【百合に挟まれるハーレム王】美少女百合カップルから疑似彼氏を頼まれたけど、どう考えても俺に欲情してる件 作:かくろう
【
ここは順平達の住んでいる町からさほど離れていない場所にある、とある屋敷。
長い長い廊下を進んだ先、枯山水が静かな芸術的空間を作り出す。
穏やかな鳥のさえずりが響く日本庭園で、とある老齢の男達がのんびりとお茶を飲みながら談笑していた。
二人とも顔付きは精悍でありながら穏やかで、年輪の刻まれた皺がありつつ、髪は黒々としている。
既に老人といって差し支えない年齢であるにも関わらず、二人のまとっている生気溢れるオーラがそれを感じさせない。
例えるならそびえ立つ霊峰。
あるいはどこまでも広がる大海原。
荘厳で大いなるエネルギーに満ち満ちていつつ、その様相は穏やかで静かだった。
二人を囲む空間は非常に穏やかであり、柔らかい空気に包まれている。
一人は上座に座り、肘掛けの付いた座椅子にもたれかかってリラックスしながら湯飲みに口を付ける。
「そうか。
「ええ、時が経つのは早いものです」
「思えば君が
「
「そうだな。彼女のまっすぐな思いを受けて、
その言葉を受けたもう一人の男。
上座に座った男と相対し、下座の畳の上に敷かれた座布団に正座している。
筋骨隆々。そんな言葉がよく似合う巨漢であり、正座する姿は武人というにふさわしかった。
そんな厳つい男でさえ、下座の男は恭しく上座の男に礼を尽くしている。
上座の男が主。下座の男が部下。
二人の関係はそのようなものであった。
「父としては複雑な気分ですが、まあ昔から知っておりますので、その点は安心ですがね」
「既に認めた男がいるわけか。私の娘達にも最近決まった相手ができたらしくてな。嬉しい反面、少し寂しいものだよ」
「ほう。どの子ですか? あなたの娘は数が多すぎて覚えきれません」
苦笑しつつ、下座の男は訪ねた。
上座の男はその質問には答えず、また訪ね返す。
「それより
「あなたなら既にお見通しなのでは?」
「いやいや、最近は【神力】の量も少なくなってきてね。特に必要ないことには力を撒き散らさないようにしているのだよ」
「左様で」
それは謙遜であることを、下座の男は知っている。
神力という一般的には使われない言葉を交わしても、彼らの中では当たり前なのでそこに疑問は挟まない。
「
言わずもがな、それは樋口順平のことであった。
「そうか……ふ……うくく、ふふ。なるほどなるほど……」
「どうなされました?」
「ふ……ふふ……いやいや……運命とは数奇なモノだなと思ってね」
「というと?」
「恐らくだがその彼、私の娘を射止めた男と同一人物らしい」
「なんとっ……。それはまた……、奇妙と言うべきか、流石の審美眼というべきか……」
「これも私達のような男の元に生まれた娘の運命なのかもしれないね。多くの子供達は普通に一夫一妻だが、何人かに一人は当たり前のようにハーレムを作る」
事実、上座の男には幾人もの息子、娘がいる。
多くの女性に愛される息子がいる。
だが不思議と逆ハーレムを作る娘はおらず、どれだけの男性に愛されても、最後は一人の男性と添い遂げる。
だが、最近になってその中でも珍しいケースが誕生していた。
「娘達"四人"がね、ある一人の少年に恋慕の真っ最中なのだよ。あ、一人はまだ興味の段階だったかな」
「その相手が樋口順平であると?」
「聞いている限りではそのようだよ。みーちゃん……
「それはそれは。おめでとうございます」
「君と、井上祐太朗。志藤克明。いよいよ四人目かと、非常に楽しみだよ。まあ、娘を一気に四人も持って行かれるのは少々業腹だがね」
冗談めかして笑う上座の男。
それに合わせて下座の男も冗談を言った。
「四人で済めば良いですね」
「まあ、それもまた良し。そのうち直接会いに行ってみよう。父として直接見極めなければな」
笑う二人。既に世の中の動きからはほとんど隠居している立場であるが、順平にとって運命を大きく動かす相手であることは間違いない。
彼と順平が出会うのは、まだしばらく先の話である。
「ところで、
「そこはあなたという先達に学んでいます。ちゃんと均等に愛していますとも」
「まだまだ現役だな」
「ええ、お互いに、ね」
老齢な二人。しかして男としては壮齢、つまり血気盛んな若者にまったく引けを取らない人外たる力を持った二人は笑う。
親友とも呼べる間柄の二人の父は、同じ男に自分たちの娘が添い遂げる日を楽しみにしつつ、談笑の時間を過ごしていた。
◇◇◇
【side
「あ、あの里中さん」
「
ナンパ男から私を救い出してくれた元気いっぱいの少女、
「こ、ここは……?」
「あ、ウチ格闘技のジムやってまして。正確には古武術なんですけど、古くさいんで私はジムって呼んでます。まあ中身は日本式の道場なんですけどね。トレーニングジムも兼ねてるんで嘘じゃないです」
確かに立派な建物の様相に古武術道場というのは似合ってない感じがする。
でも中をチラ見してみると、デザインは古式ゆかしい日本の格闘道場そのものだった。
故郷のロシアにも空手や柔道の道場はあるから、こう言った様式はそれなりに馴染みがある。
お姉ちゃんについていって見学した幼い頃の記憶が蘇ってきた。
「今日はちょうどジムは休みの日なんで、自宅の方へいきましょう。いま救急箱持ってきますね」
事務所になっている部屋の扉を通るとそこには普通の家の様式に変わっていた。
どうやら自宅と道場が繋がっているらしい。縦長の建築かと思ったら横にも広がりがあるみたいだ。
一見すると質素に見えるけど、上品な品質の調度品には奥ゆかしい高級感がある。
見る人が見ればちゃんと上質な品であることが一目で分かるほど、統一されたデザインの立派な家だった。
リビングのソファに手招きされて座り、救急箱を持ってくるという
多くの調度品の全てが上品で質素なデザインで統一されている部屋は心を落ち着けてくれる。
ロシアの実家も立派だったけど、この家を建てた人も相当なお金持ちでセンスの良い人なんだろう。
「あら、いらっしゃい」
座ってぼんやりしている所に声を掛けられ、振り向いた先にいた人物に驚いた。
「あ、こ、こんにちは」
「
あまりにも綺麗な人だった。
年の頃はたぶん、50歳は過ぎてると思う……。でも、まとっている雰囲気がとても落ち着いていて年を取っているという言葉で納められてない。
美魔女、という言葉がぴったりの綺麗な人だった。
「え、えっと、その……」
「あら、ケガしてるじゃない。ちょっと見せてご覧なさい」
ついさっき知り合ったばかりだと、どう説明して良いものか逡巡していると私の腕を取った女性がマジマジと患部を眺め始めた。
「少し腫れてるけどひねっただけみたいね。すぐに湿布持ってくるから待ってて」
「あ、ありがとうございます……」
どう伝えたものかと逡巡していると、
「ねえママ~~っ! 救急箱何処だッけぇ」
その声を聞いた女性が呆れたようにため息を着く。
「はぁ……。あの子ったらそそっかしいんだから。……いつもの場所にあるでしょぉー! よく探しなさいっ」
綺麗な人は戸棚から湿布薬を取り出して私の元に戻ってくる。
「そのうち探すのに飽きてこっちに戻ってくるから気にしないで」
クスクスと笑いながら手際よく湿布を貼って包帯を巻いていく。あっという間に終わってしまった。
「はい、これで良し。お友達って感じじゃないわね。大方ナンパから助けられたって所かしら」
「は、はい……。危ない所を」
「あの子らしいわね。ちゃんと病院に行って診断書をもらってらっしゃい。障害で被害届を出せばクズ男は檻の中に放り込むことができる。そういう手合いはしっかり制裁しておかないとダメよ」
「わ、分かりました」
妙に説得力がある真に迫った言葉で言われ、私はハイと返事するしかなかった。
そのうちドタドタと階段を降りる音がして、
「ねえママッ、やっぱり無いんだけど、ってあれ?」
「もう終わったわよ。本当に捨て目が利かないんだから。リビングにいつも置いてあるでしょうが」
「そ、そうだった。えへへ、ごめりんこ。
「う。うん」
「ママ~。紅茶飲みたーい。あとお菓子も食べたい」
「はいはい。ちょっと待ってなさい」
苦笑しながらキッチンに歩いていく女性を見送り、私の隣に座った
「大丈夫? 痛くないですか?」
「う、うん。何から何までありがとう。本当に……」
私は改めて
「ああ、思い出したわ。あなた、
「ホワイトミルクの
「そう。良かったわね
「は、はい」
「おっちょこちょいでオッペケペーな娘だけど、悪い子じゃないから仲良くしてあげてね」
「ちょっとママッ、オッペケペーは言い過ぎじゃないですかっ!?」
「そそっかしいのは本当でしょうが。はい、紅茶。お砂糖とミルクは入れる?」
「あ、ありがとうございます。いただきます」
紅茶を差し出した女性の柔らかい笑顔に妙にドキッとさせられる。
この美女と
「この子には年の離れた姉が2人いるんだけど、親子ほども離れてるし、一人は養子だからあんまり姉妹らしくなくってね。かなりの高齢出産で遅めの子だったからワガママで子供っぽい子に育っちゃった。これでも高校2年生よ」
「え、私と同い年……?」
てっきり年下かと思ってた……。そういえば、この制服どこかでみたような?
「ママッ、本人の目の前で言う事じゃないですよねそれっ!」
「あら、事実じゃない。しょっちゅうケガするくせに包帯の一つも巻けない娘の為にケガの手当覚えさせられたの忘れたの?」
「それとこれ関係なくないですかっ!?」
「ふふ、仲の良い親子なんですね」
プリプリと怒った
「えっと、
「いいのよ。私は
「はい。今から行ってきます」
「それがいいわ。そうだ。
「言われなくてもそのつもりですよーだっ。で、何しに行くんですか?」
その言葉に
「はぁ……。まったくこの子は……。いいわ、私が車で付き添うから」
「い、いえ、そこまでしてもらう訳には」
「いいのいいの。どうせ主人も出かけてて暇してた所なんだから。暇な主婦の話し相手になってもらえると嬉しいわ」
「あ、ありがとうございます。じゃあお言葉に甘えて……」
「やったっ。じゃあ帰りにデイミーズでイチゴパフェ食べましょうっ! 昨日からフェアをやってるんですっ」
「あなたが食べたいだけでしょうに。小遣い無くなったからって奢らせようって腹づもりね」
「いいじゃないですかっ! 可愛い娘のお友達が一緒なんだからっ」
「まあいいわ。たまにはサービスしてあげる」
「やったー。ママ大好きぃ♡」
賑やかな親子のペースに乗せられて、私は
私も親に連絡をしてはどうかと言われたが、ロシア本土にいることを伝えると代理人になってくれた。
終始はしゃぐ
この日、彼女と連絡先を交換し、お友達になることができた。
ただ、私は彼女が