※この作品はR-18です。

モンスターファックアンドスラッシュ   作:不落八十八

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#53

 ――穿界迷宮『YGGDRASILL』、接続枝界『黄泉比良坂』――

 ――第『陸』階層、『既知外』領域――

 今の俺は『龗人』lv3、つまりは10+20+30+3で63レベル相当である訳だが、この陸階層は40~50であるため、既知外領域でも50レベル、13レベルも低い相手しか居ない事になる。

 漆階層ならば60、捌階層ならば70となり、マージンを取るならば漆階層、効率を取るなら捌階層が望ましい。

 ……そう、数字で見るならば、であるが。

 雪狼が牙を剝き出しにして喉笛を狙ってくるも、真正面から咥内と顎を掴んで握って壁へと叩き付ける。

 ジャックランタンが投げ付けた火球をぺしりと叩き落とし、サラマンダーを掴んで投擲し仲良く落ちて来た所を『軽量鎚』で押し潰した。

 ワンダリングモンスターと思われし、緑色のジャックランタンが緑の小型カボチャ爆弾を投げ付けて来るも、蹴り返してそのままお陀仏にしてしまう。

 拾った『グリーンランタン』のカードを真顔で仕舞いながら、深く溜息を吐いた。

 

「……本当にレベル13の差か? これが?」

 

 正直に言って第壱階層のゴブリン相手でも似たような事になるだろう、それ程までに肉体強度の差異が浮き彫りになっていた。

 そして、こいつらをスレイヴ化してもなぁ、と言う感情も相まって気分が空回りしている。

 『文官』が求めるカードは扱いやすさを重視するべき案件であるからだ。

 仮にジャックランタンを『具象化』してダンジョンを攻略するか、と言う話な訳だ。

 後衛に後衛を付けてどうするんだ、と言う話であるし、ではサラマンダーみたいなのっそり歩くのを連れて歩くかと言えば否である。

 雪狼ならば需要はある事だろう、けど似たような黒犬と灰色狼も居るし、玄室と言う空間で氷冷スキルをぶっ放すモンスターが欲しいかと言えばNOである。

 いやまぁ、メガテンが好きな奴ならジャックランタンは人気出るかもしれんな、ヒーホー君は居ないが。

 そう考えるとこの階層のモンスターは『文官』の今の質からして人気は出ないだろう、と言う結論になる。

 ぶっちゃけ、ペルソナのワイルド宜しく、場面場面でカードを変えて適したモンスターを『具象化』するスタイルならこの階層のジャックランタンと雪狼は選択肢に入るだろう。

 しかし、モンスターと自分で経験値を折半する『文官』が複数のモンスターを育てるかとなると、今の環境ではNOと言わざるを得ない。

 それこそ、『鮮血薔薇』の様に複数の『文官』でタコ殴りにするスタイルでなければ、またはクラスチェンジせずにレベルを揃えてからランクアップする様な我慢ができる人物でなければそのスタイルは流行らないだろう。

 

「ふしぎなアメとか、経験値を与える方法があれば別なんだけどな」

 

 もしくは……、ふと思ったが、他人が育てたカードは使えないんだろうか?

 それが可能であるならば経験値の仕様次第では儲かるシステムを作れるかもしれないな。

 サブクラスを取らずにクラスチェンジできる状態、つまりは『文官』レベル20の状態での経験値は、『文官』に入る経験値が0だから使役モンスターへの経験値も0なのか、使役モンスターへ10割入るのか、と言う点だ。

 体感的には使役モンスターへ10割入る気がするな、『怪物王』がカンストしてからも『スレイヴ』モンスターに経験値は入っていたようだしな。

 

「旦那様、なんかピリピリしてる?」

「ん、あぁ……、俺よりも強い奴へ会いに行く、を出来てないからかもな」

「そっかー。なら頑張ってゲート探さなきゃ」

 

 そんなピリつく俺の後ろをとてとてと着いてきた三美が、鎮まりたまえーと腰に抱き付いて来たので、凄く落ち着いた。

 太志側からダウンジングを使える二美ではなく三美を連れて来た理由だが、ちょっとした検証を兼ねての事だった。

 

「悪い、ちょっとクラスに思考持ってかれてた。そろそろ検証するか」

「うん、分かったよ旦那様」

 

 むんっと頑張る三美は『吹出師』のスキル『貼付』でとある音を頭に貼り付けた。

 ――キュリィリィンッ!

 そう皆大好きフレクサトーンの音、つまりは初代ニュータイプ音である。

 特殊な脳波により思念を感応する能力であるニュータイプの資質であるそれを三美に貼り付け、ゲートキーパーが発する縄張り意識に感応して探り出して見ようと言う案である。

 他の面々が居ないのは思念がごっちゃになる可能性があるので、単独で三美を守れる俺が護衛に立っている訳だ。

 ……なのに、ズカズカと歩き続けたのは本末転倒である、護衛が突っ走ってどうすんだって話。

 三美を前にやり、その頭2つくらい低い身長を感じつつ後を追う。

 

「むっ、旦那様からえっちな視線を感じた」

「……すまん」

 

 モブカットの黒髪目隠し気味美少女ロリ、しかも上着のブレザーを脱いでワイシャツ姿なのである。

 しかも、ダンジョンの瘴気の気配で汗をじっとりとかいているのか透けブラ気味だ、これで興奮しない奴は男じゃないね。

 じっとりと、それでいて好気と興奮の混じる視線を向けられてしまい、邪魔をしてしまった事もあり申し訳無さを感じるのだった。

 三美の疑似ニュータイプ作戦は段々と成功率を上げ、近くに居るモンスターのアンブッシュは全て見抜き、ワンダリングモンスターを逆にストーカーできるくらいに仕上がりを見せた。

 

「……やっぱニュータイプってすげぇや」

「文字通り取って付けたニュータイプだけどね」

「しっかし、擬音にも熟練度があるとは驚きだな。それともマジで脳開発みたいな感じでニュータイプに目覚めちゃった感じか?」

「んー……、と言うよりも、旦那様と言うこれの概念の理解者が近くに居て共有してるから、その恩恵が強いんだと思う。外したら分からなくなるから、一種のアンテナ的な?」

「成る程な。ちょっと俺にも付けてくれ」

「りょーかい、ぺたっとな」

「ふむふ……む?」

 

 な、なんか尋常じゃないくらいに好き好き大好きって感じのプレッシャーを三美から感じるんだが、気のせいでは……無いよなぁ。

 と言うか、普段からもしやこの重たさで俺に接して来ていたんだろうか、随分と好かれたものだなと思ってしまう。

 ――キュリィリィンッ!

 感応波と感応波がぶつかり、1つに混じってから双方に返っていく、成程、ニュータイプ時空ってこんな感じなんだろうか。

 そのまま刻を見られそうな感じにはならなかったが、お互いの気持ちが脳にダイレクトに届いてしまい気恥ずかしい心地になる。

 心の内に秘めていた好き好き大好きの気持ちが此方に伝わった事を知ってしまった三美がその場で顔を真っ赤にして崩れ落ちた、可愛いが過ぎる。

 成る程なぁ、隷属した女の子って随分と重たい気持ちを抱え込んでいるんだな、もう少し接する機会とか増やした方が良さそうだな。

 ずっとフレクサトーンが鳴り響きそうなので俺の分は外して貰い、無言かつ頬を染めたまま探索を続行する。

 

「……もしもゲートを見つけられたら、こっそりご褒美な?」

「っ! 感応波、全っ開ッ!」

「え、そんなATフィールドみたいに?」

「――愛、ですよ」

「何故そこで愛っ!?」

 

 キメ顔でシャフ度した三美が気合を入れて頑張り始めたが、本人のやる気に繋がっているなら見守っておこうか。

 本当にニュータイプ能力を引き出せるのであれば、アムロみたいに感応を拾って誘導なんかも出来る筈だろうしな。

 ……にしても、つるぺったんな幼児体型に黒い妖艶な透けランジェリーはえっち過ぎやしないだろうか。

 またしても雑念を送ってしまったので胸元をぺしぺしされてしまった、反省。

 それから数十秒後に、瞳をカッと見開いた三美が何かを掴んだ素振りを見せた。

 

「ゲートキーパーらしき思念を捉えたよ、褒めて褒めて」

「マジかよ、これからは1パーティに1三美の時代が来るな」

「むふふーん、旦那様と一緒に居られるなら何でもしちゃう」

「今、何でもするって言った?」

「言った!」

「此処まで身投げめいた宣言は聞いた事ねぇや」

 

 正面から抱き着いて額をぐりぐりと擦り付けてくる可愛いハグを受け止めて、なでりこと言った感じで撫でて労うとむふぅーとドヤ顔を魅せ付けられた、可愛いかよ。

 此処がダンジョンじゃなければ抱き潰してたかもしれねぇってぐらいに愛しさを感じつつ、『ハイグレートスレイヴブラックドック』を具象化して背に乗り、三美の先導に従ってカッ跳んでいく。

 数分程疾走してから、ビシッとその小さい指を示した先にマジで第漆階層へのゲートがあった。

 ゲートキーパーと思われるデスタムーアみたいに両手を肥大化させて浮いている凶悪な形相をしたジャックランタンを目視した瞬間、三美を後ろから脇に手を入れて持ち上げてくるくると回転しながら喜びを分かち合った。

 ……宙に投げて受け止める際に、秘所の部分に魅力的なスリットの入ったランジェリーが目に入ったが今はスルーした。

 にひりと笑みを浮かべていたので見た事は察せられたらしい、ニュータイプ能力の筈だよな、テレパスとかサトリ能力とか混じってないよな?

 そして、正面から受け止めた事で魅惑的な黒いブラも素敵なスリットが入ってるえっちな仕様であると気付いてしまった。

 

「……俺は低身長で貧乳なのが癖なだけで、年齢の低い幼女やら少女が好き、では無いんだ。ロリコンじゃあない、貧乳フェチなんだよ俺は……っ」

「旦那様?」

「すまん、ちょっと意識が揺らいだ。ダンジョンでは無しだ」

「つまりダンジョンじゃなければ……?」

「抱き潰したいくらいに癖に刺さってる」

「やったぜ」

「因みになんかしてる?」

「ううん、ここらへんにサードアイ(したやじるし)、ってやって思考盗聴しただけ」

「……待って、無法が過ぎるだろそれは」

「ふふん、性癖はね、表層の思考よりも自己主張するんだよ。ちらっ」

 

 前屈みにふんわり抱き着いて背を反った事で露わになった、第一ボタンを外したワイシャツの首元から覗かせた可愛い胸元に視線がつい向かった、卑怯なり。

 くそう、ダンジョンだけど手を出したくなる、明らかに欲情を煽るための仕草だと言うのに罠に引っ掛かりそうだ。

 ……逆転の発想だ、チェス盤をひっくり返してみようか。

 アンブッシュを気にしてダンジョンでは性行為を禁止するべきと考えているが、裏を返せば問題無い場所なら良いのではなかろうか……?

 ぐらぐらと揺らぐ決意、天使と悪魔が出て来て耳元で囁く様な場面である。

 

「だから……、あれを倒したらご褒美くださいね?」

「よーし、しばくか、あの邪悪なジャックランタン」

 

 吐いた唾は飲み込めないので、自分の言ってしまった言葉には責任を持つべきだろう、うん。

 へへっ、カードなんて必要ねぇや、野郎ぶっ殺してやぁぁるぁぁ!

 上着のブレザーを三美に手渡して、『形態変化』で両腕を変形させて臨戦態勢に入る。

 此方を視認した邪悪なジャックランタンは、口角を上げてキヒヒヒと気色悪い笑い声を上げて巨大な両手を握って拳を向けて来た。

 さぁ、ガチンコの時間だ、っしゃぁ、やぁーってやんぜ。

 

「なんかいつもより旦那様テンション高い?」

「仮にもゲートキーパーだし、楽しめるかなって」

 

 だなんて軽口を吐きつつ、邪悪なジャックランタンに手招きをして挑発してやると彼方も殺る気を出したのか目つきが更に悪くなった。

 広い玄室を悠々と浮かび、さながらロケットパンチに拳を飛ばして来たので真っ向勝負で打ち返す。

 右、左、右右左、脇が甘いぞ腰入れろや、身体ねぇけどなこいつ。

 巨大な拳で質量は十分であるが、膂力が無いために勢いと重さしか乗らないパンチは正直弱い。

 お前に足りないものは、それは――情熱、思想、理念、頭脳、気品、優雅さ、勤勉さ!

 

「そして何よりも――強 さ が 足 り な い !!」

 

 真向から受け止めた拳を遠心力を利用して投げ返してやるとカボチャ頭にクリーンヒットし、たんこぶを作って天井付近から落ちて来た邪悪なジャックランタンをサッカーボールキックで壁へと叩き付ける。

 バウンドして帰って来たのでお代わり一発叩き込み、頭が半壊して空虚な中身が露呈し始める。

 うーん、よっぽど強いスキルを持ってないとフィジカルで完封できちまうなこれ……。

 スーパーサイヤ人と化した悟空とただのクリリンが戦っている様なものである、結果は見るまでも無く分かるだろう。

 『軽量鎚』を取り出し、壁にべったりと張り付いて目を回してK.O.している邪悪なジャックランタンに振り下ろして終了。

 汚いカボチャパイと化した邪悪なジャックランタンは霧散し、ドロップアイテムと思われる白い燕尾な手袋、フォーマルグローブと呼ばれる物と『ジャアクランタン』と書かれたカードを拾い上げた。

 スキルに『巨大化』とあるので、魔法主体の階層で魔法メタをしてきた相手に対して物理的な巨大パンチをお見舞いするいやらしいモンスターだったようだ。

 少しずつダンジョンのモンスターが狡猾になって来ているのは気のせいではないだろう。

 今まではチュートリアルでそろそろ本番だぞ、とダンジョンの本腰を入れてくる予兆なのかもしれない。

 

「わぁ、流石旦那様、恰好良い」

「俺に物理勝負を吹っ掛けて来たのが間違いだな」

「違いないです」

 

 玄室の入り口でこっそりしていた三美が近寄り、勝利を労うためか正面から抱き着いて来た。

 無いけどある小さな胸を押し当てて、ニンマリと淫靡な笑みを浮かべるあたり確信犯か。

 戦闘の直後で闘争心が昂るタイミングで仕掛けてくるあたり、大分期待していたようだ。

 サブクラスが増えた事でレベルアップ酔いも解禁されたので相当溜まっていたらしい、2人きりという状況も加味するべきか箍が外れているのかもしれない。

 ……まぁ、約束しちゃったしなぁ、据え膳食わぬは男の恥とも言うしなぁ。

 …………セーフゾーンならヤっても問題無い、か。

 時間を確認してから先にゲートを越えた方が良さそうな残り時間だったので第漆階層へと進む。

 ――穿界迷宮『YGGDRASILL』、接続枝界『黄泉比良坂』――

 ――第『漆』階層、『既知外』領域――

 うーん、代わり映え無いなぁ、と少しテンションを下げつつもゲートのセーフゾーンから第漆階層を見やる。

 ガッチャガッチャと金属鎧の音を立てて我が物顔で歩いて行くオークの団体が遠くで歩いて行ったのが見えた。

 

「オークかぁ……、と言うか今普通に騎士鎧装備してなかったか?」

「……してましたね」

「……チュートリアルが終わってゴブリン相当に戻って来た訳か、一周回ったら原始人が中世騎士かよ、進化著しいな」

 

 オークの騎士が居るなら術士とかも居るんだろうなぁ、と本格的に集団戦、パーティvsパーティの構図になるんだろうか。

 一当てするべきか、とカードを取り出して『ハイグレートスレイヴゴブリン』を具象化して、セーフゾーンから出て少し進んだ先のオークの一団と戦わせてみる。

 オークパーティの構成は戦士1・騎士3・術士2と言う攻撃的なものであり、得物で判断したがヒーラーらしいのが居ないのは幸いか。

 斥候役として足の素早い個体が重厚なグレートソードを構えるオークソルジャーへと強襲し、見かけの体躯と似つかわしくない俊敏な動きを持って肉薄に成功、大振りの一撃を避けてサブミッションで見事首を圧し折って見せた。

 戦士が殺られた事で騎士が過敏に反応し、術士の詠唱を援護すべく護衛の体勢に入るも斥候役に続いて遊撃役により翻弄され、その横を斥候役に抜かれた事で騎士失格の失態を犯した。

 当然、魔法を慌てて放とうとする術士であったが喉を潰され、そのまま壁に叩き付けられて胸を陥没させ息絶えた。

 守るべき者を守れなかった騎士は哀れ数によって防具を剥がされ、関節を破壊され、身動きを封じられてから仕留められて封殺された。

 ……素手なのに強いなぁ『ハイグレートスレイヴゴブリン』、上限突破した強化個体であるからして当然の結果と言うべきか。

 ドロップアイテムらしき、オークの騎士の鎧が1つと術士のワンドを引っ提げて戻って来たスレイヴたちを褒めておく。

 

「……拾階層くらいにならないと碌な戦いにならなそうだな」

「……ですねぇ」

 

 我が軍の圧倒的な実力差を改めて知る事になり、また暇な階層になりそうだなと思っていた矢先の事だった。

 『ハイグレートスレイヴゴブリン』の中で斥候役をしていた4体が光り輝き、瞬きの間に姿を変えていた。

 そういや、強くて忘れていたがこいつら分類的には第一段階だったな。

 速度に特化するためか筋肉ムキムキな姿を捨てて細マッチョの道へと走った4体の体躯はシュッとした体形であり、何処ぞのスピードタイプのビィみたいなほっそりとした印象が強かった。

 一度全員をカードに戻し、レベルを見やれば面白い表記になっている事に今頃気付いた。

 『ハイグレートスレイヴゴブリンアサシン』となった4枚は10+20b10+1bの表記になっている上に、よくみれば能力欄に『上限突破(ブレイクスルー)Ⅱ』と書かれていた。

 レベル表記のこのよく分からんbは恐らくbreakthroughのbだろうな。

 『ハイグレートスレイヴゴブリン』の方を見てみれば、10+20b9とあり、後1レベル上がればクラスチェンジできるレベルになるのだと何となく分かる。

 と、なるとハイグレート、つまりは2段階上限突破した結果b10となっているので、上限突破1回につき+b5される訳だ。

 もしかすると表記的に第二段階でもb10分上限が上がっているのだろうか。

 初期段階から上限突破出来ていれば10b10+20b10となり合計レベルは20+30で50レベル、第一段階でも第二段階半ばに匹敵する強さな訳だな。

 本来の第一段階での最大レベルは10+20の30レベル、第二段階では10+20+30の60となるので破格の性能と言える。

 上限突破するとその時点で+5×上限突破回数が段階毎に加算されていく仕様と見て良いだろう。

 なので、三美が連れている『ハイグレートゴブリンサーヴァント』もまた第一段階で上限突破したので10+20b10、計40レベルまで上がる訳だ。

 ……初期段階で上限突破はお薦めできないな、とカードショップでの合成を事業化した時の注意点を脳内メモに書き込んだ。

 何せ、その場合は第一段階最大レベルで『文官』第二段階レベルに等しい、サブクラス取得が遅れたり死に戻りして経験値が逆転すると強化された暴走個体の出来上がりである、やばいわよっ。

 

「……ん?」

 

 今気づいたが、『スレイヴ』化により第一段階スタートすると、もしかしなくても現段階では最大レベルが-10されているのと同意義なので弱体化していると言っても過言ではないのではなかろうか。

 即戦力化と言う意味合いでは良いのだが、後々に強い使役モンスターを作るのであればこれは致命的だな。

 今後、更なる上限突破が出来るようになったらこのレベル差は確実に響いてくる事だろう。

 これは早めに気付けて良かったな……、と思う一方で、どうやって対策すりゃ良いんだよと言う壁にぶち当たる。

 第四段階に至ってから何とかなる、と言う物では無いのでそもそもの隷属化に手を加える必要があるだろう。

 ……そう言えば、直接『隷属首輪』を嵌めたグレイウルフ君はスレイヴ化してないな。

 そして、ふと思い出す、『隷属首輪』をした後に死んだコボルトクイーンからルーナと言うカードが産まれていた事実を。

 もしや、首輪を嵌めた後に殺せばカード化するんじゃなかろうか。

 ――同時刻、管理人室でお姉様方の肉ディルドと化していたグレイウルフ君に悪寒が走ったのは言うまでもない。

 そうすればスレイヴ化させずにノーマルな状態で隷属したカードが手に入るのでは、とニヤリと皮算用に笑みが零れた。

 なお、試しにオークナイトを瀕死にしてから『隷属首輪』を嵌めてトドメを刺したらカード化せずにそのまま霧散して逝った。

 隷属の繋がりも消えているので、あくまであれはマザーモンスターの特製ありきの裏技だったんだろうなと検証を終えたのだった、がっかりである。

 よくよく思えばスレイヴ化により強化された種族になっているので、個体として見れば強くなっていると見ても良いんではなかろうか。

 『スレイヴゴブリン』と第一段階のゴブリン〇〇(なんとか)が同じ強さかと聞かれれば、首を捻って否定するだろうし。

 ……今のままでも問題は無さそうだな、ヨシッ。

 ぶっちゃけ、上限突破の上限が増えたらならば、育て直す必要があるだろうしな。

 レベルを下げてクラスも戻ったりする様な遣り方があれば話は違うんだけどなぁ。

 もしくは、全く別々のカードを合成して新たなカードを生み出す事が出来ればなぁ……。

 悪魔合体のメカニズム、メガテン式と言うかペルソナ式と言うべきか、いや、合算してアトラス式と名付けてみるか。

 アトラス式合成方法は恐らく特化クラスが必要になるだろうなぁ、と何となく思う訳だ。

 流石に『龗人』のスキルにそう言うのが生える感じはしないので、純正な『文官』系のサブクラスじゃないと無理だろう。

 ……まぁ、何とかなるだろ、多分。

オリジナルレイドは……?

  • 『王権』
  • 『付喪』
  • 『根源』
  • 『伝承』
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