※この作品はR-18です。

母の写真 日常の向こう側   作:松田義和

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第二十五章 母さん、ごめん

僕は襖の隙間から、息を潜めるようにして中を見つめた。

 

男がいた。

母さんのそばに、ゆっくりとしゃがみ込むようにして。

そして――手にスマホを持っていた。

それを母さんの方へ向けて、何かを確かめるように画面をのぞき込んでいる。

 

シャッター音は聞こえない。

でも、その仕草から、写真を撮っているのだとわかった。

スマホの位置。指の動き。何より、その視線。

 

――母さんの写真を撮っている?

 

僕の胸がざわつく。

なぜ? どうして? それに――母さんは……

 

上半身を起こして座っていた。

けれど、それは意志を持ってそうしているというより、何かにもたれかかるような、力の抜けた姿だった。

 

肩が、ゆっくりと――揺れている。

 

最初は何かに反応しているのかと思った。

でも、よく見ると、明らかに不規則だった。

 

あれ? もしかして……?

 

母さん、寝てる?

 

ぴくりと、背筋が冷たくなった。

 

母さんはアルコールが入ると、すぐ眠くなってしまう。

昔からそうだった。

晩酌の後、こたつでそのままうたた寝してしまう姿を、何度も見てきた。

 

でも、今は……

どうして、こんなところで?

こんな格好で?

 

寝息は聞こえないけれど、肩の揺れ方、顔の傾き方、指先の無防備な落ち方――

どれをとっても、これは母さんが意識を失っている状態にしか見えなかった。

 

そして、その母さんにスマホを向け続けている男。

 

怒りよりも先に、言い知れない不安と混乱が押し寄せた。

これは――どういう状況なんだ?

どうして母さんは、こんなふうに……

 

僕の指が、襖からわずかに離れた。

でも目は、決してその光景から離れなかった。

 

何が起きているのか、知るのが怖い。

けれど、もう引き返すこともできない。

 

男の動きが変わった。

 

スマホを一度下ろし、母さんの肩に手をかける。

何かを確かめるように、その体をそっと――だが迷いなく、横たえさせた。

 

母さんはまったく抵抗しなかった。

ただ、重力にまかせて静かに倒れていく。

布団の上に、なだらかに沈んでいったその体は、まるで人形のようだった。

 

男は再びスマホを構えた。

 

――撮っている。

今度は、真上から。

そして、角度を変えながら、何枚も。

 

僕の心がざわついた。

冷たいものが、背中を這うように広がっていく。

 

「なんで……」

声にならない声が喉元まで来たが、押しとどめた。

僕の中にある“理性”が、まだかろうじて働いていた。

 

だけど、手は震えていた。

膝も。

足の裏が汗ばんで、床に貼りつくように感じる。

 

母さんの顔は見えない。

でも、その寝顔がどんな表情をしているのか、なんとなく想像がついた。

無防備で、安らかで――そして、何も知らない顔。

 

男のスマホが、再びシャッター音もないまま、光を反射させた。

 

これ以上見てはいけない。

けれど、目を逸らすこともできなかった。

 

まるで夢を見ているようだった。

いや、悪夢だ。

今、自分が目にしているのは、現実ではないと信じたかった。

 

だが、母さんの体温は、そこにあった。

男の指先も、呼吸も、スマホの小さな動きも。

すべてが現実だった。

 

僕の中で、何かが静かに崩れていった。

そして、その音を、僕は確かに聞いた気がした。

 

男は、しばらく母さんの顔を見下ろしていた。

何かを確かめるように、あるいは噛みしめるように。

 

そして――ようやく、スマホを下ろした。

そのまま、胸元のポケットに、すっとしまう。

 

その仕草は、あまりにも自然で、無駄がなかった。

まるで仕事を終えた後のように、あるいは、何かの“記録”を収めた満足のようなものさえ感じられた。

 

 

そしてミキオは母さんの浴衣の帯に手を掛けた。

 

何をするのかなんて一目瞭然だ。

 

止めるべきだ、それはわかっている。

 

でも、僕は動けないでいる。

 

母さんの下着姿や裸だって見たことがある。

 

母さんの性行為も見た。

 

でも、でも。

 

知らない男に浴衣を脱がされる母さんの姿を目の前で見るなんて

 

僕は異常に興奮していた。母さんの性行為を画面越しに見たあの時と同じように

 

僕の手は無意識に股間をいじっている。

 

 

ミキオが帯を解き終わり、母さんの浴衣を両側へと開いた。

 

 

白いブラジャーに包まれた豊かに盛り上がる乳房が、秘部を隠す白くて小さなパンティーが露わになる。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

ミキオは再びスマホを取り出して写真を撮り始めた。

 

僕は堪らず股間をシゴく。

 

 

こんなことはダメだ、止めさせないと。

 

 

頭では思っても身体が動かない。

 

 

母さん、ごめん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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