったり見つめながら身体を起こしていく。
魔法の行使者である俺の気付いて頭を下げてくるが、安易な回復魔法は筋肉の超回復を阻害してしまう。
気にするなと手を振りながら、もっかい走ってこいと背中を叩いておいた。
「お見事です。よもやこれ程の高位の回復魔法を使用出来るとは」
「別に大した事じゃ無い。サイキックの腕を七つ八つ動かし続ける方が面倒だ。一人一人に決まった形の回復魔法をかけるだけなら倍の数はやれる。……魔力が持てば、だが」
この世界、魔法はオートもあるが基本的にマニュアルの方が強い。
オートは詠唱と共に魔法を術式化する事で規格を統一している為、軍隊の様な組織だった魔法使いには有用だ。
だが個人での使用の場合、圧倒的にフルマニュアルが強い。魔法の匙加減、威力の調整、飛距離、弾道、継続か中止かの即時判断。これを出来る奴と出来ない奴では雲泥の差が出てしまうからだ。
我が家では戦闘に意欲的では無い使用人には術式化された魔法の講義を行うが、戦闘メイドなどに志願した場合は半強制的にフルマニュアル魔法を叩き込まれる。
ラヴィは生来からの適正で雷と身体強化を中心とした魔法を。
ティルは身体強化と
この魔糸が厄介で、原理はサイキックと良く似ている。要は魔力に物理的影響力を持たせる類の物だ。魔力の糸は非常に応用が利き、実体の武器を必要としない為に裏稼業界隈では人気が高い魔法なのだ。
しかし、糸使いに一度は憧れる立派なオタクである俺だが、適性が無かった。端的に言ってめっちゃむずい。実用的にするには人生をこれ一本で生きていく覚悟が必要そうだったから辞めた。
さて、フィジカルお化けとテクニックの極み。
そんな能力を持った二人がお待ちかねと言った様子で俺を待っている。
「待たせたな、二人とも」
もちろん、立ち向かうまでの事よ。
「長くなった首をゴシゴシ洗ってましたよ、ヴィクトル様♡」
青い髪と兎耳を揺らすラヴィ。細められた瞳には戦意と性欲が滲んでいた。どっちかにしてくれ。
「そりゃ大変だったな。ちょっと気持ち悪いが」
「えぇぇ!? 比喩じゃないですかぁぁ!! そんな事ウソでも言わないでくださぁいぃ〜!」
抱きついて来るラヴィを受け止める。くんかくんかして来るのを一旦無視して次はティルへと目を向ける。
彼女は青い瞳を鋭くして不敵に笑っていた。
「随分と楽しんでからいらしたようで、何よりで御座います」
「あ、すみません……普通にごめん……」
怒ってたみたいだ。ジニアも怒ってください。
「ヴィクトル様と皆の貴重なお時間を奪った自覚はありますか、ジニア? それがメイドのあるべき姿なのですか?」
「ふむ。返す言葉もありませんね」
「悪びれなさいエロメイド」
「恐縮です」
すげぇ。無敵だ。
澄まし顔を一切崩さないエロメイドに大きな溜め息を吐いたティル。諦めた様子で俺に向き直ると、改めて戦う者の顔付きになった。
「失礼ながらヴィクトル様。先日、引き抜きたいメイドに
「ああ、相違ない」
「我らはヘクトル家が誇る戦闘メイドです。それを引き抜くと言う事の意味をお分かりですか?」
「俺は実家の力を削りたい訳ではない。お前達の技術を次のメイド達に叩き込んで欲しいからだ。そして同時に……いつかメイドを辞める時に安心して退職出来る環境を作ってやりたいと思っている」
そうだ。俺は父上との話し合いで、容赦無く戦闘メイドの頂点である三人の名前を列挙した。
父上はその三人に関しては個人で判断させると仰った。なるほど、今この場はその為の機会と言う訳だ。
「私達は、ヘクトル家に拾われた身。大恩が有ります。仇で返すなど以ての外。貴方の理想は理想に過ぎません。それを体現するに足る器があるのか、先ずは、ヴィクトル様自身を見定めさせて頂きます」
美しい所作で一礼をするティルはとても美しかった。
敬意と感謝と、何より信念が見えた。これは一つの試練だな。
「ああ。示して見せよう。俺の覚悟と信念を。そして、ヘクトル家への親愛を……!」
サイキックの腕を顕現。だらしない顔で引っ付いたままのラヴィを引っぺがし、俺はティルと向かい合った。
誤字脱字修正や評価など、いつもありがとうございます。
モチベーションがグッと上向きます。