セクハラしてたらメイドハーレムが出来ていた 作:上り坂は下り坂
ジニアに連れられて向かった先では、騎士を千切っては投げ捨てるラヴィとティルが俺を待っていた。
二人の目的は俺の力試し。仕える相手に相応しいのか否かを見たいらしい。先ずはティルとの戦いだ。
「戦闘に際して条件は?」
「御座いません。幾らでも武器を用いて下さい。魔法も、卑怯な手でも、なんでも構いません」
「了解した。では無手で行かせてもらう」
俺とティルが構えて向かい合うと、自然と人が離れていく。
戦意と言う形で漏れる微弱な魔力に圧迫感を感じるのかもしれない。陛下が使用していた魔力による威圧に似た影響だな。
「では、よろしくお願いします」
「ああ、よろしくお願いする」
互いに声を発した直後、ティルの魔力が目にも止まらぬ速度で動き、身体能力を強化。踏み込んだ地面がひび割れるほどの力でこちらに飛び込んでくる。
圧倒的魔力操作速度、魔法発動速度。ティルの強さの根源は魔力操作の練度にある。魔糸なんてイロモノ技術を極めたメイドだ、この程度で驚きはしない。
俺は俺で眼球と脳を集中的に強化。動体視力と情報処理能力を身体能力強化で底上げしている。お陰でばっちりとティルの姿を目で追えている。
跳ね飛んで来たティルに向けてサイキックの壁を三重に築く。
するとティルの右の小指がピンと立った。その直ぐ後、ティルの身体が不自然に空中で横にスライドし、そのまま回り込むようにして突っ込んで来た。
合わせて壁を築けば、再度スライド。それを繰り返して周囲を壁で覆う。ティルは隙を伺うように周囲を高速で駆け回るが、何がしたいのか。
「チェックです」
言うや否や、小柄な身体で高く飛び上がり、何かを引っぱるように腕をグッと持ち上げた。
———瞬間。周囲に展開していた壁型サイキックの全てが途轍もない力で全方位から押し込まれ始める。
「ああ、そう言うことか。糸は厄介だな」
魔糸もサイキックも、通常は見えない。どちらも魔法と言う現象の成り損ない。魔法未満かつ魔力寄りの魔法だからだ。だが魔力を目に通す事で視認する事が適うようになる。
しかし、人の目は小さく細過ぎる物もまた見えない。
現在俺は目に魔力を通している。魔力を視認出来る状態にあって尚、ティルの攻撃法が見えないのは、ティルの出している糸が細過ぎる為だろう。
おそらく、現在俺の展開するサイキックは糸巻きが如く糸でぐるぐる巻きにされ、それを縛り上げるようにしてティルが糸を引いている。
実に面白い。どうあがいても見えない糸による不可視の攻撃。しかも見えないくらい細い糸でこの強度。魔力操作練度は俺を遥かに超えているだろう。
だが……足りない。
「チェックと言ったのは正しいぞティル。これではまだまだ詰みには程遠い」
手を手刀の形に切り替える。その手にサイキックを纏わせる。形状は……刃。
「『エンハンスシャープ』『風刃纏』」
切れ味を上げる強化魔法、風の刃を纏わせる魔法を手に付与。
サイキックの壁を一面だけ消し、見えない糸に向けて手刀を振り下ろす。
———バツン。
重たく硬い音を立てながら手刀を振り抜く。
張った糸を切られたティルが反動で大きく仰け反りながら後退した。
「ッ! 驚愕です。まさか見えない筈の糸を断ち切られるとは」
「あると分かっていればこの程度はな。さあ、続きと行こう」
*****
ヴィクトル様……分かってはいましたが想定以上です。私の糸を魔法と素手で断ち切るとは。
ジニアが気に入り、ラヴィが発情する訳ですね。生まれ持った魔力量とセンス、それを使い熟す為の努力を惜しまないその姿勢こそが脅威。
再度の突撃。今度は糸を警戒させた上で体術による絶え間の無い攻撃。
右拳、左貫手、右の回し蹴り、その勢いのままに身体を捻って回転しながら左手刀。
「ふむ、ほお。うん。なるほどな」
……全てを目で追われている。最低限の回避に澱みは無く、寧ろ余裕がある。
ならば、腕側面から糸を放出。御身に糸を巻き付けながら打撃の連続ッ。
「お。不味いな」
ヴィクトル様が大きく後ろへ飛び退く。まるで私のやろうとしている事が分かっているかのよう。
「何故、見抜けるのでしょう。見えない筈なのですが」
「糸自体はな? だが、起こりがある。糸を形成する為の魔力の起こりを見て、ティルの考えを察したまでの事。普段からメイドのことだけはよく見ているからな! ははは!」
ただのメイド好きに収まらず、戦闘知能も高い。判断も早く、無理をしない冷静さもある。……想像以上ですわ。
「回避ばかりで、メイドを傷付けるのは怖いのですか?」
「ん? それは勿論当然の如く肯定だ。俺の力はお前達を癒し喜ばせ、助ける為のものではあれど、傷付けるものではない。……だが、必要とあらば振るう。……これは、俺がお前に納得させるための戦いだ。行くぞ」
私に匹敵し得る速度の魔力操作による身体強化。筋力量の違いか出力は向こうが上でしょうか。凄まじい才能と成長速度ですね。
ジニア仕込みの体術はなんでも有りの厄介なもの。砂を巻き上げ死角を突くなど当然。しかしヴィクトル様の場合はそこにさらに六本から八本の腕が追随してくる。
ヴィクトル様の体術自体はこちらも対応可能。受け流し、弾き、低身長を活かして低い姿勢で躱す。
私のさらに下から来る膝蹴りには、ヴィクトル様の太ももを糸で抑えつける事で対処。逆にその糸を攻撃の起点として利用し、ヴィクトル様を吊り上げようとすると。
当然サイキックの腕が奇襲に来ますよね。
魔糸で編んだ壁を左右、背後に展開。柔軟性によって打撃で破るのはほぼ不可能。このまま片足を吊り上げてチェックメイトです。
「魔法は何処にでも作り出せるものだ」
ヴィクトル様の言葉が耳に届いた瞬間でした。
私の首が腕下からに掴まれ、背後から腰を押さえ付けられ、左右から腕が拘束されてしまいました。
「勝利を目前にして人は油断する。……壁で通れないなら壁の内側に腕を作り直せば良い。そして何故足元からサイキックが発動出来ないと思った?」
「……う、く……抜かり、ました」
「俺のサイキックが腕の形を取る為に、解除からの再生成や、足からの発動など思い浮かばなかったか。甘いなティル」
サイキックの腕に組み伏せられる。
しゃがみ込んだヴィクトル様に顎を掴まれグイと持ち上げられ、鋭く細められた赤い瞳が逆光の中で輝いて見えました。
……お腹が、ぎゅっと疼く。
「お前の敗因は俺を格下だと侮り続けた事だ」
「そのようです。失礼致しました、ヴィクトル様」
「ああ。認め直してくれたようで何よりだよ」
ふっと押さえ付けていた腕が消え、身体が自由を取り戻す。砂埃で汚れた服を叩きながら立ち上がり、改めて敗北を認め、侮った事を謝罪する。
ヴィクトル様は特別気にした風も無く、当然のように受け入れて下さいました。流石の度量ですね。……少し、見直しました。自分より強い人と言うのも案外格好良いかもしれません。
「だが、敗北者には命令権一回な?」
そう言ったヴィクトル様の目付きは清々しい程にえっちなものでした。
あからさまに私の身体を舐め回すように見つめて……きっと子を孕むまで犯されてしまうのでしょうね……。あの逞しい身体で私を押さえ付け、剛直で股を貫き、泣いても叫んでも許してくれずに種付けされて…………んっ、くぅ……。貧相な身体ですのに、こんな矮躯に発情なさって、優秀な子種を何度も……何度も……ん、ふっぅぅ……。
「はぁ、はぁっ……畏まりました……。仰せのままに」
「おう。じゃあ、俺のメイドになれ。ティル」
…………はぁ。
「はぁ……」
「ほい、次はラヴィ。滅多打ちにしてやろう」
「あの、ヴィクトル様? なんかティルが不満そうですよ〜?」
「ん? やっぱり俺のメイドは不満か? 納得出来るまで何度でも付き合うぞ?」
「突き合う……!? ……いえ、その……なんでも御座いません。また後程、お伺いしたい事があるだけですので」
私、もしかして欲求不満なのでしょうか。王都に向かう道中、口淫させて頂いてからと言うもの、落ち着かない。
彼のお方はジニアやラヴィのような豊満な身体付きの方が好きなのでしょうが……。
ヴィクトル様に目を向けると、彼はいつもの様ににっこりと微笑むのみ。先の戦闘中の鋭い目付きとは全く違う優しい笑顔。……疼かない。なんなのでしょう……これは本当になんなのでしょうか?
私は私がわからなくなってしまいました。
*****
ほーん。そゆことね。うちのメイドはどいつもこいつも本当に可愛いな。
股間に集まっていく熱を意識して散らし、ラヴィとの戦いに向けて集中力を高めていく。