家に帰ったらトップアイドルになったはずの幼馴染がいた。同棲することになった。 作:松木ユキ
透は照れ臭そうにはにかみ、俺の足から下りた。肩紐から外されてだらんと垂れ下がった水着から、水滴がぽたぽたとしたたり落ちる。つい両方の乳房に見とれていると、透がバッと両手で覆い隠した。
「ちょっと、見すぎだよ……」
「あっ、ごめん!」
「りょ、涼ってやっぱりえっちだねっ!」
「うるせえ!」
「えへへっ、でも嫌じゃないよ」
「えっ?」
「……涼が私を見てくれるの、嫌じゃないよ」
恥ずかしいのか、透は顔をそむけていた。透はアイドルなんだから、「見られる」ことは日常茶飯事のはず。それでも、俺に見られることが……嫌じゃない、と言ってくれるのか。
いや、もしかすればアイドルだからこそかもしれない。きっと透に向けられるのは好意的な視線だけじゃないはず。アンチからの否定、あるいは同業者からの羨望・嫉妬。日本一のアイドルとなれば、相当多くの「目」で見つめられているのだろう。だから「見られる」ことは、透にとって必ずしも良いことではないんだ。
「透」
「へっ? やっ……」
思わず椅子から立ち上がって、透のことを抱きしめた。小さな嬌声のあと、透がぎゅうと抱きしめ返してくる。この華奢な身体で、どれだけ大変な思いをしているのだろう。どれだけ……辛い思いをしたのだろう。そっと透の頭に手を当てて、上を向かせる。
「んっ……」
唇を重ねる。静かに、互いを確かめるように舌を交える。肉欲的なキスでなく、愛し合うようなキス。甘い。どうして透の唾液は甘いんだろう。味覚をゆがめてしまうほどの魅力が、きっとこの幼馴染にはあるのだ。
「ぷはっ。……ふふふっ」
「と、透?」
口を離すと、透がくすくすと笑いだした。何がおかしいんだろう?
「あのねっ……私たち、ファーストキスだったんじゃない?」
「えっ? あっ、ああっ!」
「さっきはぜーんぜん気づかなかったけど。そうだよねっ?」
「へっ……う、うん」
「あー、なにその態度ー! ひょっとして……私以外の女の子とキッスしたのかなっ?」
「そっ、そんなわけないっ! 透が初めて!」
「あはは、焦りすぎ! ……でも、よかったぁ」
透はほっと息をついた。いや……むしろ安心したのは俺の方だ。こんな美少女アイドル、他の男が手を出さないはずはない。それなのに、自分がファーストキス。俺の考えていたより、ずっと……透は俺のことを想ってくれていたのかもしれない。
「ねっ、涼」
「ん、どうしたの?」
「そろそろ……ねっ? ねっ?」
かっ……可愛すぎる。透はあざとく首をかしげて、おねだりするように俺の両肩に手をついていた。
「あ、ああ。部屋、戻るか……」
「水着……のままだとお布団濡らしちゃうよね?」
「ん? そうだな」
「じゃあ、脱いじゃうね……」
透がそっと水着に手をかける。手をゆっくり下ろしていくとともに、少しずつ綺麗な素肌が見え始めて、すべすべのお腹が――
「……涼?」
「へっ?」
「なんで見てるのかなっ!?」
「だって、そりゃあ……」
「……えっち! へんたいっ! 出てけーっ!」
「えええええっ!?」
いでえっ!? 透に蹴り出されるようにして、風呂場から追い出されてしまった。おいおい、ここは俺の家だってのに……!
「まったくもうっ! 涼のバカ! 女の子の着替えを覗くなんてサイテーっ!」
「いや、俺はただ――」
「も~、恥ずかしいって言ってるのにっ!」
「ご、ごめんってば!」
風呂場の扉越しに、とにかく謝る俺。素っ裸でちんこでっかくして謝罪するってなかなかシュールな図だよな。もしかしてそういうプレイなのかと疑ってしまうくらいには――
「バスタオル、用意しておいて」
「えっ?」
「涼はお布団で待ってて。ちゃんと行くから」
扉から透けて見える幼馴染の姿。濃い青色の水着を脱いで……肌色が露出しているのがおぼろげに分かる。思わず息を飲んでしまうと、透が一言。
「……涼にだけ、いくらでも見せてあげるから」
***
一足先に体を拭いて、ベッドの上に座る。これから……透がやってくるのか。さっきは半分勢いだったけど、いざ改まると緊張しちゃうな。
そもそも、家に帰ったら数年会っていなかった幼馴染がいて、なぜか一緒に風呂に入ることになって……もうこの時点で意味が分からない。しかも透はただの幼馴染じゃなく、超一流のアイドル。なぜ今? どうして急に俺に――
「お待たせ」
その時、か細い声が聞こえた。その方向を向くと、そこにはバスタオルを体に巻いた透がいた。緊張しているのか、タオルの裾を掴んで視線をきょろきょろと動かしている。タオルは乳房にそって膨らんでおり、その下端は辛うじて透の秘部を隠しているが、今にも見えてしまいそうだ。
「髪……下ろしたのか」
「うん……」
さっきまでヘアゴムでまとめられていた髪が、いつの間にか解かれていた。この髪型……小さい頃はよく見たな。なんだか懐かしい。やっぱり透の髪は綺麗だ。
「隣、座っていい?」
「いいよ」
「あ、ありがとっ」
どこか上ずっている声。透は心ここにあらずといった感じで、震えているようにすら見える。透は器用にバスタオルをお尻の下に入れながら、そっと俺の右隣に座った。
「……」
「……」
なんとなく、お互いに無言になってしまう。ちらりと右を見ると、真っ赤になった耳たぶが見えた。そして……バスタオルの隙間から、両方の乳房を隔てる谷間が見える。
「ね、ねえっ」
「な、なに?」
「……見ないの?」
じっと俯いたまま、誘うように問うてきた。見たい。今すぐこのバスタオルを引きはがして、この目にしかと焼き付けたい。けど……そんな乱暴なことはしない。芸術品のように美しい幼馴染を、傷つけることなど出来ないんだ。
「透」
「うん……」
透の頭に右手を添える。ふわりとした触り心地の髪。これも昔からだ。きっと……天性のものなんだろう。
「目、つぶって」
「んっ……!」
そっと、口づけをする。透が俺の身体を掴んで、ぐいと引き寄せてくる。温かい。透の体温をたしかに感じる。もう二度と会うことはない、とまで思っていた幼馴染が――たしかにここに存在するんだ。
「んっ、んんっ……」
何度目のキスか分からない。……けど、飽きたとは全く思わない。いや、これから一生飽きることはないと思う。甘くて、繊細。透そのものを味わっているようで、俺はどんどん吸い寄せられてしまいそうになる。
「んっ……んんっ!」
キスをしながら、透の胸元に左手を伸ばした。タオルの下に潜り込ませるようにして、右の乳房を触っていく。ふわふわの膨らみを感じながら、その頂点にあるものを探っていった。
「んっ! んんっ……!」
透は拒もうともせず、ずっと舌を絡ませ続ける。俺に夢中になっているのだとしたら……それほど嬉しいことはない。そして俺の左手が乳輪のあたりに到達した途端、透の身体が大きく波打った。
「んっ!!」
キスをしながら、指先で突起のまわりをなぞる。最初は柔らかかったそれが、だんだん膨れ上がっていくのを肌で感じる。
「はっ! やっ、ひゃああっ……!」
唇を離した透が、大きな嬌声をあげた。指先で乳首を弾くたび、びくびくと痙攣するのが伝わってきて、その様子がたまらなく愛おしかった。俺は……この目で、透のおっぱいを見たくなってしまった。
「これ、脱がすよ」
「やっ……! りょっ、涼のえっちっ……!」
バスタオルを下にずらすようにして、ゆっくりと動かしていく。生地と乳首が擦れてしまうようで、透は不意を突かれたように声をあげた。
「やああっ!? やだっ、やあっ……!」
そして、タオルを乳房の下までずり下ろした瞬間――プルンと弾けるように、両方の膨らみが姿を現した。触っていなかったはずの左の乳首までツンと上を向いている。俺はそれを指先で撫でて、透の反応を窺った。
「ひゃっ! あああっ……!」
「あれ、こっちも硬くなってる……」
「う、うるさいっ! 涼だって……!」
「んっ!?」
その時、たまらず透が反撃してきた。ずっと丸出しだった俺の肉棒を左手で掴んで、上下に擦り始めたのだ。さっきからずっと立ちっぱなしだったから、急に刺激されると脳みそに直接届いてしまう。
「ちょっ、透……!」
「涼だって、さっきからずっとおっきくしてるくせに……! このっ、このっ!」
「やっ、それヤバいって……!」
透は強く竿を握って、激しく上下にしごいている。加減を知らないあたりが経験のない証拠だと思うから、ちょっと安心するけど……それはそれとして、こんなのされたら持つはずがない!
「透っ……!」
「んっ……!」
たまらず、透の口をふさぐようにしてキスをした。こちらから攻め入ってやるつもりで、思いきり透の口内で舌を暴れさせる。
「んっ! んんんんっ……!」
激しく絡み合う粘膜と粘膜が、互いの体内に快楽物質をどんどん分泌させた。俺は透の柔らかい乳房を優しく揉みしだき、乳首を指先で叩く。
「んっ、んんっ……!」
透は透で、俺の竿を激しくしごき続けた。かと思えば、不意を突くようにして……俺の金玉をそっと触る。まるでいきなり電撃を食らわされたみたいで、鳥肌が立つような思いだった。
「と、透……!」
「涼っ……!」
キスをやめても、互いを見つめあうことはやめられない。真っ赤に染まった頬。きっと……俺の顔も同じだと思う。どうして今なんだとか、どうして俺なんだとか、そんなことは関係がない。今目の前にいる幼馴染を……俺は愛したい。それだけなんだ。
「はあっ……やああっ……!」
「透、透……!」
「ねっ、ねえっ……!」
その時、透が俺のことを制止した。手を止めると、透はまた恥ずかしそうにうつむく。
「い、痛かった?」
「違うのっ。そうじゃなくて、その……」
透はもじもじと照れて、こちらを見ない。と思ったら、急に俺の手を掴んできた。
「透?」
「……」
透は自らの秘部に俺の手を導いていく。そして絞り出すように、かすかに声を漏らした。
「へ……へんたいのくせに……」
「な、なんだよ急に」
「なんでっ……なんでっ……!」
「透?」
「……」
――次の瞬間、俺は透のことを抱きしめたいと思った。それくらい、決定的な一撃だった。
「はやくっ、さわって……!」
透が一気に腕を引っ張ってくる。そして……指先に、湿り気を感じたのだった。