ワンダラーズ・イン・アナザー・ワールド ~男子は僕ひとりだけがクラスの女子といっしょに異世界へ送られたけど、僕が抱くことで彼女たちは強くなります。~ 作:イジー・ムラシロ
「
ジミーもまた、黙ったままでいる。
日々の生活と旅を本当に手探りでやってきた自分たちに何ができたのか、何が必要だったのか。
突然知らない世界に放り込まれた高校生でしかない彼女たちにとって、それは重すぎる問いかけだった。
しばらくしてナオがやっと口を開く。
ナオ「ジミーさんがおっしゃることは分かります…
でも、私たちにはその「彷徨い人」ということを自覚してやっていくというのが、難しすぎて分からないんです…」
ジミーはナオの問いかけに大きくうなずく。
ジミー「皆さんが私の言うことに
しかし、私が言っているのはそんなに大げさなことではないのです…例えば…」
アイ「例えば…」
ジミーが何か教えてくれようとしていると思って、みんなは顔を上げる。
ジミー「例えば皆さんは昨日公衆浴場へ行かれたそうだが、その時にその浴場の店の者に何と言われました?
その
アカリ「どうして私たちの行動を知ってるんですか?」
ジミーの予想外の答えに全員が
ジミー「その後には理髪店に行き、皆さん全員が身なりを整えられた。
店員たちがあなた達に何と言われたのか。その
ナオ「ジミーさん!誰かに私たちの
ルカ「そんな!」
モア「
ジミーは大きく息を吐いてアイたちのことを見ると、みな厳しい目で彼のことを見ていた。
だが、彼は落ち着いた声で話し続ける。
ジミー「確かに私は街の知ってる者に
それは皆さんに興味があったから、というわけではなく、むしろ皆さんのことが大いに心配だったからです…
皆さんはギルドで私に「
ビックゴブリンやラウンドウルフの死骸を取り出す時もそれを私がどのように受け止めるのか、少しも考えておられなかった…」
アイ「それは…」
タクミ「でも、それは単にクエストで得た物を
ジミー「だが、ドムニのギルドからの手紙にはあなた方がまだ勇者パーティーになって一ヶ月だと書かれてしました。
皆さんはドムニの町で勇者パーティーとして活動を始められたはずだ。
だとすれば、そのことがギルドの手紙に書かれているのはお分かりになられるはず。
だが、そのパーティーがあれだけの数のラウンドウルフの死骸を持っていると疑われる、そうは思われなかったようだ…」
ナオ「それは確かに…」
ジミーの言葉にアイやナオはまだ不満そうに口ごもるが、ジミーは話をやめない。
ジミー「公衆浴場や理髪店の件も同様でしょう。
自分たちの
皆さんはそのことが
ジミーがそう言うと、アイたちは驚いて顔を見合わせる。
アユミ「口に上るって…私たちのことが
タクミ「噂なんて…街の誰もオレたちのことを気にしてるふうじゃなかったけど…」
ジミーはアユミやタクミが言うのを聞き、黙って首を横に振った。
ジミー「やれやれ、どうやら何も気づいておられないようですな…
私がわざわざあのネコに多くの路地を通ってここまで案内させた理由も分かっておられないようだ…
もう公衆浴場や理髪店、その後に皆さんが立ち寄り食事をした酒場の
皆さんはそのことにも気づかずに、またミルトの宿屋に戻られるつもりだったようですな…」
ソラ「そんな…」
アユミ「じゃあ…」
ジミー「私が皆さんの
ですが、そうせずにはいられないような不安を私は皆さんから感じたのです…
あなた方のことを丸一日見ていた私の知り合いも、皆さんがあまりに
アイ「でも、私たちのことが噂になってるからって…」
アイはまだ不満そうにジミーの言葉に反論する。
すると彼はもう一度座り直すと、背筋を伸ばしてアイたちのことをジッと見つめる。
アイたちもその真剣な視線にグッと黙ってしまった。
ジミー「さて、これからが本題なのですが…
実は皆さんの噂を聞きつけたのは
お城にお住まいのご領主様も既に皆さんが特別な美貌の持ち主だということを聞きつけておられる…」
アイ「ご領主様って…」
ソラ「何とか
ソラの言葉にジミーはうんうんとうなずく。
ジミー「そう、今おっしゃったアレン・ローゼン辺境伯
恐らく皆さんがこの後ミルトの宿屋へ戻られると、お城から明日
ナオ「なぜローゼン閣下は私たちにお城へ来いとおっしゃるんですか?」
ジミー「それは皆さんが噂通りに美しいかどうかを確かめるためです。そして確かに皆さんが美しいと分かれば…」
アカリ「分かれば…」
ジミーはそこで一度話を切る。
みんなは自分たちの美しさを知られればどうなるのか、話を聞き逃さないように身を乗り出した。
ジミー「もし皆さんが本当に美しいと分かれば、アレン様は女性の方々全員をご自分の
男性の方は運が良ければこのリラの街から追放ぐらいで済むかもしれませんが、恐らく
アカリ「そんな!」
ソラ「そんなバカなこと!」
ソラとアカリが椅子から立ち上がるのを、隣にいたツグミとアユミが落ち着くように
だが、ソラとアカリは立ったまま叫ぶ。
アカリ「そんなこと、絶対に受け入れません!」
ソラ「私たち、戦って城から逃げます!」
だが興奮している2人に、ジミーは落ち着いた表情のまま問いかける。
ジミー「戦って逃げる…それは
城には衛兵が常時数百人はおり、アレン様のお傍にはダンとは比べ物にならないぐらいの
どれだけ皆さんに特別な力があっても、アレン様のお傍にも同じかそれ以上の力がある者が
例えそれを切り抜けても、皆さんはお忘れですか、大門のところでギルドのカードを確かめられたでしょう?
もう一度同じことをせねば、アレン様のご領地では勇者パーティーとして働くことは出来ません。
また、このリラの街自体が高い城壁に守られていることも忘れてはなりません…
皆さんがアレン様のご
タクミ「
ソラ「マジで?…」
ツグミ「酷い…」
ジミーの話を聞いて、ツグミは顔を
ナオがその背中を
自分たちのことを自覚する。自分たちで自分たち自身のことを守る。
ドムニでナニや武器屋のオットからそう忠告されたはずだったが、今の今までそれが本当に何を意味しているのか、アイたちには分かっていなかった。
全員が今、本当に何を言われていたのかをはっきりと
自分たちの無自覚でとんでもない
それでもアイが声を
アイ「…ジミーさんがおっしゃるように…私たちは、何も分かっていませんでした…
もうどうしようもないかもしれないけど…
けど、私たち、どうすればいいですか?ジミーさんには何か考えはないですか?…」
いつの間にか全員が立ち上がってジミーの方をジッと見ていた。
アイたち全員の顔に
ジミーはしばらく黙っていたが、フッと息を吐き出す。
ジミー「いかんともし
たった一つだけアレン様のお側に
アイ「それは何ですか?」
みんなはじりじりとした目でジミーの答えを待つ。だが、ジミーは目を閉じて首を振った。
ジミー「まずは皆さん、席に着きませんか…そのようにいきり立っては話もできますまい…」
ソラ「そんな落ち着いてられないっすよ!」
アカリ「そうだよ!」
ルカ「ソラちゃん、アカリちゃん、ダメだよ…」
ジミーは身振りでまあまあという具合にみんなをなだめる。
アイやナオが指示してみんなが何とかもう一度席に着くと、ジミーは落ち着いた声で切り出した。
ジミー「そこで皆さん…皆さん全員で私の養子になりませぬか?
いや
タクミ「ジミーさんの養子に?」
モア「養子って、ジミーさんがお父さんで、私たちが娘になるってことでしょ?」
アユミ「私たちみんなが…」
ナオ「どうしてジミーさんの養子になると大丈夫なんですか?」
ジミーはまたうなずいて答える。
ジミー「皆さんのような平民の場合、ご領主であるアレン様のご命令に
我々のようにお側に仕えている者がそれに意見することすらかないません。
ですので、皆さんがこのままお城へ行かれると
ですが、この国では貴族の地位は例えどれだけ低い者でも守られております。
アレン様がある貴族のご
もしその貴族がアレン様の申し出を
それは国王
今私は
もし皆さんが私の養子となれば、私が首を
アイ「ジミーさんの養子になる…」
ジミーからの突然の提案に、アイたちは頭が混乱してしばらく誰も口を開かなかった。
それだけでなく自分たちが街で噂になり、そのためにご領主様の城に呼ばれていて、城へ行けばそのご領主様の
今朝、宿で目覚めてからこの場所にやって来るまで誰ひとり想像すらしていなかった事態の
ジミー「皆さんにとって大変難しいことでしょう…
そう思われて当然のことだと思います。
だが、それは私も同じでしょう。
わずか二度しか会っていない皆さんを自分の子として
そういう意味では皆さんも私も不安は同じではないでしょうか。」
ナオ「ジミーさんは、どうして私たちを養子に迎えてくれようと思ったんですか?
どうしてわざわざ私たちを助けてようとしてくれるんです?」
ナオがそうジミーに問いかけると、他の者もまた彼の顔をジッと見る。
ジミー「まず一つは皆さんが「
先ほども言ったように「彷徨い人」はこの国が何かの危機にある時に現れます。
つまり「彷徨い人」という存在には何か大きな意味がある…
皆さんがここにいるのは大変な理由があるはずじゃが、もしアレン様が皆さんをご自分のものになされればその理由も分からぬままでしょう。
だが、それはどちらかと言えば
アイ「じゃあ…」
ジミー「もう一つの大きな理由は、皆さんの人となりです。
皆さんはギルドで「大斧のダン」を
ラウンドウルフ
アカリ「それは、そんなことが
ジミー「そう、それじゃ!
ビックゴブリンを討ち取った時もラウンドウルフを退治した時も、村人たちから感謝されなかったですか?
そうではありますまい…」
アユミ「それはまあ…」
アカリ「エブルの村では宴はしてもらって…」
ルカ「確かにそんな威張ってお
タクミ「お金も
ソラ「まあ、それはあったよね…」
アイたちが自分たちの
ジミー「それに皆さんはここに私が姿を見せた時もどうされましたか?
私が何も言わずとも礼をし、
それを見ただけでも皆さんが元の世界で
それも皆さんお一人お一人全員が、そうした礼儀と謙虚さを身についておられる。
これはこの世界では特別なことなのです…」
ナオ「そんなこと全然…」
ソラ「言われたことない…」
ジミー「儂が養子にお迎えしようと申し出たのは皆さんにとっては驚くようなことかもしれませんが、それがしにとっては何も不思議なことはありません。
皆さんが特別な能力を持っている、特別な人であることよりも、むしろそうした人となりが優れていることの方が大事なのです…
皆さんを我が屋敷に養子としてお迎えしても何の問題も起きることはない。
いや、むしろ儂が皆さんに是非ともそれがしの養子になってもらいたいとお願いすべきなのかもしれませんな…」
アユミ「そんな…」
アイ「そんなことを言われるなんて…」
ジミーの言う
元の世界ではただの高校生で自分たちが他の人よりも礼儀正しいとか人徳があるとか、そんなことを言われたことなどもちろんなく、ここに来ても行儀良く振る舞おうとはしたが、それは度を過ぎたものではなく当たり前だと思うことをしただけだった。
アイたちはここまでの
アイ「あの~…少しだけみんなで話していいですか?」
ジミー「もちろんです…どうぞ時間は気になされずに…」
みんなは部屋の
アイ「で、どうする?」
ソラ「どうするって、他に選択肢はないんでしょ…」
モア「尾行をさせるような人の養子って…ホントに大丈夫なの?」
アカリ「モアが言うのは分かるけど…」
アユミ「でもそれって、悪意があってのことじゃないでしょ…」
ナオ「そうやって私たちのことを外から見ている人がいなかったら、私たちどうしようもなくなってたってことだし…」
タクミ「あのさあ…」
ソラ「ん?」
タクミが女の子たちに何かを聞こうとしたので、彼女たちはみなタクミの顔を見る。
タクミ「もしオレたちがジミーさんの養子になったら、オレたちってどうなんの?
ジミーさんは貴族だけどギルドで働いてて、オレたちはそのまま勇者パーティーとしてやっていいの?」
ルカ「確かに…そこはどうなるんだろう…」
モア「貴族の娘になるんでしょ?もう好き勝手やっていいんじゃないの?」
ソラ「
ナオ「はい?そんな
アイ「そんなわけないじゃん(笑)…」
ツグミ「(笑)…」
アユミ「でも真面目な話、どうなるんだろう?…」
タクミはみんなの輪から離れ、座って待っているジミーに聞く。
タクミ「ジミーさん…オレ…私たちがジミーさんの養子になったら、勇者パーティーの活動ってどうなるんですか?
ジミーさんは
ジミー「うむ、そのことじゃが…」
ジミーは椅子を座り直し、姿勢を正した。
ジミー「私は今日を限りにギルドの仕事を
そして皆さんの勇者パーティーに加わり、共にクエストをやっていこうと思っています。
そうすれば儂と皆さんがバラバラになることもなく、また皆さんが知りたいことにも直接答えられる機会も増えることでしょう…どうですか?」
アイ「ジミーさんが私たちのパーティーに加わるんですか?…」
アイとナオはそれはマズいという表情をして顔を見合った。
タクミもヤバいという感じでジミーから目を
ジミー「どうしました?儂が皆さんのパーティーに加わるのに何か
ソラ「はあ、ちょっと…」
ジミーに加わってもらって一緒にクエストをやっていくこと自体は願ったり叶ったりなのだが、タクミの能力と自分たちの関係のことを考えると、ジミーがパーティーの一員になると全てがばれてしまう。
アイとアカリはタクミに説明させようと、彼の
アイ「…タクミ、ほら言いなよ…」
アカリ「あんたのことでしょ…」
タクミ「いや~…そう言われても…」
タクミがもじもじして何も言い出せないのを見て、ジミーはますます
ジミー「何か儂が加わるとマズいことがあるようですな…では別のことを考えねば…」
タクミ「い、いや、そうじゃないんです…ジミーさんに何か問題があるんじゃなくて…」
タクミはしぶしぶ話し出した。
タクミ「あの~…オレ…私たちってそれぞれに能力があって、ある人には武術の能力、ある人には魔法っていう具合に力を
オ、オレだけがその…ちょ、ちょっと変わってて…あの、それが…」
ジミー「それが、どうされました?」
タクミ「そ、それが…」
さすがにタクミもその先が言い出せず、アイやナオが小声で何度も「早く」や「ほら、さっさと…」と声をかけ、やっとタクミも切り出す。
タクミ「あ、あの、オレの能力ってのが…い、異性と性行為をすると、そ、その相手に経験値が付くって能力なんです…」
ジミー「???…」
ジミーも最初は何のことか分からず、眉をひそめながらタクミの顔をジッと見た。
女の子たちはもう顔を真っ赤にしてもじもじと下を向いてしまっている。
タクミももう一度言うわけにもいかず、黙ってジミーの顔を見ていた。
ジミーはしばらくの間頭の中でタクミの言葉を
ジミー「異性と性行為…経験値が付く…性行為…」
ジミーは難しい顔をしたまま、下を向いているアイたちのことをぐるっと見回し、もう一度タクミの顔をジッと見る。
と、何かが
ジミー「ハハハハハ(笑)…
なるほど、そなたと他の皆さんが男女の関係で、そうすれば修行と同じことになってスキルを得たり、レベルアップをしたりということですな(笑)…
えー、そなたは…」
タクミ「タクミ、タクミです…」
ジミー「タクミ殿と皆さんはもうそういう男女の関係だというわけですな…」
アイ「あ、はい…一応…」
タクミも含めて全員が真っ赤な顔をして、ずっと下を向いたままでいる。
ジミーはいかにも面白いと笑いをこらえられない。
ジミー「ハハハハハ(笑)…それで儂が皆さんの勇者パーティーに加わると、儂も皆さんの関係に加わらねばならぬのでしょうか?」
アイ「はい?」
ナオ「まさか⁉そんなことないです、絶対に!」
ジミーの言葉に女の子たちはブルブルと首を横に振る。ジミーは
ジミー「では、何の問題もないでしょう…
儂は皆さんの関係についてあずかり知らぬ者ですから、儂が何も言わねば儂が加わっても勇者パーティーとしてやっていくことは可能ですな…」
アイ「はい、ジミーさんが気になされないとおっしゃるなら…」
アイが
みんなもまだ
ジミー「皆さんの、特にタクミ殿の能力については十分に
タクミ「それはもちろん…」
ジミー「そうであれば、儂もそのことは知っているというだけにいたしましょう。
ただし、それが
ナオ「もちろんそんなことしません…」
ソラ「大っぴらにってそんなことするわけないし…」
アイ「そこは私たちも絶対に気づかれないようにします…」
ジミー「その言葉を信じましょう…」
ジミーはそこで話を切ると、アイたち一人々々の顔をまじまじと見つめる。
ジミー「では、もう一度養子についてお答えを
ジミーの問いかけにみなは首をひねっていたが、ナオが思い出したように尋ねる。
ナオ「あの~…さっきジミーさんは私たちに普通の勇者パーティーとして活動するんじゃないというような言い方をされましたが、ジミーさんが私たちに加わると何が違うんですか?」
ジミーは深くうなずいて答える。
ジミー「まず、今はアイ殿がリーダーをされているが、これは私と交代していただかねばなりません。
リーダーは全ておいてパーティーのことを決定せねばなりませんが、経験ということを考えると儂がアイ殿の指示を受けるというのはどこかで
この点はアイ殿、いかがでしょうか?」
アイ「あっ、そ、それはそうですね…」
アイは突然リーダーの交代を告げられ、少し困惑した表情になる。ジミーはその表情も見逃さない。
ジミー「リーダーの交代と言っても、皆さんのリーダーがアイ殿であることは変わりません。
儂もアイ殿のことや皆さんのことを無視して何かを進めるようなことはありません。
ただ、ご領主様とのことや貴族同士のことは儂がせねばなりませんゆえ、儂がリーダーの方が何かと都合がいいでしょう。
お城でのことなどはいろいろと決まってからお伝えせねばならないかもしれません…」
ソラ「ジミーさんが勇者パーティーに加わってくれたら、もう何とか
ジミーはソラの言葉にゆっくりと首を振った。
ジミー「残念ながら皆さんが儂の養子となってくださり、儂が皆さんの勇者パーティーに加わってもまだご領主様とのことは終わりではありません。
まずは明日、儂と共に皆さんもお城へ登らねばなりません。
アレン様からご命令があればそれは絶対なのです。」
アユミ「お城へ行けばどうなるんですか?」
ジミー「恐らくアレン様は儂が皆さんを養子にしたと申し上げても、皆さんが本当に
儂はそれを
ソラ「ジミーさんが断れば、それで終わりでしょ…」
ジミー「ご領主であるアレン様が皆さんをお側にお仕えさせたり、皆さんの顔を確かめたりするようなことは、儂が断ればできません…
しかし、恐らくアレン様は儂と皆さんのそうした行動を
なので、我々に何か
ルカ「そんな…」
モア「ひどーい!」
ジミーはもう一度首を振って話を続けた。
ジミー「皆さんのお言葉を
だが、この国ではまずは国王陛下のお言葉、その次に貴族諸侯の言葉が絶対なのです。」
アカリ「でも、さっきジミーさんが貴族の地位は守られてるっておっしゃって…」
ジミー「確かにアレン様が儂に無理矢理家族のことを命令することはできません。
ですが、それとご領主としてのアレン様の
儂のような末席の貴族がアレン様のご命令を断固として断るとなれば、アレン様の体面に大きな傷がつくというもの…
アレン様が儂や皆さんにその
ソラ「当然って…」
アイ「アレン様が命令する無理難題ってどんなことですか?」
ジミー「そうですなあ…まあどのようなことかは分かりませんが、我々が
ジミーがサラッと命懸けや死罪ということを言うのに、アイたちは開いた口が
タクミ「死罪になるような無理難題って…」
ナオ「じゃあ、どうやっても私たちは危険な状況なんですか?」
ジミー「まあ、そうでしょうな…明日、城から無事に下がってきても到底安心はできますまい…」
ソラ「じゃあ、何のために私たちジミーさんの養子に…」
ジミー「何のために?もし何もなされずにお城へ行けば、皆さんは間違いなくアレン様のお側に仕えねばならぬ
例えどんな無理難題を
一度皆さんのことがアレン様のお耳に入った以上、もはやこれからはずっと死地にいるのと同じなのです。
もし
だが、それ
皆さんのお力に儂が何かしらを加えられれば、そうした死地の連続からも逃れられるやもしれません。
だからこそ、皆さんが儂の養子になることには大きな意味があるのです。いかがでしょうか?…」
アイたちはまたお互いに顔を見合わせる。
もう話の展開が早すぎてとてもついていけない。
だが一つだけはっきりしているのは、自分たちにはどうなるのか全く分からないこれからのこともジミーにははっきりと分かっているということだ。
彼にだけはこれから何がどう起こっていくのか、明確に見えている。
みんなが不安に押しつぶされそうになっている中で、目の前に座っているジミーは
その姿は彼女たちにとって何とも言えない心強さを感じさせた。
アイはもう一度メンバー全員に目配せをしてそれぞれの気持ちを確かめる。
全員がアイからの視線に黙ってうなずくのを見て、彼女はジミーの顔をしっかりと見て言った。
アイ「分かりました…私たち全員、これから養子としてジミーさんのお世話になろうと思います。」
ジミー「それは皆さん全員の意思ですかな?」
アイ「はい。」
アイがうなずくと、他のみんなも同じようにジミーを見てうなずく。
ジミーもそれを見て笑顔で大きくうなずいた。
ジミー「分かりました。では本日これより、それがしと皆さんは親子としての
ジミーがそう言うとアイは椅子から立ち上がる。
それを見て他のみんなも立ち上がるとアイはジミーに深々と頭を下げ、みんなも同じように彼に頭を下げた。
ジミーはその姿を見て、満足そうに笑顔で何度もうなずいた。
*楽しんでくださった方や今後が気になるという方は、お気に入りや評価をいただければ励みになります。
また、面白かったところや気になったところなどの感想もいただければ幸いです。よろしくお願いします。