ワンダラーズ・イン・アナザー・ワールド ~男子は僕ひとりだけがクラスの女子といっしょに異世界へ送られたけど、僕が抱くことで彼女たちは強くなります。~ 作:イジー・ムラシロ
盗賊の
アイたちは馬車の中でお互いに回復魔法を掛け合い、少しずつ食べ物も口にしたが、馬車から降りるとみなくたくたに疲れ切っている。
それでもみんなは
アイ「今日は本当にありがとうございました。」
農婦1「なに言ってんの…あんたが無事だったのが何よりよ…」
農婦2「そうそう…あんな
ナオ「お二人にも何もなくてよかったです…」
農婦1「礼を言うのはこっちだって…盗賊を
農婦2「あんたたちみたいな勇者パーティーだと助けに来てもらいたいね…」
農婦1「無理しないで
アイ「本当にありがとうございました…」
彼女たち2人は知り合いの家へ行くと言って、厩舎を後にした。
アカリ「私たちもいつもの宿屋に急がないと…」
ルカ「もう
アイ「とにかく
みんなは以前ナニから教えてもらった道を宿屋に向かって急ぐ。
無事宿屋に着いてナオを先頭に中に入ると、
ナニ「こんばんは…まだお部屋は空いてますか?…」
女将「おや、またあんたたちかい…いらっしゃい、いつもの上の部屋が空いてるよ…」
ソラ「よかった…」
アユミ「じゃあ、9人分です…」
女将「はい、まいどあり…」
アユミが部屋代を
教会の
タクミ「うううう…」
ソラ「あー、疲れた…」
モア「もー、動けないよ…」
ルカ「何て言うか、精神的にやられた感じだね…」
ナオ「今までで一番ヤバかったから…」
誰もが床に座り込んだまま動けないが、それでもアカリはアイの傍へいくと彼女の服を脱がそうとし出す。
アイ「アカリ?…」
アカリ「アイの服って、あいつの血で汚れたまんまでしょ…とにかくその服は着替えないと…」
ツグミ「私も手伝うよ…」
アイ「ゴメンね…」
アイはアカリに言われるがまま、返り血で汚れた服を脱いで新しいのに着替える。
アユミとナオとソラがその間にパンと飲み物を出して食事の用意をした。
だが、夕食の間も誰ひとり口を開こうとしなかった。
今までも危険な場面はあったが、今日は本当に盗賊にやられる寸前だった。
もしあの駅馬車に農婦のおばさんたちが乗り合わせていなかったら。彼女たちがとっさにイモを投げつけなかったら。それがダンに当たらなかったら。
もしそうしたことがなければ、アイだけでなく全員が今頃盗賊に大変な目にあわされていたはずだ。
そのことを思うと、誰しもが重い気分だった。
それでもアイは全員の食事が終わるとみんなに頭を下げる。
アイ「みんな、今日は本当にごめんなさい…」
アユミ「アイ…」
ソラ「アイが
アイ「でも、私があのダンってヤツのことを見くびったからあんなピンチになったし…
もっと冷静に戦うべきだった…」
ツグミ「そんな、アイちゃんのせいじゃ…」
それでもアイの言葉を聞いて、ナオは首を振る。
ナオ「でも現実的に見ると、あのダンはかなりアイを上回っていたからかなりヤバかったのは確かだね…」
ルカ「どうすればよかったんだろう…」
タクミ「アイツが
アカリ「それはそうかも…もっと全員で相手にしなきゃいけなかったかも…」
ソラ「今日はそうできたよね…他の子分たちは大したことなかったから…」
アイ「私が一対一でいいみたいにしたところはあるね…」
ナオ「いや、私たちもアイツに怒鳴られて私たちも足がすくんじゃったし…」
タクミ「でも、やっぱ一対一は
アイさんやアカリさんがどれぐらい強くても、一対一だと何が起こるかわかんないから…」
全員が昼のアイとダンの戦いを思い出し、タクミの言葉にうなずく。すると、ツグミがポツリと言う。
ツグミ「戦うって…難しいね…」
ソラ「…そうだね…」
アカリ「今日だって、ほんの少しでもっと大変なことになってかもしれないし…」
ナオ「ダンってヤツも実力は私たちよりずっと上って感じだったでしょ…」
ルカ「これまでは運が良かったってとこもあるよね…」
アイ「ゲームなんかとは
アユミ「アイ…」
最後には倒せたとはいえ、実際ダンとの戦いはほとんど負けていたことにアイが肩を落としているのを見て、アユミは傍にいって背中を
アイはそんなアユミにうなずきながら、アユミの肩に
モア「アイ…」
ルカ「でも、アイちゃんが無事だったからそれが一番良かったんじゃない?」
ナオ「まあ、結果が良かったからね…」
タクミ「でも、
アカリ「一回々々が勉強だよ…大変だ…」
アカリはそう言って深くため息をつく。みんなも伝染したようにそれぞれにため息をついた。
アユミ「で、明日はどうするの?…」
アユミはまだ泣いているアイの頭を撫でながら誰ともなく尋ねる。
ナオ「まずはギルドに行かなきゃ…
アカリ「あれからだいぶ時間も
ルカ「何してたのか、ちゃんと言わないと…」
ツグミ「あの盗賊のことはどうするの?」
タクミ「ギルドに行って黙っているのもおかしい気はするけど、言ったら兵隊とかに知られるかもしんないし…」
アカリ「う~ん…」
駅馬車の御者にはドムニの町ではなくリラの街の兵士に言うようにと言われたが、誰にも何も言わずにリラに行くかどうかが難しい。
次から次へと難題が起こってきて、さすがにまだ高校生でしかなかったアイたちには荷が重いことばかりだ。
アイがアユミの肩から顔を上げ、
アイ「…ゴメン…やっぱダンのこともギルドで話してみよう…
それもどうして時間が
ソラ「それに?」
アイの何かを含んだような言葉に全員が彼女の顔を見る。
アイ「あのダンっていうヤツは私たちがローフの村長から貰った金のことを知ってたでしょ…
だから、アイツから私たちを
アユミ「そうか、私たち、ツバスさんたち以外にはお金のことを話してないもんね…」
ナオ「お金のことを知ってるのは村長とマヒナっていうご
ルカ「じゃあアイツらが…」
モア「そうに
ツグミ「ヒドい…」
みな今日の駅馬車の襲撃の裏側が見えてきて、改めてローフの村長たちへの
アイ「とにかく、オオカミ退治とこのダンの襲撃のことは別々のことじゃなくて、一緒のこととして明日ギルドにも話をしよう…」
ナオ「わかった…」
ソラ「この話って武器屋のおじさんにもするの?」
アユミやルカがうんうんとうなずく。
アユミ「どうせお店も行くんだから、おじさんたちにも話してみようよ…何か教えてくれると思うけど…」
ルカ「っていうか、先におじさんのお店に行かない?おじさんの方が話しやすいし、誰に話をした方がいいとか教えてくれないかな…」
アカリ「そんな人を知ってたらいいんだけど…」
今日の戦いのショックや疲労で頭が回らないところに、
そんなみんなを見て、アイがまとめる。
アイ「じゃあ、明日は最初におじさんのお店に行こう。
とにかく分からないことがあるから、おじさんとおばさんにいろいろ聞いてみよう…」
ナオ「そうだね…ここでごちゃごちゃ話してても仕方ないよ…」
ソラが伸びをしながら大あくびをすると、それにつられてみんなも次々にあくびをした。
ソラ「ふあぁ~、うぐぐぐ…」
タクミ「ふあ~…」
ルカ「あ~…もう眠いよ…」
アカリ「もう寝よう…」
モア「そうそう。」
アイ「今日はみんなお疲れ…もう寝よう!」
全員がアユミやモアから回復魔法を受けて取り出した毛布に
次の日も朝から教会の鐘の音が町中に響き渡った。
うまく眠れず、ぼんやりとした顔をしたメンバーもいたが、とりあえず食事をすましてもう一度回復魔法を掛け合い、例の武器屋のオヤジさんの店へと向かう。
ローフの村では雨やどんよりとした天気ばかりだったが、今日は朝から真っ青な空が広がっていた。
人々も何かを話しながら畑仕事へ向かっていて、ずっと静まり返っていたローフと違い話し声が聞こえるだけで何かホッとする。
お店の傍まで行くと、朝からおかみさんがたくさんの客の相手をしていた。
アイたちは邪魔にならないようしばらく離れて様子を見ていて、お店の様子が落ち着いたところでおかみさんに近寄った。
ナオ「おばさん、おはようございます。」
アイ「おはようございます。ご
おかみさん「あんたたち、無事だったかい⁉
あんなこと言っててなかなか戻ってこないから、何かあったんじゃないかって…」
おかみさんはアイたちの姿を見てびっくりする。
よほど心配していたのだろう、みんなの姿を見て少し涙ぐんだ。
アユミ「すいませんでした…戻ってくるのが遅くなって…」
アカリ「ご心配をおかけしました…」
おかみさん「ううん、こっちこそゴメンね、取り乱したりして…さあ、とりあえず中に入んな。」
おかみさんはお店に入るようにみんなを
店に入ると外の声が聞こえていたのか、オヤジさんも姿を見せる。
オヤジ「おー、お前たち無事だったか…
手紙を持ってっただけなのにやけに帰りが遅いから心配してたんだ…」
アイ「すいません、ご心配おかけして…」
オヤジ「まあいい、奥へ来な…」
オヤジは前のように店の奥で椅子を出して
アイ「あの~…先に話しておきたいことがあって…」
オヤジ「先に話すこと?」
オヤジは
アイ「実は私たちが帰りに乗ってきた駅馬車が盗賊たちに
おかみさん「まあ、大変!」
アイ「それで盗賊たちは追い払ったんですが…」
オヤジ「それで…」
アイ「その盗賊の
オヤジ「大斧のダンを?そりゃホントか?」
おかみさん「まあ!」
アイ「はい…」
オヤジ「何か
タクミ「ダンの死体と、彼が使ってた
オヤジ「ちょっと見せてみろ…」
オヤジに言われて、タクミは店のもっと奥でオヤジにだけ毛布に包んだダンの死体と斧をストレージから出して見せた。
オヤジ「ふ~ん…もうしまっていいぜ…」
オヤジはダンの顔と斧を確かめてからもずっと腕組みをして難しい顔をしていて、おかみさんも心配そうにその様子を見ている。
と、オヤジがおかみさんに大きな声で言った。
オヤジ「おい、店をちょっとの間
おかみさん「店を閉めるって…」
オヤジ「いいんだ、戸を閉めて誰も入ってこねえようにしとくんだ…」
おかみさん「わかったよ…」
おかみさんが店の戸を閉めにいくと、オヤジはアイたちにも言う。
オヤジ「おい、ちょっと椅子を持ってこっちへ来るんだ…」
アイたちはオヤジについて店の一番奥まで入っていく。
オヤジに促され、みな椅子に座ってもオヤジはまだ難しい顔をしたままでいる。
おかみさんが戻ってくると、オヤジはやっと口を開いた。
オヤジ「じゃ、ここを出てから何があったか言ってみろ…」
アイは他のみんなの顔を見渡してから、オヤジにこれまでのことを話し始めた。
アイ「ドムニの町を出てローフの村に行ったんですが、そこで村長とマヒナとかいうヤツに会って、そいつらに私たちがまだ若い娘だからってさんざん馬鹿にされたんです。
確かにギルドの手紙は渡したんですが、私、頭に血が上ってもし私たちがオオカミを退治したらどれぐらい
オヤジはアイの話を聞いて、ニヤリとする。
オヤジ「やれやれ、だから最初に言ったろう、
アイ「それから村の人たちからも少し話を聞いて、オオカミのいるところまで案内してもらって、それでこのままだと誰も村の人たちを助けに来ないからって私たち、その
おかみさん「何てことを…」
おかみさんはアイの話に不安そうに
オヤジ「で、どうだったいその魔獣のオオカミどもは…」
アカリ「
ナオ「私たち、いろいろ持ってる魔法とかそれぞれの武術の能力とかを
オヤジ「なるほど…」
アイ「それで最後に大きなオオカミが出てきて、みんなでそのオオカミと
そうしたらゴブリンの時と同じで、いつの間にか他のオオカミたちもいなくなって…」
おかみさん「あんたたち…」
オヤジ「誰も
オヤジの問いにナオがうなずく。
ナオ「戦いの後に熱を出したりしたメンバーは何人かいましたが、
おかみさん「そりゃあ、よかったよ…」
おかみさんは胸の前で手を組んで、ホッとした様子を見せた。だが、オヤジは真面目な顔でアイに尋ねる。
オヤジ「で、オオカミどもを倒したって言って、村長から褒美は貰えたのか?」
アイ「それが、
アイがそう言うとオヤジはまたニヤリとした。
オヤジ「なかなかやるじゃねえか(笑)…まあそれぐらいは当たり前だがな…」
おかみさん「それじゃあ、褒美は貰えたんだね…」
アカリ「まあ貰ったというか、無理矢理貰ったというか…」
ソラ「まあ、持ってきたのはアイツらだから…」
タクミ「オレ、確かにあの村長が渡したのを受け取ったよ…」
ナオ「そう、私たちが無理に押し入って捕ったわけじゃないから…」
オヤジ「まあ何でもいい…貰えるもんは貰ったんだろ(笑)…」
おかみさんはまた心配そうな顔に戻るが、オヤジはニヤニヤし続ける。
アイ「それで次の日に帰る駅馬車があったんでそれに乗ったんですが、昨日の正午ぐらいにその盗賊に襲われて…」
オヤジ「大斧のダンにか…ダンはお前たちに何か言わなかったか?」
アイ「私たちが村長から貰ったお金を持ってるのは分かってるって…だからそのお金を出せって…」
おかみさん「まあ、なんてことを…」
オヤジ「じゃあ、最初からお前たちが金を持ってるのを知ってたんだな…」
アイ「はい…」
おかみさん「ダンっていや、
アカリ「それがアイがダンと戦って、やられかけて…」
オヤジ「だろうな…で、どうやって切り抜けた?」
アイは一度目をつぶるが、すぐにオヤジの顔を見る。
アイ「ダンの方が私よりずっと武器の使い方がすごく上手くて…私は避けようとして足を取られて倒れたんです。
それでもうダメだって時に、乗り合わせたおばさんが持ってたイモをダンに投げつけてくれて…」
オヤジ「ふ~ん…」
おかみさんはアイがやられそうになったと聞いて手で顔を
アイ「それで相手に
アイはそこまで言うと、フーと息を
アユミが彼女の
オヤジはアイが言った話を思い出すように、目を閉じて一人でうんうんとうなずいていた。
オヤジ「よしっ、お前たちに
店のオヤジはしばらくの間目を閉じて考え込んでいたが、目を開けると一度アイたち全員を見回してからそう言った。
オヤジ「正直に言うんだ…お前たちは一体何者だ?
まだレアのような田舎から出てきたばかりの、成人してから何年も
オレはな、こんな田舎の武器商人だがこの眼は
お前たちを
オヤジの真剣な問いにみんなは互いに顔を見合わせるが、アイが静かに口を開く。
アイ「はい…私たち、本当はレアの村の出身じゃなくて、この世界とは別の世界から魔法で連れてこられた「
だから魔法を使える仲間も回復魔法だけじゃなくて、攻撃や防御の魔法も使えるし、私やアカリとかは戦えば戦うほど武術の能力が上がっています。
それに武器だって、ホントはもっと上等なものが最初にいた小屋にあって、それを戦う時には使っています…」
おかみさん「まあ…」
アイが店のオヤジとおかみさんにそう正直に言うと、アイたちは
おかみさんは
が、オヤジは急に立ち上がるとアイの前に来る。
オヤジ「見せてみろ…」
アイ「はい?…」
オヤジ「その
アイは黙ってストレージからオリハルコンの剣を出してオヤジに渡す。
オヤジは黙って剣を抜き、少しだけ開けた窓から差し込む光に剣を
オヤジ「こいつはオレも見たことがない特別な金属で出来ている…
もう少ししっかりと
ソラ「おじさん…」
オヤジは剣を
アイが剣をしまっている間にオヤジはまた椅子に座って、少しの間腕を組み、目を閉じて考え事をしていた。
おかみさん「あんた…」
店のオヤジがあまりに長い間考え事をしているので、おかみさんがしびれを切らせて声を掛けた。
オヤジはまだ目をつぶったまま、うんうんとうなずいて目を開ける。
オヤジ「お前たちのことはわかった…
まあ、「
だが、クエストの中身は変えたりはできない。だから、いつまで「彷徨い人」ってことを隠し通せるか、だな…」
ナオ「じゃあ、いつかは「彷徨い人」ってことを言わなきゃいけないってことですか?」
アユミ「ここに案内してくれたナニさんは出来るだけ「彷徨い人」ってことは隠すように、って言ってました…」
オヤジ「ふむ…」
オヤジは話を聞きながらもまだ
オヤジ「まあ、正直言えば田舎者のオレがお前たちにどうすればいいのかなんて、上手くは言えねえ…
確かにナニが言うように「彷徨い人」ってことは出来るだけ知られない方がいい。そりゃ、そんな言い伝えから出てきたようなヤツらを欲しがらない奴はいないだろうからな…
それでもお前たちの話を聞くと、オレのようなしがない武器屋でも普通じゃないって気がついちまう。
そういう意味でお前たちの力は特別だし、いつまでも隠し通すのは難しいだろう…」
ソラ「じゃあ、どうすりゃいいの…」
ルカ「ソラちゃん…」
ソラがオヤジの話に少し
ルカが慌てて注意するが、オヤジはそんなソラの反応にニヤリとした。
オヤジ「お前さんの言うのは間違っちゃいねえ…確かにどうすりゃいいのか、ってことだなあ…
だがな、今までのお前たちはそうしたことを気にしてなかったんじゃないか?
オレたちにゴブリンのことやダンのことを話して、オレたちに疑われるとは思わなかったんだろ?」
アイ「それは確かに…」
アイたちはオヤジの言葉に互いに顔を見る。オヤジはまた真面目な顔に戻る。
オヤジ「お前たちがオレたちを信頼してくれたのはありがたいし、オレたちだってお前たちのことを
だが、大事なのは
ギルドにクエストのことを隠すのは無理でも、それ以外の人間には何でもかんでも話すんじゃない…ナニにだって似たようなことを言われなかったかい?」
ルカ「そういえば…私たちは顔がいいのにそれを自覚してないのが危ないって…
だからフードで顔を隠せって、ナニさんに…」
オヤジ「そうだろう…顔のこともここまでやってきたことも能力のこともみんな同じだ。
お前たちが気をつけないと、知らないうちにどんどん他の人に悟られていくからな…
これからはもっともっと気をつけてやってかないとな…」
アイ「わかりました…」
オヤジ「ナニに何て言われた?お前たちが美形だって知られたら、どうなるって言われたんだ…」
オヤジはもう一度質問してくる。
アユミ「貴族だと何も言わずに屋敷に連れて帰られてしまうって…」
オヤジ「そうだ、「彷徨い人」ってことも同じだ…「彷徨い人」ってのはどんな力が
だからどんな美女や宝石よりもみなこぞって手に入れようとするだろう。お前たちがそのことに気をつけないといけないんだぞ…」
アイたちは店のオヤジに言われて、みな
自分たちのことを知られる、知られないということがどういう意味なのか、改めて考えさせられる。
オヤジ「さて、それはそうとしてこれからのことだな…」
真面目な顔をしていたオヤジはまた何とも言えない
タクミが馬車の御者に言われたことを思い出す。
タクミ「昨日オレたちを乗せてくれた馬車の御者さんが、ダンの死体と
ただ、このドムニの町の兵士に言うと横取りされるから、リラの街の兵士に言うんだって…」
オヤジ「おお、そうか…それはその男の言う通りだ。
ダンは確かに
モア「兵隊がそんなことするの?」
オヤジ「ここの兵士なんて
ダンには金貨100枚ぐらいの賞金がつけられていたから、兵士たちにとっちゃあいいカモだ。
よっぽど気をつけないと死体と大斧を持ってかれてそのまんまってことになっちまう…」
ルカ「やっぱり、そうなんだ…」
ナオ「じゃあ、どうすればいいんですか?」
おかみさん「あんた…」
おかみさんも話を聞いて、また心配そうな表情をする。
オヤジはナオに言われてまた真面目な顔に変わった。
オヤジ「ギルドに行ってな、そこにオレと同じぐらいの
オレと違うのは頭がすっかり
アカリ「ああ、知ってます…いつもギルドの受付で応対してくれる人です…」
オヤジ「知ってりゃ話が早い。そいつはアドスって名前なんだが、ヤツはオレの
オレはリラの街に知り合いはいるが、こんな時に
だが、アドスはギルドに
アドスの野郎に武器屋のオヤジから
いいか、絶対に他のヤツにはしちゃなんねえからな…」
アイ「わかりました…その人の顔は
アイたちは皆、いつもギルドで会うあの小さな薄毛の男のことを思い浮かべていた。
楽しんでくださった方や今後が気になるという方は、お気に入りや評価をいただければ励みになります。
また、面白かったところや気になったところなどの感想もいただければ幸いです。よろしくお願いします。