ワンダラーズ・イン・アナザー・ワールド ~男子は僕ひとりだけがクラスの女子といっしょに異世界へ送られたけど、僕が抱くことで彼女たちは強くなります。~ 作:イジー・ムラシロ
「タクミ様、起きて下さい。朝でございます、起きて下さい。」
次の日。ぐっすり眠っていたタクミをドアの向こうの女中の声が起こした。
タクミが驚いて顔を上げても相変わらず部屋は暗い。
木戸のはまった窓の
タクミ(そうか、窓もほとんど閉めっぱなしだった…)
タクミが身体を起こすと、またドアをノックする音がする。
ソラ「タクミ、おはよう。ここ開けて!」
アユミ「タクミ君、おはよう…」
ソラやアユミの呼び声にタクミは
タクミ「おはよう。昨日、ソラさんとルカさんが出ていった時のまんまだから、
ソラ「そういやそうだ、忘れてたよ(笑)…」
そう言いながらソラとアユミが部屋に入ってきた。
昨日の夜は裸で寝たタクミだったが、寒くてまた服を着ている。
ソラはタクミのそんな
ソラ「フハハハハハ(笑)…」
アユミ「えっ、なんかある?」
タクミ「えっ、えっ、どうしたの?」
ソラ「いや~、昨日の夜この部屋に入ったら、タクミ下半身裸でちんぽブラブラさせてたから、今は
アユミ「え~、なにそれ、気持ち悪い…」
タクミ「ち、違うよ、そんなんじゃないよ…」
ソラが急に昨日のことを持ち出したのでタクミの顔に
ソラだけがずっと笑っていた。
タクミ「それで、どうしたの?」
ソラ「ああ(笑)…昨日あんなにヤッタから疲れてんじゃないかな、ってアユミに頼んで『ヒール』をしてもらおうと思って…」
アユミ「どう、大丈夫、タクミ君…」
アユミに
タクミ「今朝はそんなに疲れてないんだ。いつもはもっとしんどいんだけど…」
アユミ「ホントに大丈夫?」
ソラ「あんた、SEXの能力だけじゃなくて体力もついてきてるんじゃない?」
タクミ「そうかも…今朝もぐっすり寝てたから…」
アユミ「でも、一応『ヒール』はしておこうか。今日もいろいろあるみたいだし…」
タクミ「分かった。お願い…」
タクミがそう言ってアユミに背中を向けて服をめくると、アユミは彼の背中と腰に手を当てて『ヒール』をかけていく。
ソラ「そのままお尻や股間を出してもいいよ(笑)…」
アユミ「もう、私にはそんな変なことしないでね。」
タクミ「そんな変な意味で出してたんじゃないよ、偶然、アクシデントだよ…」
タクミが言い訳してもアユミはずっと
アユミが『ヒール』をかけ終わると3人は
タクミたちも揃ってすぐに朝食が始まる。
朝食が終わるとジミーが改めて言った。
ジミー「昨日の晩に言ったように、
お前たちはカイとダイに案内してもらって武器庫を見てきてくれ。
今日からクエストのための本格的な準備になるので、お前たちもそのことを考えて武器などを用意してくれ、よいな。」
アイ「分かりました…」
ジミー「カイもダイも
ダイ「
カイ「では、皆様、こちらへお
アイたちはカイとダイに先導されて食堂を出ていき、ジミーは自分の部屋に戻った。
ジミーは手早く外出の用意をすると、待っているハドルに言う。
ジミー「出入りの者に
ハドル「クエストの荷物はいかがいたしましょうか?」
ジミー「昨日ダイにも言ったが、アイたちのストレージはそれぞれが儂のものよりずっと大きいという。
だから荷物はどれだけあってもあの者たちが持っていくだろう。
屋敷の者たちは少し
ハドル「承知いたしました。食料や飲み水についてはマデラとよく相談して用意いたします。」
ジミー「うむ、そのように頼んだ。」
ジミーは今日も軽装で一人だけ馬車に乗ってオーウェン
ジミーの乗った馬車がオーウェン
ジミーは屋敷の前に降り立つと応対に来た者に尋ねる。
ジミー「儂以外にも御来客がおありかな?…」
オーウェン卿の
ジミー「なんと、ダイグ卿が…」
ジミーが驚いて屋敷の方を見たので、執事はすぐに彼を屋敷の中へと案内する。
執事の案内で客間へと通されるとそこでオーウェン子爵とダイグ子爵がジミーを出迎えた。
グレゴリー・オーウェン子爵「ジミー様、よくお越しになられました。」
ジミー「グレッグ殿、お待たせして申し訳ない。
アクレス殿、昨日は大変失礼した。今日はわざわざ
アクレス・ダイグ子爵「ジミー殿、こうしてゆっくりと話をするのは久しぶりですな。
どうかお気になさらず、押しかけてきたのは私の方だ。」
オーウェン子爵「さあ、立ち話も何ですから、こちらへお掛け下さい。」
オーウェン卿に
3人が飲み物に少しずつ口をつけると、ジミーが早速口を開いた。
ジミー「それで、アレン様がおっしゃられた
ダイグ子爵「それがな、セルジの村にその魔獣が現れたのは大体一か月ぐらい前からなのだが、村人たちが働く畑に姿を現すと辺りで暴れて去っていくというのだ。
魔獣退治のために既に3組も勇者パーティーを送り込んだが、合わせて10人ほどの冒険者が
元々あの辺りに
ジミー「では、村の人たちは恐れて畑仕事にも出れませぬな…」
2人の話を聞いていたオーウェン卿が言葉を
オーウェン子爵「実は昨日入ってきた話ではそのトラがしばらく姿を見せなくなったこともあり、村の者たちが畑仕事を再開すると、そこに魔獣らしき巨大なシカとイノシシが姿を現したと言うのです。」
ジミー「シカとイノシシの魔獣…」
ダイグ子爵「
まさかイノシシが小山ほどもあるとは思わぬが、
ジミー「そのシカとイノシシも辺りを荒らし回ったので?」
ダイグ子爵「いや、遠目で畑仕事に出ていた村人たちをずっと
ジミーは2人の話を聞いてしばらく目を閉じて腕組みをしている。
オーウェン卿もダイグ卿もみな難しい表情で考え込む。
ジミー「そのシカとイノシシのこと以外に、何か報告がございましたか?」
オーウェン子爵「配下の者が村人たちから聞いたことでは、村から離れたところにある彼らが
私の手の者も近くまで確かめに行ったようですが、確かに森から奥の山の方までずっと霧に
ダイグ子爵「う~ん…」
ジミー「そのシカとイノシシのことや森を覆う霧のことなどをアレン様はご
オーウェン子爵「はい、昨日の話し合いでその話題も出ましたから…」
オーウェン卿の答えを聞き、ジミーはオーウェン卿の昨日の夕方の屋敷への訪問が無くなったのも城にこれらの知らせがもたらされたからだな、と気づいた。
そこでシカとイノシシの出現や森の霧のことなどが報告されたので、今日わざわざダイグ卿もこの話し合いにやって来たのだろう。
オーウェン子爵「村の者の話だと、霧に覆われている森や山は元々トラなどが出没する場所だということです。
ですが、まさか森に霧が出たのもその魔獣トラの
オーウェン卿からの問いかけにジミーはゆっくり首を振る。
ジミー「本当のことはわかりかねますな。
ただ、儂がまだ若い頃ある村に魔獣退治のクエストに出向いた時に、その村の古老が力のある魔獣は自分自身の力で別の
もしかすると今度の魔獣はそうした力を持つのか、森の獣を魔獣にして、それ以上の力で霧を起こすようなことをしているやもしれませんな…」
ダイグ子爵「では、村に現れたシカとイノシシはその魔獣の手下だと…」
ジミー「かもしれませんな…」
オーウェン子爵「まさか、そんなことが…」
若いオーウェン卿はジミーの言葉を信じられないというふうに首を振った。
ダイグ子爵「いや、あり得ぬことではあるまい。何と言っても魔獣のことは分からぬことが多いからな。
ニディアの
ジミー「いやいや、王都の魔法使いたちはそうした魔法や魔獣などの
ニディアの教会がいろいろ言っているのは確かだが、分からぬことの理由を教会のせいにだけするのはよしましょう。」
ダイグ卿は何やら最近の教会の動きに不満があるのか、
それでもオーウェン卿は不安気な表情でジミーを見る。
オーウェン子爵「ジミー殿、もしその現れたシカとイノシシも魔獣だとすると、今度の魔獣退治は
ジミー「アレン様は元々どのようにおっしゃられていましたか?アクレス殿もグレッグ殿も魔獣トラのことにかなりお
ダイグ子爵「実はな、おぬしが魔獣退治を命ぜられるまでは私とグレッグで
オーウェン子爵「我らは以前からセルジの村に隊の者を送っており、昨日そこからこうした知らせがありましたので…
やはり、ジミー殿やご
ダイグ卿もオーウェン卿に同意なのか、黙って深くうなずく。ジミーは2人の話を聞いて、また腕を組んだ。
恐らくダイグ卿はジミーにローゼン
ジミーが頭を下げさえすればこの危険な魔獣退治をする必要はなくなり、元通りダイグ卿たちが兵士を
ダイグ卿としてはジミーのことを考えてこの無理な命令を解いてもらうべきだと思っているのかもしれない。
しかし、この命令を無いものにするにはジミーが頭を下げるだけでは
ジミーはもう一度ゆっくりと首を横に振った。
ジミー「グレッグ殿のお言葉はありがたいが、アレン様
そこで、出来れば村の周辺の地図を
オーウェン子爵「ジミー殿…」
ダイグ子爵「道案内のことは我らも既に話をしているのだが、もう魔獣トラに勇者パーティーがやられておるのでな、村人たちも
森の様子を見に行くのですら、道案内をかなり
ダイグ卿はジミーがローゼン伯の命令に従うと言ったのを聞き、一瞬顔をしかめるが、仕方なさそうに答える。
確かに多数の犠牲者が出てしまっている以上、
ジミーは今度の魔獣退治がどれぐらい大変なのか、オーウェン卿とダイグ卿の話しぶりからその困難さを改めて感じた。
ジミーは2人の言葉に深くうなずくと、コップに入ったワインを口にする。
ジミー「今日のところはお2人のお話、よお分かりました。なかなか難しい相手のようですな。
お城から他にご助力頂けることはありますか?」
オーウェン子爵「今のところは我々のところに入った情報をお伝えするぐらいしかできません。
なんとかアレン様にわずかでも兵士をつけるようなことを進言できればよいのですが…」
ジミー「昨日のアレン様のご様子だと、それも難しいと…」
ジミーがそう言うとダイグ卿は少し眉をひそめたが、ジミーは笑顔のまま椅子から立ち上がった。
オーウェン卿もダイグ卿も椅子から立ち上がる。
ジミー「アレン様がおっしゃられた魔獣トラのことはよく分かりました。どうやら思っていた以上に
オーウェン子爵「ジミー様、本当に大丈夫でしょうか?…」
ジミー「さあ、わかりませんな(笑)…
まあ、これまで多くのクエストをやってきましたが、最初から大丈夫と言えるようなものはありませんでしたから…
オーウェン子爵「運などと…」
オーウェン卿もジミーの答えに
少しの間黙っていたダイグ卿がもう一度口を開く。
ダイグ子爵「ブロッケン卿、私の方からアレン様にもう一度
ジミー「アクレス殿、あなたのお気持ちはありがたい。
しかし、アレン様はそう簡単に今度のことをお許しにはなりますまい…だが、あなたのお気持ちには感謝しております。」
ジミーはダイグ卿を見て深くうなずくと、手を差し伸べて固く握手した。
ダイグ卿ももう何も言わずに手を握り返す。
ジミー「では、屋敷に戻ってすぐに準備を始めましょう。皆にも今日のことを伝えねばなりませんし…」
オーウェン子爵「また、知らせがあればお伝えいたします。」
ジミー「それはありがたい。情報は少しでも多い方が良いですからな。」
ジミーは2人の見送りも
ジミーが客間から出ていくと、ダイグ卿はもう一度深く椅子に腰掛けた。
ダイグ子爵「ふぅ、ジミー殿はどうしてもあの娘たちをアレン様に見せたくないようだな…」
オーウェン子爵「そのようでございますな。」
ダイグ子爵「まあ、アレン様のことだ、もし本当にあの娘たちが
しかしあれだけの人数だ、一人や二人、アレン様のお側にお仕えしてもよいと思うのだが…」
オーウェン子爵「あの娘たちも
ダイグ子爵「さあ、ただの村の娘ならさほどのことはなかろうが…」
ダイグ卿はジミーの
オーウェン子爵「今度の魔獣トラ一頭でもかなり困難なようですが、それに加えてシカやイノシシまで出没するとなるといくらジミー様でも…」
ダイグ子爵「アレン様のお気持ちさえ変えられればよいのだが、どうやらあの娘たちの
このままだと、
オーウェン卿はダイグ卿の「犠牲者」という言葉に表情を固くする。
オーウェン子爵「とにかくこちらへもたらされる知らせはジミー様にも必ずお伝えするようにいたします。」
ダイグ子爵「頼んだ、グレッグ。何か魔獣退治に役立つ武器でもあればよいのだが…」
ダイグ卿もそう言うと、また椅子から立ち上がる。
オーウェン卿は今度は自分が先に立ってダイグ卿を屋敷の外へ案内した。
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