※この作品はR-18です。

歪みからの脱出   作:青嘴

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全裸になった僕は、皇女殿下が服を脱ぎ捨てるのを眺めた。彼女が僕の体を押したので、僕は寝台に座った。立っている彼女を見上げる形になる。皇女殿下はそれから僕の顎の下に指を添えて、持ち上げた。上を向かされ、まじまじと顔を覗き込まれる。

 

「体までこうも綺麗で整っているんだな」

 

そうかなぁ。どうだろう。そこそこの筋肉で、そこそこ細くて、そこそこ身長があって、全部いってしまえば、そこそこなのが僕だと思う。果たしてそれは綺麗なのだろうか。

 

「貴方は愛のないキスは出来るか? 私は貴方を魅力的だと思うから、キスに抵抗はない。ただし貴方が嫌ならば、それはしない。体だけで満足しよう」

「その前に抱きしめさせてもらえる?」

 

僕が言うと、皇女殿下が息を飲んだ。驚いた様子の彼女の手首を、優しく握ってみる。すると驚くほど硬直された。それでも前に一歩出た彼女を、僕は静かに抱きしめた。女の人は、抱きしめると落ち着くらしい。肌と肌が触れ、違う体温を感じた。彼女の肌は、きめ細かく色白で、すごく触り心地が良い。比べて申し訳ないが、僕が知っている女性の誰よりも素敵だと言えた。さすがは皇女殿下だ。すべすべである。形の良い乳房が僕に触れている。しばらくすると、彼女が体の力を抜いた。おそらく僕の体温に少し慣れたのだ。それを確認してから、僕は彼女の頬に触れた。じっと見る。そして唇を近づけると、彼女が目を伏せた。僕も目を伏せて、口づけをした。柔らかな感触に初めは触れるだけ、その後、一度離してから、舌を入れた。深くキスをしたのだ。彼女は、大変キスが上手い。キスの経験が豊富なのだろう。唇を離すと、彼女が大きく吐息した。

 

「手慣れているな」

 

それは皇女殿下の方だと言おうとしてやめた。僕にはこれでも一応デリカシーがあるのだ。それにお嫁さんとはいえ、僕は彼女の恋愛や性生活全般に口を出すことは出来ない。そんな権利はないのだ。今後も彼女は、様々な人とキスをするのだろう。

 

そのまま、彼女は僕を押し倒して、上にのってきた。その状態で、もう一度キスをされた。今度はしたというより、あちらに貪られたのだ。馬乗りになられた僕は、彼女の細い腰に手を添えた。

 

「ジェーン、降りて横になって」

「女が上は嫌か?」

「そういうわけじゃないけど」

 

素直に降りた彼女を一瞥しながら、僕はぱちんと指を鳴らした。魔術空間にある小箱から、香油の瓶だけを取り出した。本当ならば、他の瓶も使用するべきなのだろうけど。

 

「準備が良いな。私も準備しておいたんだけど」

 

皇女殿下がベッドサイドをみる。確かにそこにも香油の瓶があった。僕は小さく頷きつつも、持参した方の香油を指にまぶした。両手だ。片手で彼女の右胸の突起に触れる。ピクンと彼女の体がはねた。さらにもう一方の手を彼女の蕾にのばす。少し性急かもしれないが、僕はいつもこんな感じなのだ。それぞれの指を動かしながら、左の乳頭を唇に含む。強く吸うと、彼女が震えた。小さく声を上げた。思ったよりも敏感だ。そうして愛撫をしばらく続けてから、彼女の体が愛液で濡れてきたのを確認した。今度はそちらに指で触れ、入り口から蕾までをゆっくりとなぞった。きつく閉ざされている。もう一度ローションを指にだらだら垂らしてから、僕はゆっくりと人差し指を中にいれた。彼女の唇が震える。声を堪えたのが分かった。幸い痛みはなさそうだ。だから気にせず、第一関節まで入れる。そして少し動きを止めてから、小刻みに揺らした。彼女の視線が左右に揺れている。恥ずかしいのかも知れない。それから第二関節までいれ、反応を見ながら指の根本まで入れた。指の周囲に恥肉がまとわりついてくる。すごく狭い。指の形がはっきりと分かる気がする。指がなじんでから、僕はゆっくりと指をひいた。途中まで抜き、再びゆっくりと中へ進める。次第に動作を速くしていくと、蜜が溢れてきて、スムーズに動くようになった。左右に指を動かす。少し中が広がった。自由を得た指を、内部で右に動かす。そして彼女の感じる場所を探り当てることに成功した。皇女殿下が咄嗟的に高い声を上げたのだ。彼女は片手で唇を慌てたように押さえる。別に声を出しても良いのに。そう言おうかと思ったが、そこをつんつんと刺激して、さらに声が出るようにし向ける事にした。彼女の唇から、小さな嬌声が漏れる。もう一方の手で、前の蕾を同時に優しく刺激すると、びくんと皇女殿下が体を震わせた。息が上がってきた。しばらくそれを続けてから、指を一度引き抜き、二本にした。二本はやはりきつかった。しかし少し強引に進める。いっきにいれて、振動させた。彼女がさらに声を上げそうになって、必死に堪えているのが分かる。分かっていたが、僕は容赦なく彼女の感じる場所を、今度は二本の指で刺激した。ついに彼女の口から、大きな声が漏れた。何度も刺激し、強めについたり、振動させたりしていると、彼女が背を撓らせ始めた。そろそろ絶頂に近いのだろう。そう判断し、再び蕾に手を向ける。今度は蕾の外殻を押し開き、敏感な場所を直接刺激した。彼女が悲鳴じみた声を上げる。そして外側と内側から少し強く早い刺激を与えた。彼女の体が一際大きくはね、艶めかしい声が少しの間響いた。達したようで、彼女がぐったりと寝台に頭を預ける。肩で息をしていた。指を引き抜き、僕は寝台から降りた。そしてハンカチを取り出し、指をぬぐう。

 

「大丈夫?」

「あ、ああ……」

「僕はシャワーを浴びてくるよ」

「……いれないのか?」

 

少し狼狽えたように聞かれた。僕が視線を向けると、彼女が小声で続けた。不安そうな表情だ。

 

「私じゃ……その……たたないか?」

 

そんな事はない。僕は反応している。シャワーに行く理由は、主にそれの処理だ。どちらかといえば、現在僕は、性欲を堪えている。

 

「はじめては痛いらしいから、ゆっくりの方がいいよ」

「えっ」

「忙しいだろうけど、また明日とか明後日とか。僕はここにいるわけだし。あんまり間は空けない方が良いと思うけど」

「どうして……私が初めてだと思うんだ? そんな判断をされたのは初めてだ」

 

はっきりいって、魔力を見れば分かるからだ。少なくとも僕の祖父も父も兄も分かっているだろう。サザーカインツ家は、繰り返すが、分かってしまうのだ。もっとも、彼女の体の反応を見れば、はじめてか、もしくは経験が少なくすごく久しぶりなのだろうと分かる。キスだけなら、手慣れた女性に見えないこともないが。魔力が見えるというのは、あんまり女性にとっては嬉しい事じゃないらしいから、僕は黙秘した。思わず微苦笑してしまった。すると彼女が恥ずかしそうに俯いた。

 

「私はどこか変か……?」

「別に変じゃないよ。可愛いと思う」

 

これは本音だ。僕はこういう反応をされたことがないので、胸に響く。今度は彼女が、あからさまに照れた。

 

「破瓜の痛みは覚悟していたし……こういう感じ、そ、その、気持ちいいとは思っていなかったから……だから、その……男とは、もっと強引で、無理矢理進めるのかと……」

「あんまり痛そうなのは好きじゃないんだ。その方が良かった?」

「いや……その、また明日来る」

 

頷いて、僕は彼女に服を渡した。確かに子供を作るために一回関係を持つことを考えれば、今日無理に体を繋げて終わりにしても良かったのだけど。やはり辛そうなのは嫌だ。僕は痛いのや辛いのは好きじゃない。自分の身に降りかかろうとしたら、絶対回避する。そして人の痛みも想像した方が良いんじゃないかと思うのだ。

 

それから皇女殿下は帰っていった。僕はシャワーを浴びて、体の熱をおさめた。

 

翌日も彼女はやってきた。僕はやはり指を用いた。その翌日は、唇と舌をつかって、彼女の蕾と入り口を刺激した。段々彼女の瞳が情欲に染まるようになった。短い声も高い声も耳にしっかりと届いてくる。白い肌が上気し、睫と唇が震えるのを見ていると、僕の体は熱を持った。三日間お預けなのだ。自分で預けているんだけど。四日目には指がすんなり入るようになり、大きく動かせば、淫靡な水音が響くようになった。その日は、一度ではなく二度、絶頂を促した。もうそろそろ良いのではないかと思う。僕は五日目に、彼女にはちょっと申し訳ないが、全ての小瓶の薬を入れたお茶を出した。勿論子作りを除いても、僕は肉欲を覚えていたが、せっかくなので無駄打ちする気もない。男の子と女の子のどちらが良いかだけ、少し悩んだ。正直僕はどちらでも良い。結局僕は、それだけは天にまかせる事にして、魔法陣は脳裏に描かなかった。ゆっくりと挿入すると、彼女が声を上げながら、逃げるように腰を引いた。僕はその腰に触れ、亀頭まで押し入れた。まだきつい。はやまっただろうか。完全に動かせるようになってから、薬を使うべきだっただろうか。一瞬そう考えたが、やはり今回使ったのは正しい気がしてきた。指は兎も角、僕の陰茎が気に入らなかった場合、彼女はもう来ないかも知れないのだから。体ばかりは治せない。僕は完全に勃起する前に体を進めた。中に入れてから大きさを極めた方が、彼女の体に負担がないからだ。若干痛そうだが、それは我慢して貰うしかない。処女膜を破った時、彼女が涙をこぼした。罪悪感があるが、絡みついてくる彼女の中は気持ちが良い。根本まで入りきったところで、僕は動きを止めた。僕の体が、彼女の中でなじむのを待つ。彼女が呼吸法を忘れてしまったかのように肩を震わせたので、僕は唇を撫でた。すると小さく口を開けた彼女が、大きく吐息した。次第に彼女の体が落ち着いてきたのを眺め、僕はゆっくりと腰を揺すった。彼女が声を上げる。そのまま、小刻みに腰を動かした。本当は激しく抽送してしまいたくなったが、必死に耐える。理性を総動員した。そして段々彼女の体が快感で高ぶり始めたのを見た。はじめての挿入で、中で感じてもらえるのは結構貴重なのではないかと僕は思う。最初はあんまり気持ち良くないと聞いたことがあるからだ。僕はその後、慎重に腰を引き、再びゆっくりと彼女の中に陰茎を進めた。それを数度繰り返してから、彼女の内部の敏感な場所を狙った。彼女が目を見開いて声を上げた。そこをゆっくり突き上げると、ついに彼女ががくがくと震え始めた。そろそろ達するはずだ。今前の蕾に触れれば、確実にいくだろう。しかしそうなれば、鋭敏になりすぎて、これ以上僕が動くと辛くなるはずだ。そして前を刺激しなければ、まだ彼女は絶頂を迎えられない体であると思う。僕は自分自身の欲望を放ってから、彼女の蕾を刺激するべきだ。同時くらいが望ましい。思考はそんな風に冷静だったが、体は既に熱かった。僕は今までで一番強く腰を動かし、ぐっと彼女の中を味わった。彼女をゆっくりと高みに導き、吐精してから蕾を撫でた。彼女が嬌声をあげて震えた。しぼりとられるかのように、内部で僕は快楽を覚えた。うん、気持ちが良かった。彼女の体が余韻を味わっているのが分かったので、僕もまた体を暫くそのままにしておく。そして彼女の呼吸が落ち着いてから、体を引いた。皇女殿下の隣に、僕は横になった。女性は行為後もそばにいた方が喜ぶような気がする。最初は惚けたような顔をしていた彼女が、その内に僕をしっかりと視界に捉え、ゆっくりと瞬きをした。僕は彼女を一瞥し、微笑して見せた。彼女の頬が赤くなる。僕は皇女殿下の髪を優しく撫でた。目を伏せて、彼女は大人しくしている。僕は結構満足していて、体が少し気怠い。もう一回やれと言われたら出来なくはないが、今日はこれで終わりで良い。彼女も二度目をして欲しい雰囲気ではない。うーん、総合的に見て、彼女にとって今回の性交渉はどうだったのだろう。気持ち良かったか、満足したか、痛くなかったか、などなど聞きたいが、やめておく。いやだったのなら、もう来ないだろう。仮に来るとしても、最低限の頻度になるはずだ。それに、薬を盛ったから、悪いがもう彼女が子供をじきに得るのは確実なのだ。あの薬は、帝国の魔術や医術では対処のしようがないから、もう後は彼女が妊娠に気づくまでの間、これを繰り返すだけなのだ。別にもう薬は使わなくても良い。性交渉も必要ない。だが一度きりで子供が出来たら不自然だろうから、しばらくは体を重ねつづけられれば僕にとっては幸いだ。ならびに、彼女は僕の子供が出来るまで、僕に外に出ないようにと言っていたが、妊娠が発覚するまでの期間に、彼女が絶対他の相手の所に行かないとは言い切れない。今はもう確実に僕の子供が生まれるとはいえ、もしも彼女が父親を他の相手だと言い張れば、例え魔力が僕そっくりであっても、その子の父親は僕ではなくなる。できれば、妊娠が分かるまでの間は、ここに来てもらいたい。結構大変だ。そんなことを考えながらも僕は彼女の髪を撫で、それから頬に手で触れた。彼女が目を開いていたから、やっぱり僕は微笑して見せて、そうして唇に触れるだけのキスをした。僕は優しい人間ではないが、優しいそぶりが出来ない訳じゃない。こういうのがうっとうしい人もいるだろうし、僕が逆の立場だったら行為後は放っておいて欲しいが、どうやら皇女殿下は、穏やかな時を過ごす事がお気に召したようだ。

 

「私は……ネルの事が好きだ」

 

ポツリと彼女がいった。リップサービスとして、僕も好きだと言うべきなのだろう。しかし僕は、彼女のことが好きでも嫌いでもない。正直まだ分からない。ここ数日一緒にいたわけだが、すぐに寝台に移動していたので、特に会話らしい会話もしていないのだ。行為中は僕も彼女も会話という意味では静かだし。彼女はすごく照れていたから、いちいち反応を聞いてさらに緊張させたくなかったのだ。しかし好きじゃない相手と結婚して仕方なく性交渉したのだなんて、結婚相手本人に言うのは傷つけるし、それって僕が最低だと言うことだ。だが、今嘘を放っても、後日冷静になった彼女は、僕の言葉が嘘だと考えるような気がする。そうなれば、彼女は、今後僕の言葉を信用しなくなるだろう。今、その場逃れをして一時的にしのぐのは、後々自分が困る結果に繋がる気がした。だから僕は、笑うことにした。僕は困ると笑うのかも知れない。なるべく優しい笑顔を心がける。最近の僕は、これまでの人生を振り返ると、頑張って笑っている方だ。普段の僕は、あんまり笑わないのだから。

 

「ありがとう」

 

僕はそう告げて、彼女の額に唇を落とした。好きだとも愛しているとも返さなかったのだ。それでも彼女は嬉しそうに頬を染めて、小さく頷いていた。まぁ良いだろう。そして彼女は帰っていった。

 

 

 

 

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