※この作品はR-18です。

ワンダラーズ・イン・アナザー・ワールド ~男子は僕ひとりだけがクラスの女子といっしょに異世界へ送られたけど、僕が抱くことで彼女たちは強くなります。~   作:イジー・ムラシロ

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112 リラの城での謁見

 ジミーが外出のためのマントを着るために自室に行こうとすると、ハドルがドアの前でお盆に()った手紙を差し出した。

 

ハドル「バグ様からお(たの)みになられていた手紙が届いております。大変遅くなり申し訳ございませんとのことです。」

 

 ジミーはすぐにハドルから手紙を受け取ると開封(かいふう)して中身を読む。

 そして中を確かめると笑顔を浮かべてうなずいた。

 

ジミー「バグからの使いの者はまだ居るのか。」

ハドル「はい、まだ勝手口の方に…」

ジミー「(わし)がバグに心から礼を言っておったと伝えてくれ、またすぐに店に邪魔をするとな…

 それと、代金も十分な(がく)を渡しておいてくれ。儂が本当に感謝していたと…」

ハドル「承知(しょうち)いたしました。」

 

 ジミーは手紙をストレージにしまうと、ハドルに向かってもう一度大きくうなずいた。ハドルも深く頭を下げる。

 

 ジミーは真紅(しんく)のマントを羽織(はお)り、銀のブローチを使って肩の辺りでそれを止め、剣を腰に()びると急いで階段を下りていく。

 アイたちはもう馬車に乗り込んでおり、最後にジミーが乗り込むとカイが乗り降り用の台を御者(ぎょしゃ)に渡した。

 

ハドル、カイ「いってらっしゃいませ。」

 

 ハドルとカイがジミーたちを見送ると、馬車は城に向かって走り始めた。

 馬車が動き出してすぐにジミーはさっきの手紙を取り出し、アイたちに小声で話しかける。

 

ジミー「実はこのリラにバグという名のレア出身の商人がいる。

 儂は昨日その者に会ってきたのじゃが、儂が思っていたようにこの者にレアの村長から手紙があって、お前たちのことをよろしく(たの)むように伝えてきていた…」

 

 アイとアカリはドムニの武器屋のオットが口にした名前をジミーから聞き、黙ったまま顔を見合わせた。

 ジミーもその様子に気づくが、そのまま話を続ける。

 

ジミー「昨日ハドルやエルザたちの前で言ったように、お前たちは儂の恩人の縁者で、儂を頼ってこのリラにやって来たということにしておくので、儂は昨日バグに頼んでレアの村長から儂(あて)にお前たちが儂の恩人の縁者であるということや、お前たちのことを頼むというようなことが書いてある手紙を作ってもらった。

 

 実際にそんな手紙が儂に来たわけではないが、儂らの関係を疑うアレン様にこのような手紙をお示しする必要があると思ってな…

 お前たちがお城で何かを言う必要はないが、手紙のことで驚くようなことがあると疑われるやもしれぬから、一応言っておく…」

 

 アイたちは言いつけ通りに声を出さなかったが、ジミーがそんなことまで考えて準備をしていたことにますます驚いた。

 

 自分たちはこの街にやって来てからの変化の速さについていくだけで精一杯なのに、ジミーは常に何歩も先を見通している。

 みんなはジミーの慧眼(けいがん)に驚くと共に、そんな彼と一緒にいることに大きな安心感を覚えていた。

 

 馬車は街中を進んでいくと、やがて坂道を上っていき、しばらく進むとやがて木橋を渡る音がする。

 橋を渡って少し行くと人々の声とともに馬車はゆっくりと止まった。

 

 しばらくの間、馬車の傍をガチャガチャと音を立てて行き交う人々の足音が聞こえていたが、やがて「ブロッケン男爵(だんしゃく)閣下(かっか)のご到着です」という声が響き、馬車のドアが開かれた。

 ジミーはもう一度アイたち全員の顔を見回してうなずくと、自分が先頭になって馬車を降りた。

 

 アイたちはフードを真深く(かぶ)り、タクミを先頭にしておずおずと馬車を降りていく。

 馬車の前には剣を(たずさ)え、(やり)を持った衛兵たちが数人並んでいて、その前に一人の背の高いきちんとした身なりの男性が立っていた。

 

 男性はジミーと同じぐらいの背の高さで、すらっとした細身で手足もとても長い。

 顔は目鼻立ちの整った二枚目だがまだかなり若いのか、どこか少年っぽい様子も(ただよ)わせている。

 彼は白いズボンに緑色の上着を着て濃紺(のうこん)のマントを(まと)っていて、アイたちが馬車から降りている間にジミーに近づいて固く握手をした。

 

若い男性「ジミー殿、ようこそお(おこ)しになられました。」

ジミー「おう、今日はグレッグ殿が出迎(でむか)えて下さったのか…

 アレン様はどのようなご様子かな?」

若い男性「皆さんがお越しになられるのをお待ちになっておられます。さあ、広間へ参りましょう。」

 

 グレッグと呼ばれた男性がジミーの後ろへ視線をやると、フードを被ったアイたちがみな馬車から降りて並んでいる。

 ジミーは男性の肩に手を置いて、彼をアイたちに紹介する。

 

ジミー「この方はグレゴリー・オーウェン子爵(ししゃく)じゃ。

 オーウェン家はこのローダニアの国でも一二を争う名家でな、グレゴリー殿の御父上は先王の元で宰相(さいしょう)(つと)められ、今の国王陛下(へいか)の元では兄上がお二人、宰相と将軍を務めておられる。

 グレゴリー殿は御父上の命でアレン様のお側を御守りしておられるのじゃ…」

 

 アイたちはフードを脱ぐことなく頭を下げるが、オーウェン卿は特に不快そうな様子も見せずに彼女たちに会釈(えしゃく)をした。

 

オーウェン子爵「初めまして、グレゴリー・オーウェンと申します。

 皆さんにお会いでき、大変光栄です。私のことはどうぞグレッグとお呼び下さい。

 本日はアレン様よりジミー殿を始め、皆さんをご案内するように(おお)せつかっております。

 では、どうぞこちらへお進み下さい。」

 

 オーウェン(きょう)には名家の出身を思わせるような高慢(こうまん)なしぐさは一切なく、ジミーにもアイたちにも本心から丁寧で謙虚な振る舞いで先に立ってみんなを先導し始める。

 アイたちはオーウェン卿とジミーに遅れないようにその後についていった。

 

 リラの城は石造りで非常に天井の高い大きな城だったが、かつて反乱もあったということもあるのか、華美(かび)な装飾などはほとんど見られない、質実剛健(しつじつごうけん)な様子をしている。

 城を(かざ)っているのは絵画や彫刻ではなく、剣や槍のような武器や鎧兜(よろいかぶと)のような武具だった。

 時々見かける衛兵や召使(めしつかい)たちも無駄口など言うことなく、辺りには張りつめた空気が(ただよ)っていた。

 

 広いエントランスを抜けるとそこが謁見(えっけん)のための広間なのだろう。正面が(だん)になっていて真ん中に大きな椅子が(しつら)えられている。

 中央の椅子の左右にはかなり離れて小さな椅子が2脚ずつ並んでいて、その横に大きな魔法の(あか)りらしきものが背の高い燭台(しょくだい)のようなものの上で輝いていた。

 

 壇の下にも大きく離れて左右に椅子が4、5脚ずつ、中央に向かって向かい合わせに並べられている。

 貴族と思しき人物が数人、既にその椅子に座っていて、その後ろには十数人ずつ衛兵が並んでいた。

 

 ジミーはアイたちを従えると、壇の下の左右に分かれた椅子の間の床にそのまま(ひざまづ)いた。

 アイたちはジミーのすぐ後ろに並んで同じように跪く。

 

 ジミーたちを先導してきたオーウェン卿は右側に並ぶ椅子の一番最後に座った。

 ジミーとアイたちが跪き、オーウェン卿が着席するとすぐに壇上の右奥から大きな声が響く。

 

「ご領主様の御成(おな)りである!」

 

 ローゼン辺境伯(へんきょうはく)御成りの声がかかると、壇の下の椅子に座っていた貴族たちも立ち上がって頭を下げる。

 ジミーは床に着くぐらい深く頭を下げ、アイたちもフード越しにそれを見て同じように(こうべ)()れた。

 

 そこにいる全員が頭を下げていると、そこにまずアクレス・ダイグ子爵が壇上に入ってきた。

 彼はアイたちから見て左側の椅子の前まで行き、そこで立ったまま頭を下げる。

 すると、やっとアレン・ローゼン辺境伯がナイアル・エドアン伯爵(はくしゃく)とマルダ・クィーズ士爵(ししゃく)を従えて入ってきた。

 

 ローゼン辺境伯は濃紺に金の刺繡(ししゅう)が入った上着に朱色のズボンを()き、表が赤で裏地が白で銀色に縁取(ふちど)られたマントを身につけている。

 ローゼン辺境伯やエドアン伯は何の武器も帯びていないが、ダイグ卿とクィーズ卿はそれぞれ長めの剣を腰にしていた。

 領主と貴族たちに続いて左右から衛兵が2人ずつ両端に立つ。

 

 その場にいる貴族たちも衛兵たちもしわぶき一つすることもなく、謁見の間はしんと静まり返った。

 

 エドアン伯とクィーズ卿が自分の席のところへ行き、ローゼン辺境伯が椅子に深く腰を掛け、その場にいる人々全員を見回すと、彼が声を掛けた。

 

ローゼン辺境伯「皆の者、ご苦労。楽にするがよい…」

 

 ローゼン辺境伯の言葉を聞いて、壇の下にいた貴族たちは頭を上げて席に着く。

 ローゼン辺境伯の左右にいるエドアン伯やダイグ卿たちも黙って着席した。

 しかし、ジミーとアイたちだけは跪いて頭を下げたままでいる。

 

 しばらくの間誰も一言も発さなかったが、やがてエドアン伯がジミーに問いかけた。

 

エドアン伯「ブロッケン卿、アレン様は昨日そなたの後ろに(ひか)えている勇者パーティーの者共に登城し、挨拶(あいさつ)するようにと書面で命じられた。

 (しか)るに、なぜ今日そなたがその者共を(したが)えてやってきたのか?

 アレン様にその(わけ)をご説明なされよ。」

ジミー「ははー…」

 

 ジミーは改めてローゼン辺境伯に深く頭を下げると、顔を上げて話し出す。

 

ジミー「アレン様に申し上げます。

 (わたくし)の後ろに控えおる者どもは元々疫病(えきびょう)にて四散したハルトの出身でございますが、(さかのぼ)ると最果(さいは)ての村と言われるレアの村の出身の者が祖父でございます。

 実はその祖父という者が、私がまだ若い頃に一人前になるように教えを()うた人物でございました。

 

 つい一昨日(おととい)のこと、この者たちは疫病後に移り住んだレアの村長からの手紙を(たずさ)えて冒険者ギルドに私を訪ねて参りました。

 

 その村長からの手紙に私のかつての恩人がレアの村の出身だったが既に亡くなってしまったこと、この者たちがその恩人の縁者であること、(わず)かながらも腕におぼえがあり勇者パーティーとしてやっていきたいと思っていることなどが書かれており、私に後見人になって欲しいと書かれておりました。

 

 私はこの歳になるまで若い時に受けた恩義を忘れたことはございませんでしたが、如何(いかん)せんその恩人がどこへ行かれたのか、皆目(かいもく)見当もつかないような状態でした。

 それ(ゆえ)、恩人ご自身は既に亡くなりましたが、この者たちを私の養子として力を貸し、かつて受けた恩義の万分の一でもお返しできればと考えたのでございます。

 

 昨日、屋敷の者にこの者たちが逗留(とうりゅう)していた宿屋から我が屋敷に移ることを伝えさせた際に、初めてその宿にアレン様よりこの者たちへの御書状が参っていることを知りました。

 それ故、急いでダイグ卿に登城の(むね)をお知らせし、本日(まか)り越した次第にございます。」

 

 ジミーはこう言うと、ストレージから今朝バグから届いた手紙を取り出し、頭を下げてローゼン辺境伯の方へ差し出した。

 

 すると、椅子に座っている貴族たちの後ろに並んでいた衛兵の一人がジミーのところまでやって来てその手紙を受け取り、それを壇上の衛兵に渡す。

 壇上の衛兵は受け取ったその手紙をまずエドアン伯に手渡した。

 

 エドアン伯が一度ジミーの方を見ると、ジミーはエドアン伯に深々と頭を下げる。

 その様子を見てエドアン伯はジミーから受け取った手紙を読み始めた。

 

 エドアン伯は一通り手紙に目を通すと、頭を下げてそれをローゼン辺境伯に差し出した。

 ローゼン辺境伯は黙ってその手紙を受け取るが、あまり気のない様子で手紙を読む。

 するとエドアン伯の隣にいるクィーズ卿が言う。

 

クィーズ士爵「ブロッケン卿、そなたとその者どもとの間柄(あいだがら)は分かったが、アレン様はこの者どもが一際(ひときわ)優れた容姿(ようし)をしていると聞き(およ)んでおられる。

 各々(おのおの)がそのフードを取って、アレン様によおく顔を見せるように言うのだ。」

 

 ローゼン辺境伯は手紙をエドアン伯に返しながら、初めてジッとジミーの方を見た。

 だが、ジミーは頭を下げたままじっとして動かない。その様子にクィーズ卿が声を荒げる。

 

クィーズ士爵「ブロッケン卿!アレン様がこの者どもの顔を確かめたいとおっしゃられているのだ!

 早くそなたの子女(しじょ)たちに顔を見せるように申せ!」

 

 ジミーはますます頭を深く床に(こす)りつけて口を開く。

 

ジミー「(おおそ)れながら申し上げます。

 この者たちが優れた容姿をしているなど、誰がどのように申し上げたものでしょうか。

 

 この者たちはハルトで生まれレアの村で育った田舎者ばかりです。

 もし村の中でならば多少なりとも美しいなどと言われたかもしれませんが、このリラの街の女たちと比べれば大したことはござりませぬ。」

 

クィーズ士爵「街の者が確かにこの者どもの美貌(びぼう)のことを(うわさ)していると、アレン様のお耳に入っているのだ。」

 

ジミー「いやいや、私はかつて平民の身分でございましたのでよおく分かりますが、市井(しせい)の者どもの噂などあちこちから流れていく間に尾ひれはひれが付くものでございます。

 皆、話をする者を驚かせ、自分を大きく見せようと、聞いた話を更に大げさに聞かせるものでございます。

 

 実際にこの者どもの容貌(ようぼう)もただ田舎娘にしては美しいというぐらいなのを皆々が大げさに語っているのを、また他のどなたかがお聞きになられただけのこと。

 もしアレン様がご(らん)になられればがっかりなされるだけでございましょう。」

 

 ジミーがアイたちの顔を見せるのを断ると、クィーズ卿は憮然(ぶぜん)とした表情でジミーを(にら)みつけた。

 エドアン伯がまた声を上げる。

 

エドアン伯「ジミー殿、アレン様がご所望(しょもう)である。

 そなたの子女に(おもて)を上げてフードを取るように言うのだ。」

ジミー「恐れながら、この者どもはただの田舎娘に過ぎませぬ。

 アレン様が失望なされるだけでございます。どうかお許しを…」

 

クィーズ士爵「ブロッケン卿、アレン様のご命令だ!さっさと娘たちの顔をアレン様にお見せするのだ!」

ジミー「この者どもは決して美しくなどござりません。どうか、どうかご容赦(ようしゃ)を…」

 

 ジミーが改めて床に擦りつけるほど頭を下げると、アイたちも同じ様に頭を下げる。

 クィーズ卿がさらに言葉をぶつけようとした時、ローゼン辺境伯が小さく手を挙げた。

 

ローゼン辺境伯「マルダ、もうよい。ジミー、お前の言うことはよく分かった…

 若い時に受けた恩義をその(とし)でも返そうというのはなかなか良い心構(こころがま)えだ。

 一昨日まで見ず知らずだった者どもを恩返しのために養子に迎えるなど簡単に出来ることではないな…」

 

 ローゼン辺境伯は少しうんざりするような表情でジミーのことを見下ろしていたが、突然立ち上がって大声で言った。

 

ローゼン辺境伯「ジムフロイド・ブロッケン男爵とその子息、子女に命ずる。

 セルジの村に出没する魔獣(まじゅう)のトラを退治せよ!

 期限は2ヶ月。もし首尾(しゅび)よく命令を果たせば一人50ゴールドの褒美(ほうび)を取らせよう。

 だが、もし失敗すれば全員を(しば)り首の刑に処す、以上だ。」

ジミー「ははー…」

 

 ローゼン辺境伯はそれだけ言うと、マントを(ひるがえ)して奥へ入っていった。

 エドアン伯とダイグ卿の2人も椅子から立ち上がってローゼン辺境伯の後に従い、壇下にいた貴族たちも立ち上がって礼をする。

 

 だが、クィーズ卿は立ち上がると壇上のままジミーの真ん前までやって来た。

 

クィーズ士爵「ブロッケン卿!そなたはアレン様の御領内に住まわせていただきながら、ご領主様の命令に従わぬなど言語道断(ごんごどうだん)

 アレン様がお許しになられても近習(きんじゅう)の一人である私は絶対に許さぬからよく覚えておけ!」

 

 彼女はジミーに怒気(どき)()びた言葉を()きつけると、自分も奥へと下がっていった。

 

 (ひざまづ)くジミーたちの横に並んでいた貴族たちもローゼン辺境伯とその近習たちが下がったのを見て自分たちも広間を後にするが、領主のローゼン辺境伯の命令を(こば)んだジミーに(あき)れたような表情を見せるものが多かった。

 

 貴族たちもいなくなると、最後まで残っていたオーウェン卿がまだ(ひざまづ)いたままのジミーやアイたちに声を掛けた。

 

オーウェン子爵「ジミー殿、そして皆さん、さあもう下がりましょう…」

 

 オーウェン卿から声を掛けられて、始めてジミーは顔を上げて立ち上がった。

 ジミーが立ち上がったのを見てアイたちも立ち上がろうとするが、ずっと同じ姿勢のままでいたのでツグミとモアが上手く立ち上がれず倒れそうになる。

 傍にいたソラやルカが(あわ)ててそれぞれの身体を支えて立ち上がらせた。

 

オーウェン子爵「皆さん、大丈夫ですか?」

ジミー「いやいや、かたじけない…この者たちはこのようなお城に参上するのも初めてのことなので、どうかご容赦いただきたい。」

 

 ジミーはツグミやモアが顔を出してしまわないかを見ていたが、他の女の子たちが顔が出ないように上手く助けていたのを確かめるとオーウェン卿の後について歩き出す。

 アイたちも何とかその後ろに続いた。

 

 ジミーもオーウェン卿も口を開くこともなく、彼らはそのまま入っていた門のところにまで戻ってきた。

 衛兵がジミーたちの馬車を呼びに行ったところで、ジミーがオーウェン卿に話しかける。

 

ジミー「グレッグ殿、アレン様がおっしゃられていた魔獣のことですが…」

 

 オーウェン卿は厳しい表情でうなずく。

 

オーウェン子爵「大変なことを申し付けられました…」

ジミー「実は、儂もその魔獣のトラのことは街の者が話す噂程度のことしか存じ上げぬのです。

 グレッグ殿なら(くわ)しいことをご存知だと思うのですが…」

 

オーウェン子爵「分かりました。ジミー殿にもお話したいのですが、お城ではない方がよいでしょう。

 ご子息、ご息女の皆さんのこともあるでしょうから…」

 

 オーウェン卿はそう言ってチラッとアイたちの方を見る。

 

ジミー「申し訳ない、グレッグ殿にまでそのように気を(つか)わせてしまって…」

オーウェン子爵「いや…私は午後からも仕事がありますので、城を下がった夜にでもジミー殿の御屋敷にお邪魔いたします。子細(しさい)はまたその時に…」

ジミー「かたじけない…」

 

 ジミーがオーウェン卿に深くうなずくと、そこにアイたちの馬車がやって来た。

 ジミーは彼女たちに声をかけ、それぞれが次々と馬車に乗り込む。

 最後にジミーはオーウェン卿と固く握手をした。

 

オーウェン子爵「では、また今晩お邪魔いたします。」

ジミー「何から何までご迷惑をお掛けするが、またよろしく頼みます。では、失礼いたす…」

 

 ジミーはオーウェン卿にそういうと馬車に乗り込んだ。

 

(第五章 終わり)

 

 

 

 

 

 




*なんと、初めてR-18エピソードを入れられませんでした。申し訳ありません。m(_ _)m
 次章には必ずR-18(エロ)シーンを入れますので、少しお待ちください。
 この先アイたちはどうなるのか⁉(ちょっと大げさか…)

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