某ミームビンゴの切り抜きを見て、深く傷ついたので書きました。

オタクにやさしいギャルって、現実はあんな感じなんですね……

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 本作は支援サイト作品のサンプルのため、前編までになります。
また、本サンプルはPixivにも投稿しています。

Pixiv版→






krmcmrtにネットミームを教える代わりに、セックスを教わる陰キャオタクのお話

「ねぇねぇ、君! ちょっといいかな?」

 

 

「え、僕……ですか?」

 

 

「うん、そう! 君!! あっ、今って話しかけたらマズかった? もしそうだったら、本当にゴメン!」

 

 

「あぁ、いえ……。別に、大丈夫です」

 

 

「ふぅ、良かった。……って、ヤバッ! 自己紹介してなかった! はじめましてっ! 私は倉持めると。この大学の2回生で、学科は体育学科! よろしくね♪」

 

 

「あっ、どうもはじめまして。僕は――っていいます。文学部の1回生なので、学科はまだ決まってないです」

 

 

「えっ……1回生ってウソ! ガチ!? マジであたしより年下!?? ぜんっぜん、見えな……ハハハッッ!!」

 

 

 いったい、どのあたりがウケたのかは分からないが……倉持さんはいきなり笑い出した。僕は一瞬、これまでの経験からその笑いが、いわゆる“嘲笑”だと思った。けれど不思議なことに、目の前の倉持さんが浮かべている笑顔には、僕を馬鹿にしているような悪意や害意の類は、一切感じられなかった。

 

 

「ハハハッ……いや、急に笑ってゴメ……ンフッ。あたし、昔っからちょっとしたことですぐに笑っちゃ……ぅ、タイプッ……フッ、で。ダッ……から、君は一切悪くな、い。フッ……ヒヒッ! ゴメン……ちょっとツボったから、もうちょっとだけ待って……」

 

 

「は、はぁ……」

 

 

「ヒッ、ヒッ、ヒィ――はぁ……やっと落ち着いた。 それで、えーっと……どこまで話してたっけ?」

 

 

「えっと……。お互いに自己紹介したくらいで、まだ具体的な話は何も……」

 

 

「あっ、そうそう! えっと、それでね? 君、さっき『文学部』って言ってたよね? じゃあやっぱ、本とかいっぱい読んでるんだよね? って事は、もしかして……頭よかったりする??」

 

 

「いや、残念ながら……普通か、それよりちょっと低いくらい……だと思います」

 

 

「あっ、そうなんだぁ。え、じゃあさ? これまで赤点とか、居残り補習とか結構してきた感じ?」

 

 

「いや、そういうのは特に……。まぁ、高校は割と危なかったですけど、運が良かったとか……そんな感じです」

 

 

「アハァ!! それ、あたしも一緒……アッハッハッハッ!! えっ、じゃあさ! じゃあさ! 趣味は?? 趣味教えて!!?」

 

 

「えっと、アニメとかマンガとか……ですね。それくらいしか、触ってこなかったので……」

 

 

「――――ッッ!!」

 

 

 僕の学歴が自分のと共通していたことがウケたのか、倉持さんはまた、甲高い声をあげて笑った。

 しかし、次の質問に対する僕の答えを聞いた瞬間――。さっきはもとに戻るまでしばらくかかった笑い声と笑顔が、今度は一瞬で鎮まり、心なしかとても真剣な表情になった。

 

 

「え、それ……ガチ? マジのガチだよね!?? えっ……じゃあさ、じゃあさ! 『ミーム』とかにも……詳しかったり、する?」

 

 

「み、ミーム……ですか?」

 

 

 倉持さんの口から飛び出てきた、とてもよく聞き慣れたその単語に、僕は耳を疑った。さっきの回答で倉持さんも、僕が根っからの陰キャオタクだって事は、重々理解しただろう。――ということはつまり、彼女の言う『ミーム』とは、僕がよく知るネットミームの事に他ならない。

 

 

 だけど、オタクとしての警戒心故か……。僕は返事をするより先に、倉持さんに確認を取った。

 

 

「えっと、一応聞きますけど……。倉持さんの言う『ミーム』って、“ネットミーム”とか言われてるヤツ……ですよね?」

 

 

「えっ!!? それ以外にも意味あるの、『ミーム』って! 教えて教えて!!」

 

 

「えっ。あぁ、いえ……ごめんなさい。ちょっと、確認したくて聞いただけです。倉持さんの知ってる使われ方以外の意味は、ありません」

 

 

「はぁ~、よかったぁ……。んも~っ、ビックリさせないでよ~~♪ ……それで、どうなの? 詳しい?? いっぱい知ってたりする??」

 

 

「まぁ、ハイ。さすがに海外のものとかまでは無理ですけど……少なくとも、ここ最近の日本のインターネット上でよく見かけるやつは、だいたい分かる……と思います」

 

 

――――パアアァァァッッ!!!

 

 

 その瞬間。元々スゴく明るかった倉持さんの顔が、まるで宝物でも見つけたみたいに……さらに眩い輝きを放ちはじめた。そして倉持さんは、僕の手を両手で握りしめながらこう言ってきた。

 

 

「アッハーーー!!! じゃあさ、じゃあさ! もしよかったら……あたしに、その……『ミーム』ってヤツ、教えてくんない!??」

 

 

「えっ? 教えるって……ミームを、ですか?」

 

 

「うんっ、そう! 実はあたし、ちょっと前までそーいうの全然知らなかったの! でも、最近は配し……じゃなかった。ちょっと、そういうのと触れあう……なんて言えばいいのかな、機会? 場面? ――ともかく、そういうのが増えてきたから、勉強したいの!!」

 

 

「……はぁ。そう、なんですか……」

 

 

 倉持さんは言葉を濁したけれど、ずっとネットに入り浸ってきた僕は大方の状況が把握できた。要するに、倉持さんがしている配信のコメントに、インターネットミームが頻出するが、本人はそれが何なのか判別ができず、結果として対応に困っている……といったところだろう。

 

 

 彼女の配信の平均視聴者数は分からないが、確かに、わざわざ時間を割いて配信を見に来てくれている以上、少しでもそれに応えたいというのは、配信者としては素晴らしい心意気だ。それに、視聴者側としても、こうも真摯に配信者がコチラに向き合おうとしてくれるのは、さぞ嬉しいことだろう。

 だが、しかし……。

 

 

「えっと……すみません、倉持さん。事情は分かりましたけど、ミームなんて、知らない方がいい……ですよ?」

 

 

「えっ、なんでなんで!? だって、みんな使ってるじゃん!! コメントとかでも、ほぼずっと流れてくるんだよ!!?」 

 

 

「あぁ~、まぁ……。倉持さんが“どの媒体を使って”、“どういう配信をしてる”のかは追求しませんけど、そういうのを見に来る人ってのは、だいたいが僕みたいな、ネットに染まりきった人たちでしょうし……それは仕方ないです」

 

 

「えぇ~、なんでぇ~~?? ただの大学生でしかないあたしよりも、コメントのみんなの方が絶対忙しいのに、わざわざ配信に来てくれてるんだよ? だったら、少しでも楽しい思いをさせてあげたいじゃん!!」

 

 

「それはそう、なんですけど……。でも、よく考えてください。コメントで流れてるようなネットミームなんて、現実。――つまり、大学ではまず聞かないですよね?」

 

 

「えっ? …………あっ、確かに!! 聞いたことない――!! なんで??」

 

 

 僕の指摘に、倉持さんは大げさなくらいに目を見開いて反応した。どうやら、彼女の中では、「ネット」と「現実」を境(・)界(・)線(・)で(・)分(・)け(・)る(・)という思考そのものが、ほとんど存在しなかったらしい。まぁ、だからこそ、ネットミームなんてものを知らずに過ごせたのだろうが……。

 

 

「理由については『現実ではまず使わないから』としか……。とにかく、そういう訳なので……せっかく話しかけてもらってすみませんが、僕は……」

 

 

 ネットの悪い部分に染まっていない倉持さんの、無自覚の刃に傷つきながら……僕は逃げるようにその場を後にしようとした。だけど、倉持さんの『ミームを知りたい』という気持ち。ひいては、『自分の配信を見に来てくれる人たちと仲良くしたい』という意志は、想像以上に固いようで……。

 

 

「――あっ、ちょっと待って! じゃあせめて1個っ! 1個だけでも、教えてくれない?!?」

 

 

「……分かりました。では、1個だけ。――ですが、これは使い方を誤ると、トラブルの種になりかねないものです。なので、使う時はタイミングや言い方に十分気をつけて、使ってください。……まぁ、倉持さんの性格なら、そうそう騒ぎになることはないと思いますけど」

 

 

「うんっ、わかった!! じゃあ、早速教えて!!」

 

 

「はい、それは――』」

 

 

 こうして僕は、文(・)字(・)通(・)り(・)僕とは違う世界を生きてきた倉持さんに、ある1つの有名なネットミームとその意味。そして、トラブルにならない使い方の例を教えた。その間、倉持さんはというと……。

 

 

「――え? ナニソレ……ッハハハハハ!! アハハハハ……ッッッ!!!」

 

 

 まるで、お笑い芸人の生ライブを見ているかのような……ものすごい大笑いをしながら、律儀にメモを取っていた。

 この日僕は、家に着いた瞬間――ドッと疲労が押し寄せてきて、そのまま死んだように倒れたのは、言うまでもない。

 

 

 そして僕が倉持さんに再び声をかけられたのは、それから数日後のことだった……。

 

 

「――あっ、いたいた! お~~いっ! 先生~~~!!」

 

 

「――――!!! えっ!? あっ……倉持さん!??」

 

 

 昼食を終えた昼休憩の残り時間――。無数の学生たちが行き交う中庭に、幼い子供のように無邪気で活発な声が響いた。僕を含む、その場にいた人たち全員が声のした方に目をやるとそこには、案の定とでもいうべきか――倉持さんが、大きく手を振りながら、僕の方(こちら)へと走ってきていた。

 

 

「ねぇ、先生! 聞いて聞いて!! 前に教えてくれたミーム!! この前、配信で言ったら、コメント欄がすっごい盛り上がったの!!! ……ウゥ、ハハハハハ!!! ホントありがとう!! 先生のおかげであたし、リスナーのみんなとまた一段階仲良くなれた!!」

 

 

 以前となにも変わらない、太陽のように明るい笑顔を浮かべて、僕に成果を伝えてくれる倉持さん。僕のほうが後輩のはずなのに、どうも……楽しかった思い出を一生懸命に語る幼稚園児を相手にしているような気になってしまう。

 

 

 だけど、今はそれよりも、しなければいけないことがあった。

 

 

「えっ、なに? アイツ……。――ってか、あのめっちゃ可愛い子……誰?」

 

 

「あれ、倉持じゃね? ほら、去年の文化祭で、派手に踊ってた……。まさか、アイツ……彼氏か?」

 

 

「いやいやいやいや……それはナイだろ。倉持に彼氏がいたとしても、あんなヤツじゃないだろ」

 

 

「そりゃそうだw。 んじゃあ、アイツは……倉持のパシリか?」

 

 

 ――それは、360度。全方位から槍のように突き刺さる視線と、どんどん膨れ上がっていく僕への勘違いだ。

 

 

「あっ……その、倉持さん。どうせ話すなら、もっと静かなところでしませんか?」

 

 

「えっ、なんで?? 別にここでよくない? 確かに人は多いけど、別に誰も気にしないでしょ」

 

 

「……僕が、気にするんです。――とにかく、話ならちゃんと聞きますから、ついてきてください。お願いします」

 

 

「そっか! OK、分かった! 早くいこっ!」

 

 

 倉持さんは、僕の考えを理(・)解(・)はしてくれなかったが、 尊(・)重(・)はしてくれるみたいで、僕の誘導に従うことを了承してくれた。

 こういうところや、本来なら、まったくもって知る必要のないネットミームをわざわざ知ろうとしたり……。倉持さんは所謂、オ(・)タ(・)ク(・)に(・)優(・)し(・)い(・)ギ(・)ャ(・)ル(・)なんだけど……多分、本人にはその自覚はまるでないのだろう。

 

 

(そういえば、前にネットで見たなぁ。所謂「オタクに優しいギャル」は、実は誰にでも優しいだけだ……って)

 

 

 僕は、少し前にSNSかなにかで見たある種の真理を思い出しながら……周囲の視線から逃げるように、話の続きをしたくてウズウズしている倉持さんの手を引き、適当な空き教室へと駆け込んだ。

 

 

「――それで、さっきの言葉から察するに、上手くいった……みたいですね」

 

 

「うんっ! そう、そうなの!! 先生が言った通り、倉持が知らないミームがしばらく続いてたから、『ちょっと、みんな~! 倉持の知らないミームばっかり言わないでさぁ! ちゃんと倉持も分かるように、リントの言葉で話してよ~~』って言ったら、みんなすっごい驚いて! 過去イチくらいにコメントが盛り上がったの!! キャハハハハ!!!」

 

 

「そうですか。それは……よかったですね」

 

 

「うんっ! ホント、マジでありがとう先生!! 先生のお陰でコメントでも『使い方完璧だよ、めるち』って言われたし、またみんなと仲良くなれて、超嬉しい!!」

 

 

「それは……何よりです。――ところで倉持さん? 1つ、きいてもいいですか?」

 

 

「ん? なになに?? なんでもきいて!!」

 

 

僕の質問に対し、倉持さんは無邪気な笑顔でキョトンと首を傾げた。

 その仕草があまりにも可愛らしくて……僕は思わず『なんでもありません』と言ってしまいそうになったけれど、なんとか踏みとどまった。そして、少し間を置いてからこう切り出した。

 

 

「さっきから気になってたんですけど……どうして僕のことを『先生』なんて呼ぶんですか?」

 

 

「えっ、なんでって……あたしにネットミームを教えてくれたんだから、先生じゃん! ――というか、それ以外に呼び方なくない? ……あっ、もしかして嫌だった??」

 

 

「あぁ、いえ。別にそういう訳じゃないです。ただ、単に気になっただけなので……」

 

 

「あっ、なるほどね! なんだ、あたしったらまた何かやっちゃったのかなとか思っちゃった。アハハハハ!!」

 

 

 僕は、気まずい空気が流れる予感がして、内心――自罰的な気分になった。けれど、その予感は倉持さんの天真爛漫な笑い声によって、跡形もなくかき消えた。そのせいか、僕も『ハハハ……』と、口から軽い笑いが出てしまった。

 

 

「あっ、先生が笑ってるところ初めてみた!! あたしだけじゃなくて先生も、なにかいい事あったの?? 教えて教えて!」

 

 

(スゴイ――よく見てるなぁ……相手のこと。こういうところが、配信でも活かされてるんだろうなぁ)

 

 

「あぁ、いえ……。倉持さんのお役に立てた事が、嬉しかっただけです」

 

 

「えっ、なにそれ。先生、超いい人じゃん! アッハハハハ……!!」

 

 

 おまけに、倉持さんはあまり人を疑わないらしく、僕が本意を誤魔化すために言った言葉を額面通りに信じ、また大きく、高い声を上げて笑った。 

 

 

「それでね、先生っ!! あたしやっぱり、もっとミームを知りたいの!! もっとたくさん……いろんなミームを知って、これからの配信でも、今回みたいにコメントのみんなと楽しく盛り上がりたいんだっ!! だからね、先生! 先生が暇なときでいいから、あたしにミーム……教えてくれないかな??」

 

 

「スウゥ~~……ッッッ」

 

 

 ――やってしまった。僕は自分の軽率な過去の言動を、心底後悔した。しかし、冷静に考えてみればあたり前のことだ。

 

 

 おそらく倉持さんは、本当に小学生と同じくらい好奇心が強い。そんな彼女に、これまで味わったことのないであろう成功体験を経験させてしまえば、どうなるかなんて……そんなの、答えは決まっている。

 

 

 また同じ成功体験を――。つまり、同じ盛り上がりと快感を得るために、そのきっかけを与えてくれた僕に、また新たなネットミームを教えてもらいにくる。

 わざわざ『僕が暇なときでいいから』と付け加えているのが、何よりの証拠だ。

 

 

(これは……マズい。多分、倉持さんの配信にやってくる視聴者は、彼女がそ(・)う(・)い(・)う(・)の(・)に(・)無(・)知(・)な(・)部(・)分(・)も(・)含(・)め(・)て(・)、彼女のことが好きなはずだ。でも、ここまでして僕に頼んできた倉持さんを無下にもしたくないし……)

 

 

「ねぇ、どうかな……先生? やっぱ……ダメ??」

 

 

「……。――いえ、大丈夫です。僕なんかでよければ、いつでもお力になりますよ」

 

 

「えっ、ホントに!?? ヤッタ~~! ありがとう先生!!」

 

 

 長年、ネットの海に住み続けたが故の二律背反に、僕はとても苦しんだ。けれど、最終的に僕は、彼女の“先生”になることを了承した。

 

 

 ――でも、仕方がない。たしかに僕は自他ともに認めるオタクだけど……同時に、一人の男でもある。多分今後死ぬまで訪れないであろう、同じくらいの年齢の女の子と交流する千載一遇のチャンスを、逃したくは……ない。

 

 

「よっし! それじゃあ早速、ミーム教え――」

 

 

「待ってください、倉持さん。今日は……やめておきましょう。あまり頻繁に、“視聴者さんたちの教えていない”ミームを出しては、逆に疑われてしまいます」

 

 

「えっ、そうなの? なんで?? 倉持が言った時は、みんなすっごい喜んでたよ」

 

 

「コレばっかりは、僕も説明しづらいんですが……。ネットに長年浸かったオタクというのは……得てしてそういう性質(もの)なんです。――ちょっと失礼な例えになりますが、倉持さんに子どもがいたとして、そのお子さんが倉持さんの知らない間に、変な知識をどんどん身につけていたら……イヤじゃないですか?」

 

 

「あぁ~~……うん。たしかに、それはイヤ! すっごくイヤ!! ふざけんなってカンジ!!」

 

 

「それと同じです。改めて言っておきますが、ネットミームというのは、大原則として“知らなくていい知識”――つまりは、無駄なものなんです。だから、覚えるにしても基本は、倉持さんの配信を見てくださる視聴者さんに教えてもらって、僕からのはその方達へのサプライズ……くらいに留めておいた方が無難です」

 

 

「なるほどねぇ~……。わかった!! じゃあ、また今度教えてね、先生!」

 

 

 僕の拙い例え話でも、言いたいことを察してくれた倉持さんは、「ゴメンね」と謝った後、教室から出ていこうとした。

 

 

「あ、それと!! もう1つ!!」

 

 

「えっ、なになに?? まだ何かあるの? 先生」

 

 

「えっと、また今日みたいに探すのは、色々とアレなのでぇ……。よ、よかったらLINE……交換しませんか? その、そっちの方がお互いに楽……だと思うので……」

 

 

「あっ、確かに! そっちの方が手っ取り早いもんね!! アハハハ……ハハハハッッ!!!」

 

 

 倉持さんは、僕の提案に一瞬驚いた後……それまで気づかなかった自分にウケたのか大きな声で笑った。そして、『いいよ』と言って、僕と連絡先を交換してくれた。

 彼女はとても手慣れた様子で交換用のQRコードを表示したけれど、僕はそれを読み取るための画面に移行するのにも、すごくもたつき……それを見た倉持さんは、またまた甲高い声で笑いながら、僕の代わりにスマホを操作してくれた。

 

 

「ハァ~~~、ヤバッ。おっ……もしろ。あたしも今度、先生にスマホの使い方教えてあげようかな? キャハハハハ!!!」

 

 

「……そうですね。よろしくお願いします」

 

 

 ――そういう訳で、僕は無駄に培ってきたネットミームの知識が原因で、倉持さんという……大学内でも間違いなくトップレベルに可愛くて、綺麗な異性(女の子)とちょっとした関係を持つ事になった。

 

 

 ――そして、気づいたときには……。

 

 

「やっほ~、せんせ~。こんめる~~♪ 今日も倉持にいっぱいミーム教えてね~~!!」

 

 

「え、あ……うん。分かった。とりあえず、中……どうぞ。今、お茶とお菓子出すから」

 

 

「は~いっ、お邪魔しまーす♪ ――あっ、そうだ! 実は倉持も、途中でコンビニ寄って適当にお菓子買ってきたから、先生も一緒に食べよう!」

 

 

「え、あ……はい。僕でよければ、ご馳走になります……」

 

 

「ちょっ、なんで急に敬語……ウアハハハハハハ!!!」

 

 

 倉持さんにネットミームを教える時は、僕の家に来るのが通例となっていた……。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「いゃ~、配信に来るみんなもそうだけど、先生ってホントいっぱい知ってるよね~!」

 

 

「そう……ですかね?」

 

 

「うん! だって、倉持。前に企画で凸待ちした時、ライバーの先輩たちに15個くらい新しいミーム教えてもらったけど、先生が教えてくれるやつはその中にもないんだもん!! アハハ!! クククッッ……キュアー!!」

 

 

「まぁ、それは一応気をつけてますので……」

 

 

 倉持さんのミーム教師となってから知ったことだが、実は彼女は大手事務所に所属するVTuberとして、3年も前から活動していた。そしてつい先日、自身の誕生日記念として、これまでの活動の中で習ったミームをビンゴ形式にした凸待ち配信をしたらしい。

 僕もそのアーカイブを見たが、4時間以上の長時間配信だったにも関わらず、同時接続者数は1万人を超えていて、大盛りあがりだった。

 

 

「しっかしさ~……。先生だけじゃなく、先輩たちもそうだけど……ホントすごいよね~、みんな。なんでそんなに覚えてられるの? 今、ちょうどまとめみたいなのが出てきたから見てるんだけど……多すぎて正直混乱してきたもん。アッハハハハ……ハハハッッ!!!」

 

 

 今日は新しくミームを覚えるというよりは、凸待ち配信で倉持さんがメモしたミームの復習がメインだった。そして、それも一通り終わり、彼女は熱が冷めないうちに、スマホでミームまとめを見ているらしい。

 

 

「ハハハ……。まぁ、それが普通ですからね。耳タコかもしれませんが、この手の知識は本当に生きていくうえで、一切必要ないですし……」

 

 

「いやっ、そうは言うけどさ! 配信だと、ほぼ毎回それっぽいのが流れるんだよ!!? それに、先輩たちとコラボした時も、先輩たちとコメントが一体になって盛り上がる~~なんてこともしょっちゅうだし!! そんなの倉持、すっごく悔しいし、寂しいじゃん!!!」

 

 

「気持ちは……分かります。でも、これはもはや、不治の病……みたいなものなんです。配信でも数名のライバーさん達が似たような事を仰っていましたが、分からないなら分からないで、普通に流せばいいんです。わざわざ配信外でも、こうして部外者に習う必要なんて全く無いんですから」

 

 

「ん~~~!!! そうかもだけど、やっぱり倉持は知りたいの~~っ!! だって倉持はVTuberだしさ、そういうのを知っておいた方が得じゃん!! それに、せっかくコメントしてくれたのに倉持が応えてあげないと、コメントしてくれた人が可哀想じゃん!」

 

 

「その通り……ですね。すみません、そこまで頭が回りませんでした」

 

 

 「あ、いやっ……別に先生を責めてる訳じゃないよ? ただ、倉持はそういう風に思う……ってだけの話だし。それに倉持も、なにか先生に教えられる事があったら、いつでも何でも教えるからさ! これからもよろしくね!!」

 

 

「……はい。こちらこそ。よろしくお願いします」

 

 

 そう言って倉持さんは、再度自分のスマホに表示されているネットミームのまとめ記事に視線を落とした。

 

 

 ……しかしまぁ、倉持さんは本当に勉強熱心で、他人を思いやる心もスゴイ。その事務所内では彼女はまだ、新人の部類に入るらしいが、その活動に対する真摯な姿勢は、完全にベテランのそれである。

 件の凸待ち配信でも、社内外含めて、延べ20人以上の同業者が参加していたが、それもまた彼女の人望がなせる業なのだろう。

 

 

「――ん? なにこのミーム……。これだけ解説がないんだけど」

 

 

 適当につけていたテレビをラジオ感覚で聞きながら、そんな事を思っていると……倉持さんが疑問の声を上げた。どうやら、見ていたまとめサイト内で唯一、解説がされていないネットミームを見つけたらしい。

 

 

「ね~、先生。このミームなんだけど、どういう意味?? これだけ解説がついてないし、ミーム自体もよく分かんないんだけど……」

 

 

「え~っと、どれです――――ガッ」

 

 

 倉持さんのスマホに表示されていた、そのミームを見た瞬間、僕は思考と時間が停止してしまった。

 

 

「ん? あれ、先生? どっ、どうしたの? 大丈夫!? なんか、今まで見たことない顔してるけど!!? え、なに……。もしかして倉持、なんかやっちゃったとか?? だったらゴメン!!」

 

 

「え……。あ、いや……。そういう訳じゃ……ないです。はじめに言っておきますが、これに関して倉持さんは、全く悪くありません。――強いていうなら、このミームの存在を失念していた僕が悪いというか……。こんなのをミームにしてしまったオタクたちが悪いというか、なんというか……」

 

 

「え!? なに、どういう事?!? なんか怖いンですけど……エヘヘヘヘハハハハ!!!」

 

 

 倉持さんは、僕の様子が急変したことには衝撃を受けたらしい。だが、ミーム。――もっといえば、ネットのアンダーグランドな部分に対する無知と、生来のゲラ気質が上手く働き、いつもの如く快活に笑った。

 

 

「――倉持さん。すみませんが、ちょっと携帯をお借りしていいですか? このミームについて考えたいことがあるので…………」

 

 

「ハーーッ!!! ん? え……。うん、いいよ。ハイ、先生」

 

 

「ありがとうございます。特に操作はしないので、安心してください」

 

 

 倉持さんからスマホを受け取り、その画面に表示されているネットミーム。数ヶ月前に誕生し、今でも時折見かける……女性が自分の胸を持ち上げている例のミームと睨み合う。

 そのミームの性質上、そのサイト内ではこのミームだけが文字のみの表記で、具体的な画像はおろか、説明の文章もなかった。だが、その“違い”があったがゆえに、今のこの事態は生じたのだ。

 

 

「ッスゥーーー。あ゛ぁ゛~~~っっ…………」

 

 

「えーー!! ちょっと先生、なにその反応!! ――あっ、もしかして! 先生も知らないやつ!!? そんなのもあるんだ! すっご~~い!!」

 

 

「――いや、知っては(・)います。知ってはいるんですけど……これはちょっと、他のミームとは違うというか……」

 

 

「え~~? なにそれ!! 余計気になるンですけどォ……ウゥ~~ハハハハハ!!! アハハハハ!!」

 

 

 個数こそ少ないものの、僕はこれまで倉持さんに、割と素直にネットミームを教えてきた。なので、倉持さんにとって僕は、生きたネットミームの辞典のような存在なのだろう。

 そんな生き字引(僕)が、知(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)の(・)に(・)解(・)説(・)に(・)困(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)という反応は、彼女の興味と知識欲。そして好奇心をこれ以上ないくらいに刺激してしまったらしい。

 

 

 こうなってしまえば、今さら『これは見なかったこと……いや、忘れてください』等と言ったところで、聞く耳はもってくれないだろう。むしろ、凸待ち配信に出演されていたような方達に聞く……なんてことも十分に考えられる。

 ――いや、プライベートでもこうしてミームの講師を作る彼女だ……間違いなく、する。

 

 

(それだけはッ! それだけは、なんとしてでも阻止しないと!!!)

 

 

「――倉持さん」

 

 

「ん? なに、先生? どしたの??」

 

 

「本当に知りたいですか、このミーム」

 

 

「えっ、うん! 知りたい!! だって、そのサイトに乗ってるって事は、今後いつか、倉持の配信で流れるかもしれないって訳でしょ!!? だったら、知りたい!!」

 

 

 どうやら倉持さんの中では、【ミーム=コメントに出てくるもの】という認識らしい。そういえば、凸待ち配信でビンゴシートに書かれていたミームの採用基準も、“これまでコメントに出てきたミーム”だった。

 なので、まさかネットミームの中にも地雷があるなんて……想像すらできないのだろう。

 

 

「――そうですか、分かりました。では、お教えします。ですがその前に、伝えておかなければいけない事があります」

 

 

「え、なに?」

 

 

「今から僕は、倉持さんにセクハラめいた――いえ、セクハラでしかない事を言います。ですが、先程も言いましたが、それは倉持さんのせいではありません。全て僕が悪いんです。なので、意味を知った後、僕をどうするかは倉持さんにお任せします。金輪際会わないのも、事務所を介して法的措置を取るのも……。全ては倉持さんの自由です」

 

 

「え……ちょ、なにそれぇ! ほんとにヤバいやつじゃ…………。――う、うん……分かった」

 

 

 

 倉持さんは最初こそ笑いそうだったが、僕の言っていることが本気だと悟ったのか、少し顔を強張らせた。

 もちろん僕だって、倉持さんとの関係を終わりになんてしたくない。だけど、過程はどうあれ1度、講師を引き受けた以上、ケジメはきちんと取るべきだと思う。でなければ、ただの部外者でしかない僕をこんなにも信頼してくれた彼女に失礼だ。

 

 

「ありがとうございます。では、早速――。このミームはですね……」

 

 

 僕は覚悟を決めて、倉持さんから少しも目をそらさずに、そのミームの概要を説明した。

 

 

「えっ、ウソ! マジィ? アッハハハハ!!! ハハハハハ、ハハハハハ……ッググググ!!」

 

 

 僕の説明が終わりに近づくにつれ、倉持さんの出す笑い声はどんどん大きくなっていった。だけど僕は見逃さなかった。彼女の耳と頬が、笑いとは明らかに違う理由で、真っ赤に染まっていたことを……。

 

 

「……」

 

 

「…………やっぱり、教えない方が良かったですよね。ごめんなさい。僕はもう2度と、倉持さんの前に現れませんの――」

 

 

「ま、待って!! 違う! ちがうの! 先生は悪くない……から。それに、そもそも私が気にしなかったらいいだけの話……だったし」

 

 

「――だとしてもです。教えるにしても、適当に誤魔化したりするとか、取れる手段はいくらでもあったはずです。でも僕はそれを怠り、結果として倉持さんに言い訳のしようがないセクハラをしてしまった……。それは紛れもない事実ですから」

 

 

「そ、それは……そう、かもだけど。……っで、でも! 先生がそうしたのも……倉持のため、でしょ? わかるよ、私。だって先生――メチャクチャ優しいもん」

 

 

 僕は倉持さんのその言葉に、再び言葉と息が詰まった。だけど、こちらを見つめる瞳から、彼女の強い覚悟を感じ、僕は正直に話すことにした。

 

 

「――はい。倉持さんは人一倍、好奇心と知識欲が旺盛な方だと思います。なので、あの場で僕が下手に誤魔化しても、同じ配信者の方々に聞いて回るのではないか……と、愚考しました。なので、僕があそこで泥をかぶれば……」

 

 

「私だけじゃなくて、倉持以外のライバーにも迷惑はかからない……」

 

 

「はい、そういうわけです。倉持さん……本当に申し訳ありませんでした」

 

 

 僕はそこで、改めて倉持さんに向き直り、深々と頭を下げて謝罪した。

 

 

「そんな……堂々と謝らないでよ先生。さっきも言ったけど、本当に謝らなくちゃいけないのは、倉持の方だし……さ。いくら知らなかったからって、なんとな~く危ないとかは分かってもおかしくないし。それなのに、生徒って立場に甘え続けてた私も悪いし……。ごめんね、先生」

 

 

「……ありがとうございます。そう言っていただけると、僕も幾分か気が楽になります」

 

 

 そうして僕らは、お互いに、お互いに向かって頭を下げ合った。

 

 

 ――内心、僕はこんなにも優しい人になんてことをしてしまったのだ……という罪悪感に押しつぶされそうだ。だけど、僕自身への戒めとして僕は生涯、この日のことを忘れないだろう。

 

 

 だがしかし……。そんな生涯の誓いは、このすぐ後に放たれた倉持さんの台詞で、危うく消し飛びそうになった。

 

 

「それで……さ。この流れでする話じゃないってのは、よく分かってるんだけど……。先生は倉持に……そ(・)う(・)い(・)う(・)事(・)さ(・)れ(・)た(・)い(・)とか、思ってる……の?♡」 

 

 

「…………は?」

 

 

 つい、今しがた心に刻んだばかりの、生涯にわたる誓いは、倉持さんが口にしたこの言葉で……早くも消滅の危機を迎えた。

 

 

「いや……。あの、倉持さん? それ……どういう意味か、分かってますか?」

 

 

「……え? いや、だってさ。これの意味も、使い方も知ってたじゃん? って事はやっぱり、先生も倉持とか、ネットの女の子にそういう事考えたことがあるのかなぁ~……とか思っ、てぇ……♡♡ 今さらだけど、先生だってそのぉ……ネ(・)ッ(・)ト(・)の(・)オ(・)タ(・)ク(・)……な訳だし♡」

 

 

「ングッ……!!」

 

 

 僕はいったい、どれだけ倉持さんの前で墓穴を掘れば気が済むのだろうか……。いや、彼女の好奇心と優しさから振るわれる刃の鋭さは身を持って知っていたし、それが全くの素であることも先の配信のアーカイブでよく分かった。

 だがよもや、こういう方向性(ベクトル)で振るわれるなんて……思ってもいなかった。

 

 

「ネェ……どうなの? 先生。倉持にそういうこと……されたい?♡ ――あっ、違う! この場合だと、“して欲しい”……の方がよさそう♡♡ キャハー!」

 

 

 さっきまでの真面目でしおらしい雰囲気はどこへ消えたのか……。倉持さんは、これまでに僕が何十回、何百回と見てきたあの顔。宝石のように瞳をキラキラと輝かせた、好奇心と知識欲が全面に押し出た表情を浮かべていた。

 

 

「い、いや……。それはその……」

 

 

 ――『早く離れろ。このままでは、5分と経たずにさっきの二の舞になってしまうぞ』――

 

 

 そう、僕の理性が痛いくらいに強く叫ぶが……異性と触れ合う経験がまるでない僕にとって、倉持さんのようなあまりにもカワイすぎる女の子にこうも迫られるのは、控えめに言っても「ヤバイ」どころの話じゃない。

 

 

 

「ねぇ、先生。教えてよ……♡♡ 別に倉持のことは気にしなくていいからさ、先生のショージキな気持ちっ……教えてほしいなぁ♡♡」

 

 

スーーーッ……♡♡♡ ススッ、スルスル……♡♡ サッ……サワワッ♡♡

 

 

 倉持さんが、どんな切り抜き動画でも聞いたことのないくらいの猫なで声を出しながら、僕の手の上に、自分の手を重ねてくる。

 

 

「大丈夫……倉持、誰にも言わないから♡ 先生はもう分かってるかもしんないけどぉ……♡ 私、思ったことはすぐ口に出しちゃうけどぉ~、その分――1度した約束はちゃ~~んと守るから♡♡ ほぅら♡ 先生も見てくれた、凸待ち配信でも倉持、先生のことは……一切言ってなかったでしょう??♡」

 

 

「ッッ!!」

 

 

 これも、彼女が持つ天性の才能のひとつなのだろうか……。倉持さんは僕と手を重ねたまま、まるで獲物に狙いを定めた肉食獣のように、ジリジリと詰め寄ってくる。やがて、僕は背後のスペースを使い切り、ベッドに腰掛けることを余儀なくされてしまった。

 

 

「プッ……。フフハハハハハ! アハハハハハ……エッヘヘヘヘヘ!! アハハハ!! キーー!!! ヒーー!! ヒャッハッハッハハ!! 先生ってば、分かりやすすぎ……アハハ!! ヒィ~ッ! エヘハハハ!!」

 

 

「……っ。……ッ!!」

 

 

 倉持さんは、僕のそんな反応がよほどツボに入ったのか、腹を抱えて笑い出した。僕はもう、恥ずかしさやらなんやらで、彼女の顔をまともに見ることができない。

 そんな僕に対して倉持さんは、ひとしきり笑った後、少し呼吸を整えて言った。

 

 

「ンフフッ……アハハ!! はぁ~、お腹痛い……ッ、フフフフ。でもそっかぁ……♡ すぐ顔に出ちゃうくらい、倉持に対してそういう気持ちはもってるのにぃ……♡ ここまで追い詰められても手出さないんだねぇ……先生って♡♡」

 

 

「い、いや……それは」

 

 

「先生ってさ、口癖みたいに『自分はモテたことがない~』とか言ってるけど、多分それって、先生が奥手す(・)ぎ(・)る(・)からなんじゃない? 女の子を大切に思うのは確かに大事だけど、だからってそればっかりじゃ、何も変わんないじゃん」

 

 

「うぐッ! ぐぐぐ……」

 

 

 この時放たれた正論は、これまでにくらってきたどの言葉の刃よりも深く、僕の心に突き刺り……僕はただただ、呻くことしかできなかった。

 

 

「――ま、そういうところも先生っぽくて、あたしは好きだけどね! だって、先生みたいな人ってさ、普通こういう状況になったら、自己中になるんじゃないの? ――あんまりよくわかんないけど。 でも先生はさ、その気持ちをグッと堪えてたじゃん? 倉持だけじゃなく……会ったこともない事務所の先輩たちのことまで考えて……♡ そんなのはもうヘ(・)タ(・)レ(・)とか、そういうのとはヒャク違うし♡♡ だからね? 倉持……先生はもうちょっと自信持っていいと思うよ♡」

 

 

「倉持、さん……」

 

 

 それは、僕がこれまで生きてきた中で、最も優しい言葉だった。

 

 

 もっとも、僕はこれまで、こうして親族以外の異性と2人っきりで話したことなど、片手の指くらいの数しかないので、印象に残るのは当たり前なのだが……。それを差し引いても、この時の倉持さんからの言葉は、特別だった。

 

 

「だからね? 先生――♡ 事務所の先輩たちに変わって、倉持がお礼……してあげるっ♪♡」

 

 

「……へっ?」

 

 

 そう言うや否や、倉持さんはベッドに腰掛けている僕の両脚を力ずくで割り開くと、その間にすっぽりと自分の体を入れた。

 

 

「ちょ!? ちょっと待ってください、倉持さん!! と、とにかくまずは、落ち着いて!!!」

 

 

「落ち着くのはあたしじゃなくて、先生の方だし……アッハハハハハハ!!!」

 

 

「いや、それはそうなんですが……。と、とにかく一旦! 離れてください!!」

 

 

「え~っ? なんで~~?? いくら先生のお願いでも、それはきけませ~~ん♪ キャハハハ!!!」

 

 

 矛盾した事を叫ぶ僕をケラケラと笑う倉持さんを、なんとか引き剥がそうと力を込める。だけど、一介の陰キャオタクでは、現役の超有名VTuberの力に敵うわけもなく……僕がどれだけ力を込めても、彼女の腕すら動かすことができない。

 

 

「んも~! 暴れないでよ、先生!! それになんだかんだ言って……本当は先生も、倉持にこういう事サれるの嬉しいんでしょう?♡♡ 他の女の子(ひと)ならともかく、倉持にはもう隠す必要ないよ♡」

 

 

スゥーーーッッッ……♡♡♡

 

 

 その台詞とともに、倉持さんの冗談みたいにスベスベな手指が、僕の膝から内股を優しく、なぞるように滑った。

 

 

「――ッ!!??」

 

 

「アハッ♪ 隙ありぃ~~っ♡♡」

 

 

 その瞬間――僕の全身は固まってしまった。当然、倉持さんはその隙を見逃さず……スマホを操作しているようなとても慣れた手つきで、ズボンのファスナーを全開にし、その中身を引っこ抜いた。

 

 

「アハー!! 出てきた、出できた~~っ♪ 先生のチンポ出ちゃった~~♪♪♡ うわ~、ホントに皮被ってるんだ~~っ♡♡ アッハハハハ!!!」

 

 

「ちょっ、ちょっと……! 倉持さ……ッ!!」

 

 

「ニャハハハ~~!! 先生、顔真っ赤~~っ♡♡ 普段から今くらい正直になった方が楽しいよ~~?」

 

 

「む、無茶言わないでください……」

 

 

「え~、なんで~~?? 今は倉持しかいないんだから、恥ずかしがる必要なくない? キャッハハハハ!!! アハーーッ!!」

 

 

 何がどうウケたのかはわからないけれど、倉持さんはまたケラケラと、心底楽しそうに笑った。――だけど今回は、その甲高い笑い声も、あまり長くは続かなかった。見れば、彼女は大袈裟なくらいに目を見開いていた。

 

 

「ど、どうしたんで――」

 

 

「ハッ!! さっき先生が教えてくれた意味だとさ! まさに、今みたいな時に使えるよね!!?」

 

 

「……なにが、ですか?」

 

 

「えっと、だから『次に倉持の前でそんな態度したらこ(・)れ(・)だからね!』で……あってるのかな? フフフフフハハーーッッ!!!」

 

 

「…………」

 

 

 僕は、返す言葉が見つからなかった。

 

 

 奇しくも、今のこの状況は問題のネットミームを使うのに、これ以上ないくらいにピッタリで、倉持さんの使い方は、そのまま教材にしたいくらい完璧だった。

 

 

「ねぇ、ちょっとぉ!! 黙ってないでなんとか言ってよ先生!! 使い方……今のであってるの!??」

 

 

「……さぁ? どう……でしょうね。分かりません」

 

 

「えぇ~~っ!! ここまできたのにはぐらかすのはナシでしょ~~!! ――フンだ! いいもん!! 先生がそのつもりなら、倉持もこうするだけだし!」

 

 僕は、返す言葉が見つからなかった。

 

 

 奇しくも、今のこの状況は問題のネットミームを使うのに、これ以上ないくらいにピッタリだった。ついでに言えば、今の倉持さんの使い方は、そのまま教材にしたいくらい完璧だ。

 

 

「ねぇ、ちょっとぉ!! 黙ってないでなんとか言ってよ先生!! 使い方……今のであってるの!??」

 

 

「……さぁ? どう……でしょうね。分かりません」

 

 

「えぇ~~っ!! ここまできて、はぐらかすのはナシでしょ~~!! ――フンッ、いいもん!! 先生がそのつもりなら、倉持もこうするだけだし!」

 

 

「えっ」

 

 

――――プチッ♡ プチッ、パチッ……♡♡

 

 

 そう言うと倉持さんは、着ていた自分の服のボタンを数個外しはじめた。その瞬間――僕は彼女が何をしようとしているのかを悟り、声を荒げた。

 

 

「ちょっ、倉持さん!? や……やめてくださ!!」

 

 

「イヤだもん! それに倉持はちゃんと言ったはずだよ! 『また倉持の前で同じことしたら、こうする』って」

 

 

 だけど、倉持さんは聞く耳を持ってはくれず、あのミームのさらに先(パイズリ)へと、本格的に取り組みはじめた。

 

 

「うんっ! とりあえず、穴の大きさはこれくらいでいいかな? あっ――でもこのままだと流石に痛いよね、どうしよう……」

 

 

 そうと決まると、倉持さんは一直線だった。

 

 

 彼女は着ていたYシャツのボタン――。間違いなく巨(・)乳(・)に分類されるであろう確かな膨らみの下部に通気(ズリ)孔(あな)を拵えると、その中を濡らす潤滑液……。あるいは、その代用となるものを探し出した。

 

 

「んん~~……。やっぱ、そう都合よくはいかないよねぇ~。じゃあまぁ、あたしのでいっか」

 

 

んれぇ~~~……っっ♡♡ ――とろっ……♡ トッ、ロロオォ~~~~リッ♡♡♡

 

 倉持さんは先程露出させた僕の陰茎に、特製の潤滑剤。――即ち、自分の唾液をたっぷりと垂らした。やがてそれは柱を伝う雨粒のように、亀頭や竿の輪郭を伝い、肉棒全体へと広がっていった。

 僕はその事に、また驚いた。けれど、正しく夢にまで見たその淫蕩な光景に、情欲が沸き立つの抑えきれず、ろくに反抗の言葉も挙げられなかった。

 

「んねえ~~ぇぇっ♡♡ ――アハーッ!! や~っと静かになったねぇ、先生♡♡ そんなに興奮したんだぁ……自分のチンポにあたしの唾液がかけられると~こっ……♡」

 

 

「うっ……ぐ、ぅ……♡♡」

 

 

「アハーーッッ!! ホントに否定しな……クッ、クククククッッ……!! よ~っし♪ じゃあ、次からは毎回こうしようかなぁ~♡ 倉持、先生にウソつかれたくないしっ♪♡」

 

 

 その言葉を最後に倉持さんは事前に用意した、豊満なのにキツキツな乳窟へと続く唯一の入口……その直ぐ前に、自分の唾液でテカテカと輝く僕の陰茎を近づけた。そしてそのまま、僕の顔と目をじっと見つめたまま胸を降ろし、ゆっくりと僕のモノを喰んでいった。

 

 

ずっ……♡♡♡ ――くちゅっ、ぐちゅうぅ♡ にゅる……♡

 

 

「……っ♡ ぐっ……♡」

 

 

「キャハー!! 先生ってば、顔ヤバッ! 男の人って初めてパイズリされたら、そんな風に泣きそうな子どもみたいな顔するんだぁ~~っ♡ ……クッ、フフフフフハハハハァーー!!♡♡」

 

 

「ちっ♡ ちがっ、い……まッ!! うぉっ、くっ……♡♡」

 

 

 僕――というよりは、男(・)性(・)としての大切なな(・)に(・)か(・)が著しく毀損されている気がして、僕は必死に歯を食いしばりながら倉持さんの言葉を否定する。

 だけど、それはただのやせ我慢でしかないことは、火を見るよりも明らかだった。

 

 

――に゛いぃ……ゅるっ♡♡ ぬ゛~~~ぅ、るっ……ぐゅるッ♡ ぎゅるッッ♡♡

 

 

 多少のアレンジは加えられているものの、倉持さんが着ている服は、どこにでも売っている普通のワイシャツだ。……が、その拘束具合(締めつけ)は僕の予想を軽々と凌駕していて、ただ包まれているだけでも、電流のような快楽刺激が絶え間なく流れ込んでくる。

 

 

 その上、倉持さんのおっぱいは、具体的なカップ数こそ不明だけど、明らかに同年代女性……。いや、日本人女性の平均を超えている――と、断言できるほどに大きく、それでいて冗談みたいに柔らかい。

 

 

「キャッハハハハハ!! そ~やって、必死に否定するところとか……よけ~に子どもっぽいんだってばぁ、先生♡♡ 別に倉持はバカにしないのになぁ……♡♡ それに忘れちゃった? 確かに、素直じゃない先生へのオシオキ的な意味もあるけどぉ……。『先生にお礼がしたい』ってのも、倉持のショージキな気持ちなんだよぉ??♡」

 

 

 『僕へのお礼がしたい』――。その言葉を証明するかのように、挿乳が完了してもまだ一切胸を動さず、僕との会話を優先している倉持さん。

 

 

 『僕へのお礼がしたい』――。その言葉を証明するかのように倉持さんは、挿乳が完了してもなお、胸を動かそうとはせずに、僕との会話を優先してくれている。

 世のネットオタクたちが、呼吸するように使っているネットミームを覚えて、一緒に盛り上がりたい……。そんな無自覚で凶悪すぎる優しさが、この状況でも発揮されている。

 

 

 まだ、知り合って2ヶ月にも満たない僕ですらこうなのだ。それ以前から彼女を知る者――特に、3年前の配信者デビュー時から、ずっと彼女を応援している男性オタク視聴者などは、既に何百……何千回とこの優しさに触れ「ガチ恋」なんて言葉では到底物足りない特別な感情を抱いているに違いない。

 

 

「先生にはイマサラかも知んないけど、倉持ね? 本当にこれまで、ほとんど先生が知ってるようなオタク文化には触れてこなかったの。だから多分、倉持が気づいていないだけで、もう何万回も先生を傷つけてきたと思う」

 

 

「だけど……さ。そんな倉持でも、今やってるこ(・)れ(・)はそうじゃないってのは……よく分かるよ♡ だって先生のおちんちん、あたしのおっぱいの中で、ビクビクゥ~~ッッ♡ って震えて……すっごい喜んでるもん♪♡」

 

 

「っ!!♡ そ、それは……ッ!!」

 

 

 ネット上では時たま、『男は下半身で物事を考えている』といった文言を目にするが……僕は今日ほど、それを実感した日はなかった。――というのも、倉持さんのその一言を聞いた後の陰茎の様子は、僕でもハッキリと認識できるほどに大きかったからだ。

 

 

ビクッ――――!! ビクビクビグウゥゥッ♡♡♡

 

 

 僕の握りこぶしよりも、数倍は巨大な倉持さんの乳鞠と、それに備わっている極厚な柔乳肉。プラス潤滑液(ローション)……。文字通りの100%倉持さんで包まれた僕の勃起チンポは、超狭な乳肉淫窟からのVIP待遇さながらな歓迎を受け、歓喜に打ち震え……先端からは嬉し涙(カウパー)を滂沱のごとく漏れ出していた。

 

 

「ん? んん?? ……なぁ~んかさっきから、あたしのおっぱいが、すっごいヌルついてる気がするんだけど……。これってもしかしなくても、先生のおちんちんのせいだよね!!? なんだっけ、コレ…………そう! ガマン汁!!♡♡ って事は先生……♡ なんだかんだ言って、今……すっごくイキそうなんだぁ♡♡ キャハハハハッッ!!」

 

 

「ッ! そ、そん――ン゛ン゛ッッ!!♡」

 

 

 すぐに否定しようとした……が、このまま口を開いていては、絶頂を我慢できない――。そんな、もはや確信に近い予感が脳を過ぎり、僕はとっさに閉口した。

 ほんの一瞬だけ緩み、すぐさま力み直したその影響で、尿道に溜まっていた結構な量の先走り汁が、ぴゅるっ♡♡ っと鈴口から飛び出てしまったが……なんとか、精液本体だけは排出を防ぐことができた。

 

 

 だが当然――その一部始終は、倉持さんにもバッチリ見られていた。彼女は声にこそ出さなかったけれど、やはりとても嬉しそうにニンマリと笑みを浮かべ、新たに言葉を紡いだ。

 

 

「あっ♪♪ 先生ってば今、ガチでイキそうになったでしょ~~♡♡」

 

 

「……グッ!」

 

 

「ほぅら、やっぱりぃ~~っ♡ んも~、この状況で隠し事なんて無理に決まってるでしょ~?? ほ~んっと、先生は素直じゃないなぁ~♡♡」

 

 

「う、ゔゔぅ……っっ♡♡」

 

 

 気のせいか、倉持さんの言葉にだんだんと、余裕と母性が感じられるようになってきた。それは一種の場酔いによる、勘違いなのかもしれない。……だけど僕は、今の倉持さんの言動に付随している「子どもをあやす母親」のような雰囲気は嫌いじゃない。

 

 

「ま、そういう所が可愛いし、倉持は好きなんだけどねっ♡♡」

 

 

――ドキッ!!

 

 

「くっ、倉持……さっ……♡♡」

 

 

 その証拠に、どう考えてもライク的意味合いでしかない『好き』という言葉も真に受け、即座に心臓とチンポ……そのどちらもで過剰に反応してしまう。

 どうやら僕も、この数分の間に、彼女のガ(・)チ(・)恋(・)勢(・)の一人として、無事覚醒してしまったらしい。

 

 

 一方、僕のチンコを包む倉持さんの乳肉は、そんな新参者の生誕を祝福するように、その甘酒のような甘く、優しく……そして、意地悪なまでの柔らかさで、自分から絡みついてくる。

 

 

む……にゅう~~ぅぅっ♡♡ ん、にい゛い゛ぃ~~~……♡♡♡ ……ゅる♡ ぐっ、ぢ……ゆっ♡ ずっ、ちゅ……♡♡

 

 

「はあ゛っッ!! っぐ、う゛ぅぅ……ッッ!!♡♡」

 

 

「アハ~!!! 先生ってば、マジで限界ギリギリって感じだねぇ~♡♡ うん、よしっ! じゃあ、オシオキ的意味合いはここまでにしといてあげる!! こっからはさっき言った通り、倉持の個人的な先生に対する恩返しのターン♪ だからね? 先生。先生はそのまま、好きな時にイッていいからねっ♡♡」

 

 

 その言葉は一見、天使の囁きのように優しさに満ち溢れていた。――しかし、実際には単なる処刑宣告でしかなかった。

 

 

──に゛……っっ♡♡

 

 

 僕のイチモツを左右から完全に挟み込んでいる倉持さんの乳肉は、彼女の手という新たな拘束が加わったことで、歯車のようにガッチリと噛み合い、淫棒を含む僕の腰から下を完全にロックした。

 

 

「あっ♡ おっ、おっぱい……♡♡ ♡」

 

 

にゅるう~~……っっ♡ ずっ……ろろろろおおぉ~~~♡♡♡ 

 

 

「おっ、ぱ……い、が……♡ 持っ……ちぃ、あがっ♡♡ あ……あぁ…………あ゛っ♡♡」

 

 

 そして、そのまま……ゆっくりと自身の位置を浮上させていく。――となればもちろん、僕の下半身は後を追うように浮上を余儀なくされ……僕は最大の急所を自ら差し出すような、なんとも無様な姿を晒してしまう。

 

 

 倉持さんがおっぱいをズリ上げると、僕の股関節も倣って浮上する……。この、パブロフの犬めいた図式は、単に僕が人生初パイズリの快感に蕩けているからだけではない。一番の理由は、彼女の乳圧が凄まじいからこそ生じている現象だ。

 

 

「ヌゥ……ハッハッハァ!! 先生の声……ッッッ!!! しかも、腰まで一緒に浮いて……ヒーー!!! ヒーー、アッハッハッハッハ!!!」

 

 

 なのだが……肝心の倉持さん本人は、その事に全く気づいている様子がない。

 

 

 彼女はただ、目の前で繰り広げられている僕の不格好極まる姿。芋づる式に腰を浮かせては、自らおっぱいピストンのサポートをしている僕の格好を見て、大爆笑している。

 

 

 だがしかし、己の乳を側面から軽く圧迫している両手だけは、少しも離そうとはしない。

 そのため、自分の両肩にぶら下がっている平均よりも2つか、3つ分はカップサイズが大きいであろうその美巨乳と、その下にある僕の下半身は依然として密接に繋がったままだ。

 

 

「ヒイ~~ッッ! ヒィ~~ッ! あ~、お腹イタイ……。 んも~っ、先生ってば、こんな時に笑わさないでよぉ~~♡♡ あたしは本気で気持ちよくしたげたいのに、集中できないじゃ~ん!!」

 

 

「すっ……ッッ!! すいまッ――!! ――ンッ、♡ ぐぐぅ……♡♡!」

 

 

「って、ホラ! 言った側から腰上がってるよ!! ハァ……しょうがないなぁ、もぅ♡ じゃあ動かすからね? いつイッてもいいけど、なるべく腰は浮かさないでよ? 倉持も抑えるの協力したげるからっ!♡♡」

 

 

にゅぷぷ……ぷぶっちゅん♡♡ にち、ゅるうぅ……っっ♡ ずりっ……♡ だぽっ♡♡

 

 

「はうぅぅ……っっ♡♡ はっ、ひぐっ、ふぉぐ……っ♡♡ く、倉持さんのおっぱいが、ぼぐ♡ 僕の、チンコに……あ、あああぁ……っ♡」

 

 

「当たり前じゃん! こうしないと、先生……またすぐ腰浮かせちゃうんだもん♡ だからっ、こう、やって……えいっ! えいっ!!♡ おっぱいを下ろした勢いのまま、先生のおちんちんの根本に……倉持の体重をかけないと……んっ! よい……しょっ!!♡♡ ほらっ! どう、先生? これなら、さっきよりは腰、動かせないでしょ?♡♡」

 

 

──ずちゅっ!♡ にゅるううう~~っっ♡♡ ……ぱちゅっ!! ぬろろろろ~~~……♡♡ むちゅっ、どっちゅっ……♡♡!

 

 

 倉持さんのおっぱいは、少なくとも僕のような陰キャオタクの手のひらでは掴みきれないほどに大きい。そんな、僕にとっては高嶺の花でしかない逸品は今――小虫程度なら軽く圧殺してしまえそうなほどギチギチに詰まっている。

 

 

 そのせいか、おっぱいが僕の男根を中心とした鼠径部に打ち付けられる度……体内の骨肉に響く衝撃は、ちょっとした金属製のボールを落とされているかのよう。

 

 

 僕なんかでは、想像もつかないほどの手間暇とお金をかけて、磨かれてきたであろう倉持さんの巨乳。彼女本人の美貌と人当たりの良い性格も相まって、今日までに、少なくとも数億回はオナネタにされたこと必至なその乳房は今……彼氏でも何でもない、僕の童貞チンポを絶頂(イか)せるためだけに使われている。

 

 

 彼女の配信者仲間や所属事務所のスタッフ。僕よりもずっと前から彼女を見てきた視聴者に、これまで彼女の周りにいたであろう無数の陽キャ男性……。その他、ありとあらゆる関係者がこれを目にすれば、忘我のごとく憤慨するだろうし、最悪の場合は命だって危ないかもしれない。

 

 

 でも、それは――それだ(・)け(・)は断じて起こり得ない。なぜなら、倉持さんと僕の関係は、当事者である僕と彼女の2人以外は誰も知らないからだ。彼女と知り合ってからしばらく経つが、噂はおろか……彼女の所属する事務所からも連絡が来たことはない。

 無論、これが実は一夜の夢。彼女の気まぐれと幸運が招いた、単なる偶然だったとしても……その事実だけは変わらない。

 

 

 ――だから、僕は…………。

 

 

「あ、あっ……♡♡ 倉持さっ♡ ぼ、っ……僕♡ ぼっ、くぅ……ッ♡♡」

 

 

「ん? なぁに、先生……。あ~……まさか、もう限界(ギブ)? まだ動かしてから3分も経ってないのに、限界……キちゃったんだぁ♡ アハー!!」

 

 

「う、うぅ……っ」

 

 

 この時初めて、倉持さんがほんの少し僕を小馬鹿にしたような笑い声をあげた。でも、今の僕にはそれを追求している余裕なんてあるわけがない。それどころか、あんな単語以下の訴えで、僕の意志を見事に理解してくれたことが嬉しくて、嬉しくてたまらない。

 

 

「う~~ん……。ぶっちゃけ、あたし的にはちょい物足りないけどぉ~……。先生はこれが初めてなんだから、挟んでから5分もせずにイッちゃうのは仕方ないか。それにあたしも、『いつイッてもいい』って言っちゃってるしね♪」

 

 

「――うん、イッていいよ先生♡ こんな時まで申し訳無さそうな顔しなくていいからさっ、このまま倉持のおっぱいにいっぱい射しちゃって♡ メッチャ一瞬だったけど、これまで我慢してきた腰も、思いっきり上げていいからさ……♡ メチャメチャ気持ちいいパイズリ童貞卒業記念の乳内射精(なかだし)♡♡ びゅるびゅる~~っっ♡♡ って、倉持のおっぱいにやっちゃおっ♡♡♪」

 

 

「は、はいぃ……っ!! イ、イキ……ます♡♡ イクッ♡ イク……♡♡ でっ……あ゛っ♡ あ゛あぁ゛……っっ♡♡」

 

 

 『講義サボって遊びに行こっ♪』――。まるで、友達を誘うような軽さでアッサリと乳内射精の許可をくれた倉持さん。そんな、事の深刻さとは真っ向から相反する言葉の軽さ。……そして、彼女らしさとのギャップに僕は完膚なきまでに敗北し、ほんの数分とは思えないほどに溜まった欲望の全てを開放した。

 

 

どびゅっ!♡♡ ぶぴゅっっ♡♡♡ びゅるるううぅ~~っ! どぷっ♡ どぷぴゅっ♡♡♡ ぶぴ、どぷどぷっ♡♡ ……ぶびぃりゅるるっ!!!

 

 

 過去、現在、そして未来――。時系列に関係なく、彼女と出会った総ての男が1度は願うであろう、現役JDの超有名インフルエンサーへの乳内暴発射精。そんな、どんな大金(5000兆円)を払ってもまだ足りないほどの幸福を、僕は全身で享受する。

 

 

「あ、ああぁ……はぁぁっ♡ …………♡♡♡♡♡」

 

 

 倉持さんから直々に射精の許しを得た僕の体は、弓なりに反るように浮き上がっていた。まるで、本当に種付けをしているかのように、必死に砲塔を乳奥へと食い込ませているその様は……僕にパイズリの経験がないことを何よりも雄弁に語っていた。

 

 

「ナハー!!! 腰の跳ねヤバすぎ……クッ、アーーハハハハハハ!!! イヒーーッ!! そんなにあげたら、ブラの意味なくなっちゃうよ~! 先生~~♡♡」

 

 

 僕へと跳ね返ってくるチンコの脈動は、大太鼓を叩いたかのように強く、重い。――にも関わらず、倉持さんは少しも変わった様子を見せず、お(・)っ(・)ぱ(・)い(・)で(・)吐(・)精(・)中(・)の(・)勃(・)起(・)ペ(・)ニ(・)ス(・)を(・)圧(・)迫(・)し(・)続(・)け(・)た(・)ま(・)ま(・)、僕の痴態を本当に楽しそうに爆笑している。

 

 

 当たり前だけど、僕のこんな姿は親にだって見せたことはない。それに、いくら射精の快感に呑まれているとはいっても、多少の羞恥心はやっぱりある。

 だけども、それを差し引いても……『恩返し』の言葉通り、僕が最後まで気持ちよく射精できるようにしてくれているのは……最高に気持ちいい。

 

 

「はぁ……はあ……はあぁっ。……んっ♡ ――――はぁ~~っっ…………♡♡」

 

 

 ――やがて、射精の勢いが弱まっていき、それに比例して強い快楽によってもたらされていた陶酔感も放出感も次第に鎮まっていった。だが、僕の呼吸はそれらが完全に沈静化した後でも、まだ少し乱れていた。

 

 

「うっわ~……っ。先生ってば、ガチで死ぬほど興奮してたんだぁ……。マラソンした後みたいになってるよ、呼吸。――大丈夫? まだおちんちんは抜かないほうが良い??」

 

 

「……っっ!!! ――――いえ、はぁ……はぁ……んっ。抜いて、大丈夫……です」

 

 

 相変わらず、倉持さん本人にはその気は全くないであろうが……。唐突に告げられた、2回戦の示唆……とも取れる言葉に、僕は思わず口腔内のすべての水分を一息に嚥下してしまった。

 そして、少しばかり苦虫を噛み潰すような気持ちを抱えながらも、僕はなんとか言葉をつなぎ、淫乳獄(ズリ穴)からチンコを抜くようにお願いした。

 

 

(ホンッッット、油断も、隙もあったものじゃないな。倉持さん……)

 

 

「ふ~~~ん……そっか! じゃあ抜くねっ♪」

 

 

ずっ…………っぶッ♡♡ ん……ぬっ、と……っ♡♡♡ ぷずっ――にゅぢゅぶぷぷぷ~~~っっっ♡♡♡

 

 

 谷間内にブチまけられている大量の出したてホヤホヤ精液によって、挿乳時の倍近い時間をかけながら……僕のチンコが、さらにその何倍も淫靡な粘ばついた水音と共に抜かれていく。

 

 

「んっ♡ …………んん゛っ♡♡」

 

 

 自分の精液まみれになったチンコを見ること自体は、なんら珍しくはない。だけど、それが大学内でも1、2を争う美貌とスタイルの持ち主である倉持さんのおっぱいから出てくる……となれば、話は違う。

 目の前でまざまざと見せつけられたその光景は、これまで性欲を自己解消するしか方法のなかった僕にとって、どんなAVよりも有害な猛毒でしかない。

 

 

――――っぽん♡♡

 

 

「ふぅ、抜けた抜けた。――って、うわっ、ヤバッ!! そういえば、服着たまんまだったっけ!? あたし。すっかり忘れてた……アハー!! ――んじゃあ、とりま先生! お風呂と服、借りるね~~♪♪」

 

 

 そうとは知らず、倉持さんは自分のおっぱいから、僕のチンコを完全に抜いた。そして、彼女は大事な私服を汚されたのにもかかわらず、いつもどおりの快活で明るい笑いとともに、浴室へと鼻歌交じりに消えていった。

 

 

 一方、残された僕はというと……。

 

 

「くっ!! 倉持……さ、んっ……ッッ!!♡」

 

 

――ムラッ♡ ムラムラムラ……♡♡

 

 

 彼女が着ていたワイシャツ……その中央にデカデカと刻まれた、500円玉より少し大きい濡れジミ。そして、もうひとつ――。

 未だ網膜に焼き付いて離れない、ギッチギチに詰まったおっぱい監獄から、咀嚼のような淫猥な音と共に出てきた、精液まみれの淫棒。

 

 

 これらによって出来上がった獣欲の火種は、結果的に――今日初めて異(・)性(・)の(・)体(・)を知った僕の本能を、あっという間に焚き付け……ついさっき回避したはずの、決(・)し(・)て(・)あ(・)っ(・)て(・)は(・)い(・)け(・)な(・)い(・)2回戦の実現を、うるさすぎるくらいに訴求した。




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