※この作品はR-18です。

綾~許されぬ愛と家族の形~   作:松原隼人

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第31章 さくらの彼氏

2019年4月。父隼人38歳、母綾37歳、長女愛菜17歳高校3年生、次女さくら14歳中学3年生、三女結絆2歳2か月。4月、新しい年度が始まった。さくらは世間的には受験生だが、大学系列校の強みもあり、よほど成績に問題がなければエスカレーター式で進学できた。愛菜も内部進学の準備を進めていた。

 

そんな折、帰宅した愛菜がビッグニュースを持ってきた。「ママ、パパ。さくらに彼氏ができたみたいだよ!結翔情報!」愛菜は興奮してリビングに飛び込んできた。

「さくらが大失恋したでしょ。でね、結翔がさくらのことを可哀想に思って、K男子中学の後輩でサッカー部の男子を紹介したんだって。そしたらその後輩の男の子がさくらに一目惚れして、何回かデートして、告白したんだって。さくらと同級生だよ」

 

「えー、そうなの?全然知らなかった。そういえば最近、なんかニコニコして、浮かれてる感じだったね」と綾は驚きの声を上げた。

「今夜、姉が妹を尋問してみるよ。罪名:彼氏ができたことを家族に言わなかった罪!」と愛菜が笑顔で言った。その表情は、妹に彼氏ができたことを心から喜ぶ、優しい姉の愛に満ちていた。

 

さくらが帰宅し、家族そろっての夕食が終わると、愛菜の尋問が始まった。「ねえ、さくら。最近なんか楽しそうだね。なんかあったの?」と愛菜がとぼけて聞いた。さくらはドキッとした表情を見せ、「うん、彼氏ができた」と正直に白状した。以前から僕と綾は子供たちに折に触れて性教育をしてきた甲斐あって、男女交際についてもオープンな雰囲気だった。

 

「何で言ってくれなかったの?今度会わせてよ」と愛菜が嬉しそうな笑顔で言った。「どんな男の子なの?」愛菜は興味津々で尋ねた。

「K男子中学校の3年生で同級生で、名前は田島蒼(あお)君。サッカー部で、運動神経が良くて、頭が良くて、男の子にも女の子にも人気があって、あと……」とさくら。

「何!完璧じゃん!」と愛菜が大興奮。

「ねえ、写真あるの?見せて!」と愛菜がさらに畳みかけるように言った。さくらがスマホの写真をみせると、綾と愛菜は「えー!!!、可愛いじゃん!!」と大喜び。サッカー部にしては女の子のような透き通る肌で、アイドル歌手のような笑顔が可愛らしい男の子だった。 彼の隣には、少し距離を開けて、恥ずかしそうに立っているさくらがいた。

 

「もう、キスしたの?」と愛菜が直球勝負に出た。

「え?まだだよ、まだ中3だよ」とさくらがしどろもどろに答えた。

「ねえ、今度、連れてきなよ」と綾が勧めた。

「う、うん」とさくらが、なぜか少し浮かない顔をした。

「どうしたの?連れてくるの嫌?」と綾。しばらく沈黙が続いた後、さくらがポツリとつぶやいた。「背が……」。

 

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「背がどうしたの、低いの?」と綾が問いかけた。もう一度写真を見ると、そういえば155cmのさくらとあまり身長が変わらないように見えた。「身長が160cmないの。たぶん158cmくらい」とさくらは続けた。「お姉ちゃんの彼氏の結翔君は180cmもあってかっこいいじゃん。でも蒼(あお)君は、やっぱ小さいかな?って思ってる。だから、連れてくるの少し恥ずかしい……」。さくらは正直な気持ちを僕たちに伝えてきた。綾は「まだ中3だから分からないよ。男の子は高校3年生くらいまで身長が伸びるから」と励ました。しかし、さくらは俯いたまま、それ以上何も話さなかった。

 

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2019年11月。父隼人39歳、母綾38歳、長女愛菜18歳高校3年生、次女さくら15歳中学3年生、三女結絆2歳9か月。さくらが通う中学では、K女子中学校、K男子中学校ともに、3年生の部活動の引退試合が11月に各部で行うのが恒例だった。蒼(あお)君のサッカー部は、11月最終週の日曜日に行われることになっていた。さくらは応援に行く予定らしく、その日の朝から、大好きな彼の喜ぶ顔を想像しながら、お弁当作りに精を出していた。「さくら、応援に行くの?お姉ちゃんもパパとママと結絆と一緒に行ってもいい?」と愛菜が尋ねた。「えー、どうしようかな?」とさくらはちょっと嫌そうだったが、僕たちは結局、無理やりさくらについていった。

 

当日、サッカー部は3年生チームと在校生チームに分かれて試合を行った。午前10時キックオフ。蒼(あお)君は3年生チームの中でも、確かに小柄な方だった。しかし、大きな身長の在校生チームの間をすり抜ける素晴らしいドリブルで、次々とシュートを放つ姿は、本当にかっこよかった。綾も愛菜も大興奮だった。さくらは、蒼(あお)君から11月10日の誕生日にプレゼントされた白いハンカチを大切そうに握りしめ、目に涙をためながら「蒼(あお)君、がんばれー!蒼(あお)君、がんばれー!」と精一杯の気持ちを込めて声援を送っていた。その姿は、いじらしく、そして健気そのものだった。

 

大きな選手たちに囲まれても、くるっと体をひねり、相手を巧みにかわし、そして、一気にシュート。そのたびに僕の胸も高鳴った。蒼(あお)君のほとばしる汗がまぶしかった。自分の中学時代を思い出し、僕は思った。「これは、さくらが彼を好きになっても仕方ないな」。

 

試合は3対1で3年生チームの勝利。蒼(あお)君の2得点が効いた。試合後、各選手はご両親と昼食を取る時間になった。だが、蒼(あお)君のご両親は仕事の都合で来られなかった。さくらがお弁当を作っていたのは、そのためだった。

 

蒼(あお)君は僕たちの元へやって来て、「お弁当ありがとうございます」と丁寧にお礼を言って、芝生に座った。何とも爽やかな男の子だった。さくらの隣に座った蒼(あお)君。そして、彼を囲むように愛菜と綾、さらにちょこんと座った結絆。みんなで円になって、さくら手作りのお弁当を食べた。

 

帰り道、愛菜が「蒼(あお)君、かっこよかったね!」と言うと、綾も「ちょーかっこいいじゃん!」と興奮を抑えられない様子だった。

「背なんて関係ないね」と綾と愛菜が口を揃えた。

「やっぱ、関係ないよね。気にして損しちゃった」とさくらも、吹っ切れたように笑顔になった。

 

さくらと蒼(あお)君、15歳中学3年生。身長150cm台の小さなカップルの、小さな恋の物語は、始まったばかりだった。これからも僕は、二人の心と体の成長を、温かく見守っていこうと心に決めた。




松原隼人:1980年5月12日生まれ 1998年7月5日(18歳2か月)初体験 システムエンジニア 月収40-50万円 身長175cm
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松原 綾:1981年7月5日生まれ 1998年7月5日(17歳)初体験 桑都八王子東高校新体操部キャプテン イラストレーター ペンネーム愛桜(あいさ) 月収50-80万円 身長163cm Fカップ
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松原愛菜(まな):2001年9月26日生まれ(長女)K大学付属K女子高校3年生 新体操部 弁護士志望 身長165cm Eカップ
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松原さくら:2004年11月10日生まれ(次女)K大学付属K女子中学校3年生 新体操部 産婦人科医志望 身長155cm Bカップ
____________________________________________松原結絆(ゆいな):2017年2月6日生まれ(三女)
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松原忠晴:1950年8月31日生まれ 2006年7月7日死去(55歳) 隼人と綾の父
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松原清美:1952年3月10日生まれ 2006年6月15日死去(54歳) 隼人と綾の母
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小川結翔(ゆいと):2001年生まれ K大学付属K男子高校 身長180cm イケメン 成績優秀 バドミントン部 2017年7月(高1)から愛菜と交際 一人っ子 巨根? 
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小川真一郎:1961年生まれ 結翔の父 区議会議員
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小川由美子:1964年生まれ 結翔の母 専業主婦
____________________________________________田島 蒼(あお):2004年生まれ K大学付属K男子中学校 さくらと同級生の彼氏 サッカー部 身長158cm     
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吉田有紗:1964年生まれ 弁護士 K女子中学校高校出身 K女子高校同窓会長
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高畑みずき:1964年生まれ K女子高校養護教諭
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茗ケ原(みょうがはら)みゆき:1986年生まれ 2012年26歳で結婚 2014年28歳で独立しイタリアンレストラン「Mother」
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茗ケ原(みょうがはら)健一:1986年生まれ みゆきの夫 婿養子
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茗ケ原(みょうがはら)裕之:1969年生まれ みゆきの父 
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30年前の妹:1970年生まれ みゆきの母 2014年乳がんで死去(44歳)
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山田美咲:綾の桑都八王子東高校の同級生 新体操部副キャプテン ケーキ作りが趣味

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