ワンダラーズ・イン・アナザー・ワールド ~男子は僕ひとりだけがクラスの女子といっしょに異世界へ送られたけど、僕が抱くことで彼女たちは強くなります。~ 作:イジー・ムラシロ
タクミ「た、助けて~…」
タクミに待たされ、アイたちは少し
タクミ「う~ん…」
ツグミ「タクミ君…大丈夫?…」
アイ「タクミ、どうした?」
ナオ「今、風送るね…」
真っ赤な顔をしたタクミをその場に寝かせて、ツグミとナオが『ウィンド』を弱めて出して風を送る。
ソラが
タクミは自分で身体を起こす。
ルカ「もう大丈夫?…」
タクミ「…ああ、ごめんなさい…」
ソラ「で、何があった?」
タクミ「よ、
アイ「別の男?どういう意味?」
タクミ「み、みんなはどうしたの?」
アカリ「私たちが入ったら、女湯は私たちしかいなくて…
それでそれぞれ女の人に身体を洗ってもらってゆっくりお風呂に
モア「身体を洗ってくれた人に、みんな
ルカ「まあ、そうだけど…」
ツグミ「タクミ君は
モアがもう一度背中に『ケア』をかけると、タクミの顔もだいぶシャッキとしてきた。
タクミ「う、うん…オレも身体を洗ってもらったのはいっしょなんだけど…
男湯は先客がいて、浴槽に入る時にわざわざ別の客と同じところに入れられて…」
モア「うわ~…」
ソラ「マジで?」
アカリ「キモ~…」
タクミ「なんかそうやっていろんな人と話すのがここのルールらしくて…
そしたらその相手の人がお酒を飲み出して…」
ルカ「ウソ⁉」
アユミ「どうやって?」
タクミ「浴槽に板を渡してテーブルにして…オレは出たかったんだけど、相手はお酒で機嫌良くなっちゃって…」
ナオ「だからなかなか出てこれなかったんだ…」
アイ「何してんだろうって言ってたけど…」
すると、アユミが何かを思い出した顔をする。
アユミ「そう言ったら、タクミ君が出てくる前に男湯からえらく上機嫌な人が出ていったよ…」
ソラ「確かに…鼻歌なんか歌って…」
アカリ「そいつだ(笑)…」
タクミ「うん…」
タクミひとりがお風呂で大変な目にあったが、とりあえずタクミも動けるようになったので全員で目の前の理髪店に行くことにする。
公衆浴場の石段を上って通りに出ると、すぐ目の前に長い髪の女性を描いた
一目でそこが目的の場所だと分かり、アイたちはぞろぞろと店の中へ入った。
若い女性店員1「いらっしゃいませ…何人おられますか?」
ナオ「女が8人で男が1人です…」
若い女性店員1「そうですか…」
若い女性の店員はナオから人数を聞くと、少し難しい顔をする。
若い女性店員1「当店には髪を整えられる者が5人しかおりませんので、何人かの方にはお待ちいただかなければならないですが…」
それを聞いてナオが仲間たちに聞く。
ナオ「髪を切れる店員さんが人数分いないから、何人か待たないと
アカリ「いいよ…私待ってるから」
ツグミ「私もいいよ…」
アイ「じゃあ、それでもいいって…」
ナオ「OK…」
ナオがそれでも大丈夫と店員に告げると、店員はみんなを待合室のようなところへ案内した。
そこから店内を見ると、左右の壁に
そこに今ちょうど散髪を終えた、中年で
すると小柄な女性がアイたちの前にやって来る。
中年の女性店員「私が店主のオイガという者です。
申し訳ありませんが、何人か待っていただかなければなりません。
順番にお呼びしますが、お時間は大丈夫ですか?」
アユミ「大丈夫です…私たち、この後は特に用事もないので…」
オイガ「かしこまりました。では、そちらの男性の方と髪の長いお二人と、それとそちらのお二人もこちらへお越しください。」
オイガはタクミ以外にアカリとモア、そしてツグミとルカを指名して椅子に座るように言った。
アイ「髪が長い子からだね…」
ソラ「どうやるんだろ…」
アユミ「実は私とこのナオっていう子と『理髪』の能力があるんです。お邪魔はしませんから、髪を整えているところを見せていただけないですか?」
アユミの突然の申し出にアイやアカリだけでなくオイガも驚いた顔をする。だが、すぐ笑顔になって答えた。
オイガ「そうですか、普通の人だと『理髪』の能力があるのは珍しいですが…
アユミ「ありがとうございます。絶対に邪魔しませんので…」
ナオ「お願いします…」
オイガは奥に言って他の店員と少し話をするが、すぐに分かれてタクミやアカリたちの髪を整え始めた。
オイガはアカリを、そしてもう一人、中年で大柄な女性がモアの髪を切り出し、他の若い店員がタクミやルカやツグミを担当する。
オイガがアカリに希望することを尋ねる。
オイガ「お客様は髪が非常に長いですが、いかがいたしましょう…長いままがよろしいでしょうか。」
アカリ「はい、先の方は少しカットして、整えてもらうだけで大丈夫です。」
オイガ「わかりました…少し全体がゴワゴワしてますので、こちらで状態が良くなるようにできますが、いかがいたしましょうか。」
アカリ「そんなのができるんですか?じゃあ、お願いします。」
オイガ「
オイガはハサミを
この店には鏡がないのでオイガだけでなく、どの店員も何度も自分が担当する人の前にいったり横にいったり、後ろにいったりと全体を見ながら髪を切っていく。
だが、切られている方は今の自分の髪型が分からないので不安で仕方ない。
モア「ねえアユミ、今って大丈夫?」
アユミ「大丈夫…ちゃんときれいにしてくれてるよ…」
モア「ホントに?大丈夫?…」
アイ「大丈夫だって、安心しなよ(笑)…」
オイガはアカリの髪の長さや量を整えると、アカリの髪を根元から両手のひらで
ナオ「アユミ、見て!すごいよ…」
アユミ「ホント!これって…」
アカリ「えっ、えっ、なに?」
オイガがアカリの髪を両手のひらで挟んで軽く引っ張っていくと、髪が根元からツルツルになっていく。
ゴワゴワだった髪に美しい
アユミ「これも魔法ですか?」
オイガ「そう、『美容』の特別な魔法。私はこれを母から
ナオ「へぇー…」
横を見ると、モアを担当する女性もモアの髪が綺麗になるように同じことをしている。
他の女の子たちが同じことをしてもらっている間に、タクミはこれから
オイガ「さあ、一度ご自分の髪をご
オイガに声をかけられ、アカリは急いで自分の髪を手に取る。
髪が綺麗に整っているだけでなく、長い旅が何だったのかというぐらい髪自体が綺麗になっていた。これにはアカリもびっくりする。
アカリ「えー、なにこれ、すご~い!ウソみたいに綺麗…」
アイ「なになに…」
ソラ「見せて…」
順番を待っていた子もアカリの髪が綺麗になったのに目を丸くする。
アユミ「特別な魔法を受け継いだっておっしゃられてましたけど…」
オイガ「私の母は特別な力があって、それでわざわざ王都まで行って修行してそこでかなり評判の理髪師だったの…
それで
ナオ「場所もいい所ですね…」
オイガ「ちょうど前の公衆浴場ができる時で…でも母も数年前に亡くなって…
その時に店の他の子も私も母から彼女が持っていた力を
アイ「力を貰ったんですか?…」
初めて聞くことにアイもアユミも顔を見合わせた。
オイガ「そう…強い魔法や特別な魔法を持っている人は、亡くなる時に傍にいる近しい人に自分の魔法の力を分け与えることができるの…
誰か一人の時もあるし、私たちのように何人かに分けてもらえる時もあるし…」
アユミ「それで特別な魔法を受け継いだって…」
オイガ「私は母のような特別な力は無かったけど、この力を
だからあなた方のように喜んでもらえると
アカリ「ホントに髪が綺麗になってます…ありがとうございます。」
オイガ「こちらこそ(笑)…」
アカリだけでなく他の女の子たちも旅で
だが、驚いたのはアイたちだけではなかった。
理髪店の店員たちは髪を整えた彼女たちのあまりの美しさにびっくりした。
若い女性店員1「入ってきた時から思ってましたが、皆さんすごくお綺麗ですね…」
若い女性店員2「ホントに…今までたくさんの人の姿を整えてきましたが、こんなにお綺麗な人は見たことないです…」
モア「ホントですか…ヒヒヒ…うれしい(笑)…」
ツグミ「…ありがとうございます…」
アカリ「そんなお世辞を言ってもらって…ありがたいです…」
オイガ「いえいえ、お世話なんかじゃないですよ…皆さん、本当にお美しいです。
もしかしたら貴族のお姫様方よりもお綺麗かもしれません…」
ルカ「お姫様なんて…」
モア「またまた(笑)…」
アユミ「モアは喜びすぎだよ(笑)…」
オイガ「さあ、出来ましたよ…お待ちの皆さんと交代しましょう…」
容姿を
みんながタクミの方を見ると、髭を剃ってもらいながら一人だけコックリコックリと舟をこいでいて、女の子たちはその様子に一斉に吹き出した。
アカリやルカたちが待っていたアイやソラたちと交代しようとしているところに他の店員たちよりもずっと若い女性が店の奥からやって来た。
彼女はアカリたちの顔を見て、驚いて
その様子にアユミやナオはちょっと
オイガがその様子に気がつく。
オイガ「エレ、ダメじゃない、お客様にご
すいません、この
エレ「すいません…皆さんがあまりにお美しくて…」
エレはまだ12か13歳ぐらいのようで、一人だけ
慌ててアカリたちに頭を下げて箒を動かしだすが、アカリたちのことが気になるようで横目でチラチラと盗み見している。
オイガ「エレ、ちゃんと掃除しなきゃ…髪の毛を掃除したら奥にいた方がいいね…」
エレ「はい、すいません…」
エレはそそくさと掃除を
オイガ「すいませんね…でも、あの娘も皆さんが綺麗になったのに目を奪われていたようで…」
ツグミ「そんな…」
中年の女性店員2「でも、本当のなんですよ。皆さん、ホントにお美しいから…」
オイガ「さあ、お待ちの方々も同じくらい綺麗にいたしましょう…」
ルカ「あの~…私もお仕事
オイガ「どうぞどうぞ…さあ、どのようなにいたしましょう…」
オイガと他の店員たちはアイたちの髪も綺麗にカットしていった。
*
ネリ「やはり思った通りだったな…」
ネリはアイたちとすれ違いながら理髪店を出て、振り返ってそう独り言をつぶやいた。
ネリは朝、ミルトの宿の前でアイたちが兵舎を訪れた後にどうするのかを立ち聞きしていたので、昼からまたアイたちが宿を後にするのについてきて彼女たちが公衆浴場へ入ったのを確かめると、自分は先にオイガの店に入っていた。
ネリは自分が髪を切って
ネリ「じゃあオレも風呂に行こうか…」
アイたちが自分が出ていく寸前にやって来たのは少し見込み
ネリが服を脱いで洗い場にいくと、
洗い場の男「いらっしゃいませ、お身体を洗いましょう。」
ネリ「ああ
洗い場の男「
男がネリの身体を洗い出すと、ネリは彼に話しかける。
ネリ「どうだい…最近は面白い話なんかあるかい?」
洗い場の男「そう言えば、奥で女湯の洗い場の係の女たちがさっきまでいたお客様方がえらく
ネリ「ほう…ホントならいいが、ただのお
洗い場の男「いやいや、そうでもないらしくて、係の女たちもこの街のいろんな人を見たが、今までで一番だったと…
女たちが女性を綺麗って言うのは、本当でしょう…」
ネリ「そんな女、一度顔を
洗い場の男「それが一人じゃなく、やってきた数人全員が大した美女だったらしくて…」
ネリ「そりゃ
洗い場の男「そうかもしれませんね(笑)…」
ネリはさっき理髪店ですれ違ったアイたちのことを思い出そうとするが、彼女たちはまだフードを
しかし、今洗い場の男が話題にしているのが自分が
ネリはアイたちがオイガの店を出るにはだいぶ時間がかかると思っていたので、風呂で一杯だけ酒を飲むとゆっくりと公衆浴場を後にした。
ネリが石段を上って通りを見渡すと、ちょうどオイガの店の
ネリはさっき散髪をした時にも彼女を見ていたが、その時と比べて表情が少し明るい。
ネリは彼女にさりげなく話しかけた。
ネリ「おや、さっきの姉ちゃんじゃねえか。」
エレ「ああ、お客さんはさっきお店に来られた…」
ネリ「ああ、さっきは世話になったな…で、どうした?えらく
エレ「ええ、今お店に来てる女の人たちがすごくお綺麗で…
なんか、すごくいいものを見せてもらった気がして…」
ネリ「ふ~ん、そんなに綺麗なんだ…」
エレ「ええ、店のおかみさんもこんなに綺麗な人たちに会ったことないって…
髪を整えられたら、ホントにお姫様みたいで…」
ネリ「へぇー、てっきりこの街で一番綺麗なのはうちのカミさんと娘だと思ってたがな(笑)…」
エレ「フフフ(笑)…」
ネリはエレに「じゃあな」と手を振ってその場を離れた。だが、店からそれほど行かないうちに傍の家の
ネリ(なるほど…ジミーさんがおっしゃられていたのが何か分かってきた…
風呂屋の男もあの娘も言ってたのは、あの勇者パーティーの女たちのことに間違いない。
恐らく自分たちがどれぐらい綺麗なのか、あまり自覚せずに浴場や理髪店に来たんだろう…
さて、もう噂になってきてるが、どうしたものか…)
ネリが少し
ネリは遠くからその男のことをジッと見るが、何かを思い出す。
ネリ(あれはもしかすると…)
すると、見ているうちにエレとその男は話をやめ、男はエレに軽く手を振ってネリが潜んでいる方へやって来た。
ネリは
エレと話していた男はそのままネリに気づかず歩き去った。
ネリ(あれは間違いない…アレン様の手先のムグーだ…)
ネリの言うアレン様とはこの街の領主、アレン・ローゼン
ネリの記憶では今の男はローゼン辺境伯が街のことを調べさせるために
ネリ(マズいな…恐らくあの娘はムグーにもオレに言ったのと同じことを話したはずだ。だとしたら、あの人たちのことをアレン様も…)
ネリは立ち上がってもう一度辺りを見回す。もしムグーに自分もアイたちのことをつけていると気づかれるとおかしなことになる。
ネリはもう一度地面にかがんで姿を見られないようにした。
*
アイ「長い間お邪魔して、すいませんでした。」
ナオ「さっぱりできました、ありがとうございます。」
オイガ「こちらこそたくさんで来てもらって
アユミ「そんな…」
オイガ「またいつでも来てね…こんな
ナオ「ありがとうございました。」
アイたちは総勢9人という
アイとソラとアユミはショートに、ツグミとナオとルカはミドルに、アカリはロングにとほとんどが以前と同じ髪型になるようにしてもらったが、モアだけはポニーテールが
散髪と美容を終えて、アイたちはまたフードで顔を隠して店を出る。
だが、みんな久しぶりに髪を整えてもらっただけでなく何度も綺麗だと言われてすっかり上機嫌だった。
ソラ「なんか、めっちゃ綺麗って言われたけど(笑)…」
モア「お姫様だってー(笑)…」
アイ「もう、本気にするんじゃないの…」
ソラ「ほら~、お姫様に
ソラも上機嫌でタクミの肩をガシガシと
タクミ「も、もういいって!誰も何も言わないんだから、そんなわけないって…」
ソラ「う~ん、残念!」
モア「残念!」
アユミ「2人ともふざけすぎだよ(笑)…」
ツグミ「でも、タクミ君も髪切ってサッパリしているよ…」
ナオ「そうそう、
アイ「みたい、って何よ(笑)…」
ソラ「色男は言い過ぎだって(笑)…」
タクミ「もういいだろ!分かってるんだから、もう…」
ルカ「(笑)…」
それぞれが気分良くなっていて、タクミをおもちゃにお互いふざけ合った。
アカリ「そう言ったら武器を出すの忘れてた…どうする?」
モア「もういいよ…」
ナオ「まあ、また明日からね(笑)…」
ソラ「明日から~…」
ツグミ「(笑)…」
みんなが宿へ戻ろうとするその帰り道、まだ陽は暮れてはいないがもうあちこちの酒場が店を開けている。
アイがアユミに向かって言う。
アイ「ねえ、どこかで食事をしていかない?」
アユミ「なんで?食べる物ならいくらでもあるよ…」
アカリ「でも、いつもアユミやナオやルカに手間をかけさせてるから…」
ルカ「そんなことないよ…」
そんな話をしていると、傍の店から何かを焼いているようないい
すると、誰かのお腹が鳴る。
ナオ「ねえ、誰のお腹?」
タクミ「ごめんなさい…」
ソラ「まあ、結構今日は大変な目にあった方じゃない(笑)…」
アカリ「お腹も空くよ(笑)…」
タクミ「いや、ただ
ルカ「ククク(笑)…」
グ~…
アイ「うん、今度は誰?」
モア「あー、もうお腹
ツグミ「いい匂いがしてくるし…」
アユミ「何の匂いだろう?」
モア「ねえ、何でもいいよ…ここで食べようよ…」
ナオ「う~ん…」
ナオとアユミは少し考えるが、確かにみなお腹が減ってきている。
アイ「今日一回ぐらい大丈夫でしょ…いいんじゃないかな…」
ナオ「まあ、今日ぐらいは…」
ソラ「じゃあ、行こうよ…」
モア「行こう、行こう!」
ルカ「もう、モアったら~…」
それでもみんなはすぐそばのいい匂いがしてくる店に入った。
ここも入口が
奥からすぐに店員がやって来た。
女性の店員「いらっしゃいませ…何人ですか?」
アイ「9人ですけど…」
女性の店員「二階に行かれますか?兵隊さんや勇者パーティーの方がまとまって食事をされるように個室がありますよ…」
ルカ「いいんじゃないの…」
アイ「じゃあ、二階へ…」
アイたちは店員に
二階も奥に広いが、少し奥にドアがあってそこからがどうやら個室になっているようだ。
みんなは店員の案内でその個室に入ってテーブルにつく。テーブルの真ん中にある
ソラ「え~と、メニューは…」
女性の店員「ここはいつも皆さん同じものしか出せないですけど…」
モア「みんな同じ~?」
ナオ「今晩は何ですか?」
女性の店員「今日はキャベツのスープと鳥の焼いたの、それにパンと飲み物です。飲み物はお酒でいいですか?」
アイ「あの水がいいんですが…」
女性の店員「水の方が高いですけど…」
アユミ「それでもいいです…」
女性の店員「じゃあ、全員お水で…」
みんなが座って少し落ち着くと、店員3人、すぐに料理を運んでくる。
最初にキャベツのスープとパン、それから木のコップに入った水、そして最後によく焼けた鳥肉が運ばれてきた。
アイたちは料理が
アイ「いただきます!」
全員「いただきま~す!」
スープも鳥肉もシンプルに塩だけで味がつけてあるようだ。
スープはそれだけでも十分に美味しいが、鳥肉はしっかりと焼けているとはいえ味はちょっと物足りない。
パンもアユミたちが出すものと比べるとちょっとぱさぱさして硬かった。
タクミ「いつも出してくれてる肉の方が、やっぱ食べやすいね…」
ナオ「まあ、あれは私たちの世界のものだからね、やっぱり…」
モア「う~ん…微妙…」
アイ「そう言わない…アユミたちが疲れてる時にはいいんじゃない…」
アユミ「誰も来ないから、お
ナオ「飲み物も出すから…」
モア「じゃあ、ミルクティー!」
アカリ「全く調子いいんだから(笑)…」
それでも久しぶりに料理のことや片付けを考えずに食事をして、自然と会話が
ナオ「それで、ジミーさんと話をしてからはどうするの?」
アイ「ねえ、ちょっと聞いてほしいんだけど…」
アイが真剣な顔で全員に尋ねる。
アイ「あの、思い切ってジミーさんに私たちのことを正直に言おうと思うの…」
ナオ「私たちのことって「
アイ「そう…ジミーさんは貴族だって言ってたし、魔法も使えるって言ってたでしょ…
ナニさんも魔法は貴族にしか分からないって言ってたし、誰かを探して聞くよりもいいんじゃないかな、って」
アカリ「そうね…」
みんなは少し食事を口にするのをやめて、考え込む。
ナニには「彷徨い人」とは知られないようにするよう注意されたが、アイの言う通り、誰かに聞かねば何も分からない。
それをジミーに聞くべきなのか、それが問題だった。
タクミ「オレは思うけど…ジミーさんに聞くって決めて行かない方がいいと思う。
確かにギルドで会ったジミーさんは信頼できそうな人だったけど、まだよくわからないからとにかく少し話してみて、それでやっぱり信頼できるって分かったら聞こうよ…」
アカリ「それって、ちょっと消極的すぎない?」
ツグミ「そうかな?タクミ君の言うことも分かるけど…」
アイ「どうすれば信頼できる人って分かるの?」
タクミ「それは…」
アユミ「でも、もう少し
ジミーさんだって私たちに貴族だって言ってくれなかったわけだし…
ナニさんにも十分に気をつけろって言われたから…」
ルカ「信頼できそうな人だったけど…」
ソラ「誰でも疑わなきゃなんないの?」
ナオ「それは残念ながらそうだよ…すぐに信頼したらそれの方が危ないよ…」
アカリ「そうだね…」
アイはみんなの話を聞いてうなずく。
アイ「わかった…じゃあ、タクミが言うようにすぐにジミーさんに聞くんじゃなくて、とにかくお互いに話をしていて、その様子で話すかどうか決めるよ。
確かに気をつけなきゃいけないもんね…」
アユミ「じゃあ、食事をしてしまおう…」
ソラ「ねえ、もう一度ソースちょうだい、鳥肉にかけるの…」
ルカ「はい、こっちだよ…」
アカリ「この鳥肉って、ちょっとデカすぎるよ…」
ルカ「ねえ(笑)…」
みんなはまだ皿に残っている鳥肉にそれぞれがかぶりついた。
*
ネリはアイたちの後について同じ店に入った。
彼が一階の奥の席に着くとすぐに同じメニューが出てくる。ネリはお酒を飲みながら、ゆっくりと食事をした。
その間にだんだんと店は客でいっぱいになってきた。
ネリ(やっぱりヤツも来たか…)
ネリが奥から目を
彼は食事をしながら
ネリ(恐らく二階の客はどんな様子かを聞き出そうとしてるな…
とすれば、ヤツがあの人たちがどんな感じか、もう
ネリはまだ二階の様子が気になったが、今日のアイたちの様子を見てこれ以上どこかへ行くことはないだろうと思い、食事を終えると彼女たちよりも先に店を出た。
ちょうどそこに教会の
それでも彼はしばらくの間店の外で様子をうかがうが、アイたちが出てくる
*楽しんでくださった方や今後が気になるという方は、お気に入りや評価をいただければ励みになります。
また、面白かったところや気になったところなどの感想もいただければ幸いです。よろしくお願いします。