異世界の住人と言うのは、やはり逞しい。特に精神面。
男に雑に扱われようと、すぐにカラッと持ち直したり。
男のクズ発言を受けても、翌日には自分の意思を伝えてくる。
芯がある、と言うのだろうか。迷い悩みはすれど、決断までが非常に早い。
今朝なんて四人揃って冒険者になりに行ったからね。リリスが一発大銅貨一枚の事を言ったせいでビャクまで稼ぐ気満々になっちゃってね……。
彼女らからもらったお金で彼女らに還元出来る何かを買ってあげようと思うよ。お射精貯金箱として働くよ、俺。
とまあ、そんな者達が多く居るこの世界……或いはこの街で、俺の開いた相談所は果たして価値があるのか。意味を成すのか。
全ては神のみぞ知る。ごっどおんりーのーず。
職場の相談室にて果実水を飲み、お茶請けに買ったクッキーをリスの様に齧って大切に味わいながら客を待っていると、ドアベルがカランコロンと鳴った。
すぐに立ち上がって顔を出す。玄関には恰幅の良い奥様が立っていた。
話を聞くに、この近辺に住む人。興味と挨拶がてら立ち寄ってくれたらしく、俺もまた愛想良く出迎え部屋へと案内する。
「エイプルの果実水と、お茶請けのクッキーです。まずはどうぞお掛け下さいな」
「あらあら、ご丁寧にどうもぉ!」
こう、雑に言うと近所のおばちゃん的な人なのだが、異世界人は逞しい。肉体も。筋肉だとか体幹だとかが俺よりしっかりしてるもんな。
「私、なんでも相談所を開かせて頂きました“チトセ”と申します。相談内容はなんでもござれ。占い、マッサージ、お悩み相談、探し物、出来うる限りの協力をさせていただきます」
しっかり口角を上げて、しかし語りはゆったりと。聞き取りやすく、理解しやすい様に。
胡散臭さが出ないよう気をつけながら、ここからは相手の話を聞き出していこうか。
「お値段の方は基本大銅貨三枚とさせて頂いています。内容によっては料金が上がってしまう事はありますが、相談するだけなら無料ですのでね。しかし、奥様は初のご来店と言う事で、本日は特別に! 大銅貨一枚で結構! ……さあ奥様、貴方のお話を聞かせて頂けますか?」
「あらあらまあまあ、じゃあ折角だし一つ。実は……」
相談内容はせっかくの域を超えた浮気調査。探偵じゃねぇんだわ。でもお任せあれ。俺には千里眼があるのだから!
「では、奥様。日頃の努力が滲む美しいお手を失礼」
「やだっ店主さんったらもう!」
おべっかに弱くなってくれるのはどこのおばちゃんも一緒らしい。
千里眼にて縁を辿り、旦那さんの事を見る。
ビャクと過ごした夜のお陰で過去の見方が分かったので、縁から旦那さんの胸、そして魂から過去をちらり。
「あぁ、これは浮気じゃ無いですね」
「ほんとかしらぁ……?」
「最近ご機嫌が良いのは、どうやら奥様に関する事の様です。私のスキルが言っています。旦那さんは奥様の事を大変良く見ていると。家族は貴方なのだと。もう少し待ってあげて下さい。旦那さんは素敵なお方ですよ」
「…………そう。なんだか、申し訳なくなっちゃうわねぇ」
どうやらこの方は旦那さんがサプライズを企画しているのを、コソコソニヤニヤしていると思い、浮気を疑った様だ。
そりゃ罪悪感も湧く。であれば。
「では、その気持ちを今度お伝えになるのがよろしい。言葉だけでは申し訳無いのなら、旦那さんの好きなご飯でもお作りになれば良いでしょう。貴方もまた旦那さんをよく見ているのだと、素直に伝えてみてください」
「……そうね、そうするわ。なんだか少し照れくさいけど」
「照れて良いのです。その気恥ずかしさも一緒に言葉にするのが吉ですよ」
「ええ……ありがとうね店主さん。あぁそーだ! お代の大銅貨一枚! それとちょっと待っててねぇ!」
奥様はお代をおいて店を飛び出すと、数分後息を少し見出して戻ってきた。
「これ! うちの店で扱ってるお野菜! お礼代わりに貰っちゃって!」
「あっ、ええ!? 良いんですか!」
「良いの良いの! とっても助かったし嬉しかったんだもの! 気持ちは物でも伝えられるでしょう! ありがとうって気持ちよ!」
「こちらこそありがとうございます!」
なんとも豪快で、気持ちの良い人だ。こんな人でも旦那の言動には不安に駆られると言うのだから愛は凄いな。
ともかく、感謝の印とあらば受け取りましょうかね。ぱっと見大根。採れたてで美味しそうだ。帰ったらニルヴァーナと献立を考えよう。
「なーんか今日は良い気分だわ! ここの事、知り合いに言っとくから。また来るわね〜!」
「ありがとうございました! またお気軽にどーぞ!」
おばちゃん奥様は大通りでは無く、住民がよく通る通りで八百屋を営んでいるそうな。
と言っても、その通りはここから三つは隣なんだが……近所の概念広いな。
でも、中々良いスタートを切れたと思う。
「よし、今日を開店初日にしよう!」
張り切って使用済みのコップを洗い、お客様用のお茶菓子を幾つか用意し、のんびり千里眼観光しながら暇つぶしだ!
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その後も、客が客を呼び、なんでも無い相談から、ギルドに出すにはお金が掛かりすぎると遠慮していたちょっとした失くし物、運勢の占いや、好きな人が居るのだがアタックするにはどうしたら良いかと悩むおじさんなど。
濃い客が沢山きてくれた。
基本的には期待に応えられたと思うのだが、中にはどうしようも無さそうなものも。
……あれね、おじさんね。なんか最近一目惚れした子が居たらしくて。容姿を聞いたら、ピンク髪のセミロングのスタイル抜群過ぎる少女。どう考えてもうちのリーンリースですありがとうございました。
そう言ったお客さんにはお金は頂かず、ちょっとした距離感の説明をした後おかえり頂いた。
そうこうしてたらもうお昼過ぎ。少し遅めのお昼ご飯にニルヴァーナが作ってくれたサンドイッチを頂いていると、またしてもお客。
食べ掛けのままバスケットに直して、出迎える。
次からは御飯時は閉店中にしておこう。
「はーい、いらっしゃいませー……って」
「やっほーチトセ君」
「お昼休憩に遊びに来たわよチトセ」
我が友シンシアさんとキリリルさん!
どうぞどうぞと部屋へと通し、椅子をもう一脚用意する。
林檎もといエイプルの果実水も注いじゃってと。
「いらっしゃい二人とも。お昼休憩との事ですけどご飯は?」
「チトセ君は食べた?」
「まだですけど」
「じゃあ一旦閉めちゃいなさい。一緒に食べましょ」
「めちゃくちゃありがたいです。お言葉に甘えさせて貰いますね!」
直ぐに玄関ドアに掛けてある札を裏返し、直ぐに部屋に戻るとニルヴァーナの手作りお昼ご飯を取り出す。
「ねえ、チトセ君。今日ロリアーナさんがすんごい美人と美少女を三人連れて来たんだけど」
「ロリアーナの妹と、ピンク髪のすんごいスタイルの子と、新たな天使白髪のコナタ少女ね。あの子達ってもしかしなくても知り合い?」
「同居してますからね」
「「っ!! ビャクちゃん紹介してくれない?」」
この人ら可愛い女の子が好きなんだな……。
紹介自体は構わないと言うか、ビャクは俺からの子ども扱いに喜んでたくらいだし寧ろ喜んで構われに行きそうなんだけど……。
「なんか危ない人みたい」
「先っちょだけでいいの!」
「先っちょだけだから!」
「なんのだよ……。紹介くらいは良いですけど、ビャクの邪魔はしないであげてくださいね?」
「「っしゃああ!!」」
全力のガッツポーズ。目を閉じて達成感に浸る二人。
受付嬢はストレスの少なくない職場なんだろうけどさ? にしてもやっぱ危ねえよこの人ら。ヴェルダンディーナさんって実はブレーキだったのか? あの人があのギルドを支えていたのか?
俺達は今日のヴェルダンディーナさんと今朝のビャクの話を等価交換しながら食事を楽しんだ。
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ニルヴァーナの美味しいサンドイッチを全て平らげ、空のバスケットにご馳走様と手を合わせる。
向かいの席ではうちまでの道中で買ったのだろうバゲットサンドの包みを丁寧に畳んでいる二人。
正直何をしてても絵になる。大きなお胸は眼福。垂れた髪を耳に掛け直す仕草はぶっ刺さる。口の端についたソースをぺろりと舐め取る様は色気すらある。
極め付けに視線が合うと分かりやすく微笑んでくれるのだ。そりゃこんな笑顔向けられたら惚れるし、ワンナイト誘うし、人気も出るだろうよ。
「二人とも他所行きだと綺麗ですよね」
「ギリギリ失礼よね」
「普通にアウトでしょ」
「俺は仕事じゃない時の二人も魅力的だと思ってるんで、俺の前でくらい気を抜いて食事しても良いんですよ?」
二人は一度目を合わせると、こちらに向き直って大きな溜め息を吐いた。しかしその表情は柔らかく、でもやっぱり少し困ったような顔をしていた。
「チトセ君のそう言うとこ好きなのよね〜」
シンシアさんは立ち上がると、俺の直ぐ横に回り込んで来て俺の顔に両手を添えた。
「直ぐ帰るつもりだったけど、ちょっとくらい良いよね?」
シンシアさんの綺麗な顔が目の前に来て唇がくっつく。
長い金色のまつ毛。通った鼻筋。シミひとつ無い肌。ほんのりとソースの味がするキス。
……いつもよりも少し長くて、余韻のあるキス。
シンシアさんの揺れる吐息。頬は少し赤くなっていた。
「がっつかない優しいキス、私好きなの」
シンシアさんが離れていく。
「私はもうちょっと深いのが好き」
次は顔を上向けられ、後ろに回り込んでいたキリリルさんの唇が降ってきた。
青い髪が顔に掛かってこそばゆい。良い匂いがする。キリリルさんの唇が何度も吸い付いてきて、何度も唇を挟まれる。
控えめに鳴るキスの音が、静かな相談室によく響いていた。
「これ、キスだけで終われます?」
「んー、無理かもね。少しだけ相手して、チトセ」
「私も〜!」
二人が受付嬢の制服のリボンをしゅるりと解く。
ジャケットが机の上に置かれ、シャツのボタンがひとつずつ外されていく。その度に徐々に見えてくる谷間とこぼれそうなくらい大きな乳房。
胸を引き上げ引き締める筈のブラが、その柔肉をより盛り上げてムチムチとさせている。
ブラには胸を盛る効果があるが、その分外すとイメージよりも小さいと言う事がある。しかしこの二人の場合は全く問題無い。元からちゃんと大きいのが、もっとデカく見えていただけ。
満足感は変わらないどころか、解放されて自由を取り戻した乳房が暴れ出す。
見ているだけで狩猟本能が刺激される。掴み、揉み、握り、しゃぶりつきたくなるおっぱいだ。
しかもシンシアさんのは乳首が少し埋まっている陥没さん。息苦しそうな乳首を吸い出して助け出してあげたい。
キリリルさんは乳輪と乳首が大きなえっちなお胸。俺は今赤ちゃんになるか、大人のままで居るかの究極の二択に襲われているッ!
「チ〜ト〜セ〜♡ 私のデカ乳首、パクってしないの? チトセなら好きなだけしゃぶって良いのになぁ〜?」
「チトセくん? 私の乳首吸い出してよ♡ いつもみたいにちゅぱちゅぱして?」
「……俺は……俺は…………!!」
決めた。俺は決めたぞ。
「ばぶーー!!!!」
「「あぁん♡」」
今日の食後のデザートは最高だぜ〜!
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シンシアさんとキリリルさんに飛び付いた後、二人は一発ずつ俺から精を搾り取ると、急いで着替えてギルドに帰って行った。
あれから俺の精子を子宮内でちゃぷんちゃぷんと揺らしながら二人が仕事をしていたのかと思うとすげえ優越感。
二人が帰った後は、しっかり換気してからお店を再開。
十人ほどのお客様が来てくれて、無事良いアドバイスと良い助けになれた自負がある。
言葉でしか助ける事は出来ないが、力になれたと言う自負が俺の達成感や充実感に繋がっている。
働いていると言う自覚が、生きていると言う感覚に繋がる。
「今日の俺、地に足着いてる〜」
椅子の前足を浮かせて遊んでいると、窓から差し込む光が茜色になっている事に気付く。
もうすっかり良い子はお家に帰る時間だ。
俺もそろそろ店を閉めるかと玄関へ向かうと、ドアを開ける前にドアが開いた。
「すまない、もしかしてもう閉店だろうか」
「そのつもりでしたが……貴方を今日の最後のお客様と致しましょう。どうぞ、入って下さい」
本日最後のお客様は、全身を黒ローブで包み込んだとっても怪しい人でした。