※この作品はR-18です。

ワンダラーズ・イン・アナザー・ワールド ~男子は僕ひとりだけがクラスの女子といっしょに異世界へ送られたけど、僕が抱くことで彼女たちは強くなります。~   作:イジー・ムラシロ

45 / 110
44 初めての村

 アイたちがドニアたちと共に彼らの住む村へと向かって一時間ほど経った。

 アユミが(かか)えられているギリアが痛そうな様子なのに気づき、ドニアに声をかける。

 

アユミ「あの…一度止まって休みませんか?ギリアさんも痛がってるみたいですし…」

 

 ドニアはアユミの言葉で急いでギリアを下ろさせた。アユミがすぐギリアのそばに行き、怪我(けが)の箇所に『ヒーラー』をかける。

 ドニアを始め、村の男たちはアユミが魔法をかける様子を見て、信じられないというふうに頭を振った。

 

ナオ「村には魔法を使う方はおられないのですか?」

ドニア「我々の村は辺鄙(へんぴ)で貧しいので(まじな)い師のようなものもおりません。

 私を含めて村の者のほとんどが魔法を見たこともありませんし…」

 

 ルカが水を出してアイたちに配り、ドニアたちにも持っていく。

 

ルカ「お疲れだと思うので…」

 

 ドニアと村の男たちはルカが渡したコップをまじまじと見つめる。

 

ドニア「これは?」

ルカ「ただの水です…すいません…」

 

 だがドニアたちは手ぶらで歩いていたルカが水の入った器を取り出したのに驚き、なかなかそれを口にできない。ドニアが恐る恐る口をつけ、一口飲む。

 ドニアが大丈夫とうなずいたので他の者もやっとそれを口にした。モアがギリアにも水を渡す。

 

 ドニアは水を飲み干すと、ルカにおずおずとコップを差し出した。

 

ドニア「申し訳ないが…もう一杯ずつ(もら)えないだろうか…」

 

 ルカはにっこりと笑って彼ら全員にまた水を注いで回る。それでもリカはまだ警戒を解かず、リアと持ってきた革袋の水を飲んでいた。

 

 休憩を終えて再び歩き出すと、また村の方から向かってくる人影がある。それはドニアたちよりもずっと多く、手には何か持っているように見える。

 

 やがてやって来たのはやはりドニアの村の男たちで、大きな板を持っていた。彼らはその板を担架(たんか)にしてギリアを()せた。

 村の男の一人がアイたちに向かって(ひざまず)き、頭を下げる。

 

男「村長はギリア親子が魔獣に襲われたと聞いて大変驚き、村の者を助けていただいた皆様を村の客人としてお(むか)えしたいと申しております。」

 

 アイたちはまた丁寧な挨拶(あいさつ)をされたことに驚き、顔を見合わせる。

 

アイ「ありがとうございます。ご招待(しょうたい)をお受けいたします…申し訳ありません、不作法(ぶさほう)で上手くお答えできませんが…」

 

 男が跪いたまま、もう一度深く頭を下げると、立ち上がり出発するように合図する。

 アイがドニアの方を向くと、ドニアも軽く頭を下げる。一行は改めて村へと出発した。

 さらに一時間ほど歩くと、遠くに大きな影が見えてきた。

 ツグミがアイやナオに(ささや)く。

 

ツグミ「たくさん影が固まってるから、人が集まってると思う…」

 

 ナオが他のメンバーのそばに行き、村が近いことを教えると、やがて多くの人影が現れた。相当な人の数だ。

 アイとドニアたちがそばまで行くと30人ほどの人々が彼ら彼女らがやって来るのを待っていた。

 その集団から一人の女性が飛び出して来る。

 リカたちと同じような麻のワンピースを着ていて、少し()せ型で面長(おもなが)だが整った顔をしていて美人と言っていい。

 

 彼女は脇目(わきめ)も振らずにギリアのそばへと行くと担架に横たわる彼の手を取った。

 リカがすぐにその人のそばへ行き、ドニアもその女性に近寄り話をした。

 その様子を見て、アカリがアイの耳元で(つぶや)く。

 

アカリ「あの人がギリアさんの奥さんみたいね…」

 

 アイたちが人だかりのすぐ前まで行くと、ギリアを載せた担架はその女性やリカ、リアとともにそのまま人だかりの向こうへ行ってしまう。

 そして、人だかりの真ん中にいた初老の男性がアイたちに近づいてきた。

 瘦せて立派な口髭(くちひげ)をたくわえているが、髪にも髭にも白いものが混じっている。

 その男性はアイたちの前で跪いて頭を下げた。

 

男「私がこの村の村長です…この度は村の者の命を救っていただき、心より感謝申し上げます。何もない村ですが、是非ともお立ち寄りください。」

 

 アイたちは丁寧な礼に戸惑(とまど)って、全員が深くお辞儀をした。アイが代表して礼を言う。

 

アイ「ご招待いただき、本当にありがとうございます。私たちはこの世界の礼を知らないので、本当に申し訳ありません。」

 

 村長は立ち上がるとにっこり笑う。

 

村長「皆様は「彷徨(さまよ)い人」だと(うかが)いました。どうか(くわ)しくお話をお聞かせください。私の家で飲み物でも差し上げましょう。」

 

 そう言うとこちらへというしぐさをする。するとドニアが村長のそばにいき、何か耳打ちをした。

 村長はドニアの言葉に何度かうなずき、彼の言葉が終わるとアイたちの方へ向き直る。

 

村長「皆様は今日倒したクマをお持ちとのこと。本来ならば我々が狩ってきた獲物で歓待(かんたい)せねばならないのですが、今はそのようなものがないのです。

 大変申し訳ないですが、もしよければそのクマをいただければ、そのクマの肉で歓待できるのですが…」

 

 アイたちはお互いに(ひたい)を集めて小声で相談をする。

 

アイ「どうしよう…」

アカリ「ゴブリンとかは売れるとか、書いてたけど…」

ナオ「でも、ギルドって今どこにあるか分からないし…」

アカリ「これからいろいろと教えてもらわないといけないから、そのお礼の代わりになるかもしれない…」

アイ「分かった…じゃあ、クマを受け取ってもらおう。」

 

 アイは村長の前に進み出る。

 

アイ「私たちもこの村のことやこの世界のことを教えていただきたいので、どうかクマを受け取って下さい。」

 

 村長はほっとした表情になった。

 

村長「申し訳ありません。本当ならお金をお渡しすべきなのですが…では、お願い致します。」

 

 アイがタクミを呼ぶと、タクミは人たちと少し離れたところにクマの死骸を出した。そのあまりの大きさに集まった人々から驚きの声が上がる。

 ドニアはクマの死骸を見ると、集まった中の何人かの男たちに合図をして自分の腰からナイフを抜いてクマの死骸に近寄る。

 

 猟師であろう男たちが集まってクマの死骸の解体が始まった。

 村長は改めて頭を下げ、アイたちを自分の家へと案内しようと歩き出した。アイたちもそれについていく。

 

 人々の間を抜けると道があり、その両側に木の柵で(かこ)われた畑がずっと続いていた。

 右側の畑は麦畑だろう、青々とした()が整然と並んで風に()れている。

 

 左側は休耕しているのか、何頭かの牛と馬が生えている雑草を食べていた。

 村長についていってしばらく進むと、今度は左側の畑の真ん中にまた道があって、曲がってそこを抜けると集落の中に入っていく。

 

 集落に並んでいる家はほとんどが板()き、板壁の小屋だった。いくつかの家は麦わら葺きだが、どの家も小さく簡素なものばかりだ。

 

 案内された村長の家も村の他の家とほとんど変わらない板葺と板壁の小屋だったが、他の家よりも少し大きいように見える。

 家に入ると板張りの床で左手に簡素なテーブルが隅に置いてあり、反対側の奥に木の(つる)()んだ椅子が四つ並んでいて、かなり高齢の男性と女性二人ずつ、それぞれが椅子に座っていた。

 

 アイたちが家に入ると、何人かの女性が入ってきてそこに椅子を並べ始める。

 椅子はどれも手作りで高さも大きさもまちまちで、どうやらアイたちのために近所から椅子を集めてきたようだ。

 アイたちは自分に合った高さの椅子を選んで座った。

 

 全員が椅子に座るとそれぞれに飲み物が入った木製のコップが渡されたが、中身が何なのかは分からない。

 ナオが給仕をしてくれる女性に(たず)ねた。

 

ナオ「あの~、この飲み物は何ですか?…」

 

 女性は恥ずかしそうに答える。

 

女性「すいません…これはただの水です…」

村長「この村には良い()き水が出るところがありますので…」

 

 アイたちはお酒か、そうでなければ得体(えたい)の知れない飲み物かもしれないと思っていたので、少し安心して飲み物に口をつける。

 アイたちが落ち着いたところで村長も椅子に腰()け、口を開いた。

 

村長「客人の皆様、改めて私はこの村の村長のバルジと申します。我々の村はレアという名ですが…」

長老の女性「誰もレアなどという名で呼んだりせぬ。」

長老の男性「他の村や町の者は皆、ここを最果(さいは)ての村と呼んでおるわ。」

 

 長老たちはそう言うと可笑(おか)しそうに笑う。

 

村長「こちらにいるのはこの村の長老たちです。左からアズル、ダル、ケイ、エレナです。

 この村には文字のある者も少なく、皆様がお知りになりたいことにお答えできるか分かりませんが、何かあればこの者たちにもお尋ねください。」

 

 アイが立ち上がって頭を下げた。

 

アイ「皆さん、ありがとうございます。私はアイと言います。そして、ここにいるのが私の仲間で、アカリ、ソラ、ツグミ、アユミ、ナオ、モア、ルカ、そしてタクミと言います。」

 

 アイがそれぞれの名前を告げると全員が椅子から立ち上がって、一斉に頭を下げた。

 

アイ「私たちはこの世界とは全く別の世界からやって来ました。

 私たち全員が、気づいたら向こうに連なっている山の中の小屋にいて、その小屋にあった本に魔法で元の世界からこの世界に連れてきたと書かれてあったのです。」

 

 アイの話を聞いて、アユミが自分のストレージから例の本を取り出し、最初のページを開くと村長のところへ持っていく。

 村長は見づらそうに(なが)めていたが、それでも書かれていたことを理解したのだろう、そのことを長老たちに伝える。

 

村長「確かに元居た世界からこの世界へと召喚(しょうかん)されたと書かれている…」

 

 村長の話をきいた長老たちはある者は目を閉じ、ある者は首を振って驚きを(かく)せない。

 

アズル「(にわ)かには信じ難いが…」

 

 するとダルと紹介された男性の長老が長く伸びたあご髭を何度かしごいて話し始めた。

 

ダル「我らがいる国はローダニアというが、(はる)か昔、まだこの国が生まれて間もない頃、国を奪おうと反乱があり、他の国も呼応(こおう)して攻めてきた。

 まだ若かったその時の王は何とか逃げ出したが、従う者も少なかった。それで王は魔法によって勇者と魔法使いを全員で8人、呼び出した…」

エレナ「9人ではなかったか?…」

 

ダル「さあなぁ~…そして王は呼び出した勇者と魔法使いの力を借りて敵国の兵や裏切り者どもを倒し、何とか国を再興(さいこう)したという…

 そういう言い伝えがずっと残っている…」

アズル「その時、王が呼び出した勇者や魔法使いたちのことを異国からやって来たものとして「彷徨い人」と呼び、それから魔法で異国から呼び出された勇者や魔法使いのことを皆、この国では「彷徨い人」と呼ぶようになったのじゃ…」

 

 アイたちはその話を聞いて、お互いに顔を見合わせる。

 

ナオ「その、最初に呼び出された勇者や魔法使いは自分たちの世界に帰れたのですか?」

アズル「いや、誰ひとり、元の国には帰れなかったという…」

エレナ「…いやいや、それでもそれらの勇者や魔法使いこそ、今この国の大貴族の先祖と言われているではないか…」

 

 アイがもう一つ質問をする。

 

アイ「その最初の「彷徨い人」以降にこの世界にやって来た人で、元の国に戻ったという話はないですか?…」

ケイ「わしらも「彷徨い人」の話を全て知っているわけではないが…それでもわしが知る限り、国に帰ったという話はなかったと思う…」

 

ダル「わしの知る話にも、帰ったというものはなかったのではないか…」

アズル「いや、わしらはもう歳で、しかもこのような片田舎に住んでおる。もしやすると国に帰った「彷徨い人」の話が見つかっておるかもしれぬ…」

エレナ「今、我々が知る中では、そのような話はないようじゃなぁー…」

 

 長老たちの話を聞いてみんな肩を落とした。そんなアイたちの様子を見て、村長が(なぐさ)める。

 

村長「そんなにがっかりされなさるな…皆様はその若さであのような化け物熊を倒すほどの力を持っておられる。

 これから皆様の力がもっと強くなっていけば、お国に帰れる方法も見つかるのではないか…」

エレナ「左様、村長の言う通りじゃ。このような辺境の片田舎には知られておらぬような魔法が、大きな街や王都のような場所では分かっておるやもしれぬ。」

ケイ「決して望みを捨ててはならぬ…のう…」

アズル「確かにその通りじゃ…」

 

 村長と長老たちの言葉を聞いて、アイたちはやっと顔を上げる。ダルはそんな彼女たちの顔をジッと見る。

 

ダル「だが、不思議じゃ…なぜお前さんたちはこのようなところに呼ばれたのじゃ?…」

アイ「このようなところ、と言うと…」

ケイ「もし勇者や魔法使いを呼び寄せるのならば、その力が必要なところに呼ぶはずじゃ…

 だがここは国の端っこで、戦乱とも政争とも無縁の場所じゃ…」

 

アズル「おお、そうじゃ。もし戦うならばわずかであっても兵士のいる場所にそなたらを呼び寄せねば…」

エレナ「それがこのような、片田舎で彷徨っているとは…」

ダル「一体、何のためにそのようなことを…」

 

 長老たちはみな微笑む。

 

ナオ「それも含めて、分からないことが多すぎるんです…」

アユミ「この本にもどうして私たちをこの世界に連れてきたのか、その理由も書かれて無くて…」

ソラ「いつか分かるって…」

 

 長老たちがそれぞれの言葉を聞いて深くうなずくと、ケイという老婆がやさしい口調で話し出す。

 

ケイ「申し訳ないが、我らの知恵では分かることはこれぐらいでしかない…だが、おぬしたちは運が良いのではないか…

 何も分からぬうちに戦場に()り出され、正しいかどうかも分からぬのに人殺しに力を()す…

 ここにいるということは、少なくともそのような理不尽(りふじん)なことには巻き込まれておらぬからのう…」

 

アズル「確かに…ここにはおぬしらに命令するような者などおらぬゆえ…」

エレナ「それに客人方はみな、(かしこ)そうな顔つきをされておる。

 これから何が起こっているのかを知っていけば、呼び寄せた者の言いなりになどならずに済むのではないか…」

 

 ダルは髭をしごきながら何度も深くうなずく。

 

ダル「わしらのような(じじ)(ばば)が言えることはのう…お前さんたちはまだ若く、力も持っている。それゆえこの国のこと、この世界のことをよく知るようにすることじゃ。

 そうすれば自ずと何をせねばならぬのか、分かってくるのではないか…

 

 お前さんたちを呼び寄せた者が、何を望んでいるのか…そのようなことは大切なことではなかろう。お前さんたちが何をするのか、何をしたいのか、何をせねばならぬのか…

 そのことの方が、ずっと大事なことじゃろうて…」

 

 アイたちは真剣な顔で長老たちの話を聞いていた。その顔を見て、アズルが笑い出す。

 

アズル「まあ、このような片田舎の死にぞこないどもの言うことじゃ…笑って聞き流してくれ…」

アイ「いえ…ありがたいと思っています。本当にありがとうございます…」

 

 アイたちにとって、この国では異世界から召喚されることはあり得ることと分かったことはありがたかったが、果たして元の世界に帰ることができるのか、それはまだ分からなかった。

 今度は長老たちがアイたちに尋ねる。

 

ダル「ギリア親子を(おそ)ったクマを討ち取ったと聞いたが…」

アイ「はい、ここから歩いて3時間ほど離れた草原で、偶然ギリアさんが襲われているところに遭遇(そうぐう)して…」

ケイ「おぬしらが討ち取ったのか?…誰の助けもなく…」

アカリ「はい…私やアイや、向こうにいるルカが手槍や剣で応戦して、他の仲間が魔法で攻撃してくれて…」

 

アズル「ほー、もう魔法を使えるのか…」

ナオ「はい、まだレベルは低いですが…」

ダル「武器は…何も持っておらぬようだが…」

ソラ「武器はストレージにしまっています…」

アイ「かなりの量が入るストレージも(さず)かっているので…」

エレナ「では、授かった魔法や武器で戦って、クマを討ったのか…」

村長「しかもそのクマは魔獣だったという…」

 

 村長がそう答えると、長老たちはみな「う~ん」と(うな)って、しばらく目を閉じていた。

 アイたちが長老たちが口を開くのを待っていると、しばらくしてケイがやっと(しゃべ)り出した。

 

ケイ「運が良かったのは我らかもしれぬ…」

 

 アズルがうんうんとうなずく。

 

アズル「確かにその通りかもしれん…そのような魔獣が村のそばまで来ておったということは、この村までやって来たかもしれぬ…」

ダル「さすればこの村の男どもでも、果たしてそのような魔獣を討ち取れたかどうか…」

エレナ「この方々はギリア親子だけではなく、我が村を救ってくれたと言ってもよいじゃろうて…」

ケイ「ほんに、そうじゃろう…のう、村長…」

 

 村長が長老たちの言葉を引き取る。

 

村長「皆様は、山からここまで来るまでにあのクマの魔獣以外には会わなかったのですか…」

アユミ「山の中の小屋にいた時にはゴブリンに襲われました。」

アイ「その時は石をぶつけたり、木の棒で(なぐ)ったりして追い払いました…」

 

アカリ「山を下りて森を抜けた後に、草原でオオカミに襲われて…」

ソラ「私がオオカミに()まれてしまって…」

アイ「仲間の魔法で何とか(すき)を作って逃げ出しました。上手く逃げられてラッキーでした…」

 

 村長は真剣に話に耳を(かたむ)けている。

 

村長「この村は向こうに(つら)なる山々からはかなり離れているので、魔獣など滅多に姿を見せません。

 それがあのような化け物が出たとなると、しばらく注意せねばならぬようですな…」

エレナ「それでも客人方は草原では魔獣の熊にしか出くわしておらぬようじゃ…」

 

ダル「うむ、もっと多くの魔獣と出くわしておれば大変じゃが…」

アズル「いやいや、一頭でもそのような魔獣が出たならしばらくは男どもが監視(かんし)をすべきじゃろう…」

村長「そのことはドニアなどとも相談いたしましょう。」

 

 村長は切りがいいと思ったのだろう、アイたちに向かって言う。

 

村長「皆様も今日はお疲れでしょう。またお尋ねになりたいことがあれば、いつでもお聞き下さい。

 今、歓迎の準備をさせております。空いている家に案内させますので、どうぞそちらでお休み下さい。」

 

 村長が手を叩くと、入り口からまた何人かの女たちが入ってきた。

 年長の者は長老たちのそばにいき、彼らがそれぞれの家へ戻るために介添(かいぞ)えする。

 アイたちは立ち上がると長老たちに深く頭を下げた。長老たちもその意味が分かったのか、よいよいという感じでそれぞれが手を振った。

 

 立ち上がったアイたちに若い女性が近づいてくる。

 

若い女「お客様、皆様にお泊まりいただく家の用意が整いました。どうぞこちらへお越しください。」

 

 そんな女性の言葉を聞いて、アユミは何かを思い出して村長へ尋ねた。

 

アユミ「用意していただいた家へ行く前に、ギリアさんのところに行きたいんですが…ギリアさんにまた回復魔法をしてあげたいんです…」

村長「ギリアは自分の家で介抱(かいほう)されていると思うのですが…」

 

 ナオもさっきの話を思い出す。

 

ナオ「ドニアさんに伺いましたが、この村には魔法を使える方はおられないそうですね…

 ギリアさんはかなりの大怪我でしたし、私たちは怪我を(いや)す魔法が使えます…」

村長「分かりました。ニコ、皆様をまずギリアの家に案内しなさい。その後に用意できた家に案内するように。」

 

 ニコと呼ばれた若い女性は村長の言葉にうなずくと、アイたちに向かってこちらへ、というしぐさをする。

 アイたちは改めて村長にも頭を下げると、彼の家を出てニコの案内する方へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 




 楽しんでくださった方や今後が気になるという方は、お気に入りや評価をいただければ励みになります。
 また、面白かったところや気になったところなどの感想もいただければ幸いです。よろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。