ワンダラーズ・イン・アナザー・ワールド ~男子は僕ひとりだけがクラスの女子といっしょに異世界へ送られたけど、僕が抱くことで彼女たちは強くなります。~ 作:イジー・ムラシロ
昼食を取りながら、モアがちょっとせっかちにアイにこれからのことを聞いた。
モア「ね~、これからどうすんの?もうテント
ナオ「モアは村に戻りたいの?」
モア「そうじゃないけど、アイが教えてくんないから…」
アイ「(笑)…」
アイはモアに
ソラ「ねえ、さっさと村に戻ってあのくそムカつく村長とチビのご
アカリ「まあ、見せつけてやりたいのは確かだね…」
ソラ「でしょう…で、約束のお金をふんだくろう…」
ツグミ「ソラちゃん…」
アユミ「まあまあ、落ち着いて…」
ソラが熱くなってきたのをアユミやツグミがなだめた。
ナオがアイの方を見ると、彼女もやっと口を開く。
アイ「すぐに村に戻ってもいいんだけど…やっぱりここでしかやれないことをしてから戻ろうよ…」
モア「え~、もう練習しなくてもいっぱい魔法使ったよ…」
ルカ「それに、みんな疲れてるし…」
モアやルカはエブルの村で数日の間魔法や武術の練習に
だが、アイは首を振った。
アイ「そうじゃなくて…とりあえず、まずは洗濯だよ…みんな戦いでホントに泥だらけになったし…」
アユミ「そうだね…ここの方がゆっくり洗濯できるね…」
ソラ「シャワーは?」
アカリ「テントから離れたところでやれるじゃん…」
ナオ「洗濯とシャワーね…」
アイ「それと、食事もアユミがいろいろ作ってくれたけど、お楽しみのがあるでしょ…」
ルカ「お楽しみって…」
タクミ「もしかして…」
ソラ「カレーライス‼」
アイ「ピンポーン!」
全員「そうだ!」
全員が両手を
アイ「(笑)…お米は誰が
タクミ「…オレがするよ、キャンプ行く
ソラ「ああ…白いご飯…」
ソラが
アカリ「(笑)…そんなに食べたい?」
ソラ「え~、食べたくない?出してくれるパンも
アイ「あー、分かる…美味しいけど、ってこと…」
ツグミ「確かに…」
ナオ「ツグミも?あんなにパン好きなのに?」
ツグミ「う~ん…パン大好きだけど…ご飯も食べたいな、って…」
アユミ「言い方、カワイイ(笑)…」
ルカ「ホント(笑)…」
ツグミ「えー、恥ずかしい~…」
全員「(笑)…」
ご飯と聞いて、みんなのこれまで
モア「じゃあ、今日の晩御飯がカレーってこと?」
ツグミ「言ってすぐできる?」
ルカ「まだ陽も高いし、みんなが手伝ってくれたらできるんじゃないかな…」
ソラ「手伝う、手伝う。」
アイ「タクミはどう?」
タクミ「あー、お
量が
アカリ「り(了解)…」
みんなは料理と火起こしの係と白ごはんの係に分かれ、昼食後
タクミはストレージにあるボール二つに計量カップで米を
アイ「米は量どれぐらい?」
タクミ「5
ソラ「大きいのでいっぺんにしないの?」
タクミ「大きすぎると火の回りにむらが出来て硬いとこができるかもしんないから…」
アカリ「じゃあ、川のそばで米を洗おう…」
ソラ「おっしゃ!」
アイ「張り切り過ぎて、
料理
モア「どう、こんな感じ?」
ルカ「いいんじゃないかな…あとはお米の班が戻ってきてから聞いたらいいし…」
ツグミ「あー、目が痛いよ…代わってぇー…」
ナオ「ハイハイ(笑)…」
お米班が米を洗って
タクミがご飯の鍋二つを火にかける頃にはスープもぐつぐついい出した。
カレーライスが食べられる嬉しさと興奮で誰も落ち着いていられない。
ソラにアカリ、そして珍しくアイも加わって焚き火の周りで歌を歌ったりしていると、だんだんと陽も
タクミがお米を炊く両方の鍋の
ソラ「もう下していいの?」
タクミ「ああ…このまま蓋をして
ルカ「なんかおばあちゃんに聞いたことあるよ…赤子が泣いても蓋を開けるな、って…」
モア「知らな~い…」
アユミ「始めちょろちょろ、ってやつね…私もお母さんから聞いた…」
アイ「ふ~ん…私も知らないや…」
ナオ「ご飯を
アカリ「こういう時にスマホやタブレット使って調べたくなるね…」
アユミ「何でだろう…戦いの時には忘れてるのに(笑)…」
ソラ「最初から無いのが前提だから(笑)…」
ルカ「そうかも(笑)…」
ソラたちが
ナオ「ねえ、順番に身体洗いなよ。待ってるだけなんだし…」
ソラ「えー、せっかく盛り上がってきたのに…」
アカリ「何に盛り上がってんだ、ってことだけど(笑)…」
アイ「ナオの言う通りだね…ソラ、あっちへ行こう…」
アユミ「カレーはどっか行ったりしないよ(笑)…」
モア「じゃあ、私も~…」
ナオに言われて、みんな順番に汗と泥とオオカミの血で汚れた身体を洗う。タクミもアユミやナオに
だが、女の子たちが裸で水を浴びている姿は何度見ても刺激が強すぎる。
アイやアカリのスレンダーながら出るとこがしっかり出ている
モア「あー、また勃起してる!」
タクミ「イヤ、コレハアノ~…」
アカリ「いいじゃん、サッサとこっちへ来な…」
ツグミ「…」
ルカ「身体、洗っちゃおうよ…」
ソラ「我慢できなきゃ、抜いてあげっから(笑)…」
アイ「ほらっ、
相変わらずもじもじするタクミをソラとアイが引っ張り、アカリとモアがあっという間に裸にする。
タクミはルカの『洗浄』を
アイたちが水浴びを終えて戻ってくると、ちょうどアユミがスープにカレールーを入れ、カレーも弱火になる。
全員が焚き火の周りに座って両方が出来上がるのを待つ。次第にカレーの
ソラ「あ~、かぐわしいこの
アカリ「大げさ過ぎるよ(笑)…」
6月も半ばになり夕方とは言えまだ十分に陽が残っている時間だが、カレーも白ごはんもすっかり出来上がった。
みんなは待ち切れずに早速出来たばかりのカレーとごはんをお皿によそう。
モア「ねえ、もう食べていい?」
アイ「もうちょっとだけ待ちなよ…」
アユミ「ハイハイ、まだの人だれ?」
タクミ「ああ…オレ、オレ…」
モア「早く早く!」
ナオ「はい、ツグミのもできたよ…」
ツグミ「ありがとう…」
アカリ「みんな、
ソラ「オーケー(笑)…」
アイ「ハイ、いただきます!」
全員「いただきます‼」
ついこの間もアユミがカレースープを作ってくれたが、やはりカレーライスにはまた違った
白ごはんにもやっとありつき、およそ2か月ぶりの元の世界の味に誰も何も言わず黙々とスプーンを口に運んだ。
アイ「あ~、何かすごく
アユミ「アイが言うなんて珍しいね…」
ソラ「イヤイヤ、みんな一緒でしょ?」
アカリ「わかる…これが食べたかったから…」
ルカ「
ナオ「大丈夫、大丈夫…これぐらいだよ…」
ツグミ「
よく見るとツグミは涙ぐんでいて、みんなはその様子にびっくりする。
アユミ「ツグミ、何か変なの入ってた?」
ルカ「ツグミちゃん、大丈夫?…」
ツグミ「ううん…ゴメン…大丈夫…ただ…」
アカリ「ただ…どうしたの?」
ツグミ「うん…家族みんなとカレー食べたのを思い出して…それで…」
ソラ「ツグミ…」
ツグミの言葉を聞いて他のみんなも黙ってしまう。
しばらく誰もが何も言わずにカレーを口に運んでいたが、やがて他の子からも
ルカ「…ううう…
アイ「ルカ…」
ナオ「…ホントだね…」
モア「ううううう…」
ソラ「…ほら、泣きながら食べないで顔
モアはスプーンを置いてソラが取り出したタオルで涙を拭く。
モア「ありがとう…」
アカリ「去年の校外学習でもカレー作らなかった?」
アイ「あー、作った…」
タクミ「オレたちの班はさんざんだったよ…男だけでふざけてばっかでカレー
ソラ「男子はどこのクラスでも騒いでばっかだった…」
ナオ「確かに…でも、私の班も結構焦げてたかも(笑)…」
ツグミ「私のとこはアユミがいてくれたから美味しかったよ…」
アユミ「そんなことないよ…」
アイ「今日のカレーも美味しいよ…」
ソラ「アユミ
アカリ「ホントに…」
だが、ほんの2か月ほど前までのことが今はもう夢のように思える、そんな不思議な感覚を全員がカレーを食べながら感じていた。
女の子たちは普段は決して大食いではないが、今日ばかりは足りないのか、次々とおかわりをしてあっという間に鍋いっぱいのカレーもご飯も無くなった。
ソラ「う~ん…喰ったよ…」
ルカ「ちょっと食べ過ぎ…」
ツグミ「私も…」
アカリ「(笑)…」
日が暮れて鳥の声と虫の声に
みんな久しぶりの味に大満足で焚き火の周りでぼんやりとする。ローフの村にやって来て、初めてリラックスできる時間だった。
何人かがうつらうつらし始めたところで、ナオもぼんやりとした表情でみんなに聞く。
ナオ「で、もうカレーは作ったから、明日は洗濯だね…」
アユミ「そうだね…みんなオオカミの血も浴びてるし、結構泥だらけにもなってるから…」
ルカ「だいぶ大変そうだね…」
アイ「まあ、そうだね…」
しかし、ツグミはまだ
ツグミ「でも、これから天気がまた
アカリ「明日は雨ってこと?」
ツグミ「そう…それも2,3日は続きそう…」
モア「ゔゔゔゔ…」
ナオ「う~ん…」
せっかく洗濯に当てようと思っていたのがちょっと難しいと聞き、ナオやアユミは表情が
ソラ「村に戻った方がよかったかな?」
タクミ「でも、ここにいたからカレーも食べれたし、あの村じゃ落ち着けないよ…」
アカリ「それは確かにそう…あんなとこ、息が詰まるよ…」
ルカ「雨が止むまでここでゆっくりしよう…」
アユミ「はあ~…」
アイ「仕方ないね…もう今から動けないし…」
ツグミ「う~ん…」
珍しくツグミが大きく伸びをして、眠そうに顔を左右に振った。それを見てナオが立ち上がる。
ナオ「じゃあ、とりあえずここを片付けちゃおう…」
アユミ「そうだね…雨になるなら、テントに入れるか、ストレージにしまわないと…」
アユミも立ち上がったのを見てアイも立ち上がり、指示をする。
アイ「みんなで手伝ってやろう…そうしたらすぐに片付くから…」
全員「ハ~イ…」
アイとアユミとナオの指示でみんなは椅子や食器をはじめ、食事やキャンプファイヤーなどの道具を次々にストレージにしまっていき、いつの間にかテントの前には石を積んだかまどとその中で燃える焚き火だけになっていた。
ツグミが『光源』の灯りで
ツグミの言葉通り、真夜中から雨がテントに打ちつけるようになり、朝にはかなり激しくなっていた。
そして、テントの中でも異変が起こっていた。
アイ「…う~ん…」
ツグミ「はあ、はあ、はあ…」
アユミとナオがいつもと違う仲間の様子に気づき、起き上がるとすぐにアイとツグミの傍にいく。
アユミが2人の
アユミ「アイ、どんな感じ…」
アイ「ごめん…なんか身体が重だるくて頭がふらふらする…」
ナオ「ツグミはどんな感じ…」
ツグミ「私も…熱っぽくて…身体がだるいの…」
アユミとナオが急いでアイとツグミに『ケア』をかけると、他のみんなも目を覚まして身体を起こした。
アカリ「あー、私もダメかも…なんかすごく熱っぽい…」
ソラ「えっ、マジで?」
ナオ「モア、アカリにも『ケア』したげて…」
モア「うん、わかった…」
これまでソラの大怪我があったものの比較的元気に過ごしてきたみんなだったが、ここにきて突然の病人
その視線に気づいたナオが言った。
ナオ「こっちは大丈夫だから、みんなは食事済ませといて…」
ルカ「なんか出来ることないかな?」
アユミ「じゃあ、ボールに水を張ってタオルを
みんな熱が結構高いみたいだし…」
ソラ「わかった…」
アユミらに『ケア』を受け、濡らしたタオルで額を冷やすとアイとツグミとアカリは少し落ち着いたのか、静かに寝息を立てるようになった。
他のみんなはアイたちから離れて朝食を取る。
ルカ「ねえ、みんなどんな感じなの?」
アユミ「『ケア』もみんなにしっかりかけたし、何かの病気とかじゃなさそうだし…」
ソラ「じゃあ、何なの?」
ナオ「風邪もあるだろうけど、やっぱ一番は疲れかな…『ヒール』もしてたけど、精神的な疲労も
モア「私、全然元気だよ…」
ソラ「元気なぐらい働いてなかった、ってか(笑)…」
モア「そんなー、ヒドーイー!」
ルカ「しっー!声、大きいよ…」
アユミ「別に働いたから熱が出て、働いてないから出ないってことじゃないよ…」
ナオ「誰が最初に出るのか、ってだけかもしんないし…」
ソラ「ゴメン、ウソウソ(笑)…」
ソラが
ルカは真面目な顔でアユミとナオに聞く。
ルカ「アユミちゃんとナオちゃんとモアちゃんは3人の傍にいなきゃいけないけど、私たちはどうしよう?」
タクミ「雨でも出来ることって何だろう?この雨の量じゃ、洗濯しに外には出れないし…」
2人の質問にアユミでもナオでもなく、ソラが答える。
ソラ「こっちで離れて食べ物と飲み物を出しておこうよ…どうせ他に使う魔法もないし…」
アユミ「そうだね…私たちもそうしなきゃだめだけど…」
ナオ「どうせならルカとソラとタクミは外の小さなテントへ行っときなよ。
それだと3人のこと、気にしなくても作業できるし、話し声も聞こえないし…」
ソラ「ってか、こないだ便利な能力付かなかった?」
ルカ「え~と、『音声』なんとか?」
タクミ「『音声
ソラ「それそれ…今こそそれ、使おうよ…」
アユミ「確かに…」
モア「じゃあ、やっぱソラもルカもタクミもここにいるの?」
タクミ「う~ん…」
『音声遮断』があると向こうの小さなテントまで行く必要はなさそうだが、ソラは急にそわそわし出して言った。
ソラ「まあ、私とルカとタクミは向こうのテントへ行こうよ…隅に小さくなってるよりいいよ…」
ルカ「そうだね…」
ナオ「ふ~ん…」
ナオは何やらソラの
ソラはそんなナオの視線に気づいて、タクミやルカに声をかけた。
ソラ「じゃあ、私たちはあっちのテントへ行こうよ…」
アユミ「待って。もう一度『音声遮断』のやり方をおさらいしたいんだけど…」
タクミ「了解…」
タクミはそこにいる女の子たち全員といっしょに小さく丸くなり、それぞれ隣の人と軽く手をつなぐように指示する。
タクミ「で、それぞれが頭の中で『音声遮断』を意識して、それから誰か一人が自分たちだけが互いに声が聞こえて、外には聞こえないと
モアが目をつぶったのを見て、タクミが
タクミ「モアさん!今はまだいいよ…」
だがモアがぼんやりとした表情でみんなの顔を見るので、ナオが彼女の目の前で大きく手を振った。モアはやっと気が付く。
モア「えっ、今しないの?」
アユミ「だって、ソラたちは向こうのテントへ行くんでしょ?」
タクミ「一応『音声遮断』のやり方をおさらいしただけなんだけど…」
モア「な~んだ…」
ナオ「ハイハイ、私とアユミとモアはこっちで『音声遮断』をしようよ…」
ソラ「じゃあ、私たちは向こうのテントに行くね…」
ルカ「出来るだけたくさん食べ物と飲み物、出しておくから…」
アユミ「お願い…」
ソラがそそくさと小さなテントへ行こうとするのを見て、タクミとルカ、それにアユミとモアも首をかしげる。
だが、ナオだけはちょっとニヤニヤしながらソラたちがテントを出ていくのを見送った。
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