ワンダラーズ・イン・アナザー・ワールド ~男子は僕ひとりだけがクラスの女子といっしょに異世界へ送られたけど、僕が抱くことで彼女たちは強くなります。~ 作:イジー・ムラシロ
アイたちが顔を上げると、ジミーも椅子から立ち上がり傍にいたタクミから順番に一人々々と握手をしていった。
そのごつごつした手は大きくて
アイが彼と握手をした時にその顔を見ると、ジミーも
そうしてアイたち全員と握手をすると、ジミーは元の席に戻ってみんなに席に着くよう身振りで
全員が席に着くと、ナオがまたジミーに質問した。
ナオ「それで、これから私たちどうすればいいんですか?…」
ジミー「そうですな…まずはお互いにステイタスを確認しましょう。
ジミーに言われてみんなも
すると確かにそこにジミーのステイタスが見えるようになっていた。その能力を見て、みな思わず声が出てしまう。
タクミ「うわ~…」
ソラ「なんかスゲー…」
アイ「こんなになるんだ…」
ナオ「ホントに…」
ジミーは武術系のスキルは
それと比べると魔法の能力はやや低いがそれでもLv.50は超えていて、いくつかの魔法はLv.60に達していた。
魔法も攻撃と防御だけでなく、生活魔法も回復魔法もかなりの種類使えることができる。
彼の能力を見ると自分たちはまだまだ初心者だと実感させられた。
ジミーもまたアイたちの能力をじっくりと確かめていた。
一人々々の能力を時間を掛けて見ていたが、誰かの能力を見るとジミーは笑い出す。
ジミー「フフフ(笑)…なるほど、これがタクミ殿の能力ですか…」
タクミ「あっ、はい…」
ジミーがステイタスを確かめてもう一度前を向くと、またアイたちは真っ赤になって下を向いていた。
アユミ「…え~と…」
タクミ「あの~…それでいいですか?…」
ジミー「いやいや、皆さんの能力はそれぞれ分かりました。
また、機会を見てお一人々々の細かいことは確かめておきますので…」
アイ「それで…私たち、今からジミーさんのことを「お父さん」って呼べばいいんですか?」
ジミーはアイに言われてゆっくりと首を横に振る。
ジミー「その点は気になされずとも結構です。これからもジミーと呼んでいただければと思います。
ただ、儂が一々皆さんのことをアイ殿やタクミ殿と呼ぶとややこしいので、今後は名前だけを呼びたいと思いますが、それでよろしいか?」
アイがみんなの方を見ると、みんなもうなずくので彼女もうなずいて言う。
アイ「分かりました、それで結構です。」
ジミー「まあお互いすぐに気安く呼ぶのは難しいでしょうから、そこは少しずつ慣れていきましょう。」
ジミーはここまで話をすると、席から立って階段を上っていって大声でナデアに何かを言う。
みんなが何事だろうと顔を見合っていると、そこに
コップにはさっきの紅茶が入っていた。
ナデア「お疲れ様…少し休憩したら…」
アユミ「ありがとうございます…」
ジミーの近くに座っているタクミとアユミがみんなにコップを回していく。
ナデアがジミーにもコップを渡すと、ジミーは笑顔でうなずいた。
ソラ「ハア~…」
ツグミ「フ~…」
重い話が続いたので、みんなもう疲れてしまっていたが、ナデアが出してくれた紅茶のおかげで気持ちがだいぶ軽くなってくる。
ジミー「大変な話が続きましたな…どうですか、何か儂に聞きたいことがあれば何でも聞いてください…
この世界やこの国のこと、この街のこと、儂自身のことなど何でも構いませんよ…」
モア「ジミーさんって貴族って言ってるけど、結構お金持ちなんですか?」
ルカ「モアちゃん…」
ナオ「ヤメなって…」
モアがいきなり
だが、ジミーはそんなモアの質問を聞いて笑い出した。
ジミー「フフフ(笑)…さて、どれぐらいの財宝があれば金持ちと言えるのか…
それはどうです?儂の屋敷に来て中をご覧になられれば?…」
モア「でもジミーさんが貴族だと、私たちもいつか貴族になるんですか?」
アイ「もうヤメなよ…」
ジミー「いやいや、私の
モアが質問を続けても、ジミーは
ジミー「儂は10年以上前にあったこの国と隣国のサン王国との
ナオ「ロー何とかとか言うような記憶がありますが…」
ジミー「そう、ローダニア王国です…
我がローダニアとサンの戦役の際に、儂は今の国王
普通ならばその功で儂は騎士に
ただしその爵位は騎士と同様、儂の一代限りとされましたので、皆さんは儂の養子となりましたが、残念ながら誰もこの爵位を
確かこの話は兵舎の兵士からも聞いたはずだが、実際にジミー本人から聞くと目の前の人物が
だが、その当の本人は優しい笑みを浮かべている。
ソラとアカリが小さな声で相談をしてからアカリがジミーに聞く。
アカリ「私たちもジミーさんから直接戦い方や魔法の使い方を教えてもらえますか?」
ジミーはそれを聞いて大きくうなずいた。
ジミー「これからアレン様からどのようなお達しがあるかによりますが、儂としては出来るだけ機会を作って皆さんに儂の武術や魔法、それに実際の戦場での戦い方について、儂の持っているものをお教えしたいと思っています。
儂が長く冒険者ギルドで
だが、ギルドにいる若い者は皆、儂の知っていることをよう学んでくれました…
正直言うとギルドの者たちは儂の知っていることをもう全て学んでおり、儂がこれ以上ギルドにいる意味はほとんど無くなっておったのです。そこに皆さんが来られた…
これが儂が知っている勇者パーティーとしての知識を伝える最後の機会と思ったのでな。それも皆さんを養子に
ですので、皆さんが聞きたいことがあればどんな時でもどんどん聞いて下さい。儂も出来るだけのことをいたしましょう。」
いつも戦いの度に誰かにどうすればいいのかを聞きたいと思ってきたのを考えると、ジミーの力強い言葉は本当にありがたい。
アイはアカリと、ナオはツグミと互いに
それでもジミーの言葉を聞いて、みんなの目が
これまでただ
すると、ジミーは何かを思い出したような顔する。
ジミー「ところで、「
アイは
アイ「すいません…せっかくよくしていただいたのに報告が後回しになってしまって…
ジミーさんのお手紙のおかげで無事に
ジミー「それはよかった…何か特に言われたことはなかったですかな?」
アイとアカリとナオとアユミは互いに顔を見合わせる。すると、モアが口を開く。
モア「ジミーさんが貴族だって…」
アカリ「それはもういいでしょ…」
ジミー「フフフ(笑)…そうですか、ギルドでは黙っておりましたので…」
ナオ「それはもう…あとはダンが元々騎士だと聞きました…」
タクミ「それもかなり
アイ「そうです。私が彼を倒せたのも運が良かったって…」
ジミーはダンのことを聞いて、深くうなずいた。
ジミー「儂もダンが騎士だったことは聞いたことがあります…
あまり
アイ「確かに、あの大斧を自由自在に遣っていました。本当に危ないところでした…」
アイはまたやられそうだった時のことを思い出したのか、軽く
ジミー「いやいや、危なかった時のことばかりを気にしても仕方ないでしょう。
確かに危険だったことは覚えておく必要はありますが、アイ殿はダンを倒したのです。
例え他の助けがあったとしても、その機会を活かしたことをもっと評価すべきでしょう。
あなたはダンが見せた
アイ「ジミーさん…」
アイが顔を上げると、ジミーは何度うんうんとうなずいた。
隣にいたアカリもアイの背中を
アイたちからさっきまでの重苦しい様子が薄れてきたのを見て、ジミーが口を開く。
ジミー「では、これからのことを少しお話しましょう。」
みんなは隣同士で話すのを止めて彼の方を見る。
ジミー「さてこの後ですが、ここで食事を取った後、まずは皆で冒険者ギルドへ参りましょう。
皆と言いましたが、実際にギルドに行くのは儂とアイ殿だけで、儂がギルドの所長に鑑定士の仕事を
アカリ「ジミーさんとアイがギルドにいる間、私たちはどうすればいいんですか?」
ジミー「ギルドから離れたところに馬車を止めますので、皆さんはそこにいてください。
ただし、人に知られると
ナオ「はい…」
ジミー「そうした手続きが終われば、儂と一緒に屋敷に参りましょう。
屋敷には執事や女中たちが皆さんのことを待っておりましょう…今日はそのまま屋敷にいてもらいます。」
アイ「今日は、っていうことは明日はまた別ってことですね…」
アイの言葉にジミーは黙ってうなずく。
ジミー「明日は朝からアレン様のお城に
アレン様の御前に参上しながら、いかに皆さんの
果たしてそれがどのような結果となるのか…
城から下がって屋敷に戻るまで、一瞬も気が抜けないでしょうな…」
ソラ「もし私たちのことが知られたら…」
ソラの質問にみんなはゴクっと
ジミー「もしかすると、本当に儂ら全員で城の兵隊全員を相手にせねばならなくなるかもしれません。
無事に戻ってくることは、万が一にも難しいでしょう…」
さすがにジミーも
だが、彼女たちも険しい顔になっているのに気づいて、ジミーは表情を
ジミー「まあ、皆さんがアレン様の前で声を出したり、わざと顔を見せたりするようなことをしなければそれほど時間もかからずに屋敷に戻れるでしょう。
ですので、そのような難しい顔をなされずとも大丈夫ですよ…」
アイ「はあ…」
さっきは城で戦うこともあるかもしれないと言われて緊張感が高まったのが、ジミーの一言で何かかわされたような感じになってアイたちはそれぞれに顔を見合った。
ツグミ「さっきジミーさんがおっしゃった、アレン様からの無理難題のことですが…それも心配しなくてもいいんですか?」
ツグミの質問を聞き、ジミーは再び真面目な表情をする。
ジミー「そのことについては明日、アレン様の御前でどのように話が運ぶのか、それ次第でしょう。
儂にも一体どのようになるのかは、わかりかねます。
ただし、アレン様は自らを
そうすれば、何かお言いつけなされるのは
ナオ「じゃあ、やっぱり何か難しいことを…」
ナオが言おうとしたことをジミーはそのまま引き取る。
ジミー「まあ、アレン様が何を
ですので、今は難しいことは考えないでおきましょう。
とにかく明日城に登り、無事に屋敷に戻ってくる。
今はこれ以上のことは考えないことにしましょう。」
ナオを始め、何人かの女の子の顔には不安そうな表情が浮かぶが、ジミーは心配を打ち消すように笑みを浮かべた。
ジミー「とにかく皆さんにお願いをしたいのは、明日は儂の言うことを必ず聞いてほしいということです。
そして勝手に声を出したり、勝手な振る舞いをしたりするのは絶対にしてはならぬということ。その二つを絶対に守ってください。
今日、儂が言ったことより
我ら全員の命が
そのことを
ジミーの言葉を聞き、アイたちは改めてしっかりと彼の顔を見て深くうなずく。
ジミーも満足げにうなずき返した。
ジミー「さあ、話がだいぶ長くなりましたな。そろそろお腹が空いてきたでしょう…」
ジミーがそういい終わった途端、ドアが開いてナデアがお盆を抱えて下りてきた。
ナデアの後ろからは10歳ぐらいの女の子が同じようにお盆を持ってやって来る。
お盆には湯気を立てているお皿が乗っていた。
ナデア「さあさあどうぞ…長い間お話してましたから…」
ナデアがお皿を置くと、そこには真っ白なスープが入っていた。
女の子はそれとは別にパンが乗った
ナデア「順番にお持ちしますからね…」
ナデアと女の子は何度も部屋を行ったり来たりしてスープとお皿や飲み物、パンを次々と運んできた。
アイたちは2人が運びやすいように自分たちで運ばれてきたものを隣に回していく。
タクミと彼の隣にいたアユミが立ち上がろうとしていたジミーの前にスープやパンを持っていった。
アユミ「ジミーさん、どうぞ…」
タクミ「そのままでいてください…」
ジミー「いやいや、申し訳ない…」
全員にスープとパン、そして飲み物が回るとナデアが言う。
ナデア「スープは豚肉を細かくして作った肉団子を入れたクリームスープで、パンはこの傍に美味しいパンを焼いているお店があるのでそのお店のものです。
スープはたくさんあるのでお代わりもどうぞ。」
ジミー「では、冷めないうちにいただきましょう。」
ジミーが手を拡げてみんなに
アイ「じゃあ、いただきます!」
全員「いただきます!」
アイたちが声を合わせてから食べ始めたので、ジミーもナデアも驚いて顔を見合わせた。
ナデア「何か独特ですね…」
ジミー「彼女たちだけの儀式があるようですな…」
タクミ「はあ、まあちょっと…」
タクミはジミーの言葉に何とも言えず、言葉を
ナデアが出してくれたスープは独特の風味があるものの、口当たりもよく非常に美味しかった。
みんな難しい話が続いて疲れていたのか、食事が進んでいく。
アユミ「ナデアさん、このスープ、独特の風味があるんですけど…
クリームスープのミルクが牛乳とは違うんですか?」
ナデア「そう、これは
アイ「はい、これってとっても美味しいです。」
ソラ「クリームスープだけど結構あっさりしてて…」
ナデア「よかった、皆さん、初めて来られたお客さんだったから少し心配してたの…」
ジミー「いや、ここのおかみさんの料理はどれも
屋敷のコックも
ナデア「まあ、お
ルカ「スープのお代わり、
ナデア「ハイハイ、他の方もおっしゃってね…」
アカリ「じゃあ、私も…」
モア「私も!」
タクミ「オレも!」
早朝からネコを追って街中を
ジミーも彼女たちの自然な笑顔を見て、満足そうなに何度もうなずいた。
やがて全員が昼食を食べ終え、それぞれが食後の紅茶も飲み干すとジミーが改まって言う。
ジミー「では、これから先に述べたように冒険者ギルドへと参ろう。
これから儂とお前たちは父と子の関係じゃ。
ここまでは一応お前たちのことを客人として接していたが、これからは我が子として接するゆえ、お前たちもそのことを十分に心してほしい。
もちろん儂も皆のことをお前たちと遠慮なく呼ぶから、お前たちも何も遠慮することなく疑問に思ったことや知りたいことは
アイ「分かりました。」
ナオ「さっきもおっしゃってましたが、ギルドに行くのはジミーさんとアイだけですね…」
ジミー「そうじゃ…実は儂が
だから、儂が辞めるというだけでギルドでちょっとした騒ぎになるかもしれん。
だから、お前たち全員を連れていくと騒ぎが大きくなってしまいかねん…」
アユミ「そんな…」
ジミーがギルドを辞めるのを決めたのがそんなギリギリのタイミングと知り、アユミやツグミやアカリは顔を見合わせた。
アイやナオも申し訳なさそうな表情をする。
ジミー「お前たち、そんな顔をせんでもよい…儂としてはこれでいいのじゃ。
もし儂がもっと前から辞めると言っておれば、ギルドの者たちも儂を引き留めようとしたかもしれんからな。
こうした辞め方の方が
アイ「はい…」
ジミーはそう言うが、まだわずかな時間しか接していない自分たちでもジミーの魅力に強く
そんなジミーが自分たちのためにギルドを去ると知れば、ギルドで働く人々はみんなどれほど悲しむだろうか。
アイたちにはそのことが分かり、申し訳ない気持ちでみな下を向いた。
だが、ジミーはまるで散歩にでもいくような軽快な感じで立ち上がると、みんなに言った。
ジミー「さあ、食事も終わりじゃ。皆で出掛けるぞ、よいな!」
アイたちはその言葉を聞いて顔を上げた。
全員「はい!」
ジミー「よし、では参ろう!」
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