早速『収納袋』に『蛮鬼剣』と『スレイヴゴブリン』たちに持たせていた武器を収納しようとしたが、流石に武器の類はストックできない様で余りが出てしまった。
長さ的に収納が大変な『小鬼長槍』4本を仕舞い、後は背嚢に入れて回収する事にした。
『収納袋』にはリーナとルーナのカード、『スレイヴゴブリン』レベル10のカード10枚、レベル1のカードが4枚、『蛮鬼剣』、『小鬼長槍』4本、で計9スロット埋まった。
そして、何故か最後の一つが既に何かが入っていてロックされている様だった、何故に。
……ううむ、『スレイヴゴブリン』たちに持たせる武器をどうにかしたいものだな。
一本が十本に分裂したり分身したりする銘器とか拾えたりしないだろうか。
最初の時は爪で倒してたし、むしろ全員に徒手格闘を修めさせてしまった方が良いか?
いや、それは流石に本末転倒か、どうしたものかと悩みつつ、クリスタルでパンパンな革袋を換金に出して銭カードに入金する。
……っと、あぶね、つい癖で太志たちにも送ろうとしていた。
入った人数の頭割りがうちのパーティの鉄則なので、ソロで入ったら山分けは無い。
「やべぇ、一人でソロった方が遥かに効率が良いな……」
気が付かない方が良かった事に気が付いてしまいつつ、たんまりと入った銭の使い道に想いを馳せる。
贈り物と言う体でリーナやルーナの衣服を買うのも良いかもしれないなぁ。
自然と自室の方へと足が向き掛けたが、海燕荘の方へと向き直して歩みを進める。
真奈美さんのご友人をうちのパーティに勧誘すると言う名目でお昼に待ち合わせをしているためだ。
正直必要かと言われると別に要らんのだけれども、倶楽部が欲しいし何なら部室も欲しいという強欲な錫花さんの包丁チラ見せ術による説得により頷いてしまったので、一人でも多く人手が欲しいのである。
漸く海燕荘の近くに辿り着いたのは良いが、何故だろう、あちらにある別荘の三階あたりから物凄く嫌な予感がしてくるのは。
触らぬ神になんとやら、今日も一日ご安全に、と言う事でスルーしておく。
入口に辿り着き、スマホが無いのにどうやって到着を伝えるべきかと悩ましく思っていたが、『隷属首輪』で指示すれば良いかと到着したので迎えに来て欲しいと弱めの思念を送る。
すると上の方の部屋のドアの勢いよく開く音が聞こえ、ドタバタと下に降りてくる階段の音が響く。
そして、貸したスウェットをどたぷんと揺らしながら此方に向かってくる真奈美さんの姿にちょっと一息吐いた。
もっとも、そこで油断せずにいるべきだった、と此方の腹部に抱き着いた衝撃を逃せなかった事で少し思うのだった。
まぁ、バストクッションでもにゅんっと衝撃の大半が殺されてはいたが、重みは殺せないからな流石に。
「も、申し訳無いっすご主人様。先に出迎えのために入口の所で居るべきだったっす」
「あぁ、いや、大丈夫だよ。俺と君はこれで繋がってるだろ」
「はい……、四六時中ご主人様の事を考えられるので最高っす」
「……そっかぁ、まぁ、悪い気はしないからいいか。ところでご友人は?」
「あ゛っ、今呼んでくるっす!」
恍惚に牝顔晒したり驚いたりと忙しない表情を浮かべながら、わたわたと戻って行った真奈美さん。
お陰で海燕荘の住人と思われるお姉さま方や同じ一年生っぽい人たちからの視線がこれでもかと突き刺さっていた。
何とも言えない雰囲気であるが、真奈美さんが戻ってくるまで耐え忍ぶか。
だなんて思っていると、狐の様な印象を感じさせる糸目のすらっとした先輩が此方に近付いて来ていた。
「こんにちは」
「おや、こんにちは。君が真奈美くんの言ってたご主人様かい?」
「……まぁ、成り行きで、って感じですがね。あんまり揶揄われても半日以下の関係性なので何も出ないですよ」
「それはまた……正直に言うなぁ君。まぁ、良いか、私はこの海燕荘の寮長をしてる宮子だ」
「黒鵜荘の一年丙組の竜胆です、宜しくお願いします」
そう自己紹介を受けたので一礼をして挨拶を返すと、やや眉を顰めて怪訝そうな表情を浮かべられた、なにゆえ。
「あぁ、ごめんね。まさか一発であそこまで隷属させた新入生って聞いてたから評判がね……」
「その、隷属とやらがあんまり良く分かってないのですが、やはり外聞が悪い物だったりします?」
「んー、いや、人によりけりだけども、二年以降になったら自然と日常になっていくからねぇ。実際私も一年生の頃にひーこらさせられて『
「……? いえ、スレンダーな容姿をされているので魅力的だと思いますけども」
「……んふ、そっか。今後もうちに入り浸る様なら見極めが必要かなと思ったけども、……君にちょっと興味が出て来ちゃったな。今から時間は……、あー、無さそうだね」
宮子さんが後ろを振り向くと、ズンズンと此方に歩いて来る一団があった。
先頭には大きく出されたおでこが特徴的なTHE堅物委員長と言った様子のスレンダーな少女が怒り心頭と言った様子で歩いて来ており、真奈美さんはその子の後ろで宥めようと奮闘している様だった。
俺たちの間に入り込んだおでこ委員長は此方にびしっと細い指を差してから、腰に手を当てて宣った。
「認めないわよ! 男なんて皆ケダモノなんだから! 真奈美の容姿に欲情して襲い掛かった奴らのお仲間なんでしょう!?」
「み、満子ちゃん、違うって言ったっすよね!? ご主人様は悪質な先輩たちから守ってくれた人っすよ!」
「でも、自室に連れてかれてぺろっと食べられてるじゃないのよ! あいつらとこいつと何が違うってのよ、同じでしょ!」
「うーん、何も言い返せないな……。俺としても当初はそうなる予定じゃなかったら特に……」
「あぁっ、す、すみませんっすご主人様。満子ちゃんはうちの漫研の部長だったんで、それで色々とキツイ子なんすよ」
「しれっと自己紹介入れてるんじゃないわよ! だいたい見た目がこんなになよって、……なよ、……線が細いだけで筋肉質ね。前言は撤回するわ、少しは出来る様だけど真奈美に相応しいとは思えないわ!」
「じゃあ、これまでだな。さよなら真奈美さん」
「うぁわぁあ!? そ、それだけは勘弁して欲しいっすよご主人様!? くっ、こうなったら満子ちゃんを手籠めにしてでもご主人様の事を認めさせてやるっすぅう!!」
「んきぁあああ!? ど、何処触ってるのよ馬鹿っ!?」
多分だが俺の事をご主人様呼びしてたからそんな風に拗れたんじゃなかろうか、そんな姦しい二人のキャットファイトを見ているとその後ろに居た三人の女子の一人と目があってしまった。
あ、どうも、と会釈すると、大変ですね、って感じで柔らかく返されてしまった。
おでこ委員長こと満子さん以外の三人はTHEモブと言うか、別の世界線では正義実行委員会モブとか風紀委員モブとかミレニアムモブとか呼ばれてそうな感じだった。
やや目隠れ属性と言うか、むしろ満子さんや真奈美さんよりも俺と波長が合いそうな感じすらする。
二人のキャットファイトを見てあららと溜息を吐いた宮子さんが場を執り成し、取り合えず寮内の雑談室へと招き入れられたのだった。
女の子の部屋ってこんな感じの匂いなのかなぁと思いつつ、やけに良い匂いのする廊下を通って雑談室に通された。
……のだが、何故か此方のソファにしれっとモブちゃんずが両隣に座り込んでおり、反対側のソファに座った満子さんと真奈美さんを驚愕させていた。
「なんであんたらがそっち行ってるのよ!? こっち側でしょうが!」
「全員でそっち居たら狭いかなって」
「それに真奈美ちゃんが抜け駆けした人だし」
「ちんちくりんな私たちに牙剥く人じゃないっしょ」
「え?」
いや別にそんな事無いが、と困惑の表情を浮かべて口にしたら、マジで、と言う表情で覗き込まれてしまった。
「こらぁー!? なに人のご主人様を取ろうとしてるっすかぁ! ご主人様は……、そうだった、そっちの気もある人っすね……」
「取り敢えず一二三姉妹はこっちに来なさい!」
「えー、一美的にはこっちが良いかなって」
「そうそう、二美も同意見です」
「三美もそう思います」
「う、裏切り者ぉー!?」
成程、三姉妹なのか通りで髪型以外殆ど同じだなぁと思った。
真奈美さんだけが肢体で頭抜けており、他の四人はどんくりの背比べと言った様子の幼女体型であった。
いやまぁ、つい先月までは皆中学三年生だった訳だし当然と言えば当然なのか。
「えーと、取り敢えずダンジョンの開門まで時間が迫ってるから話を進めるけども、取り敢えず真奈美さんは俺とパートナー契約をする事になってる。そのついでに君たちもどうかなって話なんだけども」
「反対!」
「賛成、かな」
「賛成、ですぅ」
「賛成、でーす」
此方に座った全員が肯定の意思を見せた事で、反対側の満子さんが吠えた。
「何でよ!? パートナー契約のやばさは教えたわよね!?」
「うーむ、満子ちゃんは強情っすねぇ。と言うか昨日の私の話を聞いてたらむしろ率先して契約すべきだと思うんすけど」
「送り狼した奴と何で契約しなきゃいけないのよ!」
「……いや、別にしなくていいぞ?」
「……えっ」
「俺としてはこの学園が大分女性に厳しい環境だから自己防衛ができる様に申し出ただけだからな。無理矢理に契約を結ぼうとは思って無いよ」
「そ、そうなの?」
「あぁ、満子さんが俺との関係を切りたいって言うなら、昨日の真奈美さんみたいにブレザーだけの姿の状態で下卑た顔の先輩方に追われていても助けないし、何なら声を掛ける事もしないし、足元に縋り付いて助けを求められても断腸の思いで断るよ」
「え゛っ」
頭に血が上っていて冷静な思考ができていない様に思える満子さんに俺はそう誠実に伝えた。
信じられないという顔で真奈美さんを見る満子さんだったが、無情にもふるふると首を振られて本当であると肯定された事で少し恐怖を感じ始めたようだった。
何というか……、よくもまぁこの性格で何もされなかったな、と言う印象を受ける。
クラスの雰囲気で男子は男子、女子は女子、みたいな感じで住み分けされている感じだったのだろうか。
「因みにこの学園はバトルファックシステムが組み込まれてるから一度でも敗北すると性奴隷一直線だから気を付けてね」
「う、嘘でしょ、確かにちょっと風紀が乱れてるなぁと思ってたけど……」
「……満子くん、残念ながら竜胆くんの言っている事は本当だよ。私が経験者だ」
そう仄暗い瞳で満子さんを見る宮子さんのアシストで、本当にそう言う学園なのだと現実が追いついたらしい。
てん、てん、てん、と呆けた後に真奈美さんの肩を掴みがっくんがっくんと揺すり始めた。
「あんたって子はぁっ! そういう大事な事を茶化しながら冗談に聞こえる様な感じで言うんじゃないわよ!?」
「それは……、誠に申し訳ないっす」
「はぁ~……、で、この人は何処まで信じられる人なのよ」
「勿論全幅を置くっす、私の処女に誓うっす」
「あんた破瓜ったって自慢してたじゃないのよ!? ……ごめん、なんかもう疲れてきたんだけど」
「まぁ、パートナー契約をお試しでしておく事は良いと思うよ。これがあるだけで無理矢理にされる事は無くなりはしないけど減ると思うから」
「ほんっとこの学園どうなってんのよ!? あぁ、もう……、ごめんなさい、前言撤回するから私もお願いしてもいいかしら」
「えぇ……」
「そこは頷くところでしょうが!?」
くつくつと笑みを零してしまったので揶揄った事に気付かれてしまったようで、満子さんは疲れた様子で真奈美さんのおっぱい枕に後頭部を埋めたのだった。
なんとも愉快な子たちだなぁと思いつつ、内心でこの子たちを抱かないといけないのかよ、と白目剥いた。
いや、うん、容姿も好ましいし、性格も楽しいからシても良い、シても良いんだけども。
真奈美さんがノービス2だった事もあり、明らかに他の子もそれくらいのレベルだよなぁ。
えぇ、また生命の危機を感知しながら致さないといけないのか、それは何と言うか勿体無いというか、不完全燃焼というか……。
あぁ、でもそうか、パワーレベリングしてノービス10にしてから致せば良いのか。
もしくは……『隷属首輪』の発動を意識すると薄っすらと成功確率を体感で感じる。
……あれ、宮子さんも含めてなんかできそうだぞ『隷属』、なんでだ?
『娼婦』になったと言っていたから第一段階に至っている筈だし、失敗するものだと思っていたんだが。
もしや、『隷属』に必要なのって絆レベル的な感じで好印象である事とか、だったりする?
試しに此方の会話を覗いているつもりなのだろう、あそこの先輩に意識を向けてみると失敗しそうな感じがする。
宮子さんにフォーカスを向けると、やはり成功しそうな感じがする。
……取り敢えず、まぁいいか、適当な枚数貰って来たパートナー申請用紙を机に置いた。
「……何と言うか型破りな性格なんだね、君」
「使える物は使ってなんぼでしょう。これの有用性とクソさは理解しているので」
「成程ね、出る杭打たれないようにしときなよ?」
「あぁ、大丈夫ですよ。既に何とかしたので」
「……ねぇ、一人増やすつもりない? ちょっと『
「宮子さんもですか? 自分まだ尻の青い新入生ですよ」
「……青田買い、と言うよりも身売りかな。何となくだけど君に媚びを売っておいた方が、後々で財産になるって気がするんだ」
だなんて甘言を口にしながらソファの背凭れ越しに俺をあすなろ抱きする宮子先輩。
一個上だと言うのに随分と色気があるなぁと思いつつ、こうして自分を信じて頼られるのは良い気分であるし、倶楽部を作るのに丁度一人足りなかったのでそれを条件に伝えてみようか。
「ちょっとした理由で倶楽部を作る予定なんですが、入って貰えます?」
「……あはは、将来有望ってレベルじゃないよ君。どうしよっかな、君に全賭けするの良いかもしれない」
だなんて言いながら宮子さんは胸元からパートナー名義変更用紙なる物を取り出して机に置いた。
どうやら俺に全賭けして貰えるらしい、何をそこまで突き動かすのか分からないが――。
誰かの願いや希望を背負うのも悪くないなと思ってしまうのだった。
――用紙に名前を書き、これを受理して貰うために学生決闘を引き起こす覚悟を決めた。
蚊帳の外に置かれた満子さんたちがしょぼーんとしていたが、別に蔑ろにした訳じゃないんだ、ホントダヨ。
補修レイドは……
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オリジナルレイド
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轟天石榴山