新たにやってきたお客様は、うちの程近くにある教会付属の孤児院のシスターだった。
八百屋の奥様との世間話で凄く綺麗なシスターが居ると言う話は聞いた事があったが、うちの美少女居候面子には敵わんだろうとたかを括っていた。
……間違いだったと認めよう。凄く綺麗な女性だ。
絹糸の様にさらりとした色素が薄めのブラウンの髪。青空の様に澄んだ空色の瞳は、垂れ目気味の瞼によって優しさを醸し出している。
シスター服越しにも分かる肉付きの良い身体と、その身体にすら不釣り合いな大きさをした乳房がシスター服の胸元を押し上げており、嫌でも胸に意識が吸い込まれる。
腰付きは安産型で、見た目は良く言えば母性的。エロく言うならむちむちドスケべと言っても過言では無い。
しかしシスター服と本人が持つ穏やかな空気感がそう言った性的な意識を途端の封じ込めてしまう。
どちらかと言えば、純粋に甘えたくなる様なバブみを感じる。
きっとこの人は多くの相談や懺悔を受け止め、赦してきたに違いない。でもそんな人だからこそ、他人に悩みを打ち明けられ無かったのだと思うと、俺は少し自分が誇らしくなった。
こんな人の助けになれるなら全力を尽くそう。そう思った。
「店主さん……私の悩み、聞いて頂けますでしょうか……?」
「ええ、本日最後のお客様とさせて頂くので、思う存分お話し下さい。お帰りの際は私が孤児院まで付き添いますので、時間も気にされなくて構いませんよ」
俺は意気揚々とそう告げる。
シスターは思い詰めた様子で手をこすり合わせると、たっぷりと悩み、何度も口を開こうとしながらも、やはり閉ざしてしまう。
「大丈夫。私は幾らでも待ちますからね。ごゆっくりお悩み下さい。話すも話さないも自由。また後日でも構いませんからね?」
言い難い事なのだろう。少し世間話を挟もうかと思ったその時、彼女は重い口をようやく開いた。
「……あの。最近……その。私……性欲が……治らなくて……」
…………このシスターの口から出てはいけない類の悩みが出たッ!!
そんなん便器一直線だぞ!? 大丈夫か!? 肉奴隷にされるぞ!? 大丈夫か!? 大丈夫じゃ無いから来たんだよな!? どうしろと!?
思考がぐるぐると回り、一瞬頬が引き攣ったが、立て直す。紳士として……いや、いっそ神父になった気分で悩みを聞こう。
「貴方もまた生きとし生ける人間。食欲も睡眠欲もあれば、性欲だってあるでしょう。それが過剰に高まってしまう時もまたあると言う物。不安がる必要はありませんよ」
「あぁっ……店主さんっ……!」
「シスター、ご自身で慰められていますか?」
「……ここ最近は毎晩です」
エロ。
「では、性欲が昂る頻度などは?」
「昨晩に慰めても翌朝には疼いてしまって……。子ども達の前なら自制出来るのですが、一人になるとどうにも……」
エロ……。
「現在はどうでしょう。私が目の前におりますが、性欲の方は?」
「その……疼きます」
「性交渉の経験は?」
「…………ありません」
「シスター。その、大変不躾な事を聞くのですが、自慰はどう言った風にされていますか?」
シスターは困った様に眉を下げるが、しかし同時に少し熱っぽい息を吐きながらも再度口を開く。
「下着の……上、から……クリトリスを撫でて……です」
「絶頂はされていますか?」
「はい……腰が跳ねて、びくびくって……なるまでは」
ん? それは……どの程度だ? 腰が跳ねるなど絶頂で無くともなる。びくびくもする場合がある。もしやこの人、深い絶頂を経験していないのでは無いか? 慰めるの度合いをそもそも知らず、絶頂を誤認している可能性がある。
「シスター。ここからする話は真面目な話です。おふざけでは無いと心得た上で聞いて頂きたい」
「はっはい……!」
「私に、貴方の自慰を見せて頂くか、お手伝いをさせて頂けませんか?」
性欲を発散したと思い込んでいる場合、正直行き着く果てを想像するだけで恐ろし過ぎる。
この人の未来がドス黒いピンクに塗れる前に、嫌われる覚悟で導かねば!
俺の真剣な表情を見たシスターさんは大きく息を吐くと、顔を真っ赤にしてこくりと頷いて見せた。
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「それではシスター。先ずは見せて頂きたい。いつもの様にやって見せてください」
「ぁ……はぃ……」
俺はシスターの椅子を引いて九十度回し、手が届かない壁際まで下がって見守る。
シスターは恥ずかしそうにしながらも手を股に差し込み、シスター服の上から股間を擦り始める。
「んっ……んあぁっ……あっ、み、見ないでぇ……あぁっ……んっ!」
ある程度弄った所で身体が軽く跳ねると、シスターは太ももを擦り合わせ、身を捩りながら終わったと目を向けてくる。
……生娘にも程があると言ったところか。誰か性教育をしてやらなかったのか? それとも孤児院育ちで偏った教育でも受けたか。なんにせよ正してやらねば今の孤児員の女の子の中に次のシスターが生まれてしまうだけだ。
「シスター。まだです。もっと続けて。それは絶頂ではありませんよ」
「えっ、でも……」
「シスター、続けて」
「ぁ……ふぁぃ……」
重症が過ぎるこの人には、少し強く言ってやらねばならない。子を導く大人ならば、それ相応の知識は必要だ。綺麗事で世界は回らない。
シスターは再度股を擦り始め、腰が跳ねても手を動かすのを俺が厳命した。俺が強く命令する度にシスターは何故か頬を紅潮させて手の動きを早めた。
何度も何度も見上げてきては、「もう良いですか?」「まだですか?」と問うてくるシスターに「まだだ」「もっとだ」と言い放つ。
正直エロいとは思ったが性欲は不思議と湧かなかった。だから勃起もしなかった。ただシスターに絶頂を教えなければならないと言う熱意だけが顔を出していた。
「ぁっ、あぅっ……あぁぁっ! なにかぁっ、なにかくるっ……!」
「そう! それだ! もっと手を動かして、激しく擦って! そのまま快感の波に身を委ねてイけ!」
「あぁっ! ふぁい! ふあぁい! こうっ、こうれふかぁ!? いっぱいこしゅってましゅぅぅ! こうれしゅかぁぁ!?」
シスターが激しく指を動かすと、ぐちゅり、ぬちゅり、と音がし出す。
前傾姿勢になり、綺麗な髪と大きな乳房を激しく揺らしながら、シスターが淫らに快感に身悶えていく。
「そうだ! もっと擦れ! イけ! イけ! 絶頂して見せろ!」
「絶頂っ! ……これいきますっ、絶頂、いきましゅ! いぅっ、いくいくいぐいぐッ……あ゛ッイグッッ!! んんんんんん!?」
思い切り背を仰け反らせ、腰を前に突き出したまま激しく全身を痙攣させたシスター。
初めて、ようやくこの人は深い絶頂に達したのだ。これで性欲の発散も叶うだろう。
俺はシスターの隣へと歩みを進めて、今なおぐったりと絶頂の余韻に浸るシスターの身体を支える。
「良いですか? 今のが絶頂です。これで貴方はきちんと性欲を発散出来る。これからは性欲に振り回されずに済む事でしょう」
「あっ……へあっ……ありっ、がと……ごじゃましゅっ……んっ、んぁ……」
マッサージ用のソファにシスターの身体を寝かせ、彼女が落ち着くまで俺は側に居続けた。
日が落ち切る頃にはシスターも回復し、恥ずかしそうにしながらも何度もお礼を言ってくれた。大銅貨三枚を確かに受け取り、俺は千里眼で周囲を見回して安全確認をしながら彼女を孤児院まで送り届ける。
「シスター、良ければ私からのお布施を貰って頂きたい」
「えっ、きんっ……!?」
金色の硬貨を取り出して彼女の手に乗せれば、驚きからか声をあげそうになる彼女の口を素早く塞ぐ。
その際にシスターの柔らかい唇と、生温かい吐息が手のひらに掛かって少しどきりとした。
「お静かに。これは気持ちです。是非子ども達に健康的な食事と、豊かな生活を」
「店主さん……! 有り難う御座いますっ。あの、良ければお名前を」
「チトセと申します。シスターさんのお名前は?」
「わ、私はメリアと申しますっ!」
「ではメリアさん、おやすみなさい。またお困り事があれば……いえ、無くても暇つぶしにでも店にまた来てくださいね」
俺はそう告げて孤児院を去った。曲がり角で姿を消すまで、彼女は俺の方へと頭を下げ、頭を上げてもなお見つめてくれていた。
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翌日の夕方。黒いローブを着込んだ客が現れた。フードの下にはブラウンの髪と空色の瞳があったのだった。