2006年10月。隼人26歳、綾25歳、愛菜5歳、さくら1歳11か月。この時点での愛菜とさくらの戸籍は、父親の名前が空欄だった。戸籍の筆頭者は綾で、その下に愛菜とさくらが子として記載されていた。
【戸籍謄本】松原綾
【本籍】 東京都八王子市元本郷町〇丁目〇番地の〇
【氏名】 松原 綾
【戸籍に記載されている者】
【名】 綾
【生年月日】 昭和56年7月5日
【配偶者区分】 (記載なし)
【父】 松原 忠晴
【母】 松原 清美
【続柄】 (記載なし)
【身分事項】:出生
【出生日】 昭和56年7月5日
【出生地】 東京都八王子市
【届出日】 昭和56年7月6日
【届出人】 父
従前戸籍
【従前本籍・筆頭者】 東京都八王子市元本郷町〇丁目〇番地の〇 松原 忠晴
【事由】筆頭者死亡及び新戸籍編製のため平成18年11月15日入籍
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【子】
【名】 愛菜
【生年月日】 平成13年9月26日
【父】 (記載なし)
【母】 松原 綾
【続柄】 長女
【身分事項】:出生
【出生日】 平成13年9月26日
【出生地】 東京都小平市
【届出日】 平成13年10月6日
【届出人】 母
【父母との続柄】 長女
従前戸籍
【従前本籍・筆頭者】 東京都八王子市元本郷町〇丁目〇番地の〇 松原 忠晴
【事由】母松原綾の新戸籍編製に伴い平成18年11月15日入籍
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【子】
【名】 さくら
【生年月日】 平成16年11月10日
【父】 (記載なし)
【母】 松原 綾
【続柄】 次女
【身分事項】:出生
【出生日】 平成16年11月10日
【出生地】 東京都小平市
【届出日】 平成16年11月20日
【届出人】 母
【父母との続柄】 次女
従前戸籍
【従前本籍・筆頭者】 東京都八王子市元本郷町〇丁目〇番地の〇 松原 忠晴
【事由】母松原綾の新戸籍編製に伴い平成18年11月15日入籍
【戸籍謄本】松原隼人
【本籍】 東京都八王子市元本郷町〇丁目〇番地の〇
【氏名】 松原 隼人
【戸籍に記載されている者】
【名】 隼人
【生年月日】 昭和55年5月12日
【配偶者区分】 (記載なし)
【父】 松原 忠晴
【母】 松原 清美
【続柄】 (記載なし)
【身分事項】:出生
【出生日】 昭和55年5月12日
【出生地】 東京都八王子市
【届出日】 昭和55年5月13日
【届出人】 父
従前戸籍
【従前本籍・筆頭者】 東京都八王子市元本郷町〇丁目〇番地の〇 松原 忠晴
【事由】筆頭者死亡及び新戸籍編製のため平成18年11月15日入籍
当時、法律上は僕と綾は兄と妹であり、事実婚の関係だった。綾と愛菜、綾とさくらの間は実母と実子。しかし、僕と愛菜、僕とさくらの間は、単なる同居している伯父と姪という関係に過ぎなかった。僕と綾の秘密を絶対に知られないようにするための、苦渋の選択だった。
しかし、これで本当にいいのだろうか?このままでは、綾は婚姻関係のない男性と肉体関係を持ち、誰かわからない男の子供を2人も妊娠し、出産したことになってしまう。そして、愛菜やさくらも、いずれこの事実に気づくだろう。綾が心から愛する男性は僕一人なのに、娘たちに「君たちは僕と綾が愛し合って生まれたんだよ」と、真実を堂々と教えることができない。
では、認知はどうだろうか。認知は、僕が愛菜やさくらの実の父親であると世間に宣言することだ。それはつまり、兄と妹が肉体関係を持ち、君たちが生まれたのだと、公にするに等しい。将来、愛菜とさくらがこの事実をどう受け止めるか、正直底知れない恐怖があった。そして、世間の偏見、好奇の目、誹謗中傷──それらから愛しい娘たちを守れるのか。何日も何日も、何時間も何時間も、僕と綾は話し合った。認知し、僕が愛菜とさくらの本当の父であるという真実を伝えるか、それとも伯父と姪の関係のままとするか。あるいは、愛菜やさくらと僕が養子縁組をするか。だが、養子縁組では、パパだと思っていた僕が実の父ではなく「養父」ということになってしまう。選択肢はどれも、僕の心を深く苛んだ。
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しかし、綾の気持ちはすでに決まっていた。その瞳には、揺るぎない光が宿っていた。「認知して欲しい」。
綾の口から出た言葉は、僕の心を打った。「私と隼人が愛し合って愛菜とさくらが生まれたという事実は、決して隠したくない。これまで築き上げてきたパパと愛菜、さくらとの関係を、壊したくはない。子供たちや隼人に向けられる誹謗中傷、差別、偏見からは、私が命がけで守ってみせる」。
綾は目に涙をためながら、そう叫んだ。僕は綾のこんなにも強い言葉を聞いたことがなかった。幼い頃、泣き虫でいつも僕の後ろをついて回っていた綾は、もういない。中学1年の頃、大人の女性としての成長を始めた、白いビキニ姿のまばゆい笑顔の綾も、もうそこにはいない。僕と愛し合い、2人の子供を妊娠出産し、母となった綾が、今、僕の目の前にいた。綾は、ただ美しいだけでなく、こんなにも強い女性になっていたのだ。
「弱かったな……」と、僕は呟いた。綾の決意に、僕の迷いは打ち砕かれた。
その夜、僕と綾は裸で抱き合って眠った。綾の泣きはらした瞼、紅潮した頬、花びらのような淡いピンクの唇、乱れた長い黒髪。僕はそれらすべてに、優しくキスをした。僕の心も、迷いなく定まった。
松原隼人:1980年5月12日生まれ 1998年7月5日(18歳2か月)初体験
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松原 綾:1981年7月5日生まれ 1998年7月5日(17歳)初体験 桑都八王子東高校新体操部キャプテン
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松原
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松原さくら:2004年11月10日生まれ(次女)
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松原忠晴:1950年8月31日生まれ 2006年7月7日死去(55歳) 隼人と綾の父
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松原清美:1952年3月10日生まれ 2006年6月15日死去(54歳) 隼人と綾の母
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吉田有紗:弁護士
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山田美咲:綾の桑都八王子東高校の同級生 新体操部副キャプテン ケーキ作りが趣味