※この作品はR-18です。

モンスターファックアンドスラッシュ   作:不落八十八

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#13

 ――穿界迷宮『YGGDRASILL』、接続枝界『黄泉比良坂』――

 ――第『参』階層、『既知』領域――

 

 週の折り返しを過ぎた金玉キラキラ金曜日だなんて言われている曜日なので早速ダンジョンだ。

 どんな脈絡だよと言われてしまいそうだが、前世のネトゲ廃人の血が疼くのだ、ハムれと。

 ハムスターの滑車回しの如く、回れ回れダンジョンを、回転数こそが全てだパドルパドル。

 まぁ、磨具奈さんに調整して貰った『蛮鬼剣』を試運転したいだけなんだけどな。

 全長1.5m、重さ五十キロ、両刃の西洋剣モチーフなのに刀身真っ黒のグレートソードであり、柄を握り締めて魔力を込めると重量を2倍に変更する能力を持っているそうな。

 最大重量100キロ、人には早過ぎる武器だよこれ。

 検証の結果、元の重量以下にはできないと分かったので、羽根より軽い大型剣にする事は出来なかった、将来に期待だな。

 検証しつつゴブリンを始末し、薙ぎ払いの時には通常に戻して、振り下ろしの必殺の時だけ重量増加する方向で良いなと確信する。

 インパクトの瞬間に重量を上げれば威力が増加する、だなんて空想科学を妄想してやってみたら二倍でも手首が死ぬかと思った。

 もしくは俺自身の筋力がもっと上がってから使うべきかもな、いやまぁ五十キロの時点で人並み以上ではあるんだけども。

 

「チェェッすっぞぉおお!」

 

 腕の長さを含めて間合いは2m弱、玄室の三分の一くらいを占める範囲なので、四頭身の低身長なゴブリンでは武器が此方に届かない。

 粗末な槍を構えたゴブリンならワンチャンあるが、既知領域のゴブリンと言う事でレベルが下振れしているので構えても反応できずにさくっと死んでいる。

 一匹だけガッツがあったのか此方に槍を突き出してカウンターを仕掛けてきたが、『ゴブリンランサー』と言う一段階上がった強さのゴブリンでさえも、第二段階『怪物王』レベル20の物理強度を貫く事が出来ず、肌にチクッとしただけだった。

 やはりレベル、レベルこそが全てを解決する、故にハムる以外の選択肢は無いのだ、ヘケェッ。

 無双シリーズのゲーム宜しく『蛮鬼剣』による薙ぎ払いで、道行くゴブリンが死んでいくので気分爽快である。

 後ろからせっせとリーナとルーナが革袋を手にクリスタルを拾い、その後追いをする太志たちがドロップアイテムを拾う感じでガンガンと先に進んだ。

 一時間程ぶっ続けで無双したものの、ドロップアイテムはあれどもレベリングとしては微妙だった。

 

「あー……、『怪物王』レベル22、ですな。三桁くらい狩っておりましたが、やはりレベル差があるからか経験値効率は悪い様ですなぁ」

「うーむ、だよなぁ。途中から段々と正気に返ってそんな感じはしてた」

「ぶんぶんぶん、首が飛ぶ。沢山、首ちょんぱ。……怖い」

「きゃう!」

「わふ!」

 

 見て見てと革袋に詰まったクリスタルを見せ付けてくるリーナとルーナだが、それは俺の時給だぞ。

 お陰様でモンスターカードもちらほらドロップした様で、十数枚のゴブリンカードをしれっとスカートのポケットに仕舞い込んだ錫花さんの頭をスパンっと小気味良い音を立てて太志がしばいていた。

 モンスターカードはその希少性からゴブリンやコボルトであっても結構な値段で売れるので、勝手に懐に着服するのはNGだ。

 スカートのポケットからカードを回収し、戦利品の背嚢に仕舞い込んだのを見て錫花さんはむくれていた。

 しっかし、こうもしっかりと経験値減衰が入るとはなぁ、グラブルの威力減衰並みにがくっと下がったぞ。

 これではクラスチェンジが可能と思われるレベル30まで遠いんだが、今でこれだとどんどんと減衰されて千体以上狩る羽目になるんじゃなかろうか。

 既知領域で10~20のランダムリポップと言う仕様も相まって、上限個体の多いであろう既知外領域と違って下振れ感が強い。

 この階層から第一段階に上がったゴブリンたちが出てくるのだが、手にした武器の名称が付いたものばかりで群れてる以外は弐階層とあんまり変わらなかった。

 と言うかノービス10+『怪物王子』20+『怪物王』22の計52に対し、ノービス10+第一段階ゴブリン1~10の最大20なのでそもそも狩場が適正じゃないのが悪いな。

 第二段階にスキップしてしまった弊害と言うべきか、無双できるが言ってしまえば無双できるだけなのだ。

 俺はこんなにもレベルを上げたいのにな、こんなんじゃ満足できないぜ……。

 

「にしても、やっぱりインベントリって神仕様だったんだな。大体のゲームに標準装備されてるけど、こうして持ってないと有難みを感じるわ」

「そうですなぁ。こうして錫花のゴブリンに荷物持ちさせているのは効率が悪いですな」

「太志の異能で選別するか」

「もったいない気がしますが、致し方がないですな。周りの見張り宜しくお頼み申す」

「了解」

 

 太志が魔眼で、ゴミ、ゴミ、カス、ゴミ、と選別して玄室の壁際にポイ捨てしているのを一瞥し、辺りを見回すも見晴らしの良い回廊が見えているので周囲警戒のし甲斐が無い。

 まぁ、参階層になってから群れている事が増えた上に、玄室から玄室を回廊を通って移動する様子も見られたので徘徊している一団も居るかもしれない。

 一応既知領域内であるので、三年生くらいのダンジョンドロップ組が安全マージンで周回している可能性もあるので、先程の慢心を飲み込んで警戒を強める事にした。

 ……結局選別が終わるまでゴブリン一匹も見えず、錫花さんのゴブリン一匹が軽くなった背嚢を背負った。

 俺のレベリングは後回しにし、ルーナを前衛にリーナを後衛に置いたユニットを一つ作り、遊撃に太志、タンクに錫花さんのゴブリン隊を置く陣形に切り替えた。

 俺の役目は2時間程させてしまった物拾いの役割と後ろからのアンブッシュ警戒要員だ。

 

「がぁうっ!」

「きゃうっ!」

 

 『鼓舞』に補助されたルーナが姫ドレスを翻しながらゴブリンに肉薄し、到着までの間に『誘因』を即切りする事で一拍の油断を作り出すリーナの援護が飛び、意識を取り戻して困惑する隙だらけの身体にレイピアによる鋭い突きが放たれる。

 喉、心臓、腹部への恐ろしい三段突きにより、穴だらけにされたゴブリンは倒れた。

 見事な連携であり、絵を描いて図解で教えた甲斐があったなと後方父親面で頷く。

 一対一を押し付ける戦法のリナルナコンビの反対側では、ファランクス陣形で圧を掛けられたゴブリンが太志によるアンブッシュによってサクサクと仕留められていた。

 『傀儡操り』で操っている長盾槍ゴブリンたちに入る筈の経験値は『絡繰り師』である錫花さんに入り、その数%が具象化したゴブリンに入る形式の様なので直接殺さなくて良いのは効率が良いよなぁと思う。

 ファランクスゴブリンズによりチクチクと攻め、長盾を超えようと奮闘する視野の狭いゴブリンの首を狩る太志はもはや暗殺者のそれである。

 次あたりのクラスチェンジでそっちの方に向かう可能性があるんじゃなかろうか、ってぐらいにアサシンだよこいつ。

 

「実家がそう言う感じなんだっけ?」

「いえ、我が家は本家筋のお零れを貰って細々と暮らしていた分家筋の枝先でしたからなぁ、出世欲に目が眩んだ家長が奉公人としての道を検討されたようで、その試金石に奉公へ出されたのが拙だったのです。故に、自衛が出来る剣術を文字通り身体に憶えさせられましてなぁ。今となっては有難い様な憎たらしい様な」

「ん、その奉公先がうちだった。まぐ姉は鍛冶師の一族の出で、よく金物を研いで貰ってた」

「……なので、錫花たちの幼馴染組に拙が後から入った形になるのです。……苦労の始まりとも言いますが」

「まさかの錫花さんが御令嬢ポジかよ。……あー、だから玉の輿を邪推されて分家筋の上の方に蹴落とされた感じなのか」

「えぇ、そうなりますな。……まぁ、こんな所で再び出くわす事になるとは思っていませんでしたが。いやほんと、頭が痛いのでござるよ。拙が此処に入学するからって華族の道を捨ててまで来るとは思わず……」

「愛だよ、愛。まぐ姉も、似た様な感じで、此処に来たし」

「いやまぁ、……女児であった事から優遇はされないとは思っておりましたが。破天荒でしたからなぁ……」

 

 どうやら磨具奈さんも家長の座を得られずに、厄介払い的な感じで此処へ来ているようだった。

 そう言えば、着ていた制服も一般の物であるし華組に入学していた訳じゃなかったな。

 先日しれっと太志が異能ですっぱ抜いた磨具奈さんのクラスは第二段階の『鍛冶師』であり、レアな派生追加クラスの『巨匠』であるらしい。

 『職人』から『鍛冶師』に至り、その後『鎚使い』としての資質があったからか、大型武器に補正の付くレア追加クラスの『巨匠』にクラスチェンジした様だった。

 通常の『鍛冶師』から至る『工匠』は王道な派生だが、『巨匠』は文字通り大剣や大鎚に大槍などの巨大な武器を打つための専門的なクラスになっているらしかった。

 ……成程、未だに倶楽部の長に女性の身で君臨出来ているのは自衛のできる実力があるからか。

 道理でくっそ重い『蛮鬼剣』を軽々と受け取った訳だ、そもそもが大型武器のビルドなのだろう。

 スキルに『重厚加工』『重量付加』と言ったレアクラスっぽいのが発現されているらしく、ほんのりと能力を持つ銘器を打てるってのもそういう特化した物なら、と言う事なのか。

 ……中級以上から勧誘されないのって、そのピーキー過ぎるクラスだからじゃねぇの?

 

「『巨匠』って言うからてっきり御代みたいな匠のスペシャリスト的な感じかと思ったぞ」

「当て字を使わずに呼べばそうなりますなぁ。読み方はタイタンスミスだそうで」

「あー……、巨躯の匠人って事か、紛らわしいな」

「ははは、拙らあんまり当て字の方で呼ばないですからなぁ」

「漢字のままで呼んだ方が文字数少ないからなぁ、つい効率を求めてしまう」

「ですなぁ」

 

 と、なると何故この『蛮鬼剣』を弄る事が出来なかったのだろうか、疑問が残る。

 本人のレベルが低いから、と言う可能性もあるが所詮これ第弐階層のイレギュラーボスのドロップ品だぞ?

 ……まさか、1.5mは大型武器の分類に入らない、って事か。

 いや、これは考え方の問題か、つまりそもそもの尺度が違う、そんな可能性がある。

 あー……、大型武器と巨大武器は別物なの、か?

 

「……まさか、身の丈以上の武器を巨大カテゴリーで纏めてるのか?」

 

 俺の呟きに首を傾げた太志だったが、視線の先に『蛮鬼剣』があった事で言葉の意味を察したようだった。

 『蛮鬼剣』を立てて見れば、成程確かに165㎝しかない俺だと顔の前に柄尻が来るな。

 ……今思えば、これで磨具奈さんが自慰してた時に足元がそれ専用な感じで収められる開閉式の床があったな。

 つまり、普段これよりも大きな武器の柄でそう言う事をしてらっしゃる?

 

「とんでもない拗らせ方してねぇかあの人」

「……時の流れとは残酷ですな、知りたく無かったそんな事」

「まぐ姉の、武器。重さで、床が抜ける。だから、先に抜けさせた、って言ってた」

 

 そう言えば床から一部ごっつい大きさの棒が伸びてたが、まさかあれ装飾とかじゃなくて磨具奈さんの得物なのだろうか。

 うっわぁ……、だからあの位置でお弟子さんたちが手慣れた感じで正座ニーしてたのか。

 あの場所で自慰をして痴態を晒す部長をおかずに肉棒を扱いてフラストレーションを溜め込んで、鍛冶と言う形でその熱を叩き込む、そんな感じなのだろうか。

 ……縛った女体の前で蕎麦を打つAVもあるくらいだしな、性癖にも多様性は必要か。

 

「多分お前が作り出した感じの奴だぞアレ」

「当時十二歳ですぞ拙ぅぅ! 翻弄されてたのでござるよ、奉公人の立ち位置でしたゆえ!」

「あれは俺には手に負えないものだ、しっかりお前が引き取ってくれ」

「むぅ、遺憾の意」

「きゃう?」

「わふー」

 

 こら、そこでこっそりと、パパのサイズでかいから丁度良いんじゃない、とか言うな。

 流石にあそこまで拗らせた女性を侍らせたくねぇんだよ、クーリングオフ利かなそうだし。

 丁度良いところに拗らせ地雷撤去太志が居るからそっちに任せるんだよ、三人ともなぁ。

 まだ見ぬとら姉とやらの素性を聞くのが楽しみでありながら、怖い物見たさの気分になってきたぜ。

補修レイドは……

  • オリジナルレイド
  • 轟天石榴山
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