【百合に挟まれるハーレム王】美少女百合カップルから疑似彼氏を頼まれたけど、どう考えても俺に欲情してる件 作:かくろう
樋口順平を見初めた女【第4部開始】
その女、【
赤みがかった美しい髪。透き通るような肌。幼げな顔。華奢な肩。
クリクリした瞳は彼女の心の純粋さを表しているようであり、背の低さは本人にとってはコンプレックスであるものの、自身を表現する武器でもあった。
まさしく『美少女』という言葉を神から賜ったような女性。
実際には成人した年齢であり、少女というのは正確ではない。しかし、その背の低さゆえに学生に間違われてもおかしくなく、実際に彼女の年齢はまだ学生でもおかしくなかった。
その美緒奈が進んでいるのは、何かの施設かと見紛うほどの大きな屋敷の中である。
ここは順平達の住んでいる町からさほど離れていない場所にある、とある屋敷。
大きな大きな巨大な家屋には多くの住人が住んでいるが、その全てが一人の存在によって統治されていることを知っているものは、一般人の中にはあまり存在しないだろう。
それはまるで映画に出てくる君主が住んでいる城のようであり、全てが和で統一されている。
しかしその中には一般人が見ても現実とは思えないような最先端の技術が数多く使用されており、普通の人が入ったら未来ファンタジーの世界に迷い込んだと勘違いするであろう。
彼女にとっては慣れ親しんだ場所であり、そこで暮らすのが当たり前であり、生まれ育った場所である。
しかし彼女は就職を機に屋敷を出て独立している。一人暮らしを始めてから約1年。
仕事は大変であるし、才能がある故に早い段階から責任者を任されてしまいてんやわんやの毎日。
それでも彼女は楽しかった。
幼い頃から見てきた母の姿を追い、当たり前の様に始めた今の仕事。
大学には行かず、高校の時からアルバイトとして入店して実力を身につけた。
そして卒業を機に企業へと就職。
アルバイト時代の経験を活かして、いきなり店舗の責任者に抜擢されてしまったのは本人の記憶にも新しかった。
そんな彼女が今日、ある事を報告するため数ヶ月ぶりに実家に戻ったわけである。
今の彼女は着物に身を包んでおり、この家で『その人物』と会うときは着用が義務づけられている。
明確に義務とされている訳ではないが、長年のしきたりのようなものだった。
彼女自身もこの屋敷で暮らしていた時分には毎日のように着物で過ごしていたし、母達や多くの使用人達もそれに準じていた。
「ミーたんお帰り」
「あ、ティナちゃん、ただいま」
物思いに耽りながら廊下を進むと、目的の一番奥にある部屋の入り口で一人の少女が立っていた。
透明。
それも見ているだけで心が澄んでいくような、限り無く透明感のある金髪の美少女。
日本人離れした美しさを持つ彼女の容姿は、美緒奈とはまた違った意味で異次元のレベルであろう。
それこそ、神が彼女に対して依怙贔屓をしたのではないかと思うほどに、俗世間で言われるレベルの美しさとは次元が違った。
「父に呼ばれてきた?」
「ううん。逆」
「じゃあ、“見つかった”んだ」
「えへへ。そうだね。と言っても、まだ1回しか顔合わせしてないけど」
「それでじゅーぶん。ティナも会ってみたいかも」
「お父様至上主義のティナちゃんが他人に興味を示すなんて珍しいね」
「ティナも成長した。父オンリーの人生観では勿体無い。そろそろ彼氏作りたい」
「なかなかいないもんね」
「みーたんが羨ましー。ティナもその人にあってみたいかも」
「そうだねー。お父様の言葉を借りるなら、縁があれば会えるかもよ」
「じゃー、ティナも積極的に縁を作ろうかな。適当な男じゃダメだし」
「ティナちゃん人付き合い苦手だもんね。今までお父様しか興味ないって言ってたし、中学まで女学院だったし」
「ティナは
「そりゃぁ、ね。姉妹の私ですら眩しいもん。美しすぎて普通の男の人はなかなか近寄れないよ」
「そこは学んだ。でもみーたんのお眼鏡に適うくらいだから、その人も中々?」
「そうだね。それはこれから確かめるつもり」
「じゃーティナも楽しみにしてる。みーたんのお部屋、また遊びに行っても良い?」
「もちろんいいよ。いつでもおいで」
そこでティナと名乗った少女と別れた。そして目的の部屋に足を向けて急いで歩く。
障子を開いていくと、そこには既に目的の人物が座布団の上でお茶を飲んでくつろいでいた。
その隣には、美緒奈とよく似た美しい女性がお茶のお替わりを作りながら寄り添っている。
「お父様、お母様、すみませんお待たせしてしまって」
「やあみーちゃん。構わないよ。可愛い娘との家族団らん。少しくらいの待ち時間はなんでもないさ」
「やだお父様。みーちゃんはやめてください。わたし、もう社会人ですよっ」
苦言を呈する娘の言葉に口元を緩める男。
それを隣で見ていた女性も微笑ましいものをみる目つきで表情を緩めた。
「ふふふ。お父さんにとってはみーちゃんは可愛い娘だもの」
「もうっ。子供扱いはイヤですッ」
「ごめんごめん。それじゃあ美緒奈。今日は突然会いたいと帰ってきたわけだが……ひょっとして『見つかった』のか?」
二人の空間には優しさと柔らかい空気で満たされた緩やかさがあった。
優しい雰囲気を持つ男性は彼女の父であり、その隣にいるのは美緒奈によく似た容姿を持った母であった。
その美しさは美緒奈の姿に大人の聡明さをプラスしたような完成された美貌であり、子供を持つ母とは思えぬほど若々しい。
それは2人並ぶと姉妹と見まがうほどであり、町を並んで歩いても誰一人親子と分かるものはいないほどである。
「はい、
「そうか。美緒奈にしてそこまで言わせるとは。どうかな。みーちゃんから見てその青年は?」
思わず再びのあだ名呼びが始まっているが、もう父にとっては癖とも言えることなのでそれ以上は何も言わないでおく美緒奈。
「はい。まだほんの一日接しただけですが、非常に気持ちの良い青年です。彼を取り巻いている女性達も、純粋で、朗らかで、愛する人達のために心を砕くことができる素晴らしい心を持っていると見受けました。それに……」
「それに?」
「まとっている【
「ほほう、そうか。では?」
「はい。四人目で間違いないと思います」
「そうか。志藤克明の成長も目まぐるしいからな。たった数年で四人目が見つかるとは思わなかった」
「はい。私は、彼にしようかと思っています。……というよりも、既に『"あの二人"』は彼を受け入れることを選択しています」
「そうだったな。まさか私のあずかり知らぬところで知り合って、自分達で選び出してしまうとは。子供の成長とは早いものだ」
「はい。ですので私も……。これから積極的に関わって行こうと思います」
「そうするといい。孫の顔を見せてくれる日を楽しみにしているよ」
「ま、まだ気が早いですよっ!!」
「ははは。なぁに。美緒奈が見込んだのならそれも時間の問題だろう?」
「い、いえ、と言うより、彼はまだ大学生になろうかというところで」
「なるほど。父親になるには、少々覚悟するのは大変な時期ではあるな。分かった。まあ美緒奈のペースでゆっくりやるといい」
「はい……あ、それから、ティナちゃんも興味があるみたいです」
「お、そうか。父親離れが大きな課題だったが、彼女も成長しようとしているんだな。それはいい事だ」
「といっても、まだあったことすらないですけど」
「でも、美緒奈の見初めた人に抱いた興味なら、それも悪くあるまい」
美緒奈は父の行き過ぎなほどに全面的な信頼に苦笑する。
まだ接した時間が数時間しかない青年なのだ。
そんな人間をどうして? という疑問もあろうが、それは彼女の直感的なものであり、これから確かめることであり、まだ確定の段階ではないものである。
樋口順平という男に強い興味と関心を示している、この『美緒奈』という少女を中心として、新しい物語は動き始めていた。