※この作品はR-18です。

綾~許されぬ愛と家族の形~   作:松原隼人

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第17章 戸籍

吉田先生は、静かに、そして、はっきりと説明してくれた。「現在の日本の法律では、妹である綾さんを配偶者とすることは絶対にできません。直系の傍系血族である妹さんとの婚姻は、民法734条によって明確に禁じられています。それについてはご納得ですか?」

 

僕と綾は、そのことは理解していた。しかし、改めて厳然たる事実として告げられると、やはり胸に重いショックが走った。僕たちは「はい、承知しています」と答え、次の問いを投げかけた。「それでは、綾の子供たちを認知した場合、戸籍の記載はどうなりますか?」。吉田先生は、分かりやすいように図を書いて説明してくれた。

 

【戸籍謄本】松原綾

【本籍】 東京都八王子市元本郷町〇丁目〇番地の〇

【氏名】 松原 綾

【戸籍に記載されている者】

 【名】 綾

 【生年月日】 昭和56年7月5日

 【配偶者区分】 (記載なし)

 【父】 松原 忠晴

 【母】 松原 清美

 【続柄】 (記載なし)

 【身分事項】

 出生

 【出生日】 昭和56年7月5日

 【出生地】 東京都八王子市

 【届出日】 昭和56年7月6日

 【届出人】 父

 従前戸籍 

 【従前本籍・筆頭者】 東京都八王子市元本郷町〇丁目〇番地の〇 松原 忠晴

 【事由】筆頭者死亡及び新戸籍編製のため平成18年11月15日入籍

____________________________________________

【子】

【名】 愛菜

【生年月日】 平成13年9月26日

【父】 松原 隼人

【母】 松原 綾

【続柄】 長女

【身分事項】

出生

【出生日】 平成13年9月26日

【出生地】 東京都小平市

【届出日】 平成13年10月6日

【届出人】 母

【父母との続柄】 長女

認知

【認知日】 平成19年2月16日

【認知者氏名】 松原 隼人

【認知者戸籍】 東京都八王子市元本郷町〇丁目〇番地の〇 松原隼人

【届出日】 平成19年2月16日

【届出人】 父

従前戸籍

【従前本籍・筆頭者】 東京都八王子市元本郷町〇丁目〇番地の〇 松原 忠晴

【事由】母松原綾の新戸籍編製に伴い平成19年2月16日入籍

_____________________________________

【子】

【名】 さくら

【生年月日】 平成16年11月10日

【父】 松原 隼人

【母】 松原 綾

【続柄】 次女

【身分事項】

出生

【出生日】 平成16年11月10日

【出生地】 東京都小平市

【届出日】 平成16年11月20日

【届出人】 母

【父母との続柄】 次女

認知

【認知日】 平成19年2月16日

【認知者氏名】 松原 隼人

【認知者戸籍】 東京都八王子市元本郷町〇丁目〇番地の〇 松原隼人

【届出日】 平成19年2月16日

【届出人】 父

従前戸籍

【従前本籍・筆頭者】 東京都八王子市元本郷町〇丁目〇番地の〇 松原 忠晴

【事由】母松原綾の新戸籍編製に伴い平成19年2月16日入籍

 

【戸籍謄本】松原隼人

【本籍】 東京都八王子市元本郷町〇丁目〇番地の〇

【氏名】 松原 隼人

【戸籍に記載されている者】

 【名】 隼人

 【生年月日】 昭和55年5月12日

 【配偶者区分】 (記載なし)

 【父】 松原 忠晴

 【母】 松原 清美

 【続柄】 (記載なし)

 【身分事項】

 出生

 【出生日】 昭和55年5月12日

 【出生地】 東京都八王子市

 【届出日】 昭和55年5月13日

 【届出人】 父

 認知

 【認知日】 平成19年2月16日

 【認知した子の氏名】 松原 愛菜

 【認知した子の本籍】 東京都八王子市元本郷町〇丁目〇番地の〇

 【認知した子の筆頭者氏名】 松原 綾

 【届出日】 平成19年2月16日

 【届出人】 父

 認知

 【認知日】 平成19年2月16日

 【認知した子の氏名】 松原 さくら

 【認知した子の本籍】 東京都八王子市元本郷町〇丁目〇番地の〇

 【認知した子の筆頭者氏名】 松原 綾

 【届出日】 平成19年2月16日

 【届出人】 父

 従前戸籍

 【従前本籍・筆頭者】 東京都八王子市元本郷町〇丁目〇番地の〇 松原 忠晴

 【事由】筆頭者死亡及び新戸籍編製のため平成19年2月16日入籍

 

「仮に認知日などを平成19年2月16日とします。綾さんの戸籍には、綾さんが筆頭者として、そして娘の愛菜ちゃん(長女)とさくらちゃん(次女)が子として記載されます。愛菜ちゃん、さくらちゃんそれぞれの身分事項に、松原隼人さんによる認知の事実が記載されます。隼人さんの戸籍には、隼人さんが筆頭者として記載されます。隼人さんの身分事項には、愛菜ちゃん及びさくらちゃんをそれぞれ認知した事実が記載されます。このように、お二人のお子様それぞれについて、隼人さんが父親として記載され、続柄も長女、次女と区別されて記載されます。また、綾さんの戸籍にも、お二人のお子様が記載される形となります。これにより、綾さんの戸籍と隼人さんの戸籍は別々ですが、愛菜ちゃんとさくらちゃんの認知を通じて法的な親子関係が両方の戸籍に記録される形となります」。

 

「よくわかりました。しかし、最大の懸念である僕と綾が兄と妹であったという事実は戸籍上からわかりますか?」と僕は尋ねた。

 

「愛菜ちゃんとさくらちゃんの戸籍には、父として松原隼人さん、母として松原綾さんのお名前が記載されます。お子さんの戸籍だけを単独で見た場合、直ちに隼人さんと綾さんが兄妹であると断定できる情報はありません。しかし、隼人さんや綾さんご自身の戸籍、または除籍簿など、出生からの経緯がわかる戸籍を取得すれば、お二人のご両親が同じ松原忠晴さん・清美さんであることが分かり、結果として兄妹であるという事実は判明します」。

 

結論として、戸籍の記載を通じて、僕と綾が兄妹であるという事実は、完全に隠し通すことは法的に不可能だと教えてくれた。戸籍の制度上、親子関係や身分関係の連続性は辿れるようになっているのだ。

 

「いつかお子さんたちに、ご自身の出自や家族の形について説明する場面が訪れるかもしれません。その際に、どのような言葉で、どのような愛情を込めて伝えるかが非常に重要になります」と吉田先生は付け加えた。僕と綾は顔を見合わせ、深く頷いた。

 

これで行こう。僕たちはそう決めた。法律的に、僕と綾は夫婦にはなれない。だが、人間的には、お互いに心から愛し合う夫婦になろうと誓った。しかし、戸籍をたどれば、いずれは僕と綾の関係を知る時が来るかもしれない。いつか、愛菜とさくらに全てを話さなければならない時が来るかもしれない。

 

僕たちは平成19年2月16日、吉田先生に付き添いを頼み、愛菜とさくらの認知届などを提出した。

 




松原隼人:1980年5月12日生まれ 1998年7月5日(18歳2か月)初体験
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松原 綾:1981年7月5日生まれ 1998年7月5日(17歳)初体験 桑都八王子東高校新体操部キャプテン
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松原愛菜(まな):2001年9月26日生まれ(長女)
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松原さくら:2004年11月10日生まれ(次女)
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松原忠晴:1950年8月31日生まれ 2006年7月7日死去(55歳) 隼人と綾の父
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松原清美:1952年3月10日生まれ 2006年6月15日死去(54歳) 隼人と綾の母
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吉田有紗:1964年生まれ 弁護士
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山田美咲:綾の桑都八王子東高校の同級生 新体操部副キャプテン ケーキ作りが趣味
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