※この作品はR-18です。

母の写真 日常の向こう側   作:松田義和

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第三十七章 お土産

返信すべきか――

僕はしばらく、スマホを持ったまま動けずにいた。

 

コウジの文面に不自然な点は何一つなかった。

むしろ、丁寧で気配りのある内容だった。

だからこそ、余計に引っかかった。

あれほど濃密で、どこか取り返しのつかない何かを見てしまった気がしていたのに、

彼の口ぶりはまるで、それが存在しなかったかのようだった。

 

もしも僕が返信すれば――

その“夢”は完全にただの記憶違いとして処理されてしまうのかもしれない。

 

それでも、何か一言返すべきなのか。

礼儀として、あるいは自分のために。

 

迷っていると、再び通知音が鳴った。

 

また、コウジからだった。

“追伸”とだけ書かれた件名。

 

喉が鳴る。

今度こそ、何か言及されるのではないか――

そんな一抹の緊張を抱えながら、僕は指先で開封ボタンを押した。

 

 

追伸:

 

そうそう、書き忘れてたことがあって。

 

息子くんに――

あの時のお土産を、送ります。

 

ちょっと遅くなっちゃったけど、受け取ってくれると嬉しいな。

喜んでもらえるかな。どうだろう。

 

あれ、君の記憶にもちゃんと残ってるといいんだけどね。

 

じゃあ、また。

 

コウジ

 

⸻

 

僕はメールの文面を、何度も読み返した。

 

「あの時のお土産」

その言葉が、じわじわと胸の奥に染み込んでいく。

 

――あの時。

やはり、僕が見たものは、夢なんかじゃなかったのか?

いや、それとも……まさか、まさか本当に何かが届くのか?

 

「喜んでくれるかな」

その軽やかな一文が、異様なほど重たく響いた。

 

僕はスマホをそっと伏せた。

 

 

スマホを伏せたはずの手が、勝手に動いていた。

画面に視線を戻したその瞬間、さらに一通の新着通知が表示されていた。

 

件名:ほんの気持ちです

差出人は、またコウジだった。

 

開くかどうか、数秒迷った。

だが、指は拒むように震えながらも、画面をタップしていた。

 

メールは短かった。

 

⸻

 

本文:

 

さっき言ってたお土産データ送ります。

 

あの夜を、思い出してもらえると思う。

君にも、そしてお母さんたちにも。

 

楽しんでくれるといいな。

 

⸻

 

スクロールすると、画面下部に複数の添付ファイル。

動画、写真、そして名前のつけられていないテキストファイルがいくつか。

 

僕は喉の奥が詰まったような感覚に襲われ、思わずスマホを遠ざけた。

開くべきか、それとも――

このまま見なかったことにすべきか。

 

でも、目はすでに、そのうちのひとつのファイル名を捉えていた。

 

「mothers_night_01.mov」

 

鼓動が耳の中に響く。

空気が薄くなる。

視界の端がわずかに滲んでいく。

 

僕は唇を強く噛んだまま、スマホを握りしめた。

 

このファイルを開いたら、もう元には戻れない。

そんな直感が、胸の奥で警鐘のように鳴り響いていた。

 

 

僕はそれでもなぜか興奮していた。

 

 

そして意を決してまず画像データを開く。

 

 

僕は呼吸をすることすら忘れてしまった。

 

 

そこにあらわれたのは

 

男女の結合部をアップで撮った写真。

 

続けて豊満なおっぱいが揺れているのであろう写真。

 

3枚目。僕は絶望した。

 

 

そこには快楽で淫蕩に蕩けるようなイクミさんの顔。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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