※この作品はR-18です。

幻想具現の物語。   作:コンせんと

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一人の少女がこの一話にして壊れる。
プロローグのようなものだ。


私は幻想を見た──。

(ここは…夢?)

私は気が付くと、家でも知っている場所でもない"どこか"へ居た。

「…………」

声が…出ない!?枯れていて声が出ないとかじゃなくて…出せない?

体も不自由で…金縛りってこと?

でも直立している…今、動いている。

そして…"喋った"金髪で…紫の服を来た人と。

「あなたは"まだ"ここへ来ては行けない。」

そう言っていたはず…?

(まだ?何のこと?誰なの?)

まるで思考を読むように…その人は言っていた。

「ここは───。あなたが──を──────。」

耳鳴りが酷い…痛い…痛い…

誰かの名前?が聞こえる…

(……ゆか…)

「……ゆかり…」

その瞬間意識が鮮明になった…

今の声…私が発した声は夢の中で発した声なのだろうか。

 

ーAM5:45ー

私の名は光希(ミキ)

光るに希望の希、我ながら良い名前だと思っている。

数年前、父親が離婚して家を出て行った。

理由は知らない…理解したくない。

出て行って母に迷惑を掛ける奴の事なんて。

それに…暴力も当然のように振るっていた…

考えたくもないけど…私すら…襲おうとしてたらしい…

だから私は、母に負担を掛けないためにこうして…毎日朝早くに起きている。

中学生活も悪くない…一年生から不登校だったけど這いつくばって…復帰して、三年生になって社会へ出る準備をしている。

給食は止めているから毎日弁当を持って、ね。

中学とはいえ…まだまだ時間はあるから…朝ごはん作って…勉強しようかな。

ーAM6:00ー

母が起きてきた、朝食は蜂蜜とバター、ベーコンを乗せたトースト、そこに朝のコーヒー、私はお茶。

「毎日ありがとう、今日も美味しいわよ」

母は毎日そう言ってくれる。

だから私はこうして学校も…勉強も…生活も頑張れている。

ーAM7:00ー

母は近場の大型店舗で働いているので普段はこのタイミングに私と家を出る。

今日ばかりはお腹を壊してしまい母が先に出ることになった。

「先に行ってるわよ~」

「はーい」

トイレの中からの返事…なーんでお腹壊しちゃったんだろうなぁ…。

天のイタズラか…はたまた消費期限切れのものでも食べてたのか…。

ーAM7:15ー

「ありゃ?」

母の名札が机に置いてあった。

「行き道にお店あるし…持っていこうかな」

 

鍵閉めてっと。

「行ってきます」

そうして私は家を出た。

 

そうして、悲劇が始まった…。

 

 

道中、横断歩道の先にこちらへ走って来ている母の姿が見えた。

「信号は…青、おーい、おかーさーん、忘れてるよー」

私は横断歩道を渡った。

その頃には母も横断歩道に入りかかっていた頃だ。

キィィィィ!!!

私の視線は母の方を見ていた…

だから気付けなかった!

「光希!」

一瞬横目に見えたのは…トラック。

そして正面には私を…突き飛ばす…母………。

ドンッ

 

「お…母……さん…?」

血が頭から…脚から…腕から…腹から…

「お母さん!!」

「大丈夫か!!」

通行人がこちらへ走って来た。

「お母さんを!トラックが!!」

そう!トラックが!………ぇ?

「居ない…」

轢き逃げだった。

「おい!何か言ってるぞ!」

通行人に声を掛けられた。

母が何か喋ろうとしている。

「光…希……"ありがとう"…………。。。。」

母が静かに…息を引き取る。

脈など測る必要も無いぐらいに。

「お母さん?お母さん!!お母さん!!!!」

 

 

 

周りがザワザワとしている。

警察を呼ぶ通行人に、逃げる人に、トラックの行方を問う人に。

 

 

「おい…誰か!トラックを見てないのか!」

「トラックは!お母さんを轢いて…何の……躊躇もなく……、轢いて…逃げた……

 

 

 

「お嬢さん!どうしましたか!」

後ろから声を掛けられ…私は振り返った。

警官の様だ…。

早い…?いいえ、それは違う。

時を早く感じているだけ。

母が息を引き取り既に十分経過している。

私の体内時計が狂うかのように…時が流れゆく。

セミの脱け殻が時を感じないように。

私も脱け殻となっていた。

思考は永遠と回り続け、母の死を受け入れられない。

視点も、聴覚も、定かではない。

ふと、意識を戻した時には…

 

「ッハ……ハイ…。」

「では…自宅まで送り届けますので、お気をつけて、帰宅しましょう。」

事情聴取を終え、自宅へ帰還する所だった。

 

 

帰宅した。

帰

 

宅

 

 

し

 

 

た。

もうそろそろ……お昼になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

夕飯。

 

 

 

 

眠い。

朝食。

昼御飯。

夕飯。

眠い。

 

 

 

朝食。

昼御飯。

眠

  夜食。

い。

 

 

ただ…体に刻まれた、本能のままに食事し、運動し、寝て…。

 

 

 

ピーンポーン

「はい………。」

目に光を失いかけている私に。

厄災が訪れた。

「光奈が死んだんだってな。」

父親だ…。

「……はい…。」

「おいおいどーした?そんな敷けた顔して。」

「………。」

「入るぞ」

「はい……。」

 

 

 

ー数日後ー

父が来てからの生活は本当に…苦しい。

怖い…。嫌い…。

暴力。

「とっとと!飯を作れ!!」

「……はい。」

「こっちは働いて!金払ってやってんだぞ!」

「……。」

「返事は!」

バシンッ

「は………はい……。」

 

 

夜……の道具。

───────────────

痛い…痛い痛い痛い

ギシッギシッギシッ

───────────────

嫌だ。嫌だ…嫌だ。

───────────────

死に…っっっっ…。

───────────────

「誰にも言うなよ!言ったらお前も生活出来なくて死ぬんだからな!」

「はい………」

私は学校に行けてない…。父は…─────仕事する。

その間……私────────をしたい。

───────────────。

 

ー数??後ー

夜…父と……。

薬……、で。

頭…ふわふわ

する。

 

あ

   あ

    あ

 

 

  頭

私は、別の~世界で~

楽し~い

楽し~~い

た

 

  の

 ッ

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

 

 

その日は久々に夢を見れた。

 

ー翌朝ー

 

 

 

金髪の…あの人の夢。

確か名前は……

「ゆ……ぁ…ぃ?」

横を見れば…父親が寝ている。裸で…。

私も…裸で。

少し…正気に戻れた気がする…。

でも…涙が出てきた。

誰かに…助けて欲しい…。

だけど…誰に助け…を求めれば…。

「ゆぁ………ぃ?」

夢で聞いた名。

「ゆ……かり?」

きっと誰も助けてくれない…。

…今日…死のう。

でも…一つだけ…

「助け…て、ゆかり…」

……。

「は………ふへへ…」

そうよね…誰も来ないよね…

だから…もう…い…い。

自分で首を締めよう…。

締

  め

 よ

    う

決断し、実行へ移す…その時。

その目の先に何か…見えた。

そして端にリボンの付いたアーモンド形のような何かから…誰かの左手が生えた。

「なに…?」

私の朦朧としていた意識はハッキリとなった。

その手は…とても綺麗で、とり憑かれそうな程に…秀麗な…手。

「綺麗…。」

握りたい…そう思い、私は手を伸ばした。

今この一瞬だけ悩みから"解放"された気がした。

すると両辺にリボンが付いたアーモンド形の空間がもう一つ…出現した。

そちらも同様に…秀麗で…綺麗だった。

私は直感的に理解したのか、右手を…握った。

強く握った。

その感触は…ここ"数ヶ月"…

あ…そうだ…私……。

母を失って…三ヵ月も経ってたんだ…。

だから…私は胸も膨らんで…。毛も生えて…剃られてるけど…ね。

成長してたんだ…。

だから…父は…喜んでいたんだ…。

クソのような目をした父親に…。こんな成長を見られて…。

数ヶ月誰からも貰えなかった…温かい心地よさ。

右手が出ている空間が少し大きくなったような気がした。

金色の髪の毛がその隙間から見えた。

「あなたは全てから忘れ去られて、新しい人生を歩みたい?」

これは…決断なのだろうか…。

分からない…。だからこう言う。

「…………手が…美しいです。」

どうしてそう言ったのか…分からない…だけどこの手に私は恋した。

「……結構。」

右手に引っ張られるように…私はその手の元にある、先程より拡張された隙間に。

グチャァ

「……」

何かが潰れた音。

「何の音?」

「厄災を祓う音よ。」

「どうなるの?」

「あなたの元へ、現れなくなるの。」

多分…父が───────。

「……ありがとう。」

「いいえ。さぁ…時間よ、寝むりなさい。」

「寝る…なんで?」

「心配な事、何もかも忘れて良いの。」

「……お母さんが…死んだ…。」

「心で、生きているわ。絶対に。」

「私に心何てあるの…?体は壊れかけで生殖の出来るか…分からないし。毎日…アレ……されるんだし。脳も、一度…あれを使ってしまったから……何かあるかも……知れないし……。」

「人は想いの生物。想いがあれば…心がある」

「私の想いは…?」

「"生きたい"それで良いの。」

「生きたくない。」

「…、生きたいと想えるような、毎日にしてあげる。」

「全て失った…私に…?」

「失ったなら…作れば良い。」

「こんな私に…?」

「意思表示は…まだ早いから、貴方が何者になれるか。それを探しましょう。ゆっくり何年でも休んで。」

「学校は?」

「有るけど。考えなくて良いの。」

「それって…堕ちてるの?」

「助走…よ、必要な事。マイナスから駆け上がってプラスになるにはマイナスを掛ける、逃亡じゃあないの、避難と言うべきかしら?」

さっきから既視感があった。

「貴方の…名前は……ゆかり?」

「そう…八雲紫。漢数字の八に空の雲、そして色の紫。」

「紫…、私は…………私は…」

名前…何だっけ…?

「それもまた今度考えましょう。」

「確か…み………」

私の脳内にフラッシュバックする過去の記憶達、苦しい…あの思い出達が…。

「わた………しの…………名前ェ"は……」

紫が私の口を手で抑える。

「止めなさい、思い出したくない事は思い出さなくて良いの。」

「そう……だね。」

 

 

 

少し…眠い…寝ようかな…。

「寝るのかしら?お休みなさい。」

私は目をそっと閉じた。




荒々しい、と言うのも勿論です。
成長出来るように頑張ります。
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