翌日、いつもの様に幼馴染に叩き起されてバタバタと支度をする。家を出たのもギリギリで走りながら食べかけのトーストを咀嚼する。
「だから昨日も早く寝ろって言ったじゃないバカシンジ」
「ごめん、今日は特にごめん」
「アンタのせいで私まで遅刻するところじゃない」
「だからごめん」
道中、昨日母さんからされた話をしないといけないなぁ、と頭の片隅に置きながら今必要ではないと思いつつ全力疾走を続ける。走ってるせいか或いは今齧っているパンのせいか、口の中がパサパサになりながら息も絶え絶えになりつつ走り続ける。
ギリギリの時間になり校門をくぐることができた頃には既に話さなければいけないと思っていたものも消え去り今日の授業のことを考え、カバンから教科書や筆箱を出し授業に集中する。
なんて事もあり今日1日ももう終わり、来週から本格的に授業が始まるとHRで担任の先生から話がありこの日は解散となる。入学してまだ2日程だと言うのに自分のいる教室に妙に慣れ親しんだような気持ちになりつつあった。
4月も初めだと言うのに変に暖かく、「来月にはもっと熱くなるかもね」とアスカと他愛もない話をしながらいつもどうりの生活を送った。
家の近くまで来ると「明日も遅刻しそうになったらタダじゃ置かないからね」と言うアスカに対して僕は申し訳ない気持ちになりながら短く「分かった」とだけ返す。その返事に対して「本当でしょうねぇ」と呆れた顔をしつつ返答してくる。
これだけのやり取りで僕とアスカは通じ合えた気持ちになった。子供の頃からの付き合いもあるが、それだけじゃないと思う。これが友愛というやつなのだろうかと、センチメンタルな事を考えていると僕の家とアスカの家の分かれ道になった。
「また明日」
「うん、また明日」
「今日も夜更かしなんてしたら承知しないからね」
「分かってるよ」
家に着くといつものいつものようにソファにカバンを置き、エプロンに着替え晩御飯の用意をする。
家族が帰ってくると一緒に食事をし食器をかたずける。
宿題と予習復習を済ませ就寝。
翌日も学校に行き帰ってくると食事の準備をし家族と過ごし就寝
その次の日も学校、食事、就寝
その又次の日も学校、食事、就寝
たまに物置部屋を片ずける
しかし、基本は変わらない
学校、食事、就寝
1週間はあっという間に過ぎ去り母の親戚という女の子が我が家に迎え入れられる日が来た
当初、説明すると言っていた母は仕事が山ずみで2日に1度帰宅する程度であまり説明らしい説明はなかった
あったのは女の子、元の家があまりお金がなかった事、そして病弱だと言うことくらいだろうか
ガチャッ
玄関の開く音が聞こえた僕は特製のローストビーフをテーブルに置き玄関に向かう
「ただいま〜」
母さんの声が聞こえる
いつもと変わらない優しい声色だ
母さんの隣を見るととても綺麗な顔立ちをした子が立っていたが俯いて表情を見ることは出来なかった
「はじめまして碇…シンジで…す」
「…はじめまして」