『コイワ』。
魔都と呼ばれる『トーキョー』の南東部にある、『エドガワ』と呼ばれる大きな街区の中の一地区だ。
「『エドガワ』は下町と呼ばれていたでチュウ。その中でも『コイワ』は、下町の中でも一番の下町なんでチュウよ」
「ほう。そうなのか」
DSの返事には、喉に潤いが無かった。
とにかくこの町の空気は悪い。においもだ。
風魔法であたりをぶっ放したかった。
あと、さっきから自分たちをジロジロと見てくる、通行人の視線が気になった。
(まるでオーガ族みたいだ。)
あの種族たちに、顔立ちが良く似ている。
しかしどうにも、あいつらよりだいぶ弱そうだ。
男はともかく女がそう思えた。
脂臭い小太りデブか、骨ばった痩せっぽちばかりである。
(この世界の女。オーガみたいな顔をしているくせに、だいぶガタイがよろしくない。不健康そうだな。)
オーガ族の女は大抵、胸がでかくて尻が大きい。
健康的で肉付きが良い体つきだ。
「……この世界の女は、悪い空気のせいで痩せているのか?」
「何をいっているんでチュウ?」
「雑然として……やけに毒煙が巻かれているように息苦しいのはそういうことなのだな?」
「隣にある『シンコイワ』のほうが、もっときったないでチュウ」
『シンコイワ』は『コイワ』の近くにある街だ。
ここと同じ様に『すてーしょん』があり、若い男やおっさんがうろうろしていた。
昼間から酒臭い息を吐き、あまりお金と教育に恵まれていなさそうな、貧民街育ちっぽかった。女もだが。
「あてやアニーしゃんみたいなちびっこサキュバスも食っちまう、大変に懐が深い『ちんちんちゃん』の絶好の狩場だったでチュウよ」
彼等はあまりにも暇過ぎて、キンタマの中身をすっからかんにする愉しみばかりを追い求めていた。
しかし自慰で放つのはどうにも寂しい。
だから、手近な股の緩そうな女を心地よくすっからかんにしようと、なんだか隙がありそうな女に声をかけていたという。
それで股が緩いどころか股から甘い催淫スメルを放って誘惑する淫魔の、エスカとアニーに声をかけていたというわけだ。
「しかしどこで抱くのだ? よもや、そこらへんの茂みや物陰という訳にはいかなかったのだろう?」
「『シンコイワ』には、サキュバスのラーラ=ベルしゃんのお友達がやっている『れんたるるーむ』があったんでチュウ。かび臭いシャワー室と、お部屋はくっさくて汚いつるつるのマットだけだったけど、とってもお手頃価格で利用できたんでチュウよ」
料金は1時間につき1000円だった。
(2020年まで。)。
ちなみに、料金はエスカたちサキュバス持ちであった。
サキュバス達とのセックスはスキンをつけない、生のプレイで、中出しや口内発射である。
もちろん『おこづかい』とやらは無い。
相手となった男達は、レンタルルーム料金の肩代わりまでやってくれるエスカ達に、必ずと言っていいほど驚いていた。
「ルーム代まで出してくれるのかよ! なんか変な病気持ってたりしない?」
性病についてはノープロブレムである。
サキュバスのまんこ汁には、厄介な病原菌やウィルスを抹殺する効果があった。
ガバかったりクサかったりするニンゲン女の『低品質女性器』とは比べ物にならない、いいにおいがしてしかも搾精仕様の極上まんこでもある。
「大抵、3時間ぐらいやってたでチュウよ」
エスカ達サキュバスは、3000円で『おちんぽ』という娯楽を楽しめのだ。
しかし1回の射精で3000円という訳ではなかった。
「6~8回ぐらい、精液ちゃんをせしめていたでチュウ。あてらにとって『れんたるるーむ』に払った金額の、だいたい5倍ぐらいの価値があったでチュウ」
「この世界のニンゲンは、そんなに出るものなのか?」
「サキュバスの催淫効果によるものでチュウ。そういうのが無いと、1発で満足するらしいでチュウね」
つまり、まんこから勃起中枢と射精機能を無理やりに強化するオーラを放たぬ限り、この世界の住人は女エルフを満足させるピストンを繰り出せないというわけでもある。
「なるほど。エスカさんがおらたちのことを遠回しにディスっているのは、なんとなくわかったずら」
そう言ってダフネがしゃがみ込んだ。駅前のロータリーの縁に脚をかけると、真ん中が割れていて丸見えのお股を指で広げ、前に突き出した。
じょろろろろ。
指で広げた会陰から、景気よく小便が放たれた。
その様子を見た通行人たちは、怪訝そうな顔をして通り過ぎる。
「ふーう」
ダフネが腰を振っておしっこを切った。
それから左手の人さし指で印を切り、水の玉をつくってあそこを洗った。
「ダフネしゃん、だめでチュウよ。こういうところでおしっこをする時は、周りにお断りを呼びかけてからするものでチュウ」
「ん? そんな面倒くさい決まりがあるずらか。『トーキョー』ってのは?」
「そうでチュウ。あんたしゃんらエルフのがきんちょは、里じゃところかまわずしーしーやぶりぶりをしておるでチュウが、ここはニンゲンしゃんたちの街。それなりの決まりがあるというわけでチュウよ?」
「いや、ニンゲンの里でもそんなもんずらよ。むしろ嬉しそうに覗いてくるやつばっかだけどな」
ちなみにこのニンゲンの街では、最初に周囲にお断りを入れてから粗相をするものだとエスカは教えた。
「たとえばこういうことでチュウ……」
ジロジロと見てくる者や、スマートフォンを取り出してカメラで撮っている者を見回しながら、エスカは周りに呼びかけた。
「すみませんでチュウ。ちょっとクサいのをひねるけど、自然の摂理のせいなので我慢してくださいでチュウ」
そう伝えた後にスカートをめくる。
通行人たちはエスカの白い太ももと、子どものそれにしては少しむっちりとした割れ目と尻を目にした。
それからエスカは尻を歩道の外に向け、ぷす、ぷす、とおならを放ち、ゆっくりと肛門を開いた。
エスカの顔が緩む。肛門からの強い性感を覚えたからだ。
「ふにゅ……♡」
尻穴がくわっと開いて、それから流れるように健康的な茶色さの軟体が車道に落とされていった。
排泄とともに幼い肉裂がぐにゅりと動き、とろりとした蜜液が垂れ出た。
にゅる、にゅる、と尻から便が出た後、エスカは肛門に広がる悦楽に深い溜め息をついた後、無表情で突っ立っているDSを見た。
「……ふう。たっくさん出たでチュウ」
「随分と出たな。便秘だったのか?」
「この世界に来ると、何故かうんちがしたくなるんでチュウよ。とりあえずのごあいさつみたいなものでチュウ」
要するにここに来た記念のマーキングのようなものだ、とエスカは水魔法で尻を洗いながら言った。
彼女はスマートフォンのカメラをじっと向けてくる連中の姿を確かめると、首をかしげてしまった。
「……おかしいでチュウね?」
「何がだ?」
「普通は近寄ってきて、ひと言ふた言は云うはず、なんでチュウが……」
どうもその気配は無かった。
スマートフォンのカメラを向けるか、見てみぬフリをして通り過ぎるだけの者ばかりだった。
と、思いきや、何名かの若くてガラが悪く、知性がなさそうな顔の若者が近づいて来た。
「来たな。エスカ、ここの言葉は知っているんだろう。応対してくれ」
「お任せあれでチュウよ」
エスカは久しぶりに見るこの世界の若者に目を向けた。
記憶にあった者たちよりも首がやや細く、のぞいた口の歯並びは悪そうだった。
男たちのうち1人、まだ20代の半ばのようなのに、頭の生え際がだいぶ後退していて目尻に皺ができている男がエスカに呼びかけた。
「おい。おめえたち、『ようかい』だろ?」
「『ようかい』? あてはサキュバスでチュウ。それで他3名は、エルフというようせいさんでチュウ」
「……まあつまり『ようかい』なわけだろ? ところでさあ」
その男はズボンのジッパーを降ろして、中にあったものを引きずり出した。
「『ようかい』だったら、ここで俺たちのこいつをすっきりさせてくれてもいいよな?」
出したものはエスカの記憶に無いぐらいに、大きく太い生殖器だった。
亀頭が大きく張っていて、長さは20センチ以上もあった。
他の男達も、えへらえへらと笑いながら、己の物を引きずり出した。
(はへ? この世界の『ちんちんちゃん』は……。)
こんなにでっかくはなかったはずだ。
エスカは疑問に思いながらも、衆人環視の中でちんぽを丸出しにして迫ってくる、若者たちの欲情の気配を感じて露を垂らし始めていた。