しっとりとしたピロートークも束の間、腹ボテ状態で這い擦る様に近寄る恐怖を感じつつ、浮気現場が目撃された様な心地で慌てていた。
頼りになりそうな宮子はまた瞳を閉じてお休みモードに入っているし、なんてこった逃げ場が無い。
「んな状況で宮子先輩の手をにぎにぎしてんじゃねぇっすよ!」
「そうだそうだ」
「贔屓だ、エコ贔屓だー」
「親の七光だー」
「いや適当言ってるんじゃないわよ。大体、宮子寮長の苦労を考えたら良い話で済ませるところでしょう此処は」
「はぁー……、これだから良い子ちゃんの満子ちゃんは。分かってないっすねぇ、今ご主人様のヒロインレースで宮子先輩が頭抜けたんすよ」
えぇ……、暗い過去があった人に明るい未来を想像させるのは駄目なのかよ、こちとら善良なオタクだぞ。
と言うか恋を知る前に性行為してる訳なんだがそれはそれでどうなんだろうか。
愛の前にHがあるとか抜かす気か、一理あるが。
「アイテムブロック何処」
「緑の甲羅で仕留めなきゃ」
「でぇじょうぶだ、キラーがある」
「え? 宮子寮長が名前を呼び捨てにされてたのに嫉妬してたんじゃないの? 良いなぁって思ってたんだけど……」
「満子、君だけが俺の癒しだ。変なのに染まらないでいてくれ」
「ひゃっ、い、いきなり呼び捨てにするんじゃないわよ。こ、心の準備ってものがあるんだから……」
「かぁー、見んね」
「卑しか女ばい」
「癒しぢからもお強い」
「既にご主人様と言う変なのに毒されてる件について」
「喧しいわ」
やんややんや、と姦しくなって来たなと思いつつ、6発も尋常じゃない量の射精をしているのに気怠さも無いのが地味に怖いんだが。
どんな改造を受けてるんだよ俺は、とちょっとだけ強化人間的な仮面ライダー味を感じてたのに、突如としてエントリーした対魔忍要素に全てをぶち壊された。
さて、酒池肉林めいた宴もたけなわ、そろそろ本題に入ろうか。
狐寝入りしている宮子を起き上がらせ、全員の汗やらナニやらを綺麗にしてから換気し、エアコンと扇風機を付けて場を一旦冷やす。
そして、夕方と言う事もあり食堂から持って来て貰ったサンドイッチなどで夕飯がてら話す事にした。
「えー、一先ず皆さんのパートナーとしての在り方を示せたと思うので、今後の流れを説明します」
「やはり倶楽部か」
「私もご一緒しよう」
「マタニテ院」
「……あはは、ダンジョンへ行かずに此処で爛れた性活してたらそうなるだろうけども、ご主人君はダンジョンガチ勢だからねぇ」
「えぇ、毎日行きますよダンジョン」
「……えっ」
「週に何回だとか温い事は言いませんよ。この学園はバトルファックシステムに隠れてますが、実のところ弱肉強食の理が軸なので早急に力を付ける必要があります」
「えっ、そうなの?」
「はい。男尊女卑の乱行が罷り通っているから勘違いしそうですが……。学生決闘と言うシステムが学生間の公平な裁定として扱われている以上、学園側は実力主義の暴力で解決しろと言っているんですよ」
「……あっ、本当だ」
「なので、俺たちは学園公認の暴力に対抗するぜ、拳で」
「パワープレイが過ぎないっすか?」
「なお、一番身近な暴力の相手はクラスメイトだぞ。クラスカーストなんかに組み込まれたら悲惨な事になるだろうな。まぁ、そのためのパートナー制度だけども。これがある限り、俺は君たちの危機に対していの一番にカウンター暴力装置として機能できる」
「なんて頼もしいご主人様っす」
「そこに痺れる」
「憧れるぅー」
「抱いてぇー」
「なので、危険が迫ったらこの首輪経由で助けを求めてください。はい、練習。助けてー」
異口同音で、助けてー、と呟きながら首輪に触れる6人。
羞恥心からか皆か細い思念が届くが、唯一真奈美だけ大音量の思念だった、心の中がキーンってなったわ。
必ず助ける、と全員に送信すると、繋がりを確かに感じられたからか朗らかな笑みが浮かんでいた。
「とまぁ、緊急を要するなら首輪で、周りに人が居るなら学生決闘あたりに俺を絡めてくれればいいかな」
「……普通新入生のビックマウスってなるけど、ご主人君は別よ。既に二年生を血祭りに上げてるわ」
「へし折っただけで血塗れブッシャーとはなってない筈ですけど」
「と言うか『闘技場』ならまだしも学生決闘では殺人は御法度よ。問答無用で反則負けになるから気を付けてね」
「え、マジですか。あの時のあれ、普通に殺すなって言ってたのか仕切りしてた人」
「と言うよりも、何でもありのルールを適用する事が少ないのよ」
「一撃決着とか体力半分とかする感じですか」
「前者は兎も角後者は視覚化が難しいわね」
「成る程……」
何でもありのバーリトゥードは普通じゃないのか、つまりあの時のカスは本気で俺を甚振るためにセレクトした訳か。
……うん、よっぽどの格上以外はバーリトゥードで良いな。
ダンジョンと違ってしっかりと躾ける事が出来るだろうし、何よりも挑まれている時点で真奈美たちを賭けられている可能性が高いからな。
死なせてくださいと言わせる様な目に遭わせてやらねばケジメにならんな、潔ければ介錯無しで切腹でもさせるか。
だなんて頭のジャポニカ虐殺帳に書き留めていると、右から満子が、左から真奈美が手を握り腕を絡めて来た。
「あのね、あんた恐ろしい事考えてたでしょ」
「その、『隷属首輪』で心配と怒りの混じった思念が漂っているのを感知しちゃったっす」
「成る程、つまり頭にアルミホイル巻けば良いんだな」
「……あんたの気持ちは嬉しいわよ、ほんとよ? だからこそ、無駄な事に割いて欲しくないのよ」
「……つまり?」
「んもぅ、言わせないでよ恥ずかしい」
ちゅっ、と頬を染めて唇を重ねた満子に情欲がムラッと来た、可愛いが過ぎる罪で接吻刑に処す。
満子だけではなく辛抱堪らなくなった真奈美たちも入れ替わり唇を重ねた来たので、言いたい事は何となく理解出来た。
んな事考える暇あるなら自分らに構え、と言ういじらしい乙女心な訳だ、可愛いなぁ。
「……で、ご主人君の隠し事って?」
「……聞いちゃいますか、このタイミングで」
「まぁ、君の事だからとんでもない事なんだろうけども、爆弾処理は早めが良いわよ」
「っすよねー……」
とんっと後ろから抱きしめて来た宮子に鋭いのを刺されたので、渋々と、この場の雰囲気を木っ端微塵にするであろう情報を開示する事にした。
「……はぁ。来い、リーナ、ルーナ」
「きゃう」
「わふっ」
『収納袋』から取り出したカード2枚を『隷属具象化』し、リーナとルーナを呼び出す。
唖然とする宮子を筆頭に驚愕の表情を浮かべていた。
わなわなと二人を指差す宮子に、お、なんだなんだ、と無邪気に絡みに行く二人を止めて紹介する事にした。
「えー……、壱階層と弐階層の隠し部屋に居たゴブリンクイーンとコボルトクイーンとのバトルファックで手に入れた、モンスターカード娘のゴブリーナとコボルーナです、仲良くしてあげてね……」
「きゃぁう」
「わふん」
「……え、今思いっきり宣戦布告されませんでした?」
「隣は私たち、お前らは床、みたいな事を言われた様な……」
ぺしりぺしりと調子に乗った二人の頭をしばき、ごめんなさいをさせる。
パパの番は私たちなのに、じゃないんだよ、単純に礼儀の問題だ。
むぅ、とやや拗ねた問題児二人を抱き締めながら、未だに呆然としている6人に説明を続ける。
「その、この娘らは『ハーフゴブリンプリンセス』と『ハーフコボルトプリンセスナイト』、ハーフの所で察しちゃうかもしれんが俺の娘みたいなもんなんだ。中身はやんちゃ盛りなので大目に見てやって欲しい」
「……と言うか今、クリスタルを使わずに召喚、したわよね……?」
「あぁ、それもなんですが、最初の特別実習から今まで一度も死に戻りしてないんですよ俺」
「じゃ、じゃあ、魂魄結晶って言うのも……」
「持ってる状態だな。だから多分外でもスキルを使えるんだと思う。……と言うか、『隷属首輪』のあたりで気付くべき事だったんじゃないか?」
「いやほら、インパクトが強過ぎて、それにムラムラしてたし……」
「きゃう」
「わふっ」
「汚い言葉は使っちゃダメって言っただろうが。そう言うのは敵だけにしなさい」
「きゃぁぁう」
「わふー」
「はいを伸ばすんじゃないよ、まったく……。と言う事で俺の隠し事はこれぐらいかな」
ステータス的にリーナとルーナには勝てない面々なので、左右のポジションを奪われて悔しがっているご様子。
唯一後ろからあすなろ抱きしている宮子だけは二人も排除しなかったようで、『遊び人』第二段階の『娼婦』と言う実力を見抜いているようだった。
構え構えーと甘えてくる二人の幼稚さに段々と敵視するのもアホらしくなったのか、次第に微笑ましい物を見る目になっていた。
ってこら、中指を使って開発の続きを勝手にしようとするんじゃあないよ。
「むぅ、見た目が被っている」
「モンスター娘、略してモン娘」
「ポケットコックモンスター、グリーン&ブラウン」
じりじりと一二三姉妹が近寄り、膝立ちになりぽっこりとした腹ボテを見せ付ける様に牽制を始めた。
それを見たリーナとルーナはガーンっとショックを受けており、涙目で此方を見て縋りつき始めた。
いや、リーナたちと性交できないからその代わりを連れてきたって訳じゃないから。
むしろ、リーナたちを守る肉盾として用意するつもりだったんだけどなぁ……。
その一瞬の思念を嗅ぎ取ったのか真顔でスンッとなった二人に頬をムニムニされる刑に処されてしまった、いひゃいいひゃい。
……良し、一番隠したかった魂魄結晶の有無についての情報は何とか隠せたな、ヨシっ。
だなんて思っていたら、宮子がこっそりと耳打ちしてきた。
「……いつかちゃんと教えてね」
「……うっす」
ダンジョン攻略と並行して魂魄結晶の復活とか生成について調べないとなぁ。
すでに情が移ってしまった6人をそのままの状態にしておく事なんてできやしない。
太志がグロンギの兄を探す様に、俺もまたそれを見つける事を主目標として掲げておくかな。
取り敢えず言うべき事とやるべき事はやったので、そろそろお暇するかな、と立ち上がろうとしたら宮子に体重を掛けられて身体張って止められてしまった。
「本当は寮の皆に了解を得ないと駄目だけど、この部屋は海燕荘のソロニティリーダー権限でご主人君の部屋として解放するわ。連れ込み宿みたいに使っても良いけど、……まぁ、ご主人君なら大丈夫かな!」
「善良なオタクにナンパなんてできやしませんよーだ。リーナとルーナが居るから良いや」
「あぁもう変なとこで拗ねないで欲しいっすよ。少なくとも6人はご主人様の事が大大大大大大好きな女の子が居るんすから」
「そ、そうよ。責任、取ってくれるんでしょ……?」
流石に震えた寂しそうな声で問われてしまうと相手が満子な事もあり、おいで、と両腕を開いて抱き締めるくらいはしてしまう。
自分に好意を向けてくれる女の子を邪険に出来るオタクなんて居ないんだよ、ぎゅーっと抱き締めて接吻も落として可愛がる。
腕の中でテレテレと頬を染めて甘える満子、この甘ツンデレでこっぱち元漫研部長可愛いなぁ。
クラスメイトの男子の見る目の無さに感謝してやらないとなぁ!
「……普通なら好意を逆手に品の無いセックスに持ち込むのよ、この学園の男子って。だから私たちは恵まれてるわよ、身体ではなく心で受け止めてくれるご主人君なんだから」
「っすね。っぱご主人様しか勝たないっす。……それはそれとして満子ちゃん可愛がられ過ぎっす! 私たちも混ざるっすよ宮子先輩!」
「んふふ、そうね。でも既に私は後ろを確保してるわ」
「……あっ、出遅れ私だけっす!?」
「くくく、真奈美は我ら」
「四天王の中でも最弱」
「胸のデカさは戦力の決定的差ではない」
しれっと両脇のリーナとルーナの間に挟まり、無表情めいて実は愛嬌のある一二三姉妹が抱き付いて頬擦りしてくる。
……ん?
こうして抱き付かれて異変に気付いた、出口は何処だ。
「……なぁ、いつ排出したんだ精液」
「……へ? あ、ほんとだ」
真正面から抱き付いていた満子の下腹部がボテ腹では無く、なだらかなぷにった腹部に戻っていた。
周りを見遣れば誰もが子宮にあった筈の精液が消えており、床が白濁に染まっている様子も無い。
一番鱈腹吐精した真奈美を見れば、臨月な妊婦お腹から他の子たちと同じくらいのボテ腹になっており、その腹が段々とへこんでぶにった腹部になったのを確認した。
現在進行形で消えて行った様子を見た全員がSAN値チェックする羽目になった、どう言うこった。
と、混乱しているとリーナとルーナだけは、当たり前じゃんと言った表情を浮かべていたので聞いてみた。
「……え、俺の精液って人でも経験値として吸収されんの? 『怪物王』で『隷属』してるから? モンスターだから得られた訳じゃない?」
「きゃう、きゃぁう?」
「わふっ、わふぅん?」
「何なら余剰経験値を貯蓄して精液に変換出来る? えぇ……、知らん……、何それ……、怖っ」
『隷属』し鎖に繋がれた相手限定の様だが、精液を筆頭に体液を媒介して経験値を与える事が出来るらしい。
……明日太志に隠しステとかを調べて貰おうかな。
自分の事ながら自分の身体を理解出来てないのは普通に恐怖だ。
宮子に布団を敷いて貰い、昔懐かしのバカ殿様めいた肉布団状態で眠る事にした。
なんで俺以上に俺の事を知ってんだよ、とホラー味を感じていたら、『隷属首輪』の繋がり方が二人だけ違うらしい事が分かった。
真奈美たちが無線LANならリーナたちは有線LANみたいな感じらしく、得られる思念と言うか情報量の上限が無いのだとか。
何てこった、リーナたちに関しては常に思考盗聴状態だったらしい、道理で話してないのに意思疎通が出来る訳だ。
「……って言うのを天邪鬼のお姉さんに教えて貰ったぁ? え、俺の性格が擬人化してんの? あ、逆? お姉さんが俺の中に居座ってたからそうなった? ……そっかぁ」
寝落ちたリーナからとんでもない情報が共有され、開かずの『収納袋』十番目ポケットの正体が発覚したのだった。
情報量、情報量が多過ぎる……!
……寝よう、明日の俺が何とかしてくれるだろう。
補修レイドは……
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オリジナルレイド
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轟天石榴山