最強スーパーヒロインの正体が、クラスのクールで真面目な委員長で、夜な夜なチン媚び腰振りダンスをしている爆乳淫乱牝ペットなのを知っているのは俺だけ。 作:ユリイカ
『警備部の子たち、すっかり元気になってバリバリ働いてくれてるわよ。繋くんのおかげね』
「そりゃどうも」
通信機越しのミローネは、パフォーマンスが著しく向上した警備部の働きぶりにご満悦の様子であった。ラブホテルのVIPルームで行われたハーレムプレイは、日頃溜まりに溜まっていた高羽たちの性欲を発散させ、獣血の能力を更に昂らせた。これならば凛の不在ももうしばらくの間持ち堪えられるとのお墨付きも得られた。
繋は睡眠でも取りきれなかった疲労に肩を重くしながら投げやりに頷く。彼自身、高羽たちとのセックスが気持ちよくなかったといえば嘘になるが、それでも性欲旺盛な女性四人を一手に相手取るのはなかなかに厳しい。
まだ凛一人とのセックスの方がいいかもしれない、とそんな考えすらよぎる。
『とはいえ、ヴィランもミラクルキャットが出てこないことを不審がり始めてるわ。早いところエースを復帰させないと、警備部だけじゃ抑えきれない事態になるかも』
一転、深刻な声色となるミローネ。星船支部の管轄領域にはファントムバット以外にも活動しているヴィランが複数存在する。彼女たちもそれぞれに手強い相手であり、睨みを利かせられるのはミラクルキャットしかいない。
そんな支部長の懸念は繋もよく理解していた。しかし、医療部が寝る間も惜しんで調査と治療を続けているが、いまだ凛は保護室に押し留められている。
「凛の復帰はまだ遠そうか?」
『そうね……。せめて症状の原因が特定できればいいんだけど、有力候補のファントムバットは居場所も素顔も分からないし』
凛はファントムバットとの交戦後に異常を見せた。そこに因果を見出すのは当然の推論であろう。警備部をはじめ、シェルターは一丸となってファントムバットの捜索に注力しているものの、そちらも目ぼしい成果は上がっていない。
『とにかく、繋くんはハンドラーとしての仕事に専念して。――候補者の様子はどうかしら』
職分はしっかりと分ける。暗にそう言いふくめながら、ミローネが話の矛先を繋に向ける。
繋は意識を休み時間の教室へと戻す。小型のイヤホンを片耳に着け、周囲の雑音に紛れる程度の小声で通信を取っていたが、ここは星船高校二年A組の教室内である。
彼が視線を教室後方廊下側に向ければ、机に突っ伏している金髪の少女が見えた。獣血保有者候補、吠崎咲である。
「どうも何も、相変わらずの授業態度だ」
『不良生徒っていうのは本当みたいね。夢島からのコンタクトも避けられてるみたいだし』
凛の穴を埋めるため、シェルターも必死だ。普段は繋たちのサポートに徹している夢島も動かし、積極的に吠崎との接触を図ろうとしている。だが、本人の警戒心が高いのか難航している。
今も休み時間にもかかわらず眠っているようだった。
「……」
『ハンドラー?』
繋が押し黙り、それに気付いたミローネが怪訝な声を発する。
「吠崎は不良だが、別に友好関係が悪いわけじゃない。いつもなら友達と話しているはずなんだが」
普段から真面目に授業を受けていない吠崎が学校に来ているのは、友人たちに会うのが目的であろう。しかし、今の彼女は一人で突っ伏している。普段ならば気にも留めない光景だが、なぜか繋はそこに違和感を抱いた。
ハンドラーとしての直感のようなものだ。
彼は立ち上がり、足音を殺して吠崎の元へと近づく。
「んっ……。く……ふぅ……っ」
聞こえてきたのは、くぐもった悶え声だった。そうと意識して耳を澄まさなければ聞こえない程度に抑えているが、確かに吠崎が発している。
「ミローネ、夢島に保健室の手配を」
『了解。吉報を待ってるわ』
深く事情を聞くこともなく、ミローネは通信を切る。こういった状況では話の早い支部長に感謝しつつ、繋はもぞもぞとかすかに動く少女の肩を掴んだ。
「ひゃっ!? な、なんだ、テメェ……!」
感電したように震え、飛び上がった吠崎は、潤んだ目で繋を睨む。その瞳を覗いて、繋は確信した。先日の高羽たち警備部員と同じ目だ。その奥に獣の炎が滾っている。しかし本人に自覚はないだろう。
「着いてきてくれ。楽にしてやる」
「何言ってんだ。どっか行け、ウザいんだよ」
胸の大きな膨らみを潰すように腕を組み、鋭い敵意を向けている。露骨な不信感に対話は無意味だと察した繋は、多少手荒な手段に出る。
吠崎の肩を掴む手に力を込め、その耳元で囁く。
「性欲が止まらなくて困ってるんだろう。俺はその理由を知ってるし、助けることもできる。――周りがどう思うかよく考えろ。顔を赤くしてふらついてる奴がいたら? 流石に校内での飲酒は洒落にならないぞ」
「っ!? てめ、脅すつもりかよ」
吠崎の褐色肌は赤みを帯びている。座っている今は目立たずとも、歩けばふらつくはずだった。そのような状態の彼女を、何も知らない第三者が見て、どう判断するか。
「事情を話す。事態を説明するだけだ。こちらから手は出さない」
「……クソッ」
淡々とした繋の言葉に、吠崎も覚悟を決めた。自分の身に異常があるのは、他ならぬ彼女自身がよく理解しているのだ。
繋は吠崎の手を取り、教室の外へと連れ出す。向かう先は夢島が人払いを済ませた保健室だ。行き先が明確になるほど、吠崎の表情も険しくなる。
「おい、テメェ」
「安心しろ。約束は守る」
「……なんなんだよ、お前。雰囲気違うぞ、なんか」
普段の周囲に埋没するような存在感のない男とは違った雰囲気の繋に、吠崎も困惑しているようだった。
繋は彼女の手をしっかりと握り、保健室のドアを開ける。そこにいるはずの保険医が姿を消してひと気がないことを確かめると、しっかりと鍵を掛ける。
「この部屋は完全防音だ。外部に声が漏れることはない」
「……何がしたいんだよ」
椅子に座った吠崎は、荒い呼吸を抑えながら警戒を続けている。繋が下手な行動を起こせば、即座に反撃してくるだろう。まるで手負いの野犬の如き獰猛な目つきをしている。
繋はどこから説明したものか悩み、単刀直入に切り出すことにした。
「――吠崎咲、君は獣血保有者だ。俺と契約して、ヒーローになってくれ」