2017年11月。父隼人37歳、母綾36歳、長女愛菜16歳高校1年生、次女さくら13歳中学1年生、三女結絆生後9か月。愛菜は中学時代から新体操部に所属し、情熱を注いでいた。携帯に残っていた綾の高校時代のレオタード姿が、愛菜には可愛く見えたらしい。妹のさくらも、中学に入学すると同じく新体操部に入部し、姉妹で切磋琢磨していた。愛菜は、その美貌と抜群のスタイル、そして聡明さから、系列のK男子中学の生徒からよくモテた。年に5〜6人もの男子生徒から告白されていたが、友人以上の関係に進むことはなかったようだった。
しかし、K女子高校に通うようになってから、どうやら彼氏ができたらしいと綾から耳にした。相手はK男子高校の同級生の男の子らしかった。愛菜ももう高校生なので彼氏がいても不思議ではなかった。だが、父親としては、やはり少しばかりの心配が募った。
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12月のある日の木曜日の午後、愛菜から部活で遅くなるとの電話があった。新体操部の練習は毎週月曜日と木曜日の午後5時から午後6時15分まで。すでに午後7時を過ぎ、外は真っ暗だった。僕は車で綾とさくらと結絆を連れて、愛菜を迎えに行った。どうせ遅くなるのなら、そのまま愛菜を車に乗せて外食でもしようと考えていた。
学校へ向かう途中、不意に愛菜の姿を見つけた。男の子と手をつないで公園を歩いていた。制服からすると、K男子高校の生徒のようだった。僕は瞬時に「彼氏だ」と直感した。綾は「もう家に帰ろう」と促したが、僕は気になって車を止め、愛菜たちの後を目で追ってしまった。綾は「パパ、のぞきは趣味悪いよ」と僕をたしなめたが、その声は僕の耳には届かなかった。二人は隣り合ってベンチに座り、何か親密に話しているようだった。
その時、突然、愛菜が男の子にキスをした。まるで吸い寄せられるように、愛菜の方から唇を重ねたように見えた。綾は「さあ、もう帰ろう。今見たことは愛菜には内緒だよ、分かった?」と念を押した。さくらは「分かった」と素直に頷いたが、僕はショックのあまり、声が出なかった。
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愛菜が帰宅する前に、僕たちは慌てて家路についた。そして5分後、「ただいま」と愛菜が帰宅した。まさに危機一髪。僕は、愛菜の顔をまともに見ることができなかった。綾が「おかえり、これから夕飯作るね」と言うと、愛菜は「あ、手伝うよ」と、いつも通りに手伝い始めた。その日の夕食は、どこかぎこちない空気に包まれていた。
食事が進むうち、愛菜は何か感じ取ったらしく、愛菜の方から切り出した。「パパ、ママ。私、彼氏ができたんだ」。愛菜によると、その彼氏はK男子高校の同級生で、名前は小川
綾は「えー、そんなにかっこいいの?今度ウチに連れておいでよ、一緒に夕飯でも食べようよ」と興味津々な様子だった。さくらも「私も会ってみたい、お姉ちゃんのかっこいい彼氏」と無邪気に言った。結翔君は全く非の打ち所がない、本当にいい子だと思った。だが、僕には心配が先立ってしまった。
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2018年1月。父隼人37歳、母綾36歳、長女愛菜16歳高校1年生、次女さくら13歳中学1年生、三女結絆生後11か月。年明けの1月下旬の土曜日、僕たちは結翔君を夕食に招くことにした。その日は朝から綾と愛菜が楽しそうに夕食の食材を買いに行き、さくらはダイニングやリビングの掃除をするなど、家族全員が結翔君を迎えるために大忙しだった。僕はよちよち歩きの結絆をあやしながら、少しばかり暇を持て余していた。
午後5時、結翔君がやって来た。彼は手土産として、近所で有名なケーキ店のホールケーキを携えていた。そして、愛菜には真紅のバラの花束、さくらには可愛らしいテディベアのぬいぐるみ、結絆には動くおもちゃ、僕にはひまわりのリボンアレンジメント花束、綾にはカーネーションの花束を持参していた。愛菜、さくら、綾は、その細やかな心遣いに大喜びだった。特に綾は、一目見ただけで結翔君をすっかり気に入ったようだった。
結翔君は礼儀正しく、確かに高身長のイケメンだった。話も面白く、僕たち家族全員とまんべんなく会話を交わし、その人柄に誰もが好印象を抱いた。愛菜に対する彼の優しい気持ちや思いやる心が、言葉の端々からよく伝わってきた。
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食卓を囲みながら、綾が興味津々に尋ねた。「愛菜とどうやって知り合ったの?」
結翔君は正直に、二人の出会いを語ってくれた。「新体操部の部活が毎週月曜日と木曜日の午後5時から午後6時15分までで、僕たち男子バドミントン部はその後、6時15分からだったんです。その入れ替えの時に、初めてレオタード姿の愛菜さんと体育館ですれ違って、あ、かわいい女の子だなって、思いました。その後に何度か話す機会があって、本当にいい子だなって思いました。それで、7月に入ってすぐに、僕の方から愛菜さんに告白しました」。
綾は「素敵だね、愛菜は告白されたときどう思った?」と、今度は愛菜に問いかけた。愛菜は頬を染めながら、「とっても嬉しかった。私も入れ替えの時にすれ違って、結翔君かっこいいなって思って、新体操部の練習が終わってからも、結翔君の姿をもっと見ていたくて、しばらく体育館に残ってたんだ」と、初々しい恋心を打ち明けた。
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僕たちはすっかり結翔君と打ち解け、「結翔君だったら、愛菜の彼氏にふさわしいかな」と思った。2時間の夕食は、あっという間に過ぎた。食事が終わり、「ごちそうさまでした。とってもおいしかったです」と結翔君が僕たち家族に丁寧にお礼を言い、帰宅しようとした時、綾が言った。「愛菜、玄関の外まで見送ってあげなよ」。愛菜は嬉しそうに「うん、じゃあ、ちょっとそこまで送ってくるね」と言って玄関を出た。
綾が「いい子だね」と言うと、僕も「ちょっと安心したよ」と答えた。カーテンの隙間から外をのぞくと、少し背伸びをした愛菜と結翔君が、互いを抱きしめ、キスを交わしているのが見えた。僕と綾は、そっとカーテンを閉めた。娘の成長が、温かく、そして少しばかり切なく、僕たちの胸に響いた。
松原隼人:1980年5月12日生まれ 1998年7月5日(18歳2か月)初体験 システムエンジニア 月収40-50万円
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松原 綾:1981年7月5日生まれ 1998年7月5日(17歳)初体験 桑都八王子東高校新体操部キャプテン イラストレーター ペンネーム
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松原
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松原さくら:2004年11月10日生まれ(次女)K大学付属K女子中学校1年生 新体操部 産婦人科医志望
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松原忠晴:1950年8月31日生まれ 2006年7月7日死去(55歳) 隼人と綾の父
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松原清美:1952年3月10日生まれ 2006年6月15日死去(54歳) 隼人と綾の母
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小川
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小川真一郎:1961年生まれ 結翔の父 区議会議員
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小川由美子:1964年生まれ 結翔の母 専業主婦
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吉田有紗:1964年生まれ 弁護士 K女子中学校高校出身 K女子高校同窓会長
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高畑みずき:1964年生まれ K女子高校養護教諭
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30年前の妹:1970年生まれ みゆきの母 2014年乳がんで死去(44歳)
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山田美咲:綾の桑都八王子東高校の同級生 新体操部副キャプテン ケーキ作りが趣味