家に帰ったらトップアイドルになったはずの幼馴染がいた。同棲することになった。 作:松木ユキ
「背中、洗ってあげようかなって!」
「えっ……?」
予想だにしていない言葉。驚いて手を放してしまうと、透は再び自らのTシャツに手をかける。
「ほらっ、涼もさっさと脱いでよーっ!」
「ちょちょちょ、お前本当に……!」
「んー? 何を焦ってんのー?」
「へっ?」
思わず目を覆って(かつ指の隙間から覗き見て)しまいそうだったのだけど、透が着ていたのは下着でなく……水着? ってか、スク水?
「えへへ、久しぶりに着たのー!」
「これ……中学の頃の」
「うん! 意外とまだ着られるんだよねー!」
透は素早くジーンズも脱いでしまうと、どや顔で胸を張った。均整のとれた体に、水着越しに見てとれる平均よりは少し大きい胸、ムダ毛が完璧に処理された綺麗な素肌。
あのトップアイドルが……目の前で、俺のためだけに水着姿でいる。なんという贅沢……こんなことが許されていいのか、なんて思ってしまう。
「もー、涼クンは何を期待したのかなっ?」
「いや、その……」
「もしかしてこの霧崎透サマのヌードを見たかったのかなっ?」
「ち、ちげえよっ!」
「えー、本当に?」
「……違わない、かも」
「えへへっ、そうだよねっ!」
透はご機嫌な笑顔を浮かべて、ルンルンと体を揺らしていた。主導権を握られっぱなしで情けないというか、むしろこれでこそ透というか。……こんな可愛い幼馴染を前にすると、どんなことでも許せてしまう。
「まっ、ヌード写真集はまだ出してないからねっ!」
「だ、出す予定があるのかよ」
「別に、ないけどっ」
「ないのかよ」
「涼にだけなら……発売してもいいかなっ」
「へっ?」
「一冊いくらがいい?」
「カード使える?」
「
握った両手を掲げて俺の顔を見上げる透。お互い二十歳になったというのに、こんなくだらない言い合いが出来ることが嬉しい。中学の頃、憧れの先に行ってしまった透が――ほんの少しだけ、自分の近くに戻ってきてくれた気がする。……でも、よく考えたらなんで透は水着を着ていたんだろう?
「透」
「ん、なあに?」
「そもそもなんで水着なんか着てたの?」
「えっ! そっ、それは~……」
何気なく問うたつもりだったのに、透はまたも動揺し始めた。別に変なことを聞いたつもりはないんだけどな。……まさか?
「お前、最初から俺と風呂に――」
「あーっ、やっぱり汗臭いなあ! ほらっ、さっさとシャワー浴びないと!」
「えっ、ちょっと」
「ほらほらっ! 早く服脱いでっ!」
「ちょっ、自分で脱げるっての!」
「あーん、届かないー!」
透がシャツの裾を無理やり掴んで脱がそうとしてきたので、なんとかかわした。自分で裾を掴み直して、一気に脱いでいく。いくら背の高い透でも、流石に届かな――
「でも下ががら空きっ!」
「うおっ!?」
「あっ」
しまった、ズボンがあった! なんて思う間もなく、透は一気にズボンを下ろしてしまう。……ズボンだけならよかったのだけど、勢いでパンツまで脱げてしまった。俺のちんこが露出して、透の前に突き出されてしまう。
「……」
「……」
……えーっと。俺たちは互いに呆気に取られて何も言えずにいた。いや、脱がしてきた透が黙っているのはおかしいだろ。なんか言えよ。
「ひ……」
「ひ?」
「久しぶりに見たな~、涼のおちんちん」
「おい」
「大きくなりまちたね~!」
「やかましいわ」
なんて戯言を言って誤魔化してはいるものの……透の顔は真っ赤に染まっていた。でも顔を逸らすことはなく、むしろ凝視するように竿を見つめている。少し荒くなった鼻息がかかって……なんだか反応してしまいそうになるのを、なんとか堪えた。
「……おい」
「ひゃいっ!?」
「アイドルがちんこ見てそんな表情していいのかよ」
「……あっ、そうだよねっ! きゃーっ、涼くんのえっちー!」
「俺のせいかよ!?」
「いいじゃん、どうせシャワー浴びるんだからっ! ほら、さっさとお風呂行くよっ!」
「ちょっ、押すなっての!」
ここ、俺の家なんだけどなあ……。なんて不満を漏らす間もなく、透に背中を押されるままに風呂場へと向かう。正直、こんな美少女の前で全裸になったら普通は落ち着いてなんかいられないんだけど。不思議と冷静なのは、やっぱり幼馴染だからなんだろうか。
脱衣所に入ると、透は興味深そうにあたりを見回していた。別に変なことはないと思うんだけど。
「ここの部屋、お風呂とトイレが別なのがいいよねーっ!」
「そうなの?」
「だってさ、東京で住んでたところがユニットバスだったんだもん!」
「ふーん、そうだったのか。お金稼いでるんだから、引っ越せばいいのに」
「……まあ、いろいろあるんだよっ」
アイドルにも苦労があるのかな、なんて思いつつ。透が風呂場のドアを開けて中に入っていったので、俺もそれについていく。
「いいなー、綺麗なお風呂!」
「ちょうど俺が入居する前の年にリフォームしたんだって」
「えへへ、早くシャワー浴びよっ?」
透はシャワーヘッドを手に取り、風呂場の椅子に座るよう俺を促した。スク水の美少女が風呂で洗ってくれようとしている……って、なーんかいけない店に来た気分だな。
「あっ、ちょっと~?」
「なに?」
「いま変なこと考えたでしょー!?」
「な、なんで分かるんだよ!?」
「もー、それくらい分かるもん! 涼のえっち! 変態!」
「さっき俺のちんこ見てた奴が言うなよ!?」
「それはいいのー! 十年前からの昔馴染みさんに挨拶しただけだもんっ!」
透はぷんと怒ってそっぽを向いてしまった。やっぱり可愛い。実際、十数年前は一緒に風呂に入ることも当たり前だった。よく互いの家に泊まっていたわけだしな。……まさかこの歳になって背中を流してもらうことになるとは思わなかったけど。
「さっ、気を取り直して! お背中流しますね~っ!」
「……わざとやってる?」
「ん、何がっ?」
「いや、別に……」
促されるまま椅子に座ると、透が蛇口をひねってシャワーから水を出し始めた。流石にまだ温まってな――
「えいっ、隙ありっ!」
「わっ!?」
「えへへーっ、びっくりした?」
冷たっ!? 完全に不意打ちされた! 透がまだ(夏とはいえ)ひえっひえの水を俺の背中にぶっかけてきたのだ。
「お前なあ、子どもかよ!」
「いいのーっ! 涼と私の仲でしょーっ!?」
「そっ……そうだよな」
「どうかした?」
「いや、なんでも」
俺は、つい「涼と私の仲」という言葉にドキリとしてしまった。透は俺のことを特別だと思ってくれている。てっきりもう遠くに行ってしまって、二度と自分と同じところに帰ってこないと思っていた透が――そう思っているのだ。少しずつ、少しずつ透との距離がまた近づいている気がした。
「じゃっ、今度こそお背中流しますね~っ」
「ちゃんとお湯で頼むぞ」
「分かってるってばっ」
透は俺の背中側に立ち、改めてお湯で背中を洗い始めた。少しずつ汗が洗い流されていき、思わずほうとため息をつく。
「涼、気持ちいい?」
「う、うん」
「えへへ、ちゃんと洗ってあげるからねっ」
や、柔らかっ! どうやら透が空いた手で俺の背中をそっと撫でて洗ってくれているらしい。昔から変わらぬ、すべすべとした素肌。柔らかい肉感の手に、身も心もほだされていくような気がした。
「……んん?」
「どうしたの、透?」
「いや、ちょっと気になることがあって」
「なに?」
「なんか……意外と日焼けしてないなって」
「日焼け?」
どうしてそんなことを気にするんだろう。別に、今の俺が外出することと言えば日々の通学とか買い物とかそれくらいのものだ。大して肌を焼くような機会もないんだけどな。
「だって……涼、昔はもっと野球で日焼けしてたでしょ?」
「!」
……そうか。透が知るはずないか。たしかに中高と野球を続けていたし、大学に入った当初も野球部に所属していたけど。
「ま、まあ。お前と同じだよ、いろいろあるんだ」
「ふーん、そうなんだ……」
透はシャワーの水を止めながら、淡々と答えた。幸いあまり興味を持たなかったようだ。そっちの方が助かる。いろいろと聞かれても困るからな。
「せっかくだから、ちゃんとボディソープで洗ってあげるねっ」
「うん、よろしく」
「いくよー……」
「うひゃっ!?」
何気なく了承したつもりが、いきなり背中にぬるっとした感触があったので、素っ頓狂な声を上げてしまった。人に洗われることなんか全くなかったから、すっごい久しぶりの感覚だ……!
「ふふ、くすぐったいの?」
「おまっ……わざとやってるだろ!」
「なんか面白いんだもん! こんなおっきい身体なのに、ちゃんとくすぐったいんだーって!」
「ちょっ、本当に……!」
透はいたずらっぽい笑い声をあげて、再びボディソープをたくさん手に取り、俺の背中に塗りたくった。最初は小さい範囲を適当に洗うだけだったのが、だんだん広範囲に手をかけるようになっていく。次第にお腹の方にまで手を伸ばしてきた。
「ほらほら~っ、ここは~っ?」
「透……!」
「えへへ、気持ちいい? 気持ちいい?」
「や、やめてくれっ……!」
くすぐったかっただけなのに、だんだん変な気持ちになってきた。わき腹をぬるぬるで攻めるように触られて、その刺激が股間の方に向かってくる気分。
「ん~? どうちたのかな、涼くん~?」
「透、お前なんか変だぞ……!」
「べっつに~? 私は洗ってるだけだもんっ! えいっ!」
「んんっ!?」
次の瞬間、背中全体に柔らかい感触があり、肩甲骨のあたりには特に弾力を感じた。……これって、まさか――
「どうっ? なかなかいいんじゃないっ?」
「ちょっ、それヤバっ……!」
透は自分の身体を俺の背中にこすりつけるように動いていた。スクール水着の肌触りと、ぬるぬるとしたボディソープの成分が、俺の皮膚に快感を伝えようと躍動している。
「涼、気持ちよさそ~っ!」
「おっ、お前が……!」
「だってほら、こっちがそう言ってるもんね!」
「あっ!?」
不意に……竿を掴まれていた。いつの間にか透が背中から手を回し、ぬるぬるの手で肉棒に手をかけていたのだ。意識していなかったけど、いつの間にか大きくなってたみたいだ。
「透、それは本当にヤバいって……!」
「んーと……どうすればいいの?」
「話聞けって!!」
「これ、剥いちゃっていいのかな……」
「透……!」
透は亀頭に被さっていた包皮に指をかけて、ゆっくりとずらし始めた。まるでローションに包まれているかのような感覚に、腰が砕けてしまいそうになる。
「わっ、出た。なんか真っ赤だね」
「な、なあ……!」
「なあにっ?」
「いいのかよ、こんなことして……!」
必死に声を絞り出して、問いかける。透は今をときめく日本一のアイドルなんだよな? いくら幼馴染とはいえ、別に恋人でも何でもないのに……これ以上進んでいいのか?
「だって、やめてほしいの?」
「えっ?」
「涼ってば、こんなところで止められて我慢できるのかな~っ?」
「……」
透は、ずるい。いつだってこの調子だ。こちらが何を言ってもかわしてしまうし、しかもなぜか許せてしまうんだから。
「じゃっ、いくよっ……」
「やっ、やめっ……!」
俺の返事を待たず、透は俺の竿をゆっくりとしごき始めた。とろりとした感覚が竿を通じて中枢神経に伝わってくる。それは脳を貫いていき、俺の体内に快楽物質をばらまいていった。
「ねねっ、気持ちいい?」
「……う、うん」
「えへへーっ、よかった。もっと気持ちよくしてあげるからねっ?」
「あっ、ちょっ……!」
透はさらに手の動きを速めていく。右手で竿をしごきつつ、左手では撫でるようにして脇腹を洗う。そして相変わらず背中には透の身体。……まるで挟み撃ちにされているような気分だな。こんなの、耐えられるわけがないっ……!
「本当に気持ちよさそ~っ! ねえねえ、後はどうすればいい?」
「えと、その……」
「あはは、分かんない? じゃあ、こういうのは……?」
「ッ!」
次の瞬間、今度は金玉に優しい感触があった。透が左手を回して、指でなぞるように玉を触ってきているのだ。ぞわぞわっとした刺激が全身を走り抜けていく。
「そ、それヤバっ……!」
「へ~っ、これ気持ちいいんだっ! 男の人ってふしぎ!」
なんて言いつつも、透はさらに右手でしごく動きを速めていく。少し手つきがおぼつかないけど、かえってそれが更なる刺激を生んで、いっそう俺の心を高めていた。体の中心からたぎるものを感じて、俺の腰が椅子から浮き上がりそうになる。
「ごめっ、もうっ……!」
「なになに? 出ちゃうのっ?」
「そ、そう……!」
「じゃあねっ、とっておきだよっ!」
「へっ?」
さっきまで金玉を刺激していた左手が消え、背中から透の身体が離れた。な、何をする気なんだ……? これ以上何かされたら、もう滅茶苦茶に――
「涼にだけ、
「……!」
その瞬間、背中に――さっきと明らかに違う、よりハリのある二つの弾力があった。それでいて柔らかく、全てを包み込んでしまいそうな包容力も感じる。そして何より……弾力の先端に、ツンと跳ね上がったような硬い感触があった。
「これ、おまっ……!」
「ぜったい後ろ見ちゃだめだよっ! 恥ずかしいんだからっ……!」
霧崎透、今や日本で誰もが知るトップアイドル。誰もが目を輝かせるその優美な身体。それを今、俺は――文字通り、全身で独り占めにしている!
「ああっ、ヤバっ……!」
「いいよっ、出してっ! いっぱい出してっ……!」
透は押し付けるようにぐいっとこちらに身体を寄せて、とどめを刺すように右手で竿を握る力を強めた。まるで搾り取るように、竿先のほうに手が動いていって――先端に達したとき、俺は絶頂を覚えた。
「ッ……!」
「んっ……!」
微かな嬌声が聞こえると同時に、俺は身体の奥深くから精を解き放った。全身が波打つかのような感覚。竿の中を、我先にと液体が走っていくのを感じた。
「やあっ、涼……!」
硬い突起を押し当てながら、背中をぎゅうと抱きしめてくる透。それに応えるかのようにして――亀頭を包み込む柔らかな右手に、俺は白濁液をぶちまけたのだった。