※この作品はR-18です。

母の写真 日常の向こう側   作:松田義和

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今となると夢としか思えない出来事の後。
平穏な日々の暮らしを徒然に書いてみます。


第一章 その後の世界

あれからの僕は、就職活動に追われて、慌ただしく毎日を過ごしている。

会社説明会に行ったり、面接を受けたり、履歴書を書いては直して…気がつけば日が暮れていることもしょっちゅうだ。

そんなふうに、ただ目の前のことをこなしているうちに、時間だけがどんどん流れていく。

 

特に大きな変化はない。

平和といえば平和だし、忙しさに紛れて余計なことを考えなくて済むのは、ある意味ありがたいのかもしれない。

あの夜の出来事も、最近ではすっかり遠い記憶のようになってきていて。

まるで夢だったんじゃないか、そんな気さえしてしまう。

 

とはいえ、いくつかの会社からは手応えもあって、この慌ただしさも、もうすぐひと段落つくだろう。

 

そんなある日のことだった。

本当に何気なく、ひょんなきっかけで、久しぶりに“そういう”ジャンルの動画を目にした。

昔はよく検索していたけれど、最近はもう、必要もなければ興味も薄れていた。

ただ、その日はたまたま、ネットをふらふらしていて、小さな動画サイトで見つけた一本の作品に目が止まった。

 

タイトルは「妻の寝取らせ映像」。

夫が日常的に妻を撮影していて、あるとき覚悟を決めて、他の男に委ねる――という流れのものだった。

もちろん、演出だし作り物だってことは分かってる。

 

だが、どうにも既視感があった。

 

その動画の構成やカメラの動き、部屋の照明や音の抜き方。

それらが、あの時見た母さんの映像と驚くほどよく似ていたのだ。

偶然かもしれない。でも、あまりにも――似ていた。

 

気になって、その動画を出していた制作会社を調べてみた。

聞いたことのない名前だったけど、住所を検索してみたら、どこかで見たことのある有名な会社とまったく同じ場所だった。

どうやら別の名前で、違うラインとして運営しているらしい。

ジャンルや作風を変えて、ブランドを分けているんだろう。

 

 

僕はそれを見て、なんとなく腑に落ちた。

そして、それ以上を知ろうとは思わなかった。

 

知ったところで、どうなるわけでもない。

過去は変わらないし、真実を深く掘り下げれば、もっと戻れなくなりそうだったから。

 

ただ、あの夜の記憶は、薄く霞んでいるようで、確かに僕の中に根を残している。

そして時々、何もない夜の静けさの中で、母さんのあのときの表情や声が、不意に胸の奥で揺れ動くのだ。

 

そして僕は、そっと目を閉じて、それをやり過ごす。

何もなかったように、また次の朝を迎える。

 

 

ただ一度だけわからないことがあった。

 

あれは先週のこと。

 

疲れ果てた僕は寝坊をしてしまった。

 

ハッと目が覚めると横に母さんがいた。

 

起こしにきてくれたのだろう。だけど何となく母さんはそわそわして

 

おはようと言うとそのまま出て行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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