許嫁になったダウナーギャルが毎週ヤられにくる話 作:月見ハク
「おじさん、ウェットティッシュある? ……ヒリヒリしないやつ」
「あ、うん、これでいい?」
肌に優しいかどうかは分からないが、棚に置いてあった円柱型のウェットティッシュを差し出す。
「普通のティッシュも欲しいっす」
「わかった」
テーブルに置いてある箱型ティッシュも箱ごと渡す。
美玖は二つのティッシュを何枚か取り出すと、俺をじっと見つめた。
「おじさん、拭かないんすか?」
「あ、あー、そうだね」
暗に、拭いているところを見ないでほしいと言っているのだろう。俺は箱型ティッシュから何枚かを取り出すと、彼女に背を向けて股間を拭った。
肉棒にこびりついた白濁液はすぐに拭き取れたが、陰毛や股下にべっとり付着した彼女の愛液は拭き切るのに時間が掛かった。それくらい濡れていたのだという証明であり、綺麗にしてしまうのがなんだかもったいない気がしたのだ。
(いや、さすがにキモすぎるな俺)
拭き終わり、トランクスとズボンを穿いてソファーのほうを振り向く。
すると美玖は来たときと同じ、ストッキングを穿いた姿でスマホをいじっていた。俺のほうを一瞥するとスッと立ち上がる。
「……じゃ、しきたりこなしたんで」
「あ、もう帰るんだ」
「はい、このあと用事あるんで」
「え、彼氏?」
「いえ、友だちっす」
「そうなんだ……あ、その前に麦茶飲んでく? 水筒の中身、ぬるくなっちゃってるでしょ」
「……わかるの?」
「あーなんとなく、そんな気がして」
「……じゃあ、まあ……もらいます」
そそくさとキッチンに向かい、冷蔵庫から冷えた麦茶を取り出す。この家で一番綺麗なグラスに注ぐと、所在なさげに近づいてきた彼女に手渡した。
美玖は大事そうにグラスを受け取ると、味わうように飲み始める。
「喉、かわいてました」
「うん、そんな顔してたよ」
「わかるんですか?」
「なんとなくね。……もしかして、表情乏しいってよく言われたりする?」
「……反応薄いって、言われることはあるっす」
これもなんとなくだが、彼氏に言われたんだろうなと思った。普段接しているときもそうだが、セックス中の反応についても薄いと言われているのだろう。
確かにプロの風俗嬢さんに比べたら反応はかなり小さかった。わざとらしく気持ちいいとも言わないし、大げさな喘ぎ声もない。そもそも俺のピストンなんてたかが知れているので喘ぐ必要もなかったのかもしれないが。
ただ、そっちのほうがリアルな反応って感じがして俺としては良かった。
それに錯覚かもしれないが、美玖もわずかに感じてくれているような気がしたし。
「麦茶、どうも」
「ああうん、あっ、タクシー呼ぼうか? それくらい俺出すよ」
「いや、いいっす。歩いて行ける距離なんで」
「そ、そっか」
スタスタと玄関に向かう彼女を追う。
革靴を履いてドアノブに手をかけてから、美玖が振り返った。
「じゃあ、来週の金曜日」
「え、金曜にまた来てくれるの?」
「はい……またこの家でいいっすか」
「も、もちろんっ、ていうか毎週来てくれる感じ?」
「毎週会うってことになってるんで」
「そうなんだ……」
また来週、美玖に会える。
毎週、この子と中出しセックスができる。おそらく彼女が孕むまで……これはめちゃめちゃ嬉しい。
それよりなにより、彼女が今回のことで嫌気がさしたりせず、毎週会ってもいいと思ってくれていることが嬉しい。
「じゃ」
美玖は用事が済んだとばかりにドアを開け、玄関から出ていった。
彼女のいなくなった玄関をしばらく見つめる。
(とんでもない一日だったな……)
目が飛び出るくらいに可愛いダウナーギャルが俺の許嫁として現れて、その日に家に来て中出しセックスすることになって……信じられないくらい気持ちよくて。
あまりに現実離れした状況に、幻覚だったんじゃないかとさえ思えてくる。
だが美玖の残していった甘い香りが、紛れもない現実だったことを示していた。
またムクムクと股間が膨張し始めるのを感じて、そそくさとリビングへ戻る。セックスの名残りを感じる濃厚な香りの中をつっきり、窓際にある仕事机へと向かった。
奮発して買ったワークチェアに腰を下ろし、デスクトップパソコンの電源を入れる。
馴染みのエロ動画サイトを開き、検索バーに巨乳、制服、ストッキングと打ち込んでいく。
ソファーにだるそうに座る美玖の姿が頭から離れない。以前の自分の性癖がなんだったか思い出せないほど、股間が彼女の幻影を求めていた。
どうやら俺はまんまと、美玖にハマってしまったらしい。
我ながら一回セックスした相手に沼ってしまうとは童貞臭いなと思うが、考えてみれば彼女に一目会い、彼女の匂いを感じた瞬間から惹かれていた気がする。
「てか俺、女の子とこんなに話せたの初めてだな……」
ずっと緊張はしていたが、長い時間普通に会話ができた相手は初めてだ。それに、お互い無言になっても気まずいと思わなかった。
美玖があまりそういうことを気にしない性格というのも大きいだろう。だからか妙に話しやすいというか、一緒にいて落ち着くというか……もちろんそれ以上にドキドキしっぱなしではあったが。
「そういえば、一度も嫌がられなかったな」
今日一日を通して、俺はかなりキモい童貞おっさんムーブをかましていた気がする。デリカシーのない質問も多分たくさんした。
だけど美玖は常に気にしてない様子で、なんだかんだ聞いたことには全部応えてくれたし、心からキモがる素振りや軽蔑の視線を一度たりとも寄越さなかった。
キスやら愛撫やらを断られたけど、それも俺が嫌というわけではなく、もっと別の理由がある気がした。
……まあ、このへんは俺の自惚れの可能性も高いが。
いずれにせよ。
「すごくいい子じゃん……」
俺はエロ動画サイトを閉じ、パソコンをスリープモードにした。
——じゃあ、来週の金曜日。
来週、美玖がまた来てくれる。
そう思うと、彼女以外で性欲を発散するのが馬鹿らしく感じてきた。それにあの名器の快感を知ってしまった今、自慰で満足できるとは思えない。
俺はため息をつくと、一週間のオナ禁をすることに決めた。