※この作品はR-18です。

【百合に挟まれるハーレム王】美少女百合カップルから疑似彼氏を頼まれたけど、どう考えても俺に欲情してる件   作:かくろう

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計算違い【side若菜】

【side若菜(わかな)

 

 私は"若菜(わかな)・エレノフスク"。

 ロシア人の母を持つハーフだ。

 

 姉の"紗理奈(さりな)・エレノフスク"は異母姉妹で、同じ父親の種から生まれている。

 

 私は男より女が好きだ。なんで? と言われても困る。物心ついた時からそうだったからだ。

 

 別に男が嫌いなわけではないけど、恋愛対象は女。断然女だ。

 

 男はおもちゃ。若菜(わかな)になびいて媚びを売るのが仕事の生き物のはず……。

 

 私はこれまで男という生き物を翻弄してきた。この美貌にすぐ寄ってくる男共を手玉に取るなんて造作もない。

 

 男友達は多い。学校でもメチャメチャモテるけど、女の子と仲良くする方が楽しいし心地良いからほどほどだ。

 だけど男女混合で遊ぶことはたまにある。

 

 大体の男は私に媚びを売って気に入られようとするからね。もちろん、そればっかりだと女の子に嫌われちゃうから適当に相手して躱している。

 

 そんで私に失恋した男子を他の女の子にさり気なくあてがう。そうすることで大体はカップルとして成立するから恋のキューピッドなんて裏では言われているらしい。

 

 ま、私が男に興味がないからってのと、適度にそういうこともしておかないと敵を作ってしまうからだ。

 

 小学校の時はそれで色々とトラブルが起こって大変だったらね。処世術って奴だ。

 

 男の子にも女の子にもチヤホヤされて、適度に友達を作って、モデルとして持て囃される。

 本当に毎日が充実していた。

 

 あの二人に会うまでは……。

 

 そう、キラキラアリスの二人だ。

 

 驚いたなんてモノじゃなかった。あり得ないほどの美しさ。二人揃って抜群のプロポーション。

 血縁関係がないのによく似た容姿とシンクロする性格。

 

 綺麗で、可愛くて、美人で、性格も良くて接しやすい。

 

 惚れない要素が何処にもないじゃない。それに、なんとなく自分達と同じ匂いがしたのも要因の一つ。

 

 恋愛対象は女。そうに違いないという直感と、そうであってほしいという願望。

 どっちなのかは分からない。でも、きっとそうだって確信があった。

 

 だからすぐに友達になった。

 

 それは案の定正解だった。ついこの間、二人は動画でレズビアンであることを告白したのだ。

 もともとそうじゃないかって疑われていたこともあり、世間にはすんなりと受け入れられた。

 

 だけど、二人は既にカップルだった。私の入り込む隙間なんてない。

 

 だからせめて仲良くしたいと思っていたのに、二人は男とできていた。

 いや、証拠はない。 

 証拠はないけど、ほとんど確信に近かった。

 

 それがあの男だ……馬のかぶり物したアイツ。

 

 樋口順平だ。

 

◇◇◇◇◇

 

 あ~、ムカつく。なんなのこいつ。

 こんなになびかない男初めてだよ。おっぱい見ても反応薄いし、テキパキしてて手際良いし、背は高いし無駄にイケメンだし、気遣いはできるし筋肉すげぇし……。

 

 男なんてちょっと煽ってやればすぐにデレデレする生き物なのに。こいつは全然なびいてる様子がない。

 有紗(ありさ)ちゃんや希良里(きらり)ちゃんとハーレムやって付き合ってるって噂は本当かもしれない。

 

 そりゃあさ、あんだけ可愛い女の子二人とよろしくやってるなら私になびかないのはギリギリ納得できるよっ! 

 でもさっ、もうちょっとなんかあったって良いじゃんかッ。

 

 腹立つ腹立つ腹立つ。

 

 今日はこいつを懲らしめに来たのに……。有紗(ありさ)ちゃんと希良里(きらり)ちゃんから悪い虫を追い払うのが私の役目だ。

 

 絶対こいつの化けの皮を剥いでやる。

 

 

 

 だから今日は大好きな有紗(ありさ)ちゃんと希良里(きらり)ちゃんのために、この馬アニキの中身が絶対悪い奴に違いないと、化けの皮を剥ぎに来たんだからっ。

 

 

「とりあえずこれで安静にしていれば問題無いと思います。一応週明けに病院で見てもらってくださいね」

「あ、ありがと……ございます……」

 

 なのにこいつは、あまりにスマートに捻挫した足をテーピングしてくれた。

 

 くっそー。なんか腹立つんだよな。

 

 イケメンで、要領良くて、能力高くて、気遣いもできる……女にとって超優良物件。

 

 なんか、うちのパパみたいだ。

 

 だからこそ、手玉に取れないのがなんかムカつく。

 

 

 動画の撮影は若菜(わかな)の足を気遣ってキッチンに高めの椅子を準備してもらった。

 

 優しいのがますますムカつく。どうして若菜(わかな)より上の立場になってんのっ? 優しくて気遣いできて、そういう所がパパに似ていてますますムカつく。

 

 

 ああもうっ、駄目だ上手くいかないや。今日はもう絡むのやめとこ……。

 

◇◇◇◇◇

 

 と思っていたのに……。

 それから料理動画の撮影パートになり、私は高い椅子に座りながら得意の料理を披露する。

 そこでもあの男が気に食わない挙動をしてくる。

 

 料理が不得意な有紗(ありさ)ちゃんの代わりに馬アニキが入り、絵面が大分厳つくなってしまった。

 

  クソッ。有紗(ありさ)ちゃんの手料理だったらダークマターでも食べて見せるのにさっ。

 

 料理動画の撮影が始まり、向こうの様子は有紗(ありさ)ちゃんが撮影し、私とお姉ちゃんの料理の様子は小春さんが撮影してる。

 

 この人も綺麗な人だなぁ。それに胸がデカい。メチャメチャデカいっ。お姉ちゃんよりもデカい。

 にも関わらず、腰細っそっ。くびれエッグぅう。

 

 

 顔立ちもフワフワ甘々の美少女系の美人。つまりロリ顔で神クラスの爆乳……語彙力下がるくらい綺麗な人。

 

 気のせいかもしれないけど、迎えに来てた時から二人の距離はかなり近い気がする。

 

 もしかしたら付き合ってるのは二人だけじゃない?

 

 いや、小春さんと付き合ってて、有紗(ありさ)ちゃんと希良里(きらり)ちゃんは単に距離が近いだけという可能性も……。

 

「完成~~♪ 兄ちゃん上手くいったねっ」

 

――グッ

 

 馬アニキがサムズアップしながらポージングする。

 サムいんだよなぁ。お笑い芸人じゃないんだからさ、もうちょっと考えようよ。

 

 今時馬のかぶり物にタンクトップってさぁ……。筋肉は凄いけど……。

 

 なんてことを考えていたら料理が完成し、試食会の様子を撮影して動画は締めとなった。

 

 撮れ高さえあれば勝利かどうかはどうでもいいけど、やっぱりこの男に負けるのはなんか悔しかった。

 

 

 それから審査員の有紗(ありさ)ちゃんが2チームの料理を食べながらリアクションを取る。

 

 有紗(ありさ)ちゃんは本当に美味しそうに私の料理を食べてくれた。今回のは自信作だ。

 きっと私の料理に軍配を上げさせて見せる。

 

 

「勝者は~~~、希良里(きらり)と馬にーちゃんチーム~~~~」

 

「やったーーーっ」

 

 負けた……。 なんか悔しい……。

 

 

 そしてエンディングを撮影し、この日のスケジュールは全て終了となったのだけど、夜になってトラブルが起きた。

 

 

 

 

「ねえねえにーちゃん、今日泊まってってよぉ」

 

 

 有紗(ありさ)ちゃんがあろうことか樋口順平を引き留めて泊まっていけと言い始めたのだ。

 

「いやいや、女の子だけの所に男が泊まるのは問題でしょ」

 

 そうだそうだ。早く帰れ。居座るなら襲われたって騒いでやる。

 

「えー、でもなぁ」

「せっかく仲の良い女の子同士でのお泊まり会だろ? 深夜の女子会すれば良いじゃないか」

 

「ちぇ~。分かったよう」

「お泊まりはまた今度な」

 

「は~い」

 

 樋口順平は馴れ馴れしくも有紗(ありさ)ちゃんの頭を撫で撫でしている。あんな漫画みたいなことする奴がいるのか……。

 

 有紗(ありさ)ちゃんもそれで凄く嬉しそうだ……。

 やっぱりデキてるんじゃないか?

 

 それでアイツは帰りかけたんだけど、玄関を開いたところで出て行かずにすぐに扉を閉める。

 

「どうしたの兄ちゃん」

「やっぱり今日はここに泊まる」

「え、嬉しいけど、どうして?」

 

「誰かがこの家を見張ってるような気がする。変な気配がするんだよ」

「え、やだ怖いッ」

「ちょっと家の周りを一周してくる。裏口から出るから戸締まりを確認してくれ」

 

 ちょっと何よそれ……。

 

 不穏な空気がその場を支配し、樋口はそのまま裏口から出て行った。

 

 それから希良里(きらり)ちゃん達は家の中全部の戸締まりを確認しながら樋口の帰りを待った。

 

「なんか変なことになっちゃったね。大丈夫かな?」

 

 ちょっとだけ不安が募った私は何の気無しに希良里(きらり)ちゃんに話しかける。

 

「兄ちゃんなら大丈夫だよ。絶対なんとかしてくれるから」

 

「え、あ、うん」

 

 希良里(きらり)ちゃんの樋口に対する信頼が凄い。 

 ここまで手放しに信頼できるってよほどじゃないだろうか。

 

 心底気に食わない男だけど、身体はデカいし強いのは確かだろうからそこは頼もしかった。

 うちのロシアにいるおじいちゃんのような空気感も感じる。

 おじいちゃんは会社役員だけど軍隊格闘の達人で身長2メートルの巨人だ。

 

 私は日本で過ごすことが多かったからあまり会えてなかったけど、あの大きな安心感に似たものを感じる……って、これじゃ私が樋口に心を許してるみたいじゃないっ!!

 

 それから待つこと30分ほど……。希良里(きらり)ちゃんのスマホが鳴って樋口からの連絡があった。

 

「もしもし兄ちゃん? どうだった? ……えっ、本当にッ!? うん、うん……分かった。気を付けてね」

 

 時間にして5分もしない間に通話は終了したのだが、そこで聞かされた内容は驚愕の一言だった。

 

「樋口さん、どうしたって?」

 

「不審者が本当にいたみたい。ここにいる誰かのファンみたいで、兄ちゃんがとっ捕まえて吐かせた。今から警察に引き渡してくるって」

 

 

「エッ、えええっ!?」

「ッ……ッ!?」

 

 私は驚きの声を上げた。同時にお姉ちゃんも息を呑んだのが分かる。

 

 それから更に1時間ほどが経った頃、樋口順平は帰ってきた……。頬に斬り傷を付けた状態で。

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