※この作品はR-18です。

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第18話『※お風呂イチャラブ※』

 あれから湯舟が溜まるまで映画を楽しみ、お湯が張ったところで映画を一時停止した。

 

 着替えを持ち、ふたり揃っていざ脱衣場へ。最初に動き出したのはハルの方で、

 

「ふんふんふーん♪」

 

 鼻歌を鳴らしながら着ていた服を脱いでいく。引き締まったくびれからお尻にかけて、丸みを帯びた柔らかなラインが露出する。

 

「早くしないとお湯冷めちゃうよ?」

 

 目を奪われて固まる僕に、ハルは下着姿のままくすくすと笑う。僕の視線に気づいていたのか、その表情はどこか楽しげだ。

 

「それとも脱がして欲しい?」

 

 幽霊みたいに両手を宙につるし、ハルは指先をわしわしする。

 

「だ、大丈夫! 自分で脱げるから!」

 

 僕は覚悟を決めて自分の服に手をかけた。

 

 突如として決まった一緒のお風呂。入浴とトイレはプライベートの極致だ。それを共にするとなると、性行為とはまた違った羞恥がある。

 

 気持ち遅めに脱衣を進めていくと、ハルが先に裸になった。僕も遅れて裸になり、ふたりでバスルームに足を踏み入れる。

 

「――――」

 

「――――」

 

 そして僕たちは、互いに突っ立ったまま硬直。ハルがなにを考えているのかわからないけど、僕が固まった理由は至ってシンプルだ。

 

 次に取るべき行動がわからない。座ろうにもバスチェアはひとつしかない。かと言って、体も洗わずに湯舟に入るのは気が引ける。

 

 きっと、ハルも同じことを考えていたに違いない。右に左にと視線を彷徨わせると、気まずそうに「あはは」と苦笑いを浮かべた。

 

「勢いで一緒に入ろうとか言っちゃったけど、これはちょっとハードル高かったかなぁ……」

 

 その通りだと思う。僕も僕で、『彼女 お風呂 手順』とかで調べておけば良かったと後悔している。

 

 とはいえ、今さらそれを言っても仕方ない。ハルが困っているのだから、ここは彼氏としてしっかりとリードしなければ。

 

「とりあえず体洗わなくちゃだし、洗いっことか?」

 

「へぅっ!?」

 

 変な声が上がる。キモかったかな……。

 

「いやごめん! 嫌なら各々洗うでいいんだけど……」

 

「あ、違うの! 嫌とかじゃないんだけど、その……は、恥ずかしいなって」

 

「でもまあ、もう今さらじゃない?」

 

「それもそっか……」

 

 納得したのか、ハルはこくんと頷いた。

 

「良し! じゃあ洗いっこしよう!」

 

 自らを奮い立たせるように、ハルは両手でガッツポーズを作る。

 

 しかし、方向性は決まったものの、そこでまた新たな問題が発生した。

 

「で、どっちが先にどっちの体を洗う?」

 

「っ……」

 

 当然の疑問をぶつけられ、言葉に詰まる。

 

 相手の体を洗う方が心理的な負担は大きい……と思う。だったら、僕が先にスポンジを手に取るべきかな。

 

「じゃあ、先に僕がハルの体洗うよ。座って」

 

「え、あ……はい。よろしくお願いします……」

 

 なぜか敬語のハルが、肩を縮めながらバスチェアに腰かける。上の棚からヘアグリップを取って、ハルはセミロングの黒髪をアップにした。

 

 僕はその後ろで膝立ちになり、お湯を出してシャワーヘッドを掴む。熱さをたしかめてから、肌荒れひとつない綺麗な背中にお湯をかける。

 

「熱くない?」

 

「大丈夫」

 

 スポンジにボディーソープを垂らす。手の中で泡立てながら、ハルのきめ細かな肌をそっと洗う。間違っても擦り傷になったりしないよう、優しく、優しく。

 

 泡立つ背中と、間近に見える煽情的なうなじ。首回りを丁寧に洗い、後ろから二の腕にスポンジを滑らせる。

 

「ひゃっ……!」

 

 瞬間、ハルの体が強張った。

 

「それくすぐったい!」

 

 反応が可愛くて、僕の中でちょっとした悪戯心が芽生える。洗剤で滑りやすくなった手を、人体の弱点である脇の下に挟むと、

 

「ひゃっ……、くふ、いひっ!」

 

 くねくねと身を捩らせて、ハルは堪え切れないとばかりに笑い声を漏らした。

 

「ひぃっ、無理、限界……! ギブ! ギブだから!」

 

「あはは。ごめんごめん」

 

 ハルが音を上げたところで、僕は脇の下から手を抜いた。

 

「もう! 次はショウタくんがやられる番ってこと、わかってるのかな……! 同じことしちゃうよ!」

 

「残念。ハルにされるならお仕置きにならないよ、それ」

 

「むぅ……」

 

 正面の鏡に、悔しそうにむくれるハルの顔が映る。しかし次の瞬間、その表情は名案を得たとばかりに明るくなった。

 

 ハルは脚を浮かせると、お尻を器用に動かして180度回転。僕と向かい合う形になって、文字通り胸を張った。

 

「背中はいいから次は前! しっかりと隅々まで洗ってね……!」

 

 やり返したくてムキになっているのか、顎を上げておっぱいを強調するハル。汗かお湯か、プツプツと雫の点在する肌が妙に艶っぽい。

 

「じゃ、じゃあ、失礼します……」

 

 圧に負けて、僕は素直にハルの正面を洗い始めることにした。まずは鎖骨をなぞるようにスポンジで泡を塗り、首筋を上下に往復して胸元へ。

 

「んっ……♡」

 

 往復するスポンジは、ほどなくして双丘に辿り着いた。頂を避けるように乳房を洗い、今度は谷間の奥にスポンジを潜らせる。弾力のある柔肉が、むにっと僕の指を押し返した。

 

 ……マズい。今は入浴時間であって、そういうことをする時間じゃないはずだ。

 

 ただ、女体の感触はどうしても男の本能を浮上させる。我慢し切れず、僕はスポンジを手放して両の乳房に手のひらを当てていた。

 

「やっ……!」

 

 泡をまとった手で、マッサージするようにおっぱいをほぐす。硬くなった部分を手のひらで味わいながら、指先を駆使して隅々まで洗う。

 

「んっ……ショウタくん……♡」

 

「ハル……」

 

 すごい。普段とは比にならないぐらい手が滑る。ローションを使ったらこんな感じになるんだろうか。

 

 未知の感触に、僕は夢中になって乳房を揉んでいた。手のひらが吸いつくようで、指を動かすたびにそこの形が変わっていく。

 

「……も、もう胸は終わりっ……!」

 

「あっ」

 

 調子に乗っていたらハルに腕を振り払われてしまった。そしてジト目で下半身を見下ろされ、

 

「しかも勃っちゃってるし……ショウタくんの変態」

 

「いやこれは、男的には仕方のないことで……」

 

「エッチ。スケベ」

 

「すみませんでした……」

 

 続け様に罵倒され、僕は観念して両手を挙げた。降参のポーズだ。

 

 そんな僕を、ハルはじーっと見つめて、

 

「今度は私の番。交代!」

 

「えっ? でもまだ全部終わって――」

 

「問答無用!」

 

 床に落ちたスポンジを拾い、ボディーソープをプッシュ。くしゃくしゃとスポンジを泡立てると、

 

「ふっふっふっ……」

 

「ハル……? なんか目が怖いんだけど……」

 

「たくさん意地悪されたからね。えいっ!」

 

 可愛らしい掛け声と共に、ハルはスポンジを僕の股間に押しつけた。衝撃で軽く尻餅をついてしまい、椅子の上から男根を見下ろされる構図になる。

 

「いきなりそこ!?」

 

「硬くなってるときの方が洗いやすいかなーって」

 

「そんな取ってつけたような……」

 

「とか言いながら、ショウタくんだってギンギンじゃん」

 

 スポンジが離れると、泡を貫くように男根が聳え立つ。その先端に向かって、ハルは身を屈めながら指を添えた。

 

「ッ……」

 

 膨れ上がった亀頭に、親指の腹が滑る。人差し指、中指、薬指と、手のひらは少しずつと閉じていき、最終的に搾精の形になった。

 

「どう? 少しは私の気持ちわかってくれた?」

 

 上下にシゴかれたり、左右に絞られたり――それは洗浄というより、完全に手コキの動作だ。

 

 親指と人差し指で作られた輪っかが、カリの部分を何度も行き来する。しかも、洗剤でヌルヌルになっていて、摩擦時の快感がえげつない。

 

「ぅっ……ちょっ、ハル……」

 

「ん~?」

 

「それ、ヤバい……」

 

「どんどん硬くなってくね。もっと速くした方がいい?」

 

「そうじゃなくて!」

 

 このままだと射精一直線だ。制止するよう、ハルの手をそっと掴む。

 

「マジで出ちゃうから……! 一緒に湯舟浸かるんでしょ? お湯冷めちゃうよ!」

 

「先に仕掛けてきたのはショウタくんのくせにぃ」

 

「それに関しては悪かったから!」

 

「……仕方ないなぁ。じゃ、こっち座って。普通に洗ってあげるから」

 

 腰を上げたハルから、バスチェアに座るように誘導される。その指示に従い、僕は背中を丸めるように前屈みになった。

 

 肩から背中にかけて、スポンジが這っていく。普段自分では中々届かないところなので、ゴシゴシされるとかなり気持ちいい。

 

「痒いところない?」

 

「美容師さんみたいだね。大丈夫」

 

「はーい」

 

 鏡に映るハルは、とても楽しそうに僕の背中を洗っていた。

 

 良かった。これなら至って健全にお風呂を楽しめそうだ――と思った矢先、

 

「んしょっ……」

 

「――ッ!」

 

 ハルが前傾姿勢になったのか、むにゅっと潰れる感触が背中に走る。

 

「当たってるんだけど……!」

 

「当ててるんだよっ♡ これ一度言ってみたかったんだぁ」

 

 どんな願望それ!?

 

 ツッコミたいけど、背中の感触がそれを邪魔する。主導権はハルの手の中にあった。

 

「ショウタくん、さっきから勃ちっぱなしだね」

 

「納まりかけてたんだよ、これでも……」

 

「お風呂上がるまで我慢我慢♪ ほら、こっちも洗わないとね」

 

 おんぶされるかのように背中に乗り上げて、ハルは肩越しに僕の前方を洗う。脚の付け根から太ももを上下して、玉袋の裏側まで丁寧に。前に回ってくれればいいものを、いちいち胸を押しつけてくる辺り、完全に弄ばれている。

 

「――こんなところかな!」

 

「はぁ……」

 

 洗身が終わると、ハルは身を引いた。緊張による硬直が解けて、僕の口から大きな息が漏れる。

 

「次はシャンプーとコンディショナーだね! 私に任せて!」

 

 その後、ハルによって洗髪を施される。体にまとわりついた泡をシャワーで洗い流すと、ハルは満足げに頷いた。

 

「よし、完璧!」

 

 僕の全身を洗い終えたハルは、達成感に満ちた顔でそう言った。

 

「次は僕の番かな。今度は悪ふざけしないから」

 

「ホントかな~」

 

 からかうような返事をしながら、ハルは僕と入れ替わるようにバスチェアにちょこんと座る。鏡越しに挑発的な眼差しを向けられたけど、今度は邪念を捨てて、きちんとハルの全身と髪の毛を洗っていく。

 

 何事もなくそれが終わると、ハルは濡れた髪の毛をタオルでまとめた。

 

「ありがと! それじゃあ――」

 

「湯舟だね」

 

 お互い向かい合うように腰を沈めると、ざばーっと中のお湯が溢れ出ていく。

 

「ふぅ……極楽極楽」

 

「でも、ちょっとぬるいのは否めないかも」

 

「体洗うのに時間使い過ぎちゃったからなー。まあ、ぬるい方が長湯できるし、それはそれでありかも♡」

 

「わっ……」

 

 ハルはお湯の中で、僕のつま先に自分の足を乗せた。

 

 一般的には大きめの浴槽だと思うけど、やっぱりふたり入るとなると少し手狭に感じる。

 

 ただ、その狭さが逆に嬉しくもあって――肌と肌が触れ合う距離。浸透圧の影響か、ハルの存在感を克明に感じ取れる。

 

「ショウタくん」

 

「ん?」

 

 呼びかけの直後、ハルはお湯の中で体育座りになった。そして顎を埋め、なにやら水面で両手を組み合わせると、

 

「えいっ!」

 

 ぴゅっ、と細く飛んだお湯の筋が僕の額に直撃する。思わず「うぎゅ」と変な声が漏れ、しかめっ面になってしまう。

 

「あははっ! お湯鉄砲だよ! えい、えいっ!」

 

「ちょっ、ハル……!」

 

 キャッキャと笑いながら、ハルは立て続けにお湯鉄砲を繰り出す。僕も見様見真似でお返しを試みるも、

 

「あれ?」

 

 しかし、ハルのように細い線は生まれず、不細工な放物線を描いてお湯が飛散する。

 

「下手っぴー!」

 

「それなら――」

 

 してやったりといったニヤケ顔のハルに、僕は両手で掬うようにして大量のお湯を浴びせた。

 

「わぶっ……、ちょ、それは反則だよ……!」

 

「ルールなんて説明された覚えないけどなー」

 

「あー! そういうこと言うんだ! それならわたしも容赦しないから……!」

 

 同じようにハルもお湯を掬って、僕に向けてそれを放った。

 

「うぶっ……!?」

 

「あははっ、変な顔ー!」

 

「この……!」

 

「ひゃっ!?」

 

 ――と、そんな小競り合いを繰り返していると、浴槽の中のお湯がどんどんと減っていく。

 

「はぁっ……」「ふぅ……」

 

 ふたりで同時にため息を吐き出す。溢れんばかりだった水位は、二の腕辺りまで低下してしまった。

 

「ハルが暴れるからお湯減っちゃったじゃん」

 

「ショウタくんだって乗り気だったくせに」

 

「まあ?」

 

 お互いクスッと笑い合うと、ハルは体の向きを反転させた。

 

 体育座りのようにしていた僕の脚が、カクンとお湯の中で伸びる。ハルが僕の胸元に背中を預けたからだ。

 

「ねぇ。ショウタくんは、私のどこが好き?」

 

「急だね」

 

「いいから。教えて?」

 

 ハルが首を巡らせる。濡れたまつ毛が縁取る瞳でじっと見上げられる。

 

 僕は天井を仰ぎながら、頭の中で言葉を探した。

 

「全部好きだけど……強いて言うなら、いつも真っ直ぐなところかな。あと、ハルの笑顔見てると元気もらえるから」

 

 我ながら少し照れ臭いことを言ったと思う。ハルは腕の中で小さく身じろぎすると、甘い声を漏らした。

 

「……嬉しいっ」

 

 ハルが僕の肩に頭を乗せる。手狭な浴槽内で隣り合わせのような形になると、そっと僕の下腹部に手が添えられた。

 

「――ッ」

 

 大胆な行動に息が止まりそうになる。横目でハルを見やると、とろけそうな眼差しが僕を見つめていて――。

 

 ついにその指が僕の敏感な部分に触れた。ふと、湯船の中で射精したらどうなるんだろうか、なんていう心配が頭をよぎる。

 

 ただ、それは杞憂に終わった。ピタッとハルの動きが止まり、一瞬で現実に引き戻される。脳天まで膨れ上がった興奮が、一気に奈落へと突き落とされたような感覚だ。

 

「ハル……なんで……?」

 

 寸止めが不服で、物欲しげな声が漏れてしまう。

 

 ハルの瞳が、妖艶な光を宿して煌めいた。

 

「続きはベッドの上で、ねっ? ショウタくんのこと、たっぷり味わってあげるからっ♡」

 




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