と、言う事があったんじゃよ、と戻った自室で軽く説明したら太志と錫花さんにドン引きされた。
俺の両隣に鎮座する『ゴブリンクイーン』の娘たるゴブリーナと『コボルトクイーン』の娘たるコボルーナ。
そんな二人のお父さんが俺です、俺、なんだよなぁ……、マジでぇ?
二人はふんすふんすと鼻を鳴らして自慢げに俺の腕を抱き締めて、自慢のお父さんです、とにっこにこの笑顔を浮かべていた、可愛いかよ。
「それはまた……、現実は小説よりも奇なりと言いますが、ううむ」
「それもまた、愛。愛だよ、太志」
「愛の一言で片づけていいものですかな」
「むしろ逆に愛以外でどう説明しろってんだよ、言ってみろ」
「……言葉に困りますなぁ」
なお、娘二人に性的に狙われている模様、愛ってそんなに肉欲的だったっけな。
今も俺の手を取って自分の蜜園に招き入れようと画策しているからな、はしたないからやらせないが。
それはそれで嬉しそうにするのでどんな情緒なのだかさっぱり分からんのだった。
せめて夜にしなさい、こっそりと、そう言い聞かせて頷いたのを確認して溜息を吐いた。
「いやいやいや、大分倫理的にアレですからな。いやしかし、モンスター娘ならば人の倫理に触れないのか……?」
「作ろうと、思わなければ、子供はできない、かも?」
「あー……、確かにな。母親のクイーンたちにも『受胎』のスキルがあっただろうし、むしろそれ経由でこの娘たちが産まれたと言うか。……モンスターカードって子供で良いのか?」
「部分的にそう、ですかなぁ? まぁ、どちらにせよ父親を名乗るならば、それらしく在れば宜しいのでは」
「娘たちはやらんぞ!」
「気が早い上に、竜胆殿だと意味合いが何か違ってくるでござる」
「結婚式には、呼んでね。こっちも、呼ぶから」
「……人生の墓場までの道のりを順調に工事されている心地ですぞ」
「良かったな、御祝儀の銭は期待して良いぞ」
「此方も此方で此処に骨を埋める気ですか……、はぁ、これでいて実力があるから困ったもんですな」
実際、参階層の既知外領域に居るであろうマザーモンスターと邂逅してみたいなぁと思っているしな。
何と言うか、今更に人間の女性とパートナーになったり恋人になったりとか面倒だなぁと敵前逃亡したい心地なのである。
十中八九『怪物王』のクラスが何かしらの精神汚染を侵しているのは確実なので、心境の変化が劇的過ぎてもはやジェットコースターのそれに近い。
……まぁ、実際にそんな事になったらなったで流されてしまう気もするが。
恋人居ない歴年齢のオタクを舐めるんじゃないよ、頑固さは数十年級の換気扇の油汚れに匹敵するからな。
「んで、俺が堕ちていった後はどうなったんだ?」
「なんか今イントネーション変じゃありませんでしたかな? ……はぁ、参階層へのゲートを潜り、無事にログインポイントを確保しましたぞ。どうやらゲート周りは安全スポットのようで、『天敵者』すらも邪魔しに来ませんでしたな……」
「……んふふ、御馳走様でした」
「お粗末様でした、と言っておけば良いでござるか? ダンジョン内での性行為は御法度であると何度も拙言ったでござるよね。『天敵者』を返り討ちにするだけの策と力を持ち合わせていないのですから対策は十二全にするべきだと何度も口酸っぱく言ったでござるよね拙。その頭はスカスカでござるか、なぁ錫花?」
「ひぅっ、ご、ごめんなさい。以後気を付けます……」
「……ふぅ、まぁ良いでござろう。って、何で竜胆殿たちも正座してるですかな」
「いやぁ……、何となく?」
「きゃう」
「わふん」
普段真面目な奴が怒ると怖いんだなぁと思い知ったのだった。
態と正座のバランスを崩して俺に寄り掛かってきゃっきゃとしている二人を好きにさせつつ、話の続きを催促した。
「『グレートゴブリンナイト』のドロップしたグレートソードなのですが、錫花が質に流す予定のモノクルの所有権を主張しているので、その代わりと言っては何ですが竜胆殿に任せますぞ」
「え、良いのか? あー……、まぁ、装備できるの俺ぐらいだしな」
「それもありますが、メインウェポンをメインアタッカーが持ってないのは流石に問題ですぞ。……『怪物王』のレベル20に達しているので、頭一つ抜けている状態なのですぞ。万が一の保険があると言うのは拙らにとって大変有難いものなのです。あの罠にいち早く気付いて助けてくれたのも含めて」
「……因みに聞きたいんだが、宝箱の底にあった鎖って見えてた?」
「……見てないでござるなぁ」
「……そんなの、無かった」
「きゃぅ……」
「わふ……?」
「……うへぇ、こっわ。突然のホラー止めてよね」
薄ら寒い物が背筋を通り過ぎた心地であった。
つまりは俺の何かしらの要因が宝箱の隠された罠を発見させた事に他ならないのだから。
「竜胆殿は一般の出でござったよな」
「あぁ、違法な葉っぱを家で育ててコカインを毎日吸ってた様な密売人のゴミクソな父親と、毎日別の男と自室のヤリ部屋で客を取ってた挙句ブランド品収集に魂を売ってたゴミカスな母親のミックスブレンドだぞ」
「……何故だろう、何かもう変な血筋が混ざってそうな感じがして正直裏取りすら怖いのでござるが?」
「お祓い、行く?」
「……行った方が良かったかもなぁ」
そういえば行ってなかったなぁ、この学園にもあるんだろうか。
首塚とか言う恐ろしいもんがあるのは知っていたが、その手のお祓い系は無かった気がするんだけども。
いっその事、『祓い人』あたりのクラスを持ってる人を探すべきだろうか。
そんな事をしてる暇あるなら参階層でレベリングして強くなった方が返り討ちにできそうだな。
既に閉じてしまった羅城門の方向を見て溜息を吐く。
両側からよしよしと娘たちが慰めてくれるが、惨めになるだけだから止めてくれ、それは俺に効く。
「取り敢えず、明日はグレートソードを加工して貰う倶楽部を探した方が良さそうですな」
「ん? そのままで使えないのか?」
「基本的にドロップ品のまま使うのは推奨されておりませんな。と、言うのもドロップした時のそれは前の持ち主であるモンスターにアジャストされた状態のままなのですぞ。故に、『職人』などの元に加工へ出し、持ち手にあった物へと作り直してもらうのが一般的ですな」
「よっぽどのレア、じゃないと、そのままは微妙」
「成程なぁ、因みに伝手はあったりする?」
「残念ながら拙にはありませぬな」
「ある、よ」
「へぇ、それはまた都合が良いな。連絡は取れるのか?」
「うん、まぐ姉、いっつも元気」
錫花さんからその名前を聞いた途端、太志がベッドにビターンッと倒れた。
まるで陸に上げられ酸欠で死ぬ未来しかない魚の様に、もがき苦しむ様な有り様だった。
……成程、華族から出た事でそこらへんの情報を知り得ずに居て、何かしらの交友があった人が居ると分かってトラウマが再発した感じか。
「どんな人なんだ?」
「んー……、女ライオン、太陽系ギャル、床上手、騎乗位が得意。まぐ姉直伝、んふふ」
「あ、赤玉は、赤玉は勘弁して下され、し、死んでしまうでござる。うっ、あ、頭が……」
「あー、うん、成程ね」
成程、太志こいつオタクに優しいギャルに囲まれた幼少期を過ごしてやがったな、羨まけしからん奴だ。
錫花さんと言う白ギャルとそのまぐ姉とやらの黒ギャルに挟まれていたのか。
……こいつ実は外伝の主人公か何かじゃなかろうな、そのうちミニギャルも追加されたりしそうだ。
「そう言えばとら姉も学園に居るよ」
「ひ、ひぃぃ、に、逃げ場がっ、逃げ場が無いでござるっ! あぁっ、窓に! 窓にぃ!」
「落ち着け太志、今のお前の肉体強度じゃ三階から落ちた程度じゃ死ねないぞ。むしろ骨折からの入院包囲性活の始まりだ」
「ぬぁぁあああっ、し、尻だけは勘弁を、そこはスるところでは無いでござるぅぅ」
ミニギャル枠の予想外の趣味が暴露されたあたりで、レフェリーとドクターからのストップが掛かったので話題を打ち切る事にした。
満身創痍でベッドに倒れ伏した太志だったが、明日の正午には悪夢を見るだろうにお疲れ様である。
今後の方針として、参階層既知領域を踏み台に既知外領域へ飛び出す事になった。
俺『怪物王』レベル20、太志『悪代官』レベル15、錫花さん『絡繰り師』レベル12。
そして、リーナ『ハーフゴブリンプリンセス』レベル15、ルーナ『ハーフコボルトプリンセスナイト』レベル8。
リーナの方は口淫接種で経験値が上がったのだと思うが、ルーナに関しては出産の際の経験値オーバーフローの可能性が高い。
と、言うのも『受胎』スキルを太志に見て貰い判明したのだが、受精する際に雄側からレベルドレインを行う仕様らしかった。
なので、牝ゴブリンに関しては推定窒息死だが、牝コボルトに関しては『受胎』スキルのオーバーフローが原因かと思われる、レベル差の暴力かよ。
つまりリーナとルーナと致す際には『受胎』スキルをオフにする事が原則となる訳だ、ダブルキルは流石にちょっとね……。
まぁ、新しく得た『隷属首輪』のスキルにより、特殊な隷属を施した相手に対しての絶対命令権がお得な事についていたので、それにより厳命する形で無意識な暴発を防止出来たのは僥倖だった。
可哀想なのはあんまり抜けないので鬼畜外道はしないのだ、小生善良なオタクな故。
防音カーテンを引いてプライベートな空間を作ってから、リーナとルーナを両隣に並べて川の字で寝る。
……地味に今生初めてだな川の字寝は、いつも独りだったからな。
レベル差が無ければ確実に腕が鬱血して、大変な事になる力強さで俺の腕を抱き締めるお二人さんはちょっと加減を覚えようか。
と言うかいつの間に衣服を脱いだんだお前ら、ベッドに倒れ込む時には着てただろうが。
……へぇ、衣服は自前の魔力で組まれてるからオンオフが可能なのか、買って貰った服じゃできないから優しく脱がしてね、って気が早いぞお嬢さん方。
「……なんか声を発してないのに会話が成立してるの怖いんだが? せめてテレパス味があってくれよ、データの送受信で済ませないでさ」
「きゃうう」
「わふう」
「……人の言葉を発する声帯が無いから仕方が無いってか。俺限定で意思疎通できても……、あぁ、別に困らないか。俺ら以外と接する必要無いし」
「きゃうきゃう」
「わふわふ」
「……娘からの愛が重いなー、悪い心地じゃないけどさ」
将来パパのお嫁さんになる、と天真爛漫な笑顔で言われた父親の気持ちがこれかぁ、まだ未成年なんですけどぉ?
もっとも、そんな良い父親も娘から、ママみたいなえっちな大人になるからね、だなんでBキャンセル案件された事は無かろうに。
子供体温がぬくいなぁどころか若干暑いんだが、もう少し離れてくれたりなんて……しないよねー……、はぁ。
翌朝、両手が何故かガビガビな感じだったんだが悪い娘だーれだ、せめて後処理はしろ。
補修レイドは……
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オリジナルレイド
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轟天石榴山