ワンダラーズ・イン・アナザー・ワールド ~男子は僕ひとりだけがクラスの女子といっしょに異世界へ送られたけど、僕が抱くことで彼女たちは強くなります。~ 作:イジー・ムラシロ
アイたちはカイとダイに案内され、屋敷のすぐ外にある
その途中、アユミがナオやルカ、ソラなどに声をかける。
アユミ「ねえ、私たちも空いた時間に疲れてないときは食べ物と飲み物を出しておかないとダメだね…」
ルカ「そうか、今度はどれぐらい長くなるか分かんないもんね…」
ナオ「小麦粉とか豆とかは
ソラ「例えば?」
アユミ「パンでも飲み物でもここだといろんな種類はないでしょ…」
ルカ「調味料もそうだね。
ナオ「肉とかもそうだよ。ハムもソーセージもそうだし、牛肉、鶏肉、豚肉、どれも私たちが食べ慣れてるやつだから…」
ソラ「何でもかんでも必要みたい…」
アユミ「ソラの言う通りだよ…」
いつの間にかアユミたちが立ち止まってしまったので、アイとアカリがそばに来る。
アイ「ねえ、どうしたの?」
ルカ「ううん、私たちも自分たちの食べ物と飲み物を出しとかないと、って…」
アカリ「まあ、言ってることは分かるよ。」
そこにカイも戻ってくる。
カイ「皆様、いかがいたしました?」
アユミ「すいません、自分たちでどんな準備ができるのか、って話していたら…」
カイはにっこりしてうなずく。
カイ「お嬢さま方がご心配なさるのは当然のことですね。ですが、まずはあちらの武器庫へ
それで分からないことがあれば、また
ナオ「すいません…」
アカリ「じゃあ、行こう…」
カイに
屋敷の外へ出ると少しずつ日差しが強くなってきている。
早朝の
武器庫は練武場の裏ということでアイたちの誰もが小さなものを想像したが、練武場と同じぐらいの結構しっかりした建物をしている。
高さが2mぐらいありそうな正面の大きな木の引き戸をダイがゴリゴリ鳴らしながら開くと、正面には大きな剣と
モア「うわぁー、おっきいー…」
ツグミ「なんか
最初に目に入る剣は2m近くの長さがあり、黒い
鞘の側面で輝いている赤や白の点は宝石のようだ。
隣に並べられている槍も
ダイ「こちらの長剣と槍はご主人様が勇者パーティーとして活動されていた時期に長い間実際にお使いになられていた物です。
こちら右手の奥の
恐らく今回のクエストでもこちらの武器を持っていかれると思います。」
ソラ「へぇー…」
ジミーが実際に使ってきた武器というだけで、何か一気に重厚感のようなものが感じられる。
みんなは興味深く、それでも遠巻きにしてそれらの武器を
カイ「こちらのご主人様の武器もご
カイの言う棚は背の高いものが真ん中辺りで上下に区切られている。
そこに並んだ武器を見ると、大斧やさっきとは別の形の穂がついた槍、
まだ新しく見えるものもあれば、明らかに使い込んでいるようなものもあり、普段温厚な様子のジミーの戦いの歴史が何となく感じられる。
一番奥の棚には真っ黒な鉄製の
ダイがその間に他の引き戸も開いたので、武器庫の中の様子がかなりよく見えてきた。
ジミーの武器が並んだ棚の裏側も同じように上下に分けられた高い棚になっていて、剣や槍、
何本かの剣や槍は上の方の棚に整然と並べられているが、下の方には剣が何十本も箱にまとめて入れられていたりする。
槍も綺麗に並んでいるものと、まとめ置かれているものがあった。それ以外にも
アイ「この御屋敷には元々御父上以外の男の人はハドルさんとカイさんとダイさんしかいなかったんですよね?」
カイ「
タクミ「それなのにどうしてこんなにたくさん武器があるんですか?」
カイはアイやタクミの質問にうなずいた。
カイ「ご主人様は先王から
このリラの地に移り住み、アレン様に
それ故にご主人様はご自身で兵を養うことはできませんのでその代わりにリラを守るため、こちらで武器や武具、それ以外にも
ナオ「普通は御領主様に忠誠を誓うというのは領地を頂いて、代わりに
カイ「さすがですね。ですが、ご主人様は兵を出せないので武器をご用意されているのです。」
アユミ「それでも大量ですね…」
カイが説明している間にダイが棚の上の方に並んでいた剣を何本も手に取ってアイたちに渡す。
ルカ「これって、ちょっと数が多いんですけど…」
ダイ「はい、お坊ちゃま、お嬢さま全員の分になります…」
ナオ「あの…」
ナオが少し
ナオ「お二人が御父上からどこまで聞かれているのか分からないんですけど…実は私たちの何人かは武術の能力が無くて…
その代わりに魔法が使えたりするんですが…」
ダイ「ご主人様から魔法をお使いになられる方がおられることは
ですが、武術の能力の有る無しに関わらずこちらの剣は皆様全員がお持ちください。」
カイ「戦場ではいつどのようなことになるかわかりません。
何かのタイミングで魔法が出せなければそれだけで危険な状況になります。
剣やナイフを身体に
ダイ「何もなければどうしようないですから。こちらがナイフになります、こちらもお持ちください。」
ツグミ「あの~…ナイフは全員が持っているんですけど…」
ダイはツグミの顔を見て、またうなずく。
ダイ「わかりました。そちらもお持ちになられて、一緒にこちらのナイフもお持ちください。
皆様はストレージに十二分に物が入ると
武器や武具、食料などはいくらあっても無駄にはなりません。むしろ持てるなら持てるだけある方がよいのです。」
カイ「他の勇者パーティーも本当はなるだけ多くのものを持っていきたいと思うのですが、手に入れられる荷車や
ですから、皆様はあるだけ持っていかれればよいと思います。」
カイとダイの説明を聞いて、アイたちはダイから渡された剣やナイフだけでなくそこにある武器をそれぞれがストレージに入れ始めた。
ソラ「この剣って、何本持っていってもいいんですか?」
ダイ「はい、お嬢さまがどのような剣をお使いなのかは存じませんが、剣は折れたり曲がったりするものですから、多くあって無駄ではないです。」
アカリ「じゃあ、槍とか
タクミ「あっ、分かったから渡して…」
アイ「この超長い剣も入れとく?」
ルカ「私は使うから取って、お願い…」
アイ「じゃあ、一応私も入れといて、っと。はい、ルカ…」
モア「こんなデッカイ
モアが指差す先には盗賊の「大斧のダン」が使っていたものほどではないが、それでも大きな
あまりにも頭が大きいので、振り回すとその重さで使っている本人の身体まで持っていかれそうに見える。
だが、その斧のそばにルカが近寄った。
ツグミ「ルカちゃん…」
アカリ「ルカ、無理しちゃ危ないよ…」
ルカは振り返って笑顔で首を振る。
ルカ「ありがとう…でも、この前のクエストの後ぐらいからなんか力が増してるように思うの…」
ルカはそう言うと、大斧を手に取るとそのまま武器庫の前の広くなっている場所まで出ていく。
ソラ「パワーが増してるって言っても、無理しちゃダメだよ…」
ルカ「分かってる…」
ルカはそう言いながら大斧を振り回し出した。
だが、みんなの予想とは違ってルカは大斧の重さに振り回されるようなこともなく、むしろ彼女が思うように斧を振ったり、振り下ろしたりできている。
ルカがあまりに軽々と大斧を使うのを見て他のみんなはちょっと
ルカは大斧を試すと、それを見るみんなの視線に気づいて恥ずかしくなり急いでそれを下ろす。
だが、彼女ならその武器を使いこなせるのはそこにいる誰の目にも明らかだった。
ツグミ「ルカちゃん、スゴイ…」
ソラ「ねえ、ちょっと持っていい?」
アイ「あんたこそ、無理しないでね。」
ソラ「大丈夫だって…」
ソラはルカが
だが、ソラがその大斧を受け取っても持つのが精一杯でとても振り回すことまではできない。
ソラ「よし、よっと、うわっ、おっとっと、あっヤバい…」
ルカ「ソラちゃん、危ない!」
モア「きゃっ!」
アカリ「だから、言わんこっちゃない…」
大斧を振り回そうとしたソラ自身が大斧に振り回されそうになって、ルカが
ソラ「フゥ~、ヤバかった…」
アイ「だから、無理だって…」
アユミ「でも、ルカちゃんってスゴイね…」
ルカはそのまま大斧をストレージに入れると、もう一つ、その大斧の隣にあった
それは鎚の部分が一抱えもありそうな代物だった。しかしルカはその大槌も軽々と持つと、上下に振ったり左右に振り回したりする。
ルカのあまりのパワーに全員が目を丸くした。
モア「なんか、スゴクない?」
ナオ「どうやら、アイやアカリはスピードやジャンプ力が増えているけど、ルカはその分パワーが増してるみたいね…」
ルカ「どうもそうみたい…」
カイとダイもルカのパワーを見て驚く。
ダイ「
こうした大槌や大斧は男でも力自慢のものが使うものです。
これらは魔獣退治のクエストに使うより、むしろ重装備の兵士たちと戦う戦場向きの武器だと思います。」
ルカ「じゃあ、今度の魔獣退治には向かないってことですか?」
カイ「いいえ、魔獣退治の場合はどのようなことが起こるのか、人間同士の戦場よりもわかりません。
ですので、ルカさまがお使いになられるならお持ちになるべきでしょう。」
ダイ「カイの言う通り、魔獣には身体が大きなものも多いです。
大槌はともかく、大斧のような武器で相手せねばならぬようなものもおるやもしれません。」
ナオ「私たち、ゴブリン退治のクエストに行ったのですが、最後にクマのように大きなゴブリンが出てきて、それで
カイとダイはビックゴブリンの話を聞いて顔を見合わせる。
カイ「クマのように大きなゴブリンのことは初めて聞きました。それは大変だったでしょう。」
アイ「最初にツグミやナオやモアが魔法の攻撃でそのゴブリンの視界を奪ってくれてたので助かりました。
それでも力が強くて大変でした。」
モア「急に出てきてビックリしたよ…」
タクミ「普通のゴブリンも100匹以上はいて、追い
ダイ「なるほど、皆様も色々なクエストをなされてきたのですね…」
カイとダイはアイたちがこれまで何をしてきたのかは知らなかったので、改めて彼女たちが実際にクエストをこなしてきたことを聞き、大きくうなずく。
ダイ「お嬢さま、実は我々、皆様がこれまでクエストなどをされてきたことなどは存じ上げず、今回の魔獣退治が初めての戦闘になると思っておりました。
ですが、皆様に実戦の経験がおありになるならもっと具体的なお話が出来ると思います。」
カイ「他にここにある武器で気になるものや、これまでの経験で必要なものはございませんか?」
カイとダイに
するとタクミがいつも使っている剣と槍を取り出して2人に見せる。
カイとダイはタクミがストレージから取り出した武器を手に取ると、それらを丁寧に見ていく。
タクミ「これがいつも使っている剣と槍です。この世界にやって来た時に能力と一緒に
カイ「…この剣は普通の剣ではありませんね。
正直に言うと我々ぐらいの勇者パーティー上がりではちょっとお目にかかれるようなものではありません…」
アイ「父上は王族や上級貴族が使うようなものだとおっしゃってました。
父上と同じことをカイさんと同じように元勇者パーティーにいた駅馬車の御者の人にも言われました…」
ダイ「確かに、私たちのような平民だとこんな
タクミ「最初はこれしか武器が無かったですし…」
アカリ「それに、これを持ち歩いてると危ないって言われて持ち運び用の剣とか槍も買ったんですけど、やっぱりこれの方がよく
カイとダイはタクミとアカリの話を聞くと、うなずいて剣と槍をタクミに返した。
ダイ「お嬢さま、お坊ちゃまのおっしゃることはよく分かります。
これらの武器の方がよく斬れて、しかも丈夫です。これらを主に使われるのは当然ですね。」
カイ「ですが、戦場やクエストの場では何が起こるかわかりません。
どんな丈夫なものでも
タクミ「わかりました…」
ダイ「ここには皆さんがお持ちなっているのと同じような最上級の武器はありません。
恐らくご主人様がお使いになられるものがそれに一番近いものでしょう。
ですが、そのレベルの武器でなくても身を守り、魔獣と戦うのに役立つものはたくさんありますので、どうかご希望のものがあればお申し付けください。」
アイ「一応弓も持っているんですが、これってどれぐらいの質なのかがよく分からなくて…」
カイ「一度
今度はアイとアカリが弓を出してカイとダイに見せる。
2人はその弓をしばらく見たり、軽く引いたりしたが、ダイはすぐに別の場所へと行ってしまう。
カイ「これらの弓は決して
アカリ「じゃあ、使わない方がいいですか?」
カイ「いいえ、これは別にすぐ
カイとアイとアカリが話しているところにダイがいくつもの弓を持って戻ってくる。
ダイ「こちらは当屋敷で集めたものでさっきの弓よりはもう少し質の良いものです。ただし、作りが良い分引くのに力が必要です。
それでもお使いになられるなら、お持ちになってください。」
ダイが言う通り、今度の弓は張りは強いがその分力を入れないと引けない。
アイとアカリ、ソラとルカが交代でダイが持ってきた弓を引いてみる。
ソラ「これ
ルカ「飛びそうな感じだけど…」
ダイ「これはかなり遠くの
アカリ「へぇー…」
ダイは矢も
カイ「これらは分けてお持ちになられるとよいでしょう。一人だけが持っていると、その人が怪我などをすると全員が困ることになりますから…」
アイ「確かにそうですね。」
タクミ「オレももらえますか?」
ダイ「わかりました…」
ソラ「タクミは前に買った弓の方がいいよ。この弓はちょっと硬すぎるって…」
ルカ「そうかもしれない…」
タクミ「ああ、オレはじゃあ前のを使うよ…」
タクミがちょっと肩を落とすように見えたので、カイが微笑みながら矢の束をタクミに渡す。
カイ「タクミさま、武器は質も重要ですが、ご自分に合ったものをお使いになるのが一番です。
引けない弓は
他の皆様のことは気になされずとも大丈夫です。」
タクミ「は、はい…」
タクミやアイたちはそれぞれが弓と矢を受け取ってそれぞれのストレージにしまった。
弓矢のことが一通り終わるとナオが尋ねる。
ナオ「私たち魔法を使うのは一応二本ずつ
ダイ「魔法については我々はあまり
アユミ「じゃあ…」
カイ「ただ、やはり戦場やクエストだと杖が折れたり、失くしたりということは起こります。
杖もいくつか余分にお持ちになってください。」
ナオ「魔法使いのための杖もあるんですか?」
ダイ「他の武器のようにいくらでも、というわけではありませんが、少しだけ置いています。こちらへお越しください。」
ダイに案内されて武器庫の別の場所へ行くと、そこに10本ほどの杖が置かれていた。
カイ「これは皆様で分けて、全てお持ちになってください。それの方が良いと思います。」
モア「ジミー…御父上は使わないんですか?」
モアがジミーのことを慌てて父上と言い直したので、ソラが小さく
アユミがそれを見てソラの脇をつついた。
カイ「ご主人様は槍や剣を杖の代わりになさって魔法をお使いになるそうです。ですので、これは皆様でお使いください。」
ツグミ「こっちにある
杖が置かれている
ダイ「ここには防具を集めています。これらももちろんお使いいただいて結構です。防具はお使いではないのでしょうか?」
ナオ「いや、ドムニの町でそれぞれ
カイ「それらも
カイに言われてすぐそばにいたタクミが自分の革鎧や兜をその場に出した。
カイとダイはそれを手に取ると丁寧に見て回る。
すると、またダイが鎧や兜が置かれている棚へと向かい、その場に棚の物を下ろし出した。
カイ「これらも一般的なものですが、ここに
サイズも様々なものを集めていますので、皆様で試してみてください。」
ダイがそこに出した鎧や兜をアイたちは集まって試着し始めた。
カイの言う通り、確かにこの武器庫にあるものの方が軽く、装着もしやすい。
ただし、どれも男性用のものばかりで女性のためのものがなく、そのせいでそれぞれに合ったものを見つけるのに時間がかかるが、個人が用意しているものだというのにその数と種類はかなりのものだ。
ダイ「できれば最低でも二揃えは選んで下さい。
戦いでつなぎ目がちぎれたり、革に大きな傷が付いたりすることがありますので。」
タクミ「兜もそうですか?」
ダイ「はい、兜も最低でも二つはお持ちになってください。」
上下がバラバラになってしまった女の子もいるが、なんとか全員が革鎧も兜も二つずつ選んで自分のストレージにしまった。
カイとダイはその間に
カイ「盾も必ずお持ちください。」
アユミ「防御魔法を使えるものもいるんですが…」
カイ「魔法で身を守れるのは素晴らしいことだと思います。ですが、それは恐らく多少の時間が必要ではないでしょうか。」
ツグミ「まあ、今すぐってなるとちょっと無理です…」
ダイ「盾があれば、皆様ならストレージから取り出せばすぐに身を守ることができます。
恐らく魔法の盾の方が丈夫だとは思いますが、様々な武器や防具があれば
アイ「持ってて無駄にはならないってことですね。」
ダイ「
ルカ「なるほど…」
盾も大きくて
アイたちはカイとダイに言われるがまま、それぞれが大きさも重さも違う何枚かの盾をストレージに入れた。
盾や防具の
その奥には様々な大きさの丸太や角材に、こちらもいろんな種類の木の板が置かれていた。
アカリ「なんか、工事用の道具ばっかりだけど…」
ソラ「なに?DIYで家でも建てんの(笑)…」
ナオ「これは何ですか?」
みんなが不思議そうな顔をするのにカイが口を開く。
カイ「これらの
「これらはみな、
カイが話をしようとした時、全員の後ろから
みんなが振り返ると、そこにジミーが立っている。
ルカ「ジミーさん…御父上…」
カイ「ご主人様、お帰りなさいませ…」
カイとダイが頭を下げるのを見て、アイたちも
ジミーは笑いながら手を振る。
ジミー「よいよい、急に声をかけて驚かせてしまったな…」
ナオ「もうオーウェン様とのお話し合いは終わったのですか?」
ジミー「ああ、ダイグ
ジミーはナオの言葉にうなずきながら、鋤や鍬に手を掛ける。
アイ「これで
ジミー「そうじゃ、お前たちにも陣屋と言って分かるのか?」
タクミ「あの~、戦争の時に板で
ジミー「その通りだ。そうか、お前たちの世界でも戦いの時にこうしたものを準備するのじゃな…」
ナオ「知識としては分かります…」
モア「えー、私、よく分かんないんだけど…」
ツグミ「私もあまり…」
ナオやタクミなどは戦争のことについて多少知識があるのだが、女の子の中にはそうしたことに全く興味がない子もいて、そうした女の子にはこうした道具や丸太や板で何をするのかあまり理解できなかった。
タクミ「だから、地面に何本も丸太を打ち込んでその間に板を打ち付けていわゆる壁にするんだ。
それである程度の広さを囲ったら多少は外からの攻撃を防げて、その中に安全に
モア「こないだ『バリラ』を張ったみたいに?」
ナオ「そう、ただ防御魔法はそのうち消えてしまうけど、板で囲ったらそれを取り外したり、外から壊されたりしない限りは安全でしょ。
だから、そうやってある程度の範囲を自分たちの場所として確保するわけ…」
ツグミ「なるほど…」
モア「へぇー…」
ジミー「よしよし、タクミとナオの言う通りじゃ。みな、どうじゃ分かったか?」
アカリ「でも、今度の戦いでそんなものを建てる必要ってありますか?」
アカリの問いにジミーはゆっくりうなずく。
ジミー「実はな、今日の話では今度の
それ以外にもややこしいことがあってな、どんなことが起こるのか、全く予想がつかぬ。
それ故、こうした道具や資材もできるだけ持っていくことにしよう…」
アイ「そのややこしいことって何でしょうか?」
ジミーはアイに聞かれて一瞬難しい顔をするが、また元の笑顔に戻ってみんなを見回す。
ジミー「実は、アレン様は魔獣のトラの退治とおっしゃられていたが、昨日の午後に城に届いた知らせでは同じ村にそれ以外にも魔獣のシカやイノシシも
アユミ「じゃあ、その魔獣の退治も必要なんですか?」
モア「そんなの聞いてないよー…」
大声を出したモアの腕をそばにいたナオが引っ張って注意するが、ジミーは笑って首を振る。
ジミー「まあ、モアの言う通りで、聞いていないようなことばかりじゃが、恐らくそれらの魔獣も我らの戦いの邪魔をしてくるであろう…」
カイ「それではまるでそのシカとイノシシの魔獣がトラの魔獣を守っているように聞こえますが…」
ジミー「その通りじゃ…」
ジミーは傍にあった太い丸太に腰を下ろした。
ジミー「シカやイノシシの魔獣が出るだけでなく、魔獣トラの
恐らく相手の魔獣はかなり魔力が強く、霧を起こして自らの縄張りを覆い、それで我々のような
そうすると、そのシカとイノシシの魔獣も魔獣トラの仲間と考えるべきではないかと思っている。」
アユミ「それって、かなり危険ですよね…」
ジミー「うむ、そのようだな…」
これまでは単に魔獣退治に行くということだけ考えて準備をしてきたが、ジミーの話を聞いて今度の魔獣退治の現実がより
ジミー「その魔獣トラというのも、村の近辺に出没する普通のトラより一回り以上大きく、既にクエストに向かった勇者パーティーを10人ほど
おまけにそうした仲間の存在や霧のことを聞くと、これは
だからな、こうした道具なども忘れずに持っていかねばならない。どうじゃ、分かったか?」
ジミーに言われてアイたちは真剣な顔で黙ってうなずいた。
ジミーはアイたちの顔つきが変わったのを見て、カイやダイの方を向いて大きくうなずいた。
ダイ「では、ここにあるものを手分けしてストレージに入れましょう。」
アイ「私やアカリやソラでこの辺りの道具を入れるから、タクミやルカは奥にある板や丸太をストレージに入れてくれる?」
タクミ「分かった…」
ツグミ「私もそっちの
カイ「では、どうぞこちらへ…」
カイやダイに説明してもらいながら、アイたちはそれぞれに分かれて道具や板、丸太、石や小石を集めた麻袋などをストレージにしまっていく。
これまでは多くの武器や防具が本当に必要なのか、
アイたちは少し目の色を変えて、道具であっても一つでも多く入れていこうとするようになった。
ジミーはそんなみんなの真剣な様子を笑顔で見ていた。
全員が一通り道具や資材をストレージに入れると、ジミーはタクミに声を掛ける。
ジミー「タクミ、それとアイとアカリ、お前たち、ちょっとこっちへ来てくれ…」
タクミ「はい…」
タクミとアイとアカリが言われるがままジミーについていくと、武器庫から少し離れた
陽は大分高くなって、もう武器庫の外は結構暑くなっている。
ジミー「これはどうやらこの屋敷が出来る前にここに運ばれてきたものらしく、儂がこの屋敷に来た時には既にここにあったものじゃ。
お前たち、手分けしてこれもストレージに入れるのじゃ。お前たちならできるだろう?」
アイ「それはいいんですけど、こんな大きな岩を持っていってどうするんですか?」
ジミー「この大岩はここにあるだけで儂たちの前を
タクミ「じゃあ、必要な時に出して…」
ジミー「そうじゃ、前に人がいる時は危険じゃが、そうでなければ出せばすぐに魔獣の攻撃を防ぐことができよう。
お前たちのような便利なストレージがあれば、考えられることは全てしておくべきだからな…」
アイ「これを出して盾にする…」
アイの言葉にジミーは黙ってうなずく。
タクミ「分かりました。オレたちでこれを持っていきます。」
ジミー「すまぬが
仲間を巻き込むことだけは絶対にないように、な…」
タクミ「分かりました…」
いつの間にか他のメンバーにカイとダイもその大岩のところに来ていた。
アイとアカリとタクミはそれぞれに分けて目の前の大岩をストレージに入れていく。
道具や武器などをストレージにしまうところを見ていたカイとダイも、さすがにアイやタクミが背丈を大幅に越える、見上げるような大岩をストレージにしまうと「ふぅー」と声を上げた。
ジミー「どうじゃ、これは
カイ「はい…」
ダイ「これだけの容量のストレージは見たことがありません…」
ナオ「私たちに伝えられているのは、私たちのストレージの容量には制限がないということです…」
カイ「まさか、そんなことが…」
ジミー「ふっふっふっ、だから「
カイとダイが目を丸くする様子を見ながら、ジミーも感心したように笑った。
*楽しんでくださった方や今後が気になるという方は、お気に入りや評価をいただければ励みになります。
また、面白かったところや気になったところなどの感想もいただければ幸いです。よろしくお願いします。