ワンダラーズ・イン・アナザー・ワールド ~男子は僕ひとりだけがクラスの女子といっしょに異世界へ送られたけど、僕が抱くことで彼女たちは強くなります。~ 作:イジー・ムラシロ
ジミーが外出のためのマントを着るために自室に行こうとすると、ハドルがドアの前でお盆に
ハドル「バグ様からお
ジミーはすぐにハドルから手紙を受け取ると
そして中を確かめると笑顔を浮かべてうなずいた。
ジミー「バグからの使いの者はまだ居るのか。」
ハドル「はい、まだ勝手口の方に…」
ジミー「
それと、代金も十分な
ハドル「
ジミーは手紙をストレージにしまうと、ハドルに向かってもう一度大きくうなずいた。ハドルも深く頭を下げる。
ジミーは
アイたちはもう馬車に乗り込んでおり、最後にジミーが乗り込むとカイが乗り降り用の台を
ハドル、カイ「いってらっしゃいませ。」
ハドルとカイがジミーたちを見送ると、馬車は城に向かって走り始めた。
馬車が動き出してすぐにジミーはさっきの手紙を取り出し、アイたちに小声で話しかける。
ジミー「実はこのリラにバグという名のレア出身の商人がいる。
儂は昨日その者に会ってきたのじゃが、儂が思っていたようにこの者にレアの村長から手紙があって、お前たちのことをよろしく
アイとアカリはドムニの武器屋のオットが口にした名前をジミーから聞き、黙ったまま顔を見合わせた。
ジミーもその様子に気づくが、そのまま話を続ける。
ジミー「昨日ハドルやエルザたちの前で言ったように、お前たちは儂の恩人の縁者で、儂を頼ってこのリラにやって来たということにしておくので、儂は昨日バグに頼んでレアの村長から儂
実際にそんな手紙が儂に来たわけではないが、儂らの関係を疑うアレン様にこのような手紙をお示しする必要があると思ってな…
お前たちがお城で何かを言う必要はないが、手紙のことで驚くようなことがあると疑われるやもしれぬから、一応言っておく…」
アイたちは言いつけ通りに声を出さなかったが、ジミーがそんなことまで考えて準備をしていたことにますます驚いた。
自分たちはこの街にやって来てからの変化の速さについていくだけで精一杯なのに、ジミーは常に何歩も先を見通している。
みんなはジミーの
馬車は街中を進んでいくと、やがて坂道を上っていき、しばらく進むとやがて木橋を渡る音がする。
橋を渡って少し行くと人々の声とともに馬車はゆっくりと止まった。
しばらくの間、馬車の傍をガチャガチャと音を立てて行き交う人々の足音が聞こえていたが、やがて「ブロッケン
ジミーはもう一度アイたち全員の顔を見回してうなずくと、自分が先頭になって馬車を降りた。
アイたちはフードを真深く
馬車の前には剣を
男性はジミーと同じぐらいの背の高さで、すらっとした細身で手足もとても長い。
顔は目鼻立ちの整った二枚目だがまだかなり若いのか、どこか少年っぽい様子も
彼は白いズボンに緑色の上着を着て
若い男性「ジミー殿、ようこそお
ジミー「おう、今日はグレッグ殿が
アレン様はどのようなご様子かな?」
若い男性「皆さんがお越しになられるのをお待ちになっておられます。さあ、広間へ参りましょう。」
グレッグと呼ばれた男性がジミーの後ろへ視線をやると、フードを被ったアイたちがみな馬車から降りて並んでいる。
ジミーは男性の肩に手を置いて、彼をアイたちに紹介する。
ジミー「この方はグレゴリー・オーウェン
オーウェン家はこのローダニアの国でも一二を争う名家でな、グレゴリー殿の御父上は先王の元で
グレゴリー殿は御父上の命でアレン様のお側を御守りしておられるのじゃ…」
アイたちはフードを脱ぐことなく頭を下げるが、オーウェン卿は特に不快そうな様子も見せずに彼女たちに
オーウェン子爵「初めまして、グレゴリー・オーウェンと申します。
皆さんにお会いでき、大変光栄です。私のことはどうぞグレッグとお呼び下さい。
本日はアレン様よりジミー殿を始め、皆さんをご案内するように
では、どうぞこちらへお進み下さい。」
オーウェン
アイたちはオーウェン卿とジミーに遅れないようにその後についていった。
リラの城は石造りで非常に天井の高い大きな城だったが、かつて反乱もあったということもあるのか、
城を
時々見かける衛兵や
広いエントランスを抜けるとそこが
中央の椅子の左右にはかなり離れて小さな椅子が2脚ずつ並んでいて、その横に大きな魔法の
壇の下にも大きく離れて左右に椅子が4、5脚ずつ、中央に向かって向かい合わせに並べられている。
貴族と思しき人物が数人、既にその椅子に座っていて、その後ろには十数人ずつ衛兵が並んでいた。
ジミーはアイたちを従えると、壇の下の左右に分かれた椅子の間の床にそのまま
アイたちはジミーのすぐ後ろに並んで同じように跪く。
ジミーたちを先導してきたオーウェン卿は右側に並ぶ椅子の一番最後に座った。
ジミーとアイたちが跪き、オーウェン卿が着席するとすぐに壇上の右奥から大きな声が響く。
「ご領主様の
ローゼン
ジミーは床に着くぐらい深く頭を下げ、アイたちもフード越しにそれを見て同じように
そこにいる全員が頭を下げていると、そこにまずアクレス・ダイグ子爵が壇上に入ってきた。
彼はアイたちから見て左側の椅子の前まで行き、そこで立ったまま頭を下げる。
すると、やっとアレン・ローゼン辺境伯がナイアル・エドアン
ローゼン辺境伯は濃紺に金の
ローゼン辺境伯やエドアン伯は何の武器も帯びていないが、ダイグ卿とクィーズ卿はそれぞれ長めの剣を腰にしていた。
領主と貴族たちに続いて左右から衛兵が2人ずつ両端に立つ。
その場にいる貴族たちも衛兵たちもしわぶき一つすることもなく、謁見の間はしんと静まり返った。
エドアン伯とクィーズ卿が自分の席のところへ行き、ローゼン辺境伯が椅子に深く腰を掛け、その場にいる人々全員を見回すと、彼が声を掛けた。
ローゼン辺境伯「皆の者、ご苦労。楽にするがよい…」
ローゼン辺境伯の言葉を聞いて、壇の下にいた貴族たちは頭を上げて席に着く。
ローゼン辺境伯の左右にいるエドアン伯やダイグ卿たちも黙って着席した。
しかし、ジミーとアイたちだけは跪いて頭を下げたままでいる。
しばらくの間誰も一言も発さなかったが、やがてエドアン伯がジミーに問いかけた。
エドアン伯「ブロッケン卿、アレン様は昨日そなたの後ろに
アレン様にその
ジミー「ははー…」
ジミーは改めてローゼン辺境伯に深く頭を下げると、顔を上げて話し出す。
ジミー「アレン様に申し上げます。
実はその祖父という者が、私がまだ若い頃に一人前になるように教えを
つい
その村長からの手紙に私のかつての恩人がレアの村の出身だったが既に亡くなってしまったこと、この者たちがその恩人の縁者であること、
私はこの歳になるまで若い時に受けた恩義を忘れたことはございませんでしたが、
それ
昨日、屋敷の者にこの者たちが
それ故、急いでダイグ卿に登城の
ジミーはこう言うと、ストレージから今朝バグから届いた手紙を取り出し、頭を下げてローゼン辺境伯の方へ差し出した。
すると、椅子に座っている貴族たちの後ろに並んでいた衛兵の一人がジミーのところまでやって来てその手紙を受け取り、それを壇上の衛兵に渡す。
壇上の衛兵は受け取ったその手紙をまずエドアン伯に手渡した。
エドアン伯が一度ジミーの方を見ると、ジミーはエドアン伯に深々と頭を下げる。
その様子を見てエドアン伯はジミーから受け取った手紙を読み始めた。
エドアン伯は一通り手紙に目を通すと、頭を下げてそれをローゼン辺境伯に差し出した。
ローゼン辺境伯は黙ってその手紙を受け取るが、あまり気のない様子で手紙を読む。
するとエドアン伯の隣にいるクィーズ卿が言う。
クィーズ士爵「ブロッケン卿、そなたとその者どもとの
ローゼン辺境伯は手紙をエドアン伯に返しながら、初めてジッとジミーの方を見た。
だが、ジミーは頭を下げたままじっとして動かない。その様子にクィーズ卿が声を荒げる。
クィーズ士爵「ブロッケン卿!アレン様がこの者どもの顔を確かめたいとおっしゃられているのだ!
早くそなたの
ジミーはますます頭を深く床に
ジミー「
この者たちが優れた容姿をしているなど、誰がどのように申し上げたものでしょうか。
この者たちはハルトで生まれレアの村で育った田舎者ばかりです。
もし村の中でならば多少なりとも美しいなどと言われたかもしれませんが、このリラの街の女たちと比べれば大したことはござりませぬ。」
クィーズ士爵「街の者が確かにこの者どもの
ジミー「いやいや、私はかつて平民の身分でございましたのでよおく分かりますが、
皆、話をする者を驚かせ、自分を大きく見せようと、聞いた話を更に大げさに聞かせるものでございます。
実際にこの者どもの
もしアレン様がご
ジミーがアイたちの顔を見せるのを断ると、クィーズ卿は
エドアン伯がまた声を上げる。
エドアン伯「ジミー殿、アレン様がご
そなたの子女に
ジミー「恐れながら、この者どもはただの田舎娘に過ぎませぬ。
アレン様が失望なされるだけでございます。どうかお許しを…」
クィーズ士爵「ブロッケン卿、アレン様のご命令だ!さっさと娘たちの顔をアレン様にお見せするのだ!」
ジミー「この者どもは決して美しくなどござりません。どうか、どうかご
ジミーが改めて床に擦りつけるほど頭を下げると、アイたちも同じ様に頭を下げる。
クィーズ卿がさらに言葉をぶつけようとした時、ローゼン辺境伯が小さく手を挙げた。
ローゼン辺境伯「マルダ、もうよい。ジミー、お前の言うことはよく分かった…
若い時に受けた恩義をその
一昨日まで見ず知らずだった者どもを恩返しのために養子に迎えるなど簡単に出来ることではないな…」
ローゼン辺境伯は少しうんざりするような表情でジミーのことを見下ろしていたが、突然立ち上がって大声で言った。
ローゼン辺境伯「ジムフロイド・ブロッケン男爵とその子息、子女に命ずる。
セルジの村に出没する
期限は2ヶ月。もし
だが、もし失敗すれば全員を
ジミー「ははー…」
ローゼン辺境伯はそれだけ言うと、マントを
エドアン伯とダイグ卿の2人も椅子から立ち上がってローゼン辺境伯の後に従い、壇下にいた貴族たちも立ち上がって礼をする。
だが、クィーズ卿は立ち上がると壇上のままジミーの真ん前までやって来た。
クィーズ士爵「ブロッケン卿!そなたはアレン様の御領内に住まわせていただきながら、ご領主様の命令に従わぬなど
アレン様がお許しになられても
彼女はジミーに
貴族たちもいなくなると、最後まで残っていたオーウェン卿がまだ
オーウェン子爵「ジミー殿、そして皆さん、さあもう下がりましょう…」
オーウェン卿から声を掛けられて、始めてジミーは顔を上げて立ち上がった。
ジミーが立ち上がったのを見てアイたちも立ち上がろうとするが、ずっと同じ姿勢のままでいたのでツグミとモアが上手く立ち上がれず倒れそうになる。
傍にいたソラやルカが
オーウェン子爵「皆さん、大丈夫ですか?」
ジミー「いやいや、かたじけない…この者たちはこのようなお城に参上するのも初めてのことなので、どうかご容赦いただきたい。」
ジミーはツグミやモアが顔を出してしまわないかを見ていたが、他の女の子たちが顔が出ないように上手く助けていたのを確かめるとオーウェン卿の後について歩き出す。
アイたちも何とかその後ろに続いた。
ジミーもオーウェン卿も口を開くこともなく、彼らはそのまま入っていた門のところにまで戻ってきた。
衛兵がジミーたちの馬車を呼びに行ったところで、ジミーがオーウェン卿に話しかける。
ジミー「グレッグ殿、アレン様がおっしゃられていた魔獣のことですが…」
オーウェン卿は厳しい表情でうなずく。
オーウェン子爵「大変なことを申し付けられました…」
ジミー「実は、儂もその魔獣のトラのことは街の者が話す噂程度のことしか存じ上げぬのです。
グレッグ殿なら
オーウェン子爵「分かりました。ジミー殿にもお話したいのですが、お城ではない方がよいでしょう。
ご子息、ご息女の皆さんのこともあるでしょうから…」
オーウェン卿はそう言ってチラッとアイたちの方を見る。
ジミー「申し訳ない、グレッグ殿にまでそのように気を
オーウェン子爵「いや…私は午後からも仕事がありますので、城を下がった夜にでもジミー殿の御屋敷にお邪魔いたします。
ジミー「かたじけない…」
ジミーがオーウェン卿に深くうなずくと、そこにアイたちの馬車がやって来た。
ジミーは彼女たちに声をかけ、それぞれが次々と馬車に乗り込む。
最後にジミーはオーウェン卿と固く握手をした。
オーウェン子爵「では、また今晩お邪魔いたします。」
ジミー「何から何までご迷惑をお掛けするが、またよろしく頼みます。では、失礼いたす…」
ジミーはオーウェン卿にそういうと馬車に乗り込んだ。
(第五章 終わり)
*なんと、初めてR-18エピソードを入れられませんでした。申し訳ありません。m(_ _)m
次章には必ずR-18(エロ)シーンを入れますので、少しお待ちください。
この先アイたちはどうなるのか⁉(ちょっと大げさか…)
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