ワンダラーズ・イン・アナザー・ワールド ~男子は僕ひとりだけがクラスの女子といっしょに異世界へ送られたけど、僕が抱くことで彼女たちは強くなります。~ 作:イジー・ムラシロ
個々人の衣服や寝袋などはそれぞれが自分のストレージにしまい、今すぐ使わない道具も何人かに分けて収納すると、タクミの指示でとにかくテントを建ててみる。
小屋にあった本には
2層式のテントは通気性も保温性も良さそうで、ポールも外側のシートも丈夫な感じだ。
床シートの上にもう一つフカフカのシートを
アイ「これはかなり快適だね…」
ソラ「ホント、全員いてもかなり広々してるし……
アユミ「いつもこのテントなら快適だね…」
ナオ「そうはいかないんだろうけど…」
タクミはテントのあちこちを調べてから、ちょっと息を吐く。
タクミ「このテントもオレたちの世界の
アイ「っていうか、この世界にテントってあるのかな?…」
ルカ「あっても、こんなに立派じゃないよ、たぶん…」
アカリ「支柱も明らかにスチールかアルミみたいだったし…」
古そうな服装には似合わない元の世界仕様のテントに、何人かはありがたいような、ありがたくないような表情を浮かべた。
ソラ「なんか、便利さが中途半端だよね…まあ、有って助かるんだけど……元の世界に帰せって……」
アユミ「もうとっくにお昼は過ぎてるけど…みんな、どうする?」
アカリ「小さい方のテントは、今はいいんじゃない?」
モア「お腹へった~…」
ツグミ「私も…」
アイ「…とりあえず食事にしようよ(笑)。タクミ、テントはこのままストレージにしまっといてね。」
タクミ「あっ、はい……」
みんなは朝と同じく、パンと飲み物の昼食を取りながら、この後の作業のことを相談する。
アイ「まずは気が早いけど晩御飯の準備かな。野菜とかお肉とか食べられるなら、ホントにありがたいから。」
アユミ「了解。でも、焼き
タクミ「うん…石は大きいのが川原にあるから、たぶん上手く組めると思う。」
アイ「じゃあ、タクミはかまど造りね…」
アカリ「アイと私は
私たちの方が力あるし…それに集めたけど大きすぎる木が川原の前の道のところに置いてあるから…」
アイ「オーケー。じゃあ、ソラも手伝ってよ。あんたも多少力のある方でしょ…」
ソラ「えー?私はどちらかと言えばか弱いんですけど(笑)…」
ソラが冗談ぽくぶりっ子のポーズをするのを、アイが
アイ「はぁ~?じゃあ、あんた、何すんの?」
ルカ「私、ツグミちゃんと洗濯するけど…ソラちゃん、手伝ってくれる?」
ソラ「洗濯?って、あの板使うやつ……」
ツグミ「そう。」
ソラ「それって、楽そう?」
ツグミ「う~ん?ずっと座って洗濯物をゴシゴシしないといけないから…」
ソラはルカの提案に腕組みをして考えていたが、すぐに顔を上げた。
ソラ「じゃあ、やっぱ焚き木作りにしとく。なんか、木を斧で割ったらストレス発散になるじゃん。」
アカリ「ホント?ストレス発散になるかなぁー?(笑)…」
アイ「(笑)…とりあえずソラは私たちといっしょね。」
モア「私、洗濯板、使ってみたーい。」
ツグミ「意外とたいへんだけど…大丈夫?」
珍しく積極的なモアの様子にツグミが少し心配するが、アイはそんなツグミの肩を
アイ「いいのいいの…それぞれ仕事しないとダメだし…」
モア「イェーイ、洗濯板ぁー…」
ナオ「じゃあ、私とアユミで食事の用意ね…」
アユミ「まあ、まだまだ全然早いから、手が空いたら他の子のこと、手伝うから…」
ソラ「お願いね(笑)…」
アカリ「やる前から早いよ(笑)…」
アイ「じゃあ、お昼からはそういうことでいこう。」
ソラ「今日はSEXなしかー…」
今日一日の予定を聞いて、ソラが残念そうな顔をする。
ナオ「なに言ってんの…昨日までさんざんしてたでしょ(笑)…」
ソラ「あれじゃ足んないよ…みんなと
ルカ「すごいしたじゃん…」
モア「わかる!あれじゃ、足んないよねー…」
ソラ「ねー(笑)。」
タクミ「…あの~、そんなには…」
アイ「ハイハイ…今日は今までの分、働かないと…」
アイが話をまとめようとしてもモアとソラは
モア「明日からはまたSEXありだよね…」
ソラ「もちろん‼」
ナオ「…まあ、
モア「ナオはこっち側でしょー。」
ナオ「まあね(笑)…」
アカリ「まあ、それぞれ交代でね(笑)。」
タクミ「…オテヤワラカニ、オネガイシマス…」
アイ「さあ、食べ終わったら作業だよー。」
全員「はぁ~い(笑)…」
食事が終わり、洗濯班はツグミを先頭にルカとモアがそれぞれ洗濯板とタライや洗面器を持って川へ向かう。
アイとアカリとソラは鉈や手斧、斧などを手に川原の前の道に放り出している大きな木のところへ行き、タクミは川原で手頃な石を拾ってかまど造りを始めようとする。
みんなが小屋から出る前にルカが声を掛けた。
ルカ「みんな、それぞれの下着を出してほしいんだけど…あと、使ったタオルと…」
アカリ「タオルと下着を洗ってくれるのはありがたいんだけど…どれが誰の下着か、分からなくならない?」
ツグミ「ストレージに入れると誰の下着か名前も出るから大丈夫だと思うよ。」
ソラ「オーケー、じゃあお願いね。」
タクミ「焚き木はちょっと大きめに切っといてほしいんだけど…」
アイ「なんで?」
タクミ「いや、小さい方が燃えやすいんだけど火が長持ちしないんだ。大きいと長い間燃えてくれるから…」
ソラ「大きめってどれぐらい?」
タクミは取ってきたまま地面に転がしてあるかなり長い枝を手斧で50㎝ぐらいに切った。
タクミ「だいたいこれぐらいでいいけど…」
アカリ「こっちの細いのも長い方がいいの?」
アカリはこれまで硬くて折れなかった細く長い枝の
タクミ「細いのも長いのと短いのに分けて切っとくと使い分けできると思う。」
アカリ「オーケー。」
アイ「この、手で折れないようなのを何とかしたかったんだ。」
アイたちがわいわい言いながら焚き木を切っている間に川でも洗濯が始まっていた。
モアはルカが『
モア「イェイ、イェイ、イェーイ!(笑)」
ツグミ「モアちゃん、洗濯物をあんまり勢いよく板に擦りつけると
ルカ「じゃあ、どうするの?」
ツグミ「洗濯板に擦りつけるんじゃなくて、
モア「オーケー!」
ルカ「でも、洗濯板使って擦るだけでこんなに真っ黒な汚れが出てくるんだ…」
ツグミ「けっこうすごいんだね…」
モア「どう?このタオル、かなり白くなってない?」
ルカ「…ありがとう(笑)…まだまだあるからね。」
モア「オーケー、今度はこれだ!イェイ、イェイ、イェイ!」
ルカ、ツグミ「(笑)」
アユミとナオは、タクミが石を組んでかまどを造っている横で机を並べて野菜やハムを切っている。
アユミ「この包丁、かなりよく切れるね…」
ナオ「トマトの皮も気にならないからね。気をつけないと…」
アユミ「でも、作業がはかどるよ。ねえ見て、もうキュウリこんなにいっぱい切れたよ。」
2人は以前水が入っていた大きな
野菜を切り終わると、ナオがちょっと神妙な顔で手元を見つめる。と、大きなハムの
ナオ「大きいー…」
アユミ「こんなのが出てくるんだ…」
ナオ「でも、塊としては大きいけど、幅としては食パン半分ぐらいじゃない?」
アユミ「じゃあ食パンを
ナオ「オーケー、それでいこう。」
ナオはハムの端っこをちょっとだけ切って口に運ぶ。
ナオ「うまっ!ちょっとアユミも食べてごらん。」
アユミ「どれどれ…確かに!これは
ナオ「パンといい、このハムといい、すごく美味しいんだけど…」
アユミ「なんか私たち、不便なわりに
ナオ「(笑)。」
タクミは2人のそばで、黙って石を組んでいた。横に焼き網ともう一つ、ワイヤーが並んだ道具でかまどの幅を確認している。ナオがそんなタクミの作業をしばらくジッと見ていた。
ナオ「ねえタクミ、その焼き網じゃない方の道具、それって何?」
タクミは一瞬、何を
ナオ「だから今、その右手に持ってるものだって…」
タクミ「これ?」
タクミは焼き網ではない道具を持ち上げてみせた。
ナオ「そう、それ。」
タクミ「これって、
アユミ「それって、何に使うの?」
タクミ「これってかまどの火の上に乗せて、この上にフライパンとかポットとか置くの。キャンプ、あんまりしたことない?」
タクミに聞かれてアユミとナオはお互いに顔を見合わせて、それぞれに思い出そうと首をひねる。
ナオ「私はほとんど…」
アユミ「私はしたことあるけど、自分でかまど組んだりはしたことないから…あの、炭入れてバーベキューするのは使ったことあるけど…」
タクミ「バーベキュースタンドね…こういう道具使うと、本格的なアウトドアっていう感じになるから…」
ナオ「アウトドアっていうか、これが日常生活になってきてる…」
タクミは2人と話をしながら、いつの間にかコの字型のかまどを二つ組んでいた。
タクミ「ナオさん、アユミさん、こんな感じに出来たけど、どうかな?」
アユミとナオが立ち上がってタクミが造ったかまどを見ると、焼き網とスタンドをそれぞれ並べて使えるようになっている。
アユミ「すご~い…ありがとう、これだと食パンとハムと一度に焼けるね…」
ナオ「ホントだ…ありがたいよ…どっちも暖かいのが食べれそうだよ…」
タクミ「そんなに大したことじゃないけど…じゃあオレ、こっちの仕事は終わったから、焚き木作りを手伝ってくるよ。」
ナオ「おつかれさま。私たちもあと、ハムとパンと切ったら洗濯を手伝いにいくよ。」
それぞれが下ごしらえやかまど造り、焚き木作りや洗濯を終わらせると、久しぶりに一日のほとんどで作業をした疲れのせいか、みんな小屋で昼寝をする。
みんなが目を覚ますと陽が
アイ「ちょっと寝過ぎたかな…」
ナオ「もう起きて準備しないと……」
タクミ「陽が暮れる前に火を起こさないとダメだね。」
モア「今日は疲れたよ~…」
ソラ「あんた、洗濯の時にはしゃぎすぎだよ(笑)…」
ルカ「そうだよー(笑)。」
アイ「さあ、食事の準備しちゃおう!」
タクミ、アイ、ソラ、モアが木を組んで火を起こしている間にアカリやツグミは食器を並べて、アユミとナオ、ルカが用意していた食材を準備する。
焚き木に火が
ルカはスタンドの上にポットを二つ置き、アユミとナオは焼き網に切ってあった食パンを3,4枚並べた。
ルカ「ポットはコーヒーと紅茶を温めてるから。牛乳もあるし、カフェオレでもミルクティーでも出来るよ。」
アユミ「そこに
アカリ「オーケー、こっちは任せて。」
ツグミ「食パン、こっちへちょうだい。残りのも
ナオ「ありがとう。お願いね。」
アユミはポットの横にフライパンを置いて、熱くなってくるとハムを焼き始めた。
ソラ「久しぶりの肉の
モア「お腹すいたよ~。」
ナオは昼間に切った野菜を入れていた器をストレージから取り出す。
ナオ「この器にキュウリとトマトの薄切りが入ってるから。」
アイ「で、これをどうすんの?」
ナオ「炙った食パンに焼いたハムを乗せて、少しコショウをかけてから野菜を乗せて、塩をしたら半分に折ってサンドウィッチにして食べて。」
モア「やったー!」
アユミ「さあ、ハム焼けたよ~。パンはどう?」
ツグミ「パンもどんどん焼けてるよ~。」
ナオ「このお皿、向こうへ渡してあげて。」
ナオが焼けたハムをソラたちに回す。
アユミ「さあ、どんどんハムも焼けてくからね~。」
ソラ「お塩とコショウ、ちょうだい。」
ルカ「はい、どうぞ。」
モア「早く早く!」
アイ「そんなに慌てなくても大丈夫だよ(笑)。」
タクミ「あの~、パンをください…」
アカリ「ハイ、どうぞ。」
ルカ「これ野菜で、こっちがハムだよ…」
タクミ「ありがとう…」
アユミ「私のことはいいから、みんな、先に食べてね。」
アカリ「そんな~。」
ナオ「いいよ。野菜も足らなそうなら言ってね。また切ればいいから…」
モア「ねえ、もう食べていい?」
アユミ「いいよ。」
アイ「仕方ないなー(笑)…」
モア「いただきまぁ~す。」
ソラ「私も…いただきまーす。」
アカリ「私もいいかな?…」
ツグミ「いいよ。私が食パン、見てるから…」
アカリ「ゴメンね…」
アイ「一つ食べた人は食べてない人と交代ね。」
ソラ「これっていくつ当たるの?」
ナオ「一応二つずつだけど、足りなかったらパンもハムも切るから。」
ルカ「アユミちゃん、私、代わるよ。」
アユミ「ありがとう…でも、切ってある分だけでも焼いてしまうから…」
モアがさっそく出来上がったサンドウィッチにかぶりつく。
ソラがモアの食べっぷりを見て、自分もサンドウィッチをかじった。
モア「おいしー‼すごく美味しいよ~!」
ソラ「ホントだー。なに、このハム?すごい美味い。」
ツグミ「タクミ君、食べ物回ってる?」
タクミ「大丈夫…今、サンドウィッチを作ってる…」
ナオ「飲み物、何がいい?コーヒー?紅茶?」
アイ「私、ミルクティー。」
ソラ「私も。」
モア「私も!」
ルカ「…これ、牛乳とお砂糖ね(笑)…」
アカリ「私、コーヒーちょうだい。カフェオレ、作るから…」
タクミ「これ、スゲーうめぇ。こんなの食ったことないよ!」
ソラ「でしょー!」
ハムを一通り焼き終わったアユミに、ナオが作っておいたサンドウィッチを差し出す。
ナオ「アユミ、終わったでしょ。ご苦労さま。これ、アユミのサンドウィッチね。こっちはミルクティー。」
アユミ「え~、ゴメンね…ナオ、先に食べてくれてよかったのに。」
ナオ「ううん…私もルカもいただいてるから…」
ルカ「大丈夫だよ。みんな食べてるから。」
アイ「なんか、肉とか野菜とか食べるとホッとするね…」
ツグミ「パンも美味しかったけど…なんか、久しぶりに食事した感じ……」
ソラ「分かる。いろんなもの食べて、「食べた!」って感じだね…」
アユミもサンドウィッチを一口かじる。
アユミ「いただきます……あっ、これホントに美味しいね。」
アイ「自分でも初めてなんだ。」
ナオ「これって、つまみ食いできないからね(笑)。」
アユミ「確かに(笑)。でも、ハムは2人で味見したじゃん。」
ナオ「え~っ、そうだっけ?(笑)」
全員「(笑)…」
久しぶりの充実した食事に、みんな笑顔が絶えなかった。
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