※この作品はR-18です。

許嫁になったダウナーギャルが毎週ヤられにくる話   作:月見ハク

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※コミカライズ2巻が発売されました!
https://www.dmm.co.jp/dc/doujin/-/detail/=/cid=d_682213/


第12話 ダウナーギャルの秘めごと

 部屋の時計を見れば、夜の8時半を回ったところだった。

 

 リビングのソファーに視線を戻せば、暗がりに全裸の女子高生が横たわっている。

 

 ただの女子高生ではない。

 

 顔立ちはモデルのように整っていて、化粧をしていないのに息をのむような美貌。

 

 おまけにGカップの巨乳が、仰向けになった彼女の胸元で呼吸に合わせて揺れている。

 

 そんな呼吸を忘れるくらい可愛いギャル——佐原美玖は、俺の許嫁だ。

 

 親同士が勝手に決めた関係だというのに、彼女は嫌な顔一つせずに、毎週俺とセックスをしている。今日は三回目の訪問、三度目の子作りの日だった。

 

 我ながら、こんなくたびれたアラサーおっさんがどうしてこんなに可愛いJKに中出しできているのか、意味がわからない。わからないが、今が俺の人生で一番ラッキーな時間だということはわかる。

 

「……おじさん?」

 

 目の前の見事な裸体に見惚れていると、美玖が怪訝そうな顔を浮かべた。

 

「あ、ごめんっ、ぼーっとしちゃって」

 

「なんか、視線キモいっす」

 

「ご、ごめん、つい見惚れちゃって」

 

「……そっすか」

 

 彼女が気にもとめない様子で答える。

 

 裸のおっさんにジロジロと凝視されているというのに、美玖は自分の体を隠そうともしない。ただぐったりと仰向けのまま、眠そうに目元を腕で覆っただけだ。

 

 それもそのはず。俺たちはもう4時間のあいだ、ひたすら中出しセックスをしている。俺はソファーや浴室で四度も彼女の中に射精し、美玖も数えきれないほどイった。

 

 いつも涼やかでダウナーな彼女も、今は漏れるため息が熱っぽい。正直めちゃめちゃ色っぽい。というかエロい。

 

 思わず勃起しそうになるが……自制する。

 

(いかんいかん、今は美玖を休ませないと)

 

「ベッドに運ぶね」

 

「……っす」

 

 とはいえどうやって運ぼうか。

 

 お姫様抱っこは……さすがに何度も射精しまくったばかりの俺にそんな力は残っていない。

 

 俺は彼女に覆いかぶさると、抱き締めたまま「よいしょ」と持ち上げた。さっき浴室でやった駅弁の体勢だ。

 

 リビングに隣接する寝室の引き戸を開け、狭いシングルベッドに彼女を降ろす。

 

「……どうもっす」

 

「どういたしまして。今日はもうゆっくり寝なね」

 

 乱れた茶色髪を撫でると、彼女のまぶたがどんどん閉じていく。

 

「ぁ……スマホ」

 

「一緒に持ってきてるよ」

 

 美玖はこんなときでもスマホが大事らしい。彼女はセックスをするときも、始めはスマホを気にして眺めていたりする。

 

 横を向きながら画面をタップしていた美玖だったが、数秒してからふっと息をついた。

 

 彼女の手からスマホがこぼれ、すぐに静かな寝息を立て始める。相当に眠かったのだろう。

 

 ふと、上を向いたスマホ画面が目に入る。

 

 マナー違反だと思いながらも、つい気になって覗き込んでしまった。

 

(迷子猫掲示板……?)

 

 一瞬映っていた画面には、そう書かれていた。

 

 

 ◇

 

 

「ん……ふあぁ……」

 

 ソファーの上で目を覚ますと、リビングはうっすらと明るくなっていた。

 

 ぼんやりとした白い陽射し。早朝の涼やかな空気。

 

 スマホを見ると時刻は朝の5時過ぎだった。

 

 ゆっくり体を起こして寝室のほうを見る。

 

 美玖はまだ俺のベッドで寝ているらしい。

 

 一緒に寝ようかとも思ったが、さすがにシングルベッドでは狭すぎる。彼女に寝心地の悪い思いはさせたくなかった。

 

 しばらくソファーに座ってぼうっとしていると、引き戸の開く音がした。

 

 トタトタと裸足で床を歩く気配がして、俺の視界に見惚れるほどの美少女が現れる。

 

「……ベッド、借りました」

 

「おはよう美玖さん、よく眠れた?」

 

「はい、眠れたっす……」

 

 まだ起き抜けでぼんやりとしている美玖が可愛い。彼女はベッドにあったタオルケットを体に巻いていた。片手でボサボサになった髪を整えている。

 

 もし彼女と結婚、いや同棲をし始めたら毎朝こんな光景を見られるのだろうか。そう思うと胸の奥が熱くなる。

 

 どさっと当たり前のようにソファーの隣に座る彼女に、さっそく気になっていたことを聞く。

 

「ベッド、臭くなかった? 一応シーツは昨日替えたんだけど……」

 

「ん……いえ、べつに気にならなかったっす」

 

 初めてそのことに思い至ったような顔で、美玖がつぶやく。

 

 よかった。おっさん臭がきつかったですなんて言われたらしばらく立ち直れない。

 

「そういえばさ、ごめん……さっき美玖さんのスマホ画面、一瞬見えちゃったんだけど」

 

「え、マジすか」

 

「うん、ごめん……それで開いてたサイトに『迷子猫掲示板』って書いてあったんだけど、美玖さんもしかして、ずっとこれ見てたの?」

 

 俺との性行為から気を逸らすかのようにいつも眺めていたスマホ。ほとんど指を走らせていなかったからおかしいと思っていた。

 

「あー、はい……そうっす」

 

 スマホを見られても特に動揺した様子はなく、ただ少しだけ言いにくそうに彼女はうなずいた。

 

「猫、拾った?」

 

「……はい。おじさん、近くの自然公園、知ってる?」

 

「ああ、ちょっと行ったところにあるよね、森に囲まれた公園」

 

「一カ月くらい前、そこで弱ってる子見つけて……野良猫だろって言われたけど、すごい人懐っこかったし、多分飼い猫だと思って」

 

 淡々とした口調だがいつもより早口で、感情がこもっている。美玖が真剣に考えているのが伝わってきた。

 

「放っておけなかったんだ」

 

「野良の世界って、厳しいんす……たくましい子もいるけど、あの子はちがったから」

 

 その声色には彼女の実感がこもっている気がした。父親のいない環境で育った自分と、もしかしたら重ねているのかもしれない。

 

「じゃあ、今は美玖さんの家で飼ってるの?」

 

「……そう、なんすけど、うちのアパートってペット禁止で……今はオーナーさんに大目に見てもらってるんです」

 

 なるほど。いずれは……というかもう一カ月経ってるのなら、そろそろ見逃してもらえなくなっているのか。保健所には持っていきたくないのだろうし。

 

「うーんそっか……うちで預かってあげたいけど、このマンションもペット禁止だからなぁ……」

 

「知ってます、でも……どーもっす」

 

 ちゃっかりチェック済みだったか。

 

 あれ、でもまてよ、もしかして美玖が会った日にいきなり家に来てくれたのって、ペット可のマンションか確認するためだったりして。

 

 いやだとしても、それだけのために子作りセックスしには来ないか。

 

 というかそもそも彼女は許嫁のしきたりとして子作りを了承しているわけで……うん、混乱してきた。考えても答えは出なさそうだ。

 

「おじさん……?」

 

「ああごめん、えっと、うちで飼ってあげることはできないけど、探すのを手伝うくらいはできるよ」

 

「……ほんとですか」

 

「うん、美玖さん寝てるあいだにちょっと調べたんだけどさ、警察にはもう届けてあるんだよね?」

 

「はい、一応」

 

「それでも飼い主見つからないってことは、かなり離れた地域から迷い込んでるのかもしれないね。迷子猫掲示板って、うちの猫探してますって投稿もたくさんあるんだよね? どのへんの見てる?」

 

「えっと……市内のはだいたい」

 

 美玖がスマホ画面を見つめながら答える。

 

「なら市外にまで範囲広げてみようか。あと、美玖さんこんな猫拾いましたって投稿もしてるんだよね? 投稿したサイトは一つだけ?」

 

「うん、一番有名なやつ」

 

「なら他のところにも投稿してみようか。こういうサイトっていくつかあるみたいだし。ああ、それは俺がやっとくよ」

 

「え、でも……」

 

「いいのいいの! 俺けっこう時間あるし、最近は日中ヒマだからさっ」

 

 立ち上がり、仕事机へと向かう。すると美玖も腰を上げてついてきた。

 

 ワークチェアに座りパソコンを起動する。

 

 デスクトップ画面を見て、彼女が「あ」と声を上げた。そこには白と黒の水玉模様の猫が壁紙に設定されていたからだ。

 

「これ、おじさんの実家で飼ってる子?」

 

「う、うん、昔拾った猫」

 

 俺の肩に手を置いて覗き込んでくる美玖が、近い。

 

 サラサラの髪の毛が頬をくすぐっていい匂いがするし、吐息のぬくもりも感じる。それにとんでもなく柔らかいおっぱいが背中に押し付けられている。

 

「男の子っすよね」

 

「さ、さすがっ、よくわかったね」

 

「名前なんていうんすか?」

 

「……ミズタマ」

 

「水玉?」

 

「そう、水玉だから、ミズタマ。結局言いにくいからみんなタマって呼んでるけど」

 

「まんまっすね」

 

「だよね」

 

 自分の安直すぎるネーミングセンスにうんざりする。こんなことならもっと気の利いた名前にすればよかった。

 

 画面をじっと見つめていた美玖は、「でも」とつぶやいてふっと頬をゆるめた。

 

「……かわいい」

 

 愛おしむような横顔に、ドキリとする。間違いなく今一番可愛いのはこの隣にいる美少女だ。

 

 思わず吸い込まれそうになり、俺はごまかすようにパソコンを操作していくつかのブラウザを開いた。

 

「さっそく他のサイトにも投稿しちゃうからさ、美玖さんが拾った猫の画像もらえる?」

 

「あ、どこに送ればいいっすか」

 

 そういえば美玖とは連絡先をいっさい交換していなかった。

 

「じゃ、じゃあ、このアドレスに……」

 

「了解っす」

 

 俺の個人のメールアドレスを教えると、さっそく画像が送られてくる。

 

 二枚、三枚と増え、最終的には二十枚くらいになった。真面目な顔で画像フォルダを吟味している姿に、つい吹き出しそうになる。きっとあのスマホの中には倍以上の写真が入っているのだろう。

 

 画像はどれも、当たり前だが猫しか映っていない。だが一枚だけ制服スカートの上で寝転んでいるものがあった。美玖さんの膝が写り込んでいる。

 

「あ、あのさっ……その、美玖さんが一緒に写ってるのとかないの?」

 

「あるっすけど、いります?」

 

「ああうん、いや俺が個人的にほしいっていうか……」

 

「……まあ、いいっすけど」

 

 彼女はスマホをさーっとスライドさせ、数秒してから画面をタップした。あの感じでは百枚は優に超えているだろう。

 

 送られてきた画像には、猫を抱きかかえる制服姿の美玖が写っていた。家でお母さんに撮ってもらったのだろう。リラックスした感じで口元がわずかに微笑んでいる。

 

 俺は、あとでスマホの待ち受け画面にしようと心に決めた。

 

 

 

 

「——はい、一応いくつかのサイトに投稿しておいたよ」

 

「なんか、早いっすね」

 

「まあ、一応パソコン使う仕事しているから……ああそうだ、あとで市外の動物病院にも連絡してみるよ」

 

「動物病院?」

 

「うん、うちの猫を連れてきてくれた人いませんでしたかーって問い合わせる飼い主も、けっこういるらしいから」

 

「たしかに……そっか」

 

 美玖は感心するというより、そのことに気づけなかったことを悔やんでいるようだった。

 

「大丈夫、一カ月以上経って飼い主のところに戻るケースもけっこうあるし、きっと見つかるよ」

 

「うん……」

 

 ほんのり落ち込む彼女がいつもより幼く見えた。無性に抱き締めたくなるが、今日はもう日付が変わって土曜日になってしまったと気づき、こらえる。

 

 俺たちは週に一度、彼女の中では金曜日に会って、子作りすることになっている……らしい。

 

 だからそれ以外の日に手を出したらルール違反になってしまう可能性がある。

 

 我ながら、無駄に生真面目な自分が嫌になる。だからといってもし抱き締めてドン引きされたら、だいぶ立ち直れない気がする。

 

 結局俺は、美玖に拒絶されるのが恐いのだ。

 

 俺と彼女は、あくまで許嫁というしきたりの中でセックスをしている。言ってしまえばビジネスパートナーのようなもので、打算的な関係だ。

 

「おじさん」

 

 悶々としていると、またも美玖に声を掛けられた。

 

「あ、ごめん、なに?」

 

「……ひげ」

 

「ひげ?」

 

「おじさんのひげ、ふわふわ系なんすね」

 

「あ、うん……昨日剃るの忘れちゃって」

 

 俺は下あごに手をやり、すっかり伸びてしまった一週間分のひげを撫でる。

 

「なんか、猫みたいっす」

 

「え」

 

 どのへんが猫みたいなのか分からないが、彼女にじっと見つめられつい心拍数が上がってしまう。

 

「あのさ」

 

「う、うん」

 

 美玖がちょっとだけ顔を近づけてくる。今にも鼻先が触れ合いそうな、キスのできる距離だ。

 

「……いろいろ、ありがと」

 

 恥ずかしそうに目を伏せると、そのまま俺の胸元をほうっと見つめ——すんと鼻を動かした。

 

 彼女の顔の温度が伝わってくる。しんと静まり返る中、俺は微動だにできないでいた。

 

「お、オムライス!」

 

「……オムライス?」

 

「そろそろ朝ごはんの時間だし、温めるよ! 食べていくよね?」

 

「うん、いただきます」

 

 俺はそそくさとキッチンに向かうと、冷蔵庫からラップに包んだオムライスを二皿取り出す。

 

 レンジに入れて温め始めると、リビングにいる美玖が体に巻いていたタオルケットを外すのが見えた。まだほんのり寝惚けているのだろうか。彼女はリビングで制服を着るらしい。

 

 パンツを穿き始めたところで、俺は反射的に下を向いた。なぜか見てはいけないような気がしたからだ。

 

「……はは」

 

 そんな自分がおかしくて、変な笑みがこぼれてしまう。

 

 俺は、安心していた。

 

 さっき美玖と見つめ合ったとき、ただ感謝の気持ちだけを示してくれたことに。

 

 お礼のキス、なんて打算的な行為を彼女がしなかったことが、嬉しかったのだ。

 

 チンとレンジの音が鳴って顔を上げると、美玖はもうブラウスのボタンを閉めるところだった。

 

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