※この作品はR-18です。

モンスターファックアンドスラッシュ   作:不落八十八

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#49

 ダンジョンに入り浸った日曜日が去っていき、四週目の月曜日だ。

 既に黒鵜荘の自室ではなく海燕荘の宿直室が自分の部屋になりつつあるが、淫らに乱れている女子たちを視界に入れると自分の部屋って感じがしてくるな、刷り込みかなにかかな?

 朝からセックスする程頭ピンクピンクしてる訳では無いので、スウェットを着込んで洗濯機に突っ込んだ制服たちを回収しようとランドリーに向かうと既に管理人の御姉様方の手で綺麗に畳まれた洗濯物が並んでいた。

 ……そういや、グレイウルフ君の姿が見えないな、首輪を辿ると管理人室の方へ伸びているのが感じられた。

 綺麗なお姉様方に可愛がられているようだ、賄賂としてそのまま遊ばれていてくれ。

 そんなぁ、と言うか細い思念が飛んできた気がしたが無視した、気持ちげっそりした声色だったけれども。

 畳まれた制服を宿直室に回収し、精液と愛液と汗の匂いの混ざった性臭が籠った部屋の窓を開けて換気しておく。

 内側にある名前の刺繍でセットになっているようなので玄関口に置いておけばいいか。

 シャワー室でさっぱりしてからストレッチをして、伸びをしてから制服に着替える。

 空腹を全く感じないどころか何処か満たされている心地であるが、腹では無く胸奥なので取り敢えずルーチンとして食べる事にしよう。

 食堂へ向かうと艶々とした様子の御姉様方が朝食を作っていたので、あぁ、うん、物好きも居たもんだと気が付かなかった事にした。

 THE和食と言った鮭の切り身から始まるラインナップの朝食を食べ、おかわりを聞かれたので喜んで貰う事にした。

 食事を必要としない身体であるが味覚が失われなかったのは有難い事だったな、流石にそこまで人間捨てるのは困るぜ。

 

「うーん? なんか騒がしいな」

 

 教室に向かうと和気藹々と騒がしい一角があり、見やれば……えぇと、誰だったか。

 ミツルギ、じゃなくて、キリトじゃなくて……あぁ、和人君か。

 会話を盗み聞くとどうやら『勇者』と言うユニークなクラスにクラスチェンジしたのらしい、そっかー。

 ぶっちゃけ勇者って罰ゲームじゃんね、誰が喜んで魔王の暗殺に繰り出すんだよ、と言うか堂々と名乗るなよ魔王軍の魔の手が迫るだろうが。

 囮になるのは良いけどもそれなら各国が協力して魔王軍に当たれよ、囮の意味ねぇじゃねぇか、ホワイトベースかよ。

 さて、和人君はTHE光の者って感じのオーラではあるが、うーん……、雑魚いなぁ。

 『勇者』だなんてユニーククラスになるポテンシャルがあるのであれば、第三段階くらいの肉体強度をしていてもおかしくないと思うだが、どう見てもアレ第一段階相当なんだよなぁ。

 早熟で後半インフレするタイプなのだろうか『勇者』、それとも『勇者王』とか『超勇者』みたいな感じでドラゴンボール並みにインフレしていくんだろうか。

 謎護国精神の判定では味方や敵でも無い様子、と言うか弱過ぎて炉端の石レベルの脅威度だな。

 

「おはようございますぞ。その様子だと既に察している様子ですな?」

「あぁ、うん。無視で良いよ、今のところは。後半インフレ系かなーとは思うけど」

「ふむ、そう言うタイプなのですな。ですが、その、彼方の方は」

「言うな、見るな、聞くな。多分俺のクラスの亜種だぞ。似たような肉体強度してるからな」

「規格外の上澄みですか、怖いでござるな……」

「番長として仕切らせて貰う、みたいなタイプじゃなくて良かったな本当に」

「ほんとそれ、ですな。にしても……何か良い事でもあったんでしょうな」

「……武器を取り出したな、虚空から」

「……インベントリスキル持ちでござるか」

 

 窓際の机の後ろに立った叶馬君は何処からか取り出したナイフとダガーを指に挟み、左手にはアックスを握り締めていた。

 うーん? お仲間の誠一君が気付いて無いあたり、いつもの暴走かね。

 アックスを投げては受け止めてと投擲の準備運動らしき事をし始め、右手のナイフとダガーも宙を飛び始めた、何をするつもりだろうか。

 的当てをするにしても反対側には何も置かれていないので、むかつく奴を的にする算段なのだろうか、だなんて冗談を思い浮かべる。

 その奇行に気付いてしまった事で凍り付いた教室にて、唯一楽しそうに武器を見せびらかす叶馬君の様子を見守っていると、指の挟みが緩かったのかナイフが凄まじい勢いで此方に飛んできたので思わず掴んでしまった。

 明らかに太志の額に一直線だった事もあり、咄嗟の事だったので普通に刃の部分を掴んでしまったが、この程度ならば素手でも切れやしない。

 だが、その一瞬の死の気配に制御をミスったのか『偽装工作』がブレたのを感じた。

 瞬間、隠蔽が剥がれた事で飛んでいくナイフを知覚できてしまった3人くらいに掴んだ瞬間を見られてしまった。

 誠一君と和人君と……、誰だこいつ、いつも下品な事を抜かして女性陣にドン引きされている三馬鹿の1人だな。

 これは……小鬼シリーズを手直した物だろうか、なんかそんな名残を感じるナイフだ。

 掌でナイフをくるりと回転させ、此方を見て申し訳無さそうにする叶馬君へと投げ返してやると見事な指キャッチをしてくれた。

 ……と言うか『偽装工作』を普通に貫通して此方を認識してるな、もしや一定レベル以上には効かないのだろうか。

 あの感じからして暇潰しにジャグリングでもしようとしたのだろうか、それにしては人死にが出そうな致命的なミスをしていたが。

 会釈を返してくれたので会釈し返し、未だにガクブルしてる太志の頭にチョップを入れた。

 

「おら、再起動しろ太志」

「も、申し訳ないでござる。明らかに直撃コースだった故、流石に死の恐怖が」

「それで良いのか隠密系。常在戦場って言うだろうが、叶馬君居るんだからそれぐらいの覚悟で居ろよ」

「それはそれで失礼なのでは無かろうか?」

「と言うか自分で弾けあの程度」

「いやいやいや、常人で反応できる速度では無かったでござるよ!?」

「隠蔽若干ブレたから3人くらい視線で追えてたぞ。あそこで怖い顔してる誠一君と苦い顔してる和人君と……、誰だっけ、あそこのムムムムムムムリって感じに首振ってる奴の横に居る奴」

「確か、翔氏でしたかな。首を振ってるのが白夜氏、ぼけっとしてるのが栄治氏ですな」

「ふーん、まぁ、問題は無いか。囀るなら潰せば良いしな」

「まぁ、程々にでござるよ、クラスメイトでござるし……」

 

 そんな朝の一幕があった午前中の授業は荒ぶりを鎮めた叶馬君のお陰か静かなものだった。

 聞くところによれば最初にクラスチェンジを果たしたパーティらしい、『勇者』くんのちやほやタイムは終了してお通夜と化していた、可哀想に。

 授業が終わり次第速やかに『偽装工作』を纏って教室を出た俺らはパーティメンバーを回収し、『火具土』の部室の前に集まっていた。

 俺らの部室兼販売所となる『鮮血望鏡』の出店が完成したとの事で、それを見に来たのだった。

 トンテンカンと喧しくて暑苦しい『火具土』の鍛冶炉のある場所とは反対側の角に隣接された八畳間程の大きさのログハウスめいた俺らの部室がそこにあった。

 正面側には鉄格子と強化ガラスをはめ込んだ手渡しするカウンターがあり、入るための入り口は『火具土』の土間を過ぎた内側にあるので防犯対策もばっちりの様子だった。

 カウンターから中を覗いても手元しか見えず、売り子のプライバシーや安全性に気を使ってくれたのが分かる。

 

「収容所の面会所でござるか?」

「いんや、俺らの部室だよ。要望通りにしっかり作ってくれたみたいだな」

「くふふ、ボクの子たちに頑張って貰ったからね、注文通りだろう?」

「ありがとうございます砥蘭さん」

「中は畳と棚くらいだから布団とかは自分たちで買ってね」

「了解です、つってもまぁ『鮮血薔薇』の面々が彩ってくれるだろうし、そこらへんはぶん投げるか」

「カードショップを開くとの事だけど、実際ちゃんと集まってるのかい?」

「この通りしっかりと」

 

 分厚いカードの束を見せれば砥蘭さんは若干目を見開いていたが、直ぐにまぁ君だもんなと言う顔で頷いていた。

 中に全員が入るのはちょっと厳しかったので、土間の方を少し借りてちょっとしたミーティングを開く事にした。

 売店の扉を背に振り返り、『鮮血』組と呼んでも良さそうな面々の顔を眺めてから宣言する。

 

「と、言う事で俺らのカードショップ一号店が出来上がったので開店準備に入ろうと思います。玲子」

「はい! オーナー様! 我らが『鮮血薔薇』が集めたカード、ゴブリン32枚、コボルト12枚ですわ。どうぞお納めくださいな!」

「あぁ、ありがとう。あ、そうだ。カードを合成する術も見つけたから後で部長の玲子に教えておくから、必要に応じて戦力強化に使ってくれ」

「……はい?」

「あー……、玲子、お前のカード貸してみ」

「あ、はい、此方ですわ」

 

 受け取った『ゴブリン』lv18のノーマルカードを一美に手渡し、32枚から引き抜いた3枚を追加で渡す。

 何をすればいいかを理解している一美は玲子のカードとゴブリンのカードを両手に持ち、くるくるがっちゃんこと『具象合成』を行ない『グレートゴブリン』のカードを作り出した。

 それを一度玲子に手渡し、『鮮血薔薇』の面々に名前が変わっている事を確認させてから二美と三美ががっちゃんこした『グレートゴブリン』のカードを手渡された。

 当然ながら目の前の現象に困惑している玲子の両手を取り、目を合わせて落ち着かせてから――。

 

「――合成っ!」

「ご、合成、ですわ!?」

 

 ガシャコーンっと両手に持ったカードを打ち合わせる様にして『具象合成』を無理矢理やらせてみれば見事成功させていた。

 目の前にある1枚の『ハイグレートゴブリン』を手にした玲子は、はわわと感嘆しつつも、強くなったカードを見て確かな興奮を覚えている様だった。

 

「と、言う感じにカードは同じ名前のカード同士で合成する事により上限突破が出来る事を発見してな。必要コストは上がるがその分経験値テーブルも伸びるから1体だけの使役なら問題無い筈だ」

「は、はひっ。……はっ、つまりこれも商売に組み込むと言う事ですわね?」

「あぁ、けどそれは経営が上手くいってからの話だな、信用を勝ち取ってからの事業展開となる。取り敢えず、今は皆が強くなるまでは独占技術だな。『文官』の子、手ぇ上げて」

 

 はーい、と手を上げた8人×3枚を29枚から引き抜いて残ったのは5枚だけだった。

 玲子の練習も兼ねて『具象合成』を繰り返し行ない、SPが切れ掛けてへばり始めたら接吻してカービィ宜しくSPを分け与えて続行させた、他の面々に良いなぁって顔をされたので順番にしながらだったから唇がふやけるかと思ったわ。

 見事8枚の『ハイグレートゴブリン』の合成に成功した玲子は額の汗を拭いながら、遣り遂げましたわと言う顔でドヤっと此方を見てきたのでしっとりする頭を撫でてやった。

 これで『鮮血薔薇』の戦力が超強化されたので第参階層も楽勝だろう、本格的に既知外領域でのレベリングとカードの確保をお願いできるな。

 

「基本的に月の売り上げの半分を君らで頭割りして、もう半分は経営費に充てる予定だ。ぶっちゃけ、銭なんざ腐る程購買部の店売りで手に入るからこっちの収入とか赤字とかは心配しなくて良い。と、言う事でこの一週間は俺も第参階層に降りてカード乱獲する予定だから、今日使った分はこれまでの頑張りのボーナスとでも思ってくれ」

 

 手にした『ハイグレートゴブリン』のカードに釘付けだった『鮮血薔薇』の18名が揃って返事をし、それから強くなったカードが嬉しいのか小躍りしている様子だったのを微笑ましく見守る。

 

「このカードショップは『鮮血望鏡』と『鮮血薔薇』の共同部室の予定だから、放課後に此処で入り浸る事もオッケーだ。開店は来週の月曜日あたりを予定しているが、カードの集まり次第では延期だな」

「お、オーナー様はいつ頃来られる予定ですの?」

「ん? あー……、そしたら、ダンジョンから帰ったら戻る時にこっちに一度顔を出す様にしようか。一応『鮮血望鏡』はダンジョン組の集まりとして活動する予定だから、カードショップ自体の運営は『鮮血薔薇』に任せる事になる。……あぁ、だからと言って部外者を此処に入れてヤリ部屋にしないようにな」

「えぇと、それは当たり前じゃないかしら? だってわたくしたち既にオーナー様の女ですわよ?」

「ん?」

「と言うか今更他の男の物を咥える気にはなりませんわよ、ねぇ?」

 

 うんうん、と力強く頷く『鮮血薔薇』の面々に、俺は自分の影響力を過小評価していた事を思い知った。

 彼女たちはパートナー契約をしていないながらも俺に操を立ててくれているらしく、他の男子からお誘いを受けてもあしらっているのだとか。

 ……そうか、毎日海燕荘の宿直室で全員相手してるから、レベルアップ酔いを満たすために見知らぬ誰かと致すと言うシチュにそもそもならんのか。

 と言うか、全員が此方に頬を赤らめて熱視線をぶつけてくるあたり、惚れ込まれている可能性が高いなこれ?

 そこまで惚れられる様な事をしただろうか、精々が理不尽を追い払って、生活向上のために助言をしたり、悩みや相談に乗っていたぐらいしか思いつかないんだが。

 誠実な男のムーブの範疇だと思うんだが、はて、もしやこの子たち惚れっぽいんだろうか。

 

「……何か変な事を考えていそうですがな、竜胆殿。一般生徒の女子はそもそも最低カーストの境遇でこの学園に入れられた者が多いのですぞ。そんなお先真っ暗な環境で、クラスメイトの理不尽な申し出を粉砕し、強さを誇って搾取する事も無く慈善事業さながらに手を差し伸ばして守ってくれる真っ当な男子の時点で好印象でござる」

「嘘だろ、孤児院の頃は似たような事しててもそこまで慕われなかったぞ?」

「……頼りになる兄貴分として慕われていたのでは?」

「あぁ、だから随分とスキンシップが多かったのか、そうか、血の繋がってないのに兄と慕ってくれてたのか」

 

 じーんと感慨深く思っていると、太志は駄目だこりゃと肩を竦めていた。

 つまり俺はこの子たちの大黒柱にならねばならないと言う事だ、と改めて決意を固めてリーダーとして立つ気概を得た。

 豪華客船に乗ったつもりでドンと身を委ねると良いぞ、と大家族のお父さん気分に浸っていると、ふと外から視線を感じた。

 視線に気づかれた事を察して既に隠れてしまった様だが、甘いぜ、『透過眼鏡』に魔力を充填した。

 壁を透視し、そこに居たのは大人びた様子の先輩らしき女生徒だった。

 眼鏡を掛けて知的な雰囲気を醸し出す容姿であり、性風紀に染まって居なさそうな堅物な気配を感じさせる。

 ……んー、何処かで会った気がするなこの気配、けれどもこんな美人なら覚えていてもおかしくないんだが。

 首を捻っていると美人な先輩は此方を一瞥してそそくさと帰って行ってしまった。

 追いかけても良いが、会話内容は太志の『隠蔽工作』で隠されている筈なので情報を抜かれていない筈だ。

 もしや、学園側に買収された先輩なんだろうか、俺に目を付けて先日の彩日羅先輩みたいに首輪付けようとしている可能性はあるな。

 ならまぁ、また会えるか、しっかし何処かで会ってる気もするんだけどな、あの雰囲気何処かで……。

オリジナルレイドは……?

  • 『王権』
  • 『付喪』
  • 『根源』
  • 『伝承』
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