好感度120超えの虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は彼を逃がさない 作:チャーシュー麺
虹ヶ咲のエロ少ないぜ!!
設定はアニガサキ準拠だけど、主人公を男の娘アイドルにするために同好会加入の順序とかだけちょっとぐちゃぐちゃになってますのでご容赦を。
「今日もいいライブでしたね〜!」
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の現部長である中須かすみこと、かすみちゃんがご満悦の様子で笑みを浮かべている。
「最高だったよ! 今日もトキめいちゃった!」
「愛さんもまだドキドキしてるよ〜! まだ動き足りないくらい!」
テンションが上がっているのはかすみちゃんだけではなく他の同好会のメンバーも同じで、各々がライブの感想交換に華を咲かせている。
「ふぅ、でも今日暑かったから汗かいちゃいました」
「だねぇ〜、早く着替えないと風邪引いちゃう」
その時だった。メンバーの1人がステージ衣装に手をかけて着替えを始めようとしたのを皮切りに、他のメンバーをそれに続いて衣装に手をかけ始めた。
「わぁぁぁ!!!!!」
「!?!? な、なに!? どうしたの!?」
メンバー13人全員の視線がこっちを捉える。一瞬怯みそうになったが、拳を握り締めて全員を睨み返す。
「き、着替える時はボクが部屋にいない時にしてって言いましたよね!!」
「あー、そういえば……でもまぁ、別によくない?」
「ボク、男ですよ!!!」
別に気にしないと笑う愛ちゃんに向けて必死に叫び倒す。
そう、ボクこと
では何故、男であるボクが虹ヶ咲スクールアイドル同好会の部室にいるのか。
そして何故、他のみんなと同じようにフリフリで可愛らしいアイドルのステージ衣装を身に纏っているのかと言えば……それには深い
………
あれはボクが2年生になった春の出来事だった。それまでのボクはスクールアイドルとはまるで無縁なライフデザイン科の生徒だったのだが、中庭で落ち込んでいるかすみちゃんを放ってはおけずに声をかけたのが事の始まりだった。
『う〜!! 廃部なんて納得できません!』
『確かに、いきなり廃部って言われても困るよね』
『分かってくれますか!? 葵先輩〜! かすみんは絶対に諦めませんっ! 一から同好会を再建してみせますっ!!』
『わっ! ちょっ! ちかっ、近いって! ボク男だから!』
興奮したかすみちゃんはボクの肩を掴んでぐわんぐわんと揺らしてくる。
その度に彼女から漂う甘い香りに胸の高鳴りを感じると同時に、そんな女の子であるかすみちゃんに好き勝手されるほど非力な自分に嫌気が差す。
それからのかすみちゃんの行動は速かった。元々は同じ同好会として活動していた彼方先輩、エマ先輩、しずくちゃんを呼び戻しはしたが、衝突したせつ菜先輩は見つけることができずメンバーが5人揃うことはなかった。
『ぐぁ〜! 5人揃えば同好会は復活できるのにぃ〜!! あと1人が見つかりません!!』
『やっぱりせつ菜ちゃんを呼び戻すのが1番手っ取り早いと彼方ちゃんは思うなぁ〜』
『でも、せつ菜先輩は何処にいるのか行方が分からないんですよね…?』
『そうだねぇ。私も探してみたけど全然見つけられなかったよぉ』
最終決した4人は頭を悩ませている。というかボクは何でこの場にいるんだろう。よく考えなくても部外者だし早く立ち去ろうと思って立ち上がったその時だった。
『こうなったら最後の手段です!! かすみんにいい考えがあります!』
『かすみちゃん?』
『とりあえず目下最大の目標は部を復活させることです! 残りのメンバーは部を復活させた後に見つければいいんですよ〜!』
『でも、そのためには5人のメンバーが必要で、その最後の1人が見つからないってのが現状だよね?』
『ぐっふっふっ、言ったでしょう? かすみんにいい考えがあるんだって』
悪い顔で笑うかすみちゃん。何だか無性に嫌な予感がしてその場から立ち去ろうとしたが、その前にかすみちゃんの手がボクを捕まえた。
『葵せんぱぁ〜い! かすみんのお願い聞いてくれますかぁ〜?』
『い、嫌だ』
『えぇ〜? 落ち込んでるかすみんを励ましてくれた時に、ボクにできることならなんだってするって言ってくれたじゃないですかぁ〜?』
『言ってないよ!?』
『まぁまぁ、騙されたと思って』
『ちょっ!』
抵抗虚しくかすみちゃんに引きずられて他の3人の元へと連れていかれるボク。消して手加減している訳ではなく、ボクは本気で抵抗しているにも関わらず細身の女の子であるかすみちゃんに力で敵わないのだ。
よく昔から男なのか女なのか分からないと言われるような顔つきに華奢な体格。身長は158cmしかなくて筋肉はまるでつかない。
身長はほぼ同じで女の子のかすみちゃんに力負けしているのがその証拠なのだが、我ながらなんとまぁ情けない話だろうか……
『えーっと、天野くん……だったよね…?』
『は、はい』
『かすみちゃん。天野くんがそのいい考えと何か関係あるの?』
『はい!!』
かすみちゃんは無い胸を張って声高らかに返事をした。
『葵先輩!!』
『……な、なに?』
『女装して同好会に入ってください!!』
『絶対に嫌だよ!?!?』
このあと何やかんやあってゴリ押しに負けて女装させられたボクを5人目として同好会は活動を再開するのだが、その次の日に歩夢ちゃんと侑ちゃんが入ってきてボクいらないじゃん!って叫んだのは別の話。
そして、幼い頃からの幼馴染でもある歩夢ちゃんと侑ちゃんに女装姿を見られてめちゃくちゃ笑われたのも別の話……
……
「で、なんやかんやあって同好会を抜けることは許されず、女装したままスクールアイドルデビューしたって訳ね」
「何回聞いてもUnbelievableな話だね」
「ランジュも葵が男の子って初めて聞いた時は驚いたわ! だってこんなに可愛いんだもの!」
上から果林さん、ミアちゃん、ランジュちゃんがそれぞれボクが同好会に入った時の経緯の感想を語っているが、全員もれなくニヤニヤ笑っている。
「ですが、せつ菜さんは全生徒の名前を記憶していると聞いたことがあります。それならば天野さんが女装をしていても名簿を見た時に男性だと気づいていたのでは?」
「はい。ですが、当時は同好会を壊してしまった罪悪感もあって……皆さんが活動を再開するためにやったことなら止めたくはないと思ったので」
「いやいや、気づいてたなら止めてよ!」
栞子ちゃんの疑問に答えるせつ菜ちゃんは苦笑いを浮かべている。
「でも、葵さんが同好会にいてくれてよかった」
「そうだねぇ〜りなりー、愛さんもあおっちにはいっぱい助けられちゃったし」
「彼方ちゃんもよく膝枕してもらってるしね〜」
「私もだよぉ〜」
璃奈ちゃん、愛ちゃん、彼方先輩、エマ先輩はボクの存在を肯定するように笑いかけてくれる。その言葉にさっきまではボクを揶揄うように笑っていた他の面々も頷いている。
……まぁ、ボクを部員の1人として認めてくれてるのは嬉しいけどさぁ。
「私も! 葵くんのいない同好会なんて考えられないよっ! ねっ、侑ちゃん」
「そうだね歩夢。これからもここにいる皆でトキメキを作っていこうよ!」
「いや、ボク今回のライブで同好会抜けようと思ってたんだけど……?」
「「「え?」」」
部室の中に幾つにも重なった低い声が響く。それと同時に、急激に部室内の気温が下がったような気がした。
え、ボク何か変なこと言ったかな…?
だって元々ボクが同好会に入ったのは人数合わせの目的で、それだってその後すぐに歩夢ちゃんと侑ちゃんが入ったから必要なくなったのに。
部員も増えて人気もかなり上がった。もう人数合わせのボクが部にいる必要もないだろう。だから今回のライブを最後にボクは普通の男の子に戻るつもりだったんだけど……
「あはは、冗談だよね…? あおっち」
「貴方にしては笑えない冗談ね」
「ジョークですよね? 葵さん。それとも何かの演技ですか?」
……え、何この空気。
ボクを貫く全員の視線は酷く濁っている。まるで蛇に睨まれた蛙のように身動きが取れない。
愛ちゃん、いつもの爽やかな笑顔はどうしたのさ…?
果林さん、目が笑ってないですよ…?
しずくちゃん、その人形みたいな笑み怖いよ…?
「……な、なーんちゃって! あはは、みんなちょっと怖いよ?」
「なによ結局冗談じゃない!」
「本当に辞めちゃうのかと思ってびっくりしちゃった!」
「笑えませんよ葵せんぱ〜い!」
つい冗談だと嘘をついてしまった。
あそこであのまま抜けると言い放っていたら危なかったと本能が叫んでいる。まさかボクの脱退をこんなに嫌がられるなんて……
同好会を抜ける話はまた今度ゆっくりするとしよう。
………
思ったんだけど、いきなり全員の前で辞める話をしたから驚かれたんじゃないかな?
ここは先に誰かに話を通して根回しをしておいて、その後にゆっくり全員に告げるとしよう。
そうと決まれば先に誰に話すかだけど、ここはやっぱり部長のかすみちゃんか幼馴染の歩夢ちゃん侑ちゃんの誰かだろう。
かすみちゃんは部長とはいえ後輩だからあまり苦労をかけたくはない。侑ちゃんも最近は音楽科の課題が忙しそうなのでパス。
となれば……
『葵くん? どうかしたの?』
ボクは手に持ったスマホから歩夢へと電話をかけると、すぐに端末の向こう側から彼女の可愛らしい声が聞こえてきた。
「歩夢ちゃん? ちょっと話したいことがあるんだけど」
『じゃあ今から葵くんの部屋行くね!』
「えっ!? いや、部屋はちょっと……切れてるし」
歩夢ちゃんは基本おっとりした子だけど、時折こんなふうにぶっ飛んだ行動を取ることがある。
人気のスクールアイドルである彼女が……いやそれ以前に女子高校生が夜に男の部屋に軽々しく来るなんて危ないんだけどなぁ。
……あっ、ボクが男として見られてないのか!
ピンポーン
「あ、来た」
「こんばんわ、葵くん」
「……」
「葵くん?」
「……まぁ来ちゃったもんは仕方ないよね。ほら寒いから入って」
「はーい」
可愛らしく返事をした歩夢ちゃんを部屋に招き入れる。
ボクの借りている部屋は学校からそれなりに近い距離にあるが広くはない。あまり特徴のあるへやではないが、歩夢ちゃんや侑ちゃんはそれが落ち着くと言って気に入ってるらしい。
「葵くん、夜ご飯は食べたの?」
「あー、食べたよ……一応」
「あ! またカップ麺で済ませたでしょ〜! もぉ〜! 料理上手なのにどうして作らないの?」
「じ、自分の分はどうにも適当になっちゃうんだよね。人に作るのは気合い入るけどさ」
シンクの中にあるカップ麺の容器を見つけた歩夢ちゃんはプリプリと怒り出す。
「一人暮らしなんだから、自分でちゃんとしないとダメだよ?」
「わ、分かってるよ」
「な、何だったら……偶になら私がご飯作ってあげようか?」
「えっ!? いいよいいよ悪いし!」
「そっかぁ……」
スクールアイドルで忙しい歩夢ちゃんにそこまでしてもらう訳にはいかない。
それなのに、何で歩夢ちゃんはちょっと残念そうなんだろう…?
「あ、それで話っていうのは?」
「うん。実は今日のライブの後にちょっと話したボクの今後のことについてなんだけど」
「もしかして辞めるって話?」
またしても部屋の温度が下がった。
普段のおっとりした彼女からは想像できない低く澄んだ声に驚いて顔を見ると、光を失った大きな瞳が2つボクをジッと見つめて離さない。
その得体の知れない迫力に気圧され唇が震えたが、ここで引いては部室の時の二の舞だ。
「……そ、そうだよ」
「何で?」
「な、何でって……むしろボクがいる方がおかしいと思うんだけど」
「おかしくないよ」
「おかしいよ。だってボク男だし」
「でも人気だよ? それに可愛いよ」
「か、可愛いって言われても嬉しくないよ! とにかく、ボクはもう辞めるって決めたんだ!」
「何でそんなこと言うの…?」
……初めて歩夢ちゃんと口論らしい口論をしているかもしれない。
本来の彼女の性格ならばこんな風に誰かと言い合いになったりすることはない。それこそ、侑ちゃんが音楽科に行くってことを決めた時くらいだ。
「私と侑ちゃんがぎくしゃくしちゃった時、葵くんが言ったこと覚えてる…?」
「……うん」
「ちゃんと話し合わないとダメだよって。それでどんな結果になろうとも、ボクは絶対歩夢ちゃんの味方だし、そばにいるよって言ってくれたよね?」
「そ、それは確かに言ったけど……」
「じゃあ、どうして私から離れようとするの…?」
「べ、別に歩夢ちゃんから離れようとしてる訳じゃないよ! ボクはスクールアイドル同好会を抜けるって話をしてるだけで!」
「ダメッ!!!」
……何が起きたか分からなかった。
気がつくと、ボクの体は上を向いてベッドの上に倒れていた。
そしてボクの体の上には、涙目になった歩夢ちゃんが乗っている。
ボクが彼女に押し倒されたと理解するまで、数秒を要した。
さぁ、鈍感系男の娘主人公解体ショーの始まりや……
次回、エロ