2021年5月。父隼人41歳、母綾39歳、長女愛菜19歳大学2年生、次女さくら16歳高校2年生、三女結絆4歳。愛菜の苦悩を目の当たりにし、 僕はみゆきさんに電話をかけた。電話に出たみゆきさんは、「いつか連絡が来ると思っていました。結翔君ご一家との食事会の時、お父様の声が厨房に聞こえてきました。私も主人も黙って聞いていました。すみません」と、すぐに電話の意図を察し、僕たちの苦しみに深く寄り添ってくれた。
「では、再来週の水曜日午後6時に愛菜さんのご自宅に伺います」。みゆきさんはそう言って電話を切った。「Mother」の定休日は毎週水曜日。お休みの日にわざわざ来てくれることに、僕は心の中で深く感謝した。
水曜日午後6時ぴったりに、「ピンポーン」とドアフォンが鳴った。「
愛菜は、これまでの苦悩を吐き出すように、泣き崩れた。「私、結翔と結婚したい。だけど、結翔や結翔のお父さん、お母さんに……どうしたらいいか分からない!!」。そんな愛菜を優しい目で見つめながら、夫の健一さんが静かに話し始めた。
____________________________________________
「私とみゆきは、修行時代に勤めていたイタリアンのお店で、お互い18歳の時に知り合いました。優しく、朗らかで、お客さんに対して真摯に対応するみゆきに、私は惹かれ、恋に落ちました。それから付き合うようになり、25歳の時にプロポーズしました。だけど、最初は断られました。7年も付き合って、どうして?と、理由が分かりませんでした」。
健一さんは、その時の戸惑いを語った。「そこでみゆきは、私にご両親のことを話してくれました。最初は驚きました。ですが、話を聞くうちに、私とみゆきと同じなんじゃないかと思うようになったんです」。 綾が身を乗り出して尋ねた。「同じってどういうことですか? みゆきさんのご両親と、みゆきさんと健一さんが同じってことですか?」。「そうです」。健一さんは頷き、続けた。「その後、みゆきのご両親に会って、二人がどれほどお互いを想い合っていたかを知りました。そして、どれほどみゆきを愛し、慈しんで育ててきたかを、みゆきと付き合う中で実感したんです。それはまさに、当時の私たちと全く同じでした。その時、みゆきは私との子供を妊娠していました。今、9歳になります」。愛菜は、真剣な眼差しで健一さんの言葉に聞き入っていた。
健一さんは話を続けた。「僕の両親にも、そのすべてを話しました。両親はとても驚いていましたが、なぜか反対はしませんでした。両親は当時、お店に時々来ていて、みゆきの仕事ぶりをよく見ていたんです。『こんな素敵な子を育てたご両親なら、間違いはない』と、そう思ったそうです。その後、僕たちは26歳で結婚しました。みゆきは一人っ子で、僕は次男坊でしたので、茗ケ原家に婿に入りました」。
「いずれ自分たちのお店を持とうと夢見ていましたが、当時、僕たちはまだ若く、担保もなかったので、銀行はどこも資金を貸してくれませんでした。けれど、父が連帯保証人になってくれて、銀行から3000万円の融資を受けることができたんです。連帯保証人の印鑑を押す時、父は『これはお前に貸すんじゃない、みゆきさんに貸すんだぞ』と言って笑ってましたね」。 「お義父さん、お義母さんには感謝しても、感謝しきれないです」と、みゆきさんが静かにつぶやいた。
健一さんは最後に、深く、そして力強く言った。「今、結婚して、子供が生まれて思うんですが、みゆきが打ち明けてくれて本当によかったと思っています。もし、秘密を抱えたまま結婚していたら、みゆきの心の中に鋭い棘がずっと刺さったままだっただろうと。みゆきの心は、ずっと傷ついたままだっただろうと、そう思うんです」。
その言葉を聞いた瞬間、僕と綾の心は長年の重荷から解放されたように晴れ渡った。「何も隠すことはない。僕と綾は心から愛し合っている。その愛は、どこに出しても恥ずかしくない。愛菜、さくら、結絆の三人は、僕と綾が、この愛し合った日々の中で授かった、立派な僕たちの娘たちだ」。僕の心の中で、確固たる決意が湧き上がった。
愛菜とさくらは、手を繋ぎながら、じっと健一さんとみゆきさんを見つめていた。その瞳には、未来を見据えるような、揺るぎない決意の光が宿っていた。
綾の膝の上ですやすやと眠っていた結絆が、突然「愛菜ちゃん、お腹すいたー」と言って目を覚ました。
松原隼人:1980年5月12日生まれ 1998年7月5日(18歳2か月)初体験 システムエンジニア 月収40-50万円 身長175cm
____________________________________________
松原 綾:1981年7月5日生まれ 1998年7月5日(17歳)初体験 桑都八王子東高校新体操部キャプテン イラストレーター ペンネーム
____________________________________________
松原
____________________________________________
松原さくら:2004年11月10日生まれ(次女)K大学付属K女子高校2年 新体操部 産婦人科医志望 身長155cm Bカップ 2020年3月(15歳)ファーストキス
____________________________________________松原
____________________________________________
松原忠晴:1950年8月31日生まれ 2006年7月7日死去(55歳) 隼人と綾の父
____________________________________________
松原清美:1952年3月10日生まれ 2006年6月15日死去(54歳) 隼人と綾の母
____________________________________________
小川
____________________________________________
小川真一郎:1961年生まれ 結翔の父 区議会議員 子供の教育問題に取り組む
____________________________________________
小川由美子:1964年生まれ 結翔の母 専業主婦 フラワーアレンジメント教室を開いている
____________________________________________田島
____________________________________________
吉田有紗:1964年生まれ 弁護士 K女子中学校高校出身 K女子高校同窓会長
____________________________________________
高畑みずき:1964年生まれ K女子高校養護教諭
____________________________________________
____________________________________________
____________________________________________
____________________________________________
30年前の妹:1970年生まれ みゆきの母 2014年乳がんで死去(44歳)
____________________________________________鈴木
____________________________________________
山田美咲:綾の桑都八王子東高校の同級生 新体操部副キャプテン ケーキ作りが趣味
____________________________________________水野さん:2020年当時30歳くらい 綾のイラスト担当敏腕編集者